日本からアメリカの連邦個人所得税の申告を行う場合は、2か月の自動延長が認められている。ちょうどあと1週間で期限がくる。 もともと 米国の個人所得税(Form 1040)の通常の申告期限は、毎年4月15日だ。 米国市民やグリーンカードホルダーなどが米国外(海外)に居住している場合、IRSによって自動的に2ヶ月の延長が認められる。これにより、申告期限は6月15日となる。 さらに申告期限が土曜日、日曜日、または米国連邦政府の祝日に当たる場合、期限は翌営業日に繰り延べられる。2025年6月15日は日曜日なので、申告期限は翌営業日である2025年6月16日(月曜日)に繰り延べられる。 Form 1040-NRの申告期限はどうか。Form 1040-NRは非居住外国人が申告を行う場合に使用する。Form 1040-NRと言えども、米国内に住んでいる人で、居住者の要件を満たさない人がこのフォームを使うことがある。申告期限は、通常の個人所得税申告期限と同じく4月15日となる。 多くの場合、Form 1040-NRを提出する人は、米国に居住していない。非居住者外国人は、6月15日の申告期限で、米国市民や居住外国人が海外に居住していることで得られる2ヶ月の自動延長に相当すると考えられる。 もしも、6月16日までに申告が間に合わない場合は、Form 4868を提出する。これで10月15日まで申告期限が延長される。税務は通常、発信主義となっている。紙でForm 4868を提出する場合は、6月16日までの日付のスタンプがあれば大丈夫だ。時間が必要な場合は、迷わず延長申請を行うのが良い。 6月16日の期限で、わずか一日と言えども申告期限が延びて助かっている人も多いはずだ。

税金の申告データとしてForm 1042-Sが提供されることがある。Form 1042-S の目的は、アメリカの源泉徴収義務者(大学や企業など)が、アメリカの非居住者外国人対して支払った所得(利子、配当、奨学金、報酬等)とそれにかかる源泉所得税を報告するための書類だ。受け取る側はアメリカの税務上の非居住者としてForm 1040-NRを提出する事が通例だ。 しかしながら米国市民や米国居住者に対してForm 1042-Sが発行されていることが散見される。アメリカ市民や居住者(resident alien)はForm 1042-Sをもらうことはなく、Form W-2やForm 1099をもらう。それにより米国市民や米国居住者はForm 1040-NRではなくForm 1040を提出する。 支払いを受ける側と支払う側のいずれにも情報が不十分だったり間違いがありえる。結果として1042-Sによる支払では、30%の固定源泉徴収税(あるいは租税条約による軽減)が適用され、アメリカ市民や居住者としての源泉徴収率より高額の源泉税が差し引かれる場合がある。 仕方なしにForm 1042-Sの内容をForm 1040に手動で転記すると、申告ミスのリスクが出てしまう。Form 1042-Sの所得がForm 1040に反映されないと、所得の落ちを指摘される。また、源泉徴収税額がForm 1040に記載されないと過少納付とみなされる。 さらに支払い元が租税条約を誤って免税処理すると、IRSから否認される。日米租税条約の「教授条項」(廃止済み)を根拠に免税 すると 追徴課税の対象になってしまう。 米国市民や米国居住者が、支払を受けた際に米国市民や居住者であることを証明できる書類(たとえばW-9等)を提出せずに、Form W-8BENを提出する事もあり得る。 支払者側が外国住所をもとに機械的に非居住者とみなし1042-Sを発行するケースも多い。これを防ぐには支払者と市民権やグリーンカードの有無、住所・ビザステータス・実質滞在テスト(183日テスト)判定結果等を共有し、書類の誤発行を防止することが必要だ。

アメリカのMain Homeを売った時に、条件を満たせば、夫婦合算申告なら50万ドルまでの譲渡益控除を受けられる。 50万ドル控除を取れる要件: ①所有要件:過去5年のうち、少なくとも2年以上その家を所有していた(夫または妻のどちらかが満たせばOK)②居住要件:過去5年のうち、少なくとも2年以上その家に居住していた(売主が満たす必要あり)③申告ステータス:50万ドルの控除を受けるには、夫婦合算で申告する。 アメリカに住んでいた夫婦で、夫が日本に帰国し、妻がアメリカに残る。妻もその後、日本に帰国する際に不動産を譲渡するケースがある。 夫婦で同じ屋根の下に住んでいるので、アメリカに住んでいた時の家がMain Homeというのは迷わないだろう。片方の配偶者が日本に帰国してしまったら、さてどっちがMain Homeなのかと考えてしまう。 家族として考えたら夫の仕事や経済的な結びつきやら、もともと日本に生まれているので日本こそMain Homeと考えるかもしれない。しかし、アメリカに残っている妻が経済的に家庭を支え、子供の学校もアメリカとなればアメリカがMain Homeと考えるのが自然かもしれない。 実は所帯に1つのMain Homeと考える事はない。夫婦それぞれが異なるMain Homeを持つことができる。ただし、一人につき1つのMain Homeしか持つことができない。 夫が帰国後、日本で新しいMain Homeを持つと、アメリカの家は夫にとってSecond Homeと見なされる。一方で 妻はそのままアメリカに住んでいるので、引き続きMain Homeとして扱える。 この場合でも夫が所有要件、居住条件を満たすことができれば、たとえ日本にMain Homeを持っていたとしても、夫は居住要件を満たす可能性が残る。ただし、これは時間の経過とともに要件を満たさなくなるため、タイミングが重要と言える。

FBARとFATCA(Form 8938)の海外金融口座に関する報告内容は極めて近似している。FBARは1970年のBank Secrecy Actに基づき始まり、40年を経て2010年にForeign Account Tax Compliance ActでFATCAが導入されている。それぞれ、仕組みが生まれた背景や目的が異なるものの、個人として報告する内容はほとんど共通している。 (共通する情報)• 口座保有者の情報• 金融機関の情報• 口座番号や類似の識別情報• 最大残高の報告 報告対象の金額が異なっており、FBARは年間のいずれかの時点で海外口座の合計が$10,000を超える場合だ。一方、FATCAは$50,000以上(年末)または$75,000以上(年間いずれかの時点)で海外居住者の場合はより高く$200,000(年末)と$300,000(年間いずれかの時点)となっている。 報告内容が同じなら、なぜ一本化できないのかと思うのが自然な気持ちだろう。 FBARは資金洗浄防止、Form 8938は税務コンプライアンスという異なる目的を持つ。それぞれの異なる法律に基づいて異なる情報が必要となる。FBARはFinCEN、Form 8938はIRSと、報告先が異なる。これらの機関はそれぞれ異なる目的で情報を利用する。 FBARとForm 8938は、報告義務の根拠となる法律、報告対象、報告要件などが異なるため、情報共有の仕組みの構築が容易ではなく一本化が難しいのだろう。 提出期限で言えば、Form 8938はForm 1040の付属フォームとして申告期限までに申告を行う。FBARが昔は6月30日が報告期限だった。これを申告書の提出期限と同期させることになったので、現在は、提出期限がFBARもFATCAも同じとなっている。少なくてもこれが一体化として進んだと言えなくはない。 日本からの報告は、今年は6月16日なのであと1か月時間がある。それまで報告ができない場合、Form 8938はForm 4868で10月15日までの延長申請を行う。しかし、FBARは延長申請がなく10月15日まで自動延長となっている。

米国の市民権やグリーンカードを放棄する際、出国税(Form 8854)の対象となる可能性がある。この制度では、出国時に株式等の保有資産の「未実現利益(含み益)」を強制的に実現させ、米国で課税する。通常、課税は資産売却時に発生するが、出国税では未売却の資産も売却済みとみなす独特のルールが適用される。これにより、実際の現金収入がない幽霊利益に対しても課税が行われる。 出国時には資産の「含み益」を強制的に実現させ、アメリカで課税を行う。この含み益が実現するのは、本来は実際に資産を売却した場合だ。売却した場合には、売却代金が手元に入り、そこから税金を支払うことになる。 しかし、出国税では実際の売却は行わない。売却したとみなされ、いわゆる幽霊利益に対して課税が行われる。たとえば、株を50万ドルで購入し、市民権やグリーンカードを放棄する時にその株の価値が100万ドルだとした場合、この含み益50万ドルが実現したものとして課税される。手元に納税資金がなければ、借入をして税金を支払う必要がある。 さて、資産を5年後や10年後に実際に売却したとする。その時、日本に居住して日本の税金の対象となる。この資産の取得原価は100万ドルに引き上げられ、そのときの売却価格が30万ドルだとすると、譲渡損70万ドルが発生する。 ここで問題となるのは、アメリカで出国税が課された未実現利益と、日本で実際に発生した譲渡損失との関係だ。日米の税制を単純に合算すると、実際には70万ドルの損失が出ているにもかかわらず、アメリカでは先行して50万ドルの未実現利益に対して課税が完結しているという状況になる。 アメリカ政府の観点から見ると、市民権またはグリーンカードを放棄した人が未実現利益を抱えたまま出国すると、将来的にその資産を売却した際に得られる譲渡益に対する課税が困難になる。アメリカ非居住者の株式譲渡益は、原則としてアメリカの課税対象とならないためだ。 アメリカの市民権またはグリーンカードを保持している場合、資産の譲渡によって実現する利益には課税され、その税収はアメリカの社会インフラを支える財源となる。しかし、市民権またはグリーンカードを放棄した人は、アメリカの社会インフラを享受して財産を増やしたにもかかわらず、その果実の課税を受けないまま国外に持ち出すことになる。 結局のところ、国としての割り切れなさと個人としての割り切れなさが残る。アメリカが選択した結果は、国としての割り切れなさを優先したものといえるだろう。

アメリカの贈与や相続では課税主体が贈与者、被相続人となる。これに対して、日本は贈与税や相続税の課税を受ける人は受贈者、相続人となる。 仮に相続が発生し被相続遺族人から相続人に1000万円が渡されたとする。アメリカの税制では亡くなった人が課税対象となり、日本では相続をした人が課税を受ける。 つまり、アメリカでは相続や贈与で財産をもらった人は、課税の対象ではないので相続税や贈与税を原則として支払うことはない。これでお終いとなれば簡単だが必ずしもそうならないことがある。 Form 3520という書類がある。非居住者から相続や贈与で1年間に10万ドル以上の財産を受け取った場合に、その事実の報告をしなくてはならない。ごく簡単な報告だ。 ではなぜこの報告を求められるのか。 IRSはアメリカの市民権やグリーンカードを捨てた人のうち、特にアメリカの税金をたくさん払っていたり、財産を持っていたりする人が市民権やグリーンカードを捨てることで、税金を逃れるのを防ぎたいと考える。 市民権やグリーンカードを捨てた人に対しては、税金をかけることが難しくなる。しかし、お金や財産を受け取ったアメリカ市民やグリーンカード保持者に対しては、まだ税金をかけることができる。そこで、Transfer Taxという仕組みを使って、アメリカからお金が逃げるのを防ごうとする。 Transfer Taxは、市民権やグリーンカードを捨てた人が、アメリカ市民やグリーンカード保持者にお金や遺産を渡したりした時に、そのお金や遺産を受け取った人が払う税金だ。 つまりForm 3520の報告を通じて、IRSは市民権やグリーンカードを放棄した人からの贈与や相続を把握し、Transfer Taxの対象となるかどうかを判断する。 その意味で、アメリカでは相続や贈与で財産をもらった人は、課税の対象ではないので相続税や贈与税を支払うことはないとは簡単に言えなくなる。税金を払う人は財産をもらった人となってしまうことがある。

コップの中に半分入った水を見て、「半分もある」と考えるか、「半分しかない」と考えるか。視点の違いは、時に米国税法の解釈にも影響を与える。 たとえば、海外口座の申告義務(FBAR)だ。FBARは、米国の税法における「US Person」(アメリカ市民、居住者、法人など)に適用される。では、グリーンカードを放棄した場合、もはやUS Personではないので、FBARを提出する必要はないのか。 ここで重要なのが、米国内国歳入法(IRC)§7701(b)(6)だ。この条項により、グリーンカードを返還した年は「原則として」通年で米国の居住者として扱われる。つまり、この年はまだUS Personとしての地位を維持しているため、FBARの申告義務が発生する。 この年のFBARは、通常の申告期間(1月1日から12月31日まで)の最高残高を報告する必要がある。たとえ1月1日にグリーンカードを放棄したとしても、その年の12月31日までが報告対象期間となる。 例えば、放棄後の9月30日に口座残高が最も大きかった場合、その日の残高を12月31日の為替レートで換算して報告する。確かに1月1日にグリーンカードを放棄しても9月30日の残高を報告するとなれば、違和感があることは理解できる。ならば9月30日の為替レートを適用すれば良いのに、さらにそれを12月31日のレートで報告するので、なおさら気になるかも知れないがそうした仕組みとなっている。 グリーンカードを放棄した年の翌年からは、原則として非居住者(non-resident alien)として扱われ、US Personの定義から外れる。そのため、FBARの提出義務も原則としてなくなる。 ただし、例外がありグリーンカードを放棄した後も、アメリカに居住し、滞在日数テストを満たす場合は、引き続きFBARの提出義務が発生する可能性がある。

Form 2555(外国所得控除)は、米国市民または居住者が海外に居住し、一定の要件を満たす場合に、海外で得た所得を米国所得税から控除することを可能とする。2024年では126,500ドルだ。 これは日本で働いている人だと、$1=150円で約1900万円の働いて得た所得を控除でいるので、課税対象の税額がなくなることが多く、実にありがたい精度だ。 米国は全世界所得課税制度を採用しており、米国市民および居住者は、全世界で得た所得に対して米国所得税を支払う。日本で得た所得に対して、日本で税金を支払い、アメリカの税金も支払うので、二重課税が発生する可能性がある。Form 2555は、この二重課税を軽減する。 海外で働く米国人は、現地の生活費が高かったり、米国にいる家族を扶養する必要があったりと、経済的な負担が大きい。Form 2555は、これらの負担を考慮し、海外勤務者を優遇する目的も含まれる。 さて、このありがたいForm 2555に5年ルールが存在する。Form 2555(外国所得控除)を自主的に使用をやめると、向こう5年間は再び利用することが制限される 納税者が頻繁にForm 2555を利用・放棄すると、IRSは、それぞれの状況を個別に審査し、適切な税額を決定することになる。これは、税務行政の負担を増大させ、税金の徴収・管理にかかるコストを増加させる。 納税者が頻繁に税制上の地位を変更すると、税収の予測が困難になり、政府の財政運営に支障をきたす。5年ルールは、Form 2555の利用を一定期間制限することで、税収の安定性を確保し、税制全体の予測可能性を高める。これにより安定的な財政運営を行うことができるようになる。 知らずにForm 2555を放棄すると、5年ルールで向こう5年間使えなくなる事になりかねない。 ただし特定の年に所得がなく、Form 2555を使うことができない場合は、控除の対象となる条件を満たしていないだけで、Form 2555の放棄ではない。したがって、5年ルールの制限対象にはならない。

アメリカの税金は年齢にかかわらず、一定の所得があれば申告が必要である。これは子供にも同じ義務が課せられる。実際には、2、3歳の幼児や小学生が一定の所得を得ることは稀であるが、可能性が全くないわけではない。 とはいえ、情報申告のFBAR(外国銀行口座報告書)では申告要件を満たすことがある。子供がアメリカで生まれ、アメリカの市民権を持っている場合や、親の仕事などでアメリカに一定の期間滞在すると、税務上のアメリカ居住者とみなされる。 典型的な事例として挙げられるのが、祖父母からの贈与金やお年玉を親が管理するケースである。親が教育資金形成を目的に子供名義の日本(海外)の口座を開設し、自身の資金も加えて積立を行う。この預金の合計残高が、当該年のある時点で全海外口座の合計で$10,000を超える場合、FBARの提出が義務付けられる。 ただし実務上の判断では口座の実質的支配状況を勘案する。 *子供が口座の存在自体を認識しているか*未成年者が自発的に口座を操作できるか*親が資金の入出金を完全管理しているか これらを勘案して、形式上は子供名義でも実質的に親の支配下にあるとなれば、「親の口座」とみなされ、親が自身のFBARで当該口座を報告する必要が生じる。実際には多くの子供名義口座がこのカテゴリーに分類され、親による申告が義務付けられる。 まれに子供が実質的な預金口座の所有者と見なされる場合、子供にはFBARの申告義務が生じる。また、子供の金融資産から得られる所得が申告基準を満たす場合、FBARの申告義務が発生する前に、子供は税務申告を行う必要がある。子供が自らFBARを提出できない場合、親または法定代理人が代わりに申告書やFBARを提出することになる。

〒103-0016
東京都中央区日本橋小網町4-8-403
Phone:03-6231-0301
相続税:資産家のための相続税相談申告センター
日本の税務:星泰光・杉沢史郎税理士事務所
| 水天宮前駅 | ― |
東京メトロ半蔵門線 6番口 4分 |
|---|---|---|
| 茅場町駅 | ― |
東京メトロ 東西線 A4出口 徒歩5分 |
| 人形町駅 | ― |
東京メトロ 日比谷線 / 都営浅草線 A2出口 7分 |