2020年11月

2020.11.29
情報申告

Form 1040NRで情報申告

FBARとFATCAと外国金融口座の情報申告が2つもある。提出する方からすれば、ほぼ同じ情報を2回申告するので、面倒だと思うのではないだろうか。それも、アメリカ市民とかグリーン・カードを持ってForm 1040を提出する人であり、Form 1040NRを提出する人は、FATCAやFBARとは接点がないと思うかも知れない。 FATCAは税法26条の世界で規定されている。これはアメリカ国内法だけではなく、租税条約も関係してくる。183日テストを適用して居住者というのが国内法の考え方であっても、租税条約でアメリカの非居住者となることは可能だ。一例として学生や教授条項に当てはまる人はアメリカに入国しても5年とか2年は居住日数から除外できる。つまり本来アメリカ居住者であっても、租税条約により非居住者となることもある。さらにこれは税額の計算上の話で、情報申告では適用されない。 FBARを規定するのは31条の1970年法(the Bank Secrecy Act of 1970)だ。Financial Crimes Enforcement Network (FinCEN)が管轄してIRSではない。FBARは国内法であり、居住者は居住者でしかない。 通常のパターンはForm 1040でFATCAの申告を行う。合わせてFBARの申告も行う。しかし、Form 1040NRでFATCAの申告を行い、合わせてFBARの申告も行う場合もある。 金額要件を入れるとForm 1040でもForm 1040NRでも次のケースが出ることがあり得る。 FATCA   FBAR 〇      〇 ×      〇 〇      × ×      × Form 1040NRを提出する人は非居住外国人で、FATCAもFBARも縁がないと考えるかも知れない。大抵はそれで良くても、機械的にそうならないこともあるのでやっかいだ。

Read More
2020.11.22
所得税

コンド理事会の審査

あっという間に年末が見えてきたこの時期にコンドが譲渡されるとする。契約書は11月にサインされる。すぐにも、譲渡金額が支払われ、所有権が移転すればよいのだが、コンドの理事会の許可が必要になる。 理事会は購入者が住民としてふさわしいかどうか審査をする。例えば、猫1匹を連れて入居するなら問題はないとしても、大型犬を5頭引き連れて入居してくるとなればどうだろう。万が一、コンドの住民としてふさわしくないとなれば、拒否権が発動され不動産の譲渡が成立しなくなる事もありえる。 その審査の期間が1ヶ月かかると、年末になってしまう。そこから、譲渡に係る費用や税金などの精算作業に入り引き渡し日は年内となるのか、2021年にずれ込むのかで変動してしまう。キャピタルゲインの計算も短期譲渡になったり長期譲渡になったりで大きく変わってしまう事もありえる。 譲渡が行われた時に譲渡者に対してはForm 1099-Sが発行される。これは同時にIRSに提出される。カラム1でClosing dateが記載され、カラム2で譲渡額が記載される。これでIRSは不動産の譲渡日と金額を認識する。 2020年ならば2021年の4月15日期限の申告の対象だし、2021年ならば更に1年時間の余裕があり2022年での申告となる。

Read More
2020.11.15
その他

悩ましいIRSの手紙

誰かが自分の社会保障番号を使って仕事を得ているとする。雇用主はその番号で所得をIRSに通知する。自分が申告をした時には、その所得は含まれていない。IRSは誰かが自分の社会保障番号を使って申告しているとは知る由もない。 しかし、IRSは、同じ名前と番号で2つ申告書を受け取ると、いずれかの申告書は怪しいと思う。そこで個人の確認のために手紙を発行する。 個人情報の確認を求める手紙が来ても、果たしてこの手紙が本物かどうか疑心暗鬼となる。書かれているサイトや電話番号にアクセスして、それが詐欺を働いている人のサイトや電話番号なら、自分の情報をわざわざ提供するようなものだ。 しかし、本物なら本人確認が終わらない限り、申告書の処理が進まない。本人確認と申告書の確認がなされると、申告書の処理が行われるが、約2ヶ月程度時間がかかる。 非常に悩ましいが、IRSの事務所まで出かけることができるなら、直接、IRSに出かけて手紙の真偽を含めて確認したらどうだろう。本物だったらそこで本人確認に応じることが安全かなと思える。

Read More
2020.11.08
遺産税・贈与税

バイデン候補が勝って

バイデン候補の勝利がほぼ決まったようだ。これによってアメリカの税金は増税にかじを切ることになる。 連邦遺産税においては生涯控除が減額されると見られている。2017年税法のもとで2020年の遺産税の控除額は$11.58百万($1=105円で約12億円)あり、夫婦の場合はこの2倍で$23.16百万(同じく約24億円)の控除がある。この控除額を超えた場合は40%の税率で課税を受ける。この控除額はインフレ調整を受けながら2021年から2025年まで増加していくのが足元の状態だ。 しかし、これは2025年末までの話で、2026年以降については新たな法律がない限り、2017年法以前に戻ってしまう。バイデン候補が大統領となって、2017年当時の控除額$5.491百万か、更に踏み込むと控除額がもっと減少し、最高税率60%とかに向かう可能性がある。 控除額は生前(贈与)でも死後(相続)でも使える。今の状況では、仮に約12億円の財産があり、2025年末までに亡くなれば、控除により遺産税は発生しない。何もせずに時間が経過してしまうと、約12億円の控除は使えず、課税対象遺産税額が約6億円増加して約3億円前後の増税となる可能性がある。 では今のうちにこのメリットを取ろうと、約12億円を贈与して、2025年までに亡くなれば贈与は無税となる。ところが2025年を超えて2026年になっても生きていれば、約6億円の控除しかない。この場合、6億円は課税対象になって最高税率で課税されてしまうのか。基本的な考え方は、12億円の控除は取り上げられることはない。 しかし、バイデン大統領になり、2025年末ではなく早期に終了させて、控除額も約6億円ではなくもっと少なくすると決めたらどうなるのだろうか。法律が成立するまでに行われたことまで無効とはしないだろう。そのため新たな法律が決まる前に、駆け込みの贈与が増加すると見られる。 上記の控除額はあくまでアメリカ市民や遺産税・贈与税法でアメリカ居住者とみなされる人が対象だ。日本に住んでいる人は、同じ控除額を享受できるわけではない。また、日本の相続税・贈与税も考えなければいけない。

Read More
2020.11.01
情報申告

FBAR申告期限

FBARの申告期限は2015年分までは2016年6月30日だった。当時、FBARの申告には期限の延長という概念はなく、税金の申告とFBARの情報申告の期限は全く別だった。 2016年分の2017年申告からは、税金の申告と一体化されて4月15日が申告期限となった。6月30日から4月15日まで期限が前倒しとなった。ところが、税金の申告と期限を合わせたために、海外(日本)から申告をする場合は2ヶ月の自動延長があり、6月15日が期限となる。さらに、税金の申告書には申告期限の延長があり、申告書提出の延長申請をすれば10月15日が申告期限となる。FBARは税金の申告書と一体になるので、FBARだけの延長申請はなく自動延長だ。 2019年のFBARの申告は、コロナウイルスのために、当初の4月15日が7月15日に延長された。海外(日本)から申告をする場合は6月15日という期限も7月15日となった。延長の場合は10月15日という期限はそのままだ。 2020年10月6日にFinCENは、 the California Wildfires, the Iowa Derecho, Hurricane Laura, the Oregon Wildfires, and Hurricane Sallyで、罹災した人のFBAR申告を2020年12月31日まで延長する。 これは特別措置だったわけだが、この内容をサイト上で10月14日に通知した際に、誤ってすべての人が12月31日まで延長の対象と発表してしまった。すべての人を対象にしたものではないと、すぐに訂正するのだが、時すでに遅かった。苦肉の策ですべての人を対象に10月15日を10月31日までに変更した。上述の罹災者は、年内一杯がFBAR申告は期限後申告となる。 2019年分の2020年のFBAR申告は極めて異例であった。気がつけば年内も2ヶ月で、あっという間に2021年になる。そろそろ、2020年分の2021年申告のために、金融口座の最高残高をチェックする時期になる。

Read More

カレンダー

2020年11月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

Tsuchida & Associates

〒103-0016
東京都中央区日本橋小網町4-8-403
Phone:03-6231-0301


相続税:資産家のための相続税相談申告センター
日本の税務:星泰光・杉沢史郎税理士事務所

アクセス

水天宮前駅 東京メトロ半蔵門線
6番口 4分
茅場町駅 東京メトロ 東西線
A4出口 徒歩5分
人形町駅 東京メトロ 日比谷線 / 都営浅草線
A2出口 7分
Copyright © Tsuchida & Associates All Rights Reserved.
ページTOP