コロナウイルスのために、アメリカの2019年分(2020年提出)個人の申告期限は4月15日から7月15日になっている。 コロナウイルスの蔓延が申告期限を延長する原因になった。コロナウイルスが下火になり、事業活動が再開され、職を失った人が再雇用され、経済が元に戻るという見極めがつかないと7月15日で良いのかという事にもなろう。 コロナウイルスの第二波、第三波もあるならば、状況は予断を許さない。そうすると申告期限が9月15日とか12月15日まで再延長されるという見方をする人もいるが、現時点では申告期限は7月15日だ。 もともとForm 4868を提出すると申告期限は4月15日から10月15日まで延長される。今年の場合は7月15日までにForm 4868を提出すると申告期限は10月15日まで延長される。但し、予測される税金の支払いは7月15日までに支払う。
Stimulus paymentはCovid-19で職を失ったり、所得が減少した人に$1,200/人の給付金を支給する。海外にいてもアメリカに税金を払うわけだから、この給付金も海外にいても同じように支給されることになる。 一律にその金額をもらえるかというとそうはいかない。所得制限があり、独身で言えばAdjusted Gross Income (AGI)が$75,000を超えると減額が始まる。$100増すごとに$5減額されていく。かくして、$99,000を超えると、この給付金はもらえないことになる。 高額所得者には我慢してもらい、所得の少ない人に支給しましょうと言うわけだ。ところが本当にそうかという疑問がわく。判断の基準がAdjusted Gross Income (AGI)になっているからだ。 海外に住んでいる人はForeign Earned Income Exclusionがあって、所得から一定金額を減額してくれる。2019年で言えば$105,900の減額がある。ケースによりこの金額はさらに上下に変動するのだが、ここでは$105,900とする。 仮に$180,000の所得がある場合、アメリカ国内に住んでいれば$99,000を超えるので、この給付金はもらえない。しかし外国に住んでいたらAGIは$180,000-$105,900=$74,100になってしまう。かくしてこの給付金の対象となってしまう。 これはどう考えてもおかしいわけで、Foreign Earned Income Exclusionを入れない前の Modified Adjusted Gross Income (MAGI)で判断されないと合理的ではない。この不合理さを解消するために後付けで法が改正されて、MAGIとされ、既にStimulus paymentをもらっている人に返還を求めるかも知れない。2020年分(2021年春に提出)の申告書で精算されるやり方か? 現状では可能性だけだが、Stimulus paymentを返してくださいと言われ、面倒な返還手続きをさせられ、まして返還までの金利を上乗せして返してくださいと言われたら、最初からStimulus paymentをもらわなかった方がまだましと思うだろう。 しばらくは慎重に見ていた方がよさそうだ。
3月27日にCARES法が成立し、アメリカのStimulus payment$1,200/人がすでに支払われ始めている。この支払いのベースが、2018年と2019年のアメリカへの税務申告だ。 アメリカに住んでいる人だけではなく、日本に住んでいるアメリカの税務上の居住者も対象だ。Form 1040-NRを提出している人は対象外となる。 期待もしていなかったアメリカの給付金を日本でもらうわけだから、ありがたいと思うだろう。しかし、本来、もらってはいけない人にもお金が支払われていることがある。 一つは亡くなった人にお金が振り込まれているケースだ。CARES法が成立する以前に、亡くなってしまっている場合は、適正な受給とは言えない。 2018年、2019年の申告書を提出していても、CARES法成立前に既に日本に帰国してしまい、非居住者になっている場合もある。あるいは市民権やグリーンカードを放棄している場合もある。 もしも受給してはいけないのにStimulus paymentが支給された場合、IRSはそのお金を返却するように求めている。EIP Eligibility and General InformationのQ52に返却の仕方が記載されている。小切手の裏書にVoidと書いて、どうして返却しなければならないのかの説明をつける等返却のやり方の説明がある。 日本から返却をする場合の送り先: Austin Internal Revenue Service 3651 S Interregional Hwy 35 Austin, TX 78741 返却をしない・返却が遅れた場合、その分の金利も加算される。このお金をもらって問題を抱え込まないように慎重に動くべきだ。
Form 2555では外国の稼得所得と住宅コストの控除をしてくれる。この時間の条件として通年外国に滞在しているか、連続する12か月で330日以上外国に滞在していることが必要となる。 しかしながら、コロナウイルスのために外国にいることができず、アメリカに戻らざるを得ない事態も発生している。 この場合、Form 2555を使えなくなってしまう事は不都合と言う事で、IRSは救済措置を打ち出した。 ①2019年12月1日以降2020年7月15日まで中国を離れなければいけなかった ②2020年1月1日以降2020年7月15日まで外国を離れなければいけなかった この期間は、the bona fide residence test又はphysical presence testの時間条件を満たしているものとみなしてもらえる。
IRSはコロナウイルスのために正常には稼働していない。電話をしようとしても電話がつながらない。多くの職員が自宅で仕事をすることを余儀なくされている。職員が家で仕事をするようになっても、一人一人にコンピュータが支給されているわけはなく、セキュリテイからも果たして家で職場と同じように仕事ができるのかは疑問だ。郵便は職員が職場復帰するまで手が付けられず保管されているだけという。 ここに来て郵便を処理しなくてはならず、約1万人の職員が事務所に戻って仕事をするように言われたとのことだ。しかし、働く人もマスクが支給され、職場も消毒され、同僚と働く距離を安全に保つなど、きちんと対策が取られているのか心もとないだろう。そういう職場に行ってウイルスに感染し、家族にうつしたら大変だと職場復帰が遅れているようだ。 日本からアメリカ向けの航空便を受け付けてもらえない状況が一部の会社で出ている。まさかこの状態がこの先何カ月も続いてほしくはないが、先行きが見えていない。IRSになかなか書類が届かないし、届いてもすみやかに処理してもらえない。従来経験したことがない事態で、税務関係の処理は相当遅れることを覚悟した方がよさそうだ。 申告書については発信主義なので、発信さえすればIRSに書類が届いていなくても、その時点で受理されたものとみなされるのが救いだ。
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