日本からアメリカの申告をする際に、基本的な情報の一つとして為替レートが必要だ。即ちアメリカの申告書を作成する時はドル表示にしなくてはならない。 ではどのレートを用いるのか。特定日のレートか、年平均レートか、年末日のレートかを使うのか。IRSの発表するレートか、各銀行の発表するレートか、財務省のレートか。それぞれ数値が異なる。 IRSはよりどころとするレートの出典は限定せず、許容できるものならいずれの出典でも良いとする。 IRSのレートを用いてIRSに異議を唱えられることはないので、IRSのレートか財務省のレートを使えば間違いはない。 2023年の平均為替レートは$1=140.511円(IRS)だ。年末のレートは$1=141.47円(財務省)だ。では、平均レート、年末レート、特定日レートのいずれを使うかと言えば、最も合理的な為替レート又は指定されているレートを使う。 給与などの支払いは年平均レートで換算して構わない。 不動産を譲渡した場合、譲渡日(受渡日)のレートを用いる。ピンポイントだ。全く無関係な日のレートを適用することはない。 株式の譲渡益を計算する場合も、特定日のレートを用いる。譲渡した日だけではなく、購入した日の為替が必要になる。年間に大量の売り買いをしている場合、為替レートを調べるだけで大変な時間を使うことがあり要注意だ。 情報申告のFBARやFATCAでは年末日のレートを使うことを指定されている。口座の最高残高をドルで報告する。すると円での最高残高と日々の為替レートを見て行かないと、ドルの最高残高は決まらない。これは大変なのだが、為替レートは年末日を指定されている。日本円での最高額を年末日の為替でドルに換算すればよい。 いずれにしても一貫性のある合理的なレートを用いることになる。
初めてアメリカの申告をされる方もいるので、とても大事な居住者、非居住者を考える。 日本に住んでいる人からすれば、日本に住んでいるのだから日本の居住者と言うのは当たり前だ。アメリカの税務では日本に住んでいても、アメリカの居住者と言うこともあり得る。 日本に住んでいるのだから、同時にアメリカの国土に足を載せて生活ができるわけがない。これは居住地課税の考え方だ。 この考えから外れているのがアメリカの税務の考え方で、どこに住んでいるかより、その人がアメリカ市民ならアメリカ居住者とする。つまりアメリカ市民権(グリーンカードも含む)を持っている人がアメリカ居住者だ。市民権課税がアメリカの考え方だ。さらにアメリカにはアメリカ市民以外の方も大勢住んでいる。その居住期間の長さによりアメリカの居住者となってしまう。 アメリカ市民は世界中どこに住んでいてもアメリカ居住者だ。日本に住んでいれば、当然ながら日本の居住者であり、アメリカの居住者で二カ国の居住者となってしまう。 日本もアメリカも居住者であれば、その人の世界中の所得を自国の税務申告で報告させて課税の対象とする。 日本に申告したからアメリカに申告する必要はないでしょうとはならない。アメリカに申告すべきなのに申告していなければ無申告者で、とても具合の悪いことになってしまう。そうすると、二カ国に申告をする事になってしまう。そこで二カ国の課税を調整して、二重課税ができるだけ発生しないように機能させている。 居住者の反対概念が非居住者だ。非居住者は、全世界の所得に課税を受けるのではなく、アメリカで発生した所得だけがアメリカの申告対象となる。 これは国のレベルで言っているが、アメリカの州税でも大体同じような考え方になる。
伝えられるところでは、大谷選手の契約は、向こう10年間は年額200万ドル報酬だ。10年で2,000万ドル、その先の2034年から10年間で6億8000万ドルを支払われるという。金額的には2.85%分を10年でもらい、97.15%を10年過ぎてからもらう契約だ。 毎年の給料が2.9億円(為替レートは$1=145円)×10年で29億円、退職金が986億円(同じレート)の合計1015億円だ。 税金は連邦税の最高税率37%、カリフォルニア州の14.4%を合わせると、約半分が税金となる。 繰延部分の所得税は、一般的にはその繰延支払いを受け取ったときに支払う。分割払いで繰延報酬を受け取ると、年額は少なくなるので、多額の一括払いよりも低い税率で課税され税金が少なくなる。とはいえ大谷選手レベルでは影響ないだろう。 また10年経過して退職金として繰延支払いを受ける場合、所得を得た州ではなく、居住する州で課税される(連邦法4 U.S. Code § 114 - Limitation on State income taxation of certain pension income) いかなる州も非居住者の退職所得には課税をしてはいけないと規定しているからだ。 州税のない州に移れば州の所得税を払わなくてもよい。つまり退職金が入る前にフロリダ州、ワシントン州、ネバダ州など、州の所得税がない州に引っ越すと、カリフォルニア州税を払わなくても良いということになりかねない。 カリフォルニア州から見れば10年で2.85%を受け取り、97.15%が繰延という契約は、州内でのサービスに対する彼の報酬を公正に反映していないと言うだろう。 カリフォルニア州はこれを看過できないとなれば、上記の連邦法の変更も必要になってくる。 現時点で考えると、向こう10年で税法の改正がなければ、大谷選手が退職金(繰り延べ分)をもらう前にカリフォルニア州を出てしまえば、カリフォルニア州は課税できなくなるという事だろう。 さて、大谷選手が10年後、日本に帰国したらどうなるのか。繰り延べた分を年金としてもらうなら、日米租税条約でアメリカの課税ではなく日本の課税になってしまう可能性がある。 個人のケースで連邦法を変える、ましてや租税条約まで変えるとは思えないが、大谷選手がアメリカの税法すら変えかねない桁外れな選手と言う事だ。
アメリカの個人所得税を申告するために、まずは2024年申告シーズンの大きな時間的な枠組みをおさえておきたい。 いつから申告ができるのか: 2024年の納税申告シーズンは、例年、1月末からスタートする。正確にいつになるかは今日現在、発表されていない。 いつまでに申告するのか: 2023 課税年度の個人所得税申告書は、2024 年 4 月 15 日までに提出する。納税者はフォーム 1040 (高齢者の場合はフォーム 1040-SR) を提出し、この日までに支払うべき税金を支払う。 納税日は通常 4 月 15 日で、その日が土曜日、日曜日、または休日に当たる場合、納税期限は次の平日に延びる。2024 年では、4 月 15 日は月曜日になるため、その日が納税期限となる。州税は概ね連邦税に準ずるが、個々の州の期限があるので確認を要する。 日本から申告をする場合: 日本からアメリカの申告を行う場合、日本の税金とアメリカの税金の二つの申告となる。この場合、日本で支払った税金をアメリカの税金から控除する形が多い。と言うことは日本の税金が確定していないといけない。日本の確定申告は3月15日期限なので、日本の申告が終わってから申告を行う。 アメリカの申告期限は4月15日だと時間が無くて大変だということになるかも知れない。そこで日本(海外)から申告を行う場合は、2か月の自動延長がある。そのため、6月17日が日本から申告する場合の期限となる。 税金が発生する場合は、納付は4月15日なので、この日は延ばしてもらえない。4月15日以降は延滞金が発生する。 申告期限の延長 申告の期限に間に合わない場合は、10月15日まで申告期限を延長できる。この場合は、当初の申告期限までに申告を延長する手続きを行うことになる。 まずは申告のためにデータを早めに整理すべきだ。
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