12月31日はいろいろ意味を持つ日だ。12月31日に結婚していればその1年を通して結婚しているものとみなす。反対に12月31日に独身だと、1年を通じて独身となる。子供が生まれると、その子は1年を通じて生まれているとなる。 亡くなった人がいれば、1年を通じて生きていたものと見なす。そのため、1年を通じて夫婦合算申告を行い、標準控除を二人分使うことができる。それも12月31日までで、翌年からは故人と共に夫婦合算申告を行うことはできない。 上述の変動が年の途中にあっても、それに合わせて日割りで計算することはしない。配偶者が1月31日に亡くなったから、標準控除を12分の1か月しか取れないと言うことはなく、1年分取ることができる。 この1年の間にグリーンカードや市民権を放棄した方もいれば、反対に取得した方もいるだろう。税務上の居住者、非居住者が1年のうちに混在する二重居住者だ。 放棄の場合、1月1日から1年間非居住者として良いかと言えばそれはできない。放棄する日までは、アメリカ居住者であり、放棄後はアメリカ非居住者だ。取得の場合、取得日以前は非居住者で、取得日以後は居住者となる。 ただし、放棄であれ取得であれ1年を通じてアメリカ居住者とすることは認められる。課税の範囲、期間が広範になり、アメリカにとって不都合はないと言う事だろう。
米国国務省による国籍喪失証明書の発行で承認されない限り、市民権の放棄は認められない。万が一、米国国務省が市民権放棄を承認しない場合はどうなるのだろう。 アメリカから税務上、出国する事を禁じられてしまう。すると、税務上のステータスはアメリカ市民なわけだから、アメリカ居住者で全世界所得課税の対象のままだ。 国務省の承認を待って申告できるタイミングなら、はっきりしてそれが良い。しかし、申告期限まで時間がなく、申告しなければならない場合にどう動くか。 出国した年に出国税を提出していないと、出国税を申告しない$10,000のペナルティを課せられる可能性がある。 アメリカ大使館や領事館で、市民権の放棄宣言を行っている以上、よほどのことがない限り、承認されるという前提で出国税の申告を行うしかない。これにより、出国税のペナルティは回避できる。 万が一、申告の後で税務上の出国を拒絶された場合、これは正しくないことになる。この場合は理由を明示して、居住者として修正申告することになる。出国税はないので、その遅延や提出しないペナルティはない。 出国税を提出して、ペナルティを回避することが妥当と思う。
年内にアメリカ市民権を放棄して、2022年からはアメリカの非居住者になりたいと考える。アメリカ大使館での放棄宣言が2021年12月末で、国務省からの放棄の証明書が2022年3月に発行されるとする。この場合、2021年と2022年のいずれの時期に市民権を放棄したことになるのか。せっかく2021年に行動をしても、2022年に発効ならば、年内に動いてもしかたがないとなるかもしれない。 Form 8854の出口税を2021分で提出するか、2022年分として提出するか、どっちなんだろうと言う事になる。2021年で宣言したからこの日か、放棄の証明書がなければ不確定なので2022年になるのではないかという疑問だ。 米国市民権の放棄日として扱われる可能性のある日付は4つある。このうちの最も早いタイミングが適用される。(IRC) Section 877A(g)(4)(A) (A)個人が米国の外交官または領事館員の前で米国国籍を放棄した日付 (B)個人が米国国務省に放棄を届け出た日付 (C)米国国務省が個人に国籍喪失証明書を発行した日付 (D)米国の裁判所が帰化した市民の帰化証明書を取り消す日付 上記(A)または(B)は、米国国務省による国籍喪失証明書の発行で放棄が承認されない限り、いかなる個人にも適用されないという紐づけになっている。 一般論としては市民権放棄を宣言、届け出て米国国務省が承認しないことは特殊なケースなので、宣言した日に放棄したことになる。結果として冒頭の例では、Form 8854の出口税を2021年分で提出する。
申告書を作成するという本来的な部分の周辺に伏兵がいる。国際的な書類の送付がその一つだ。 コロナウイルスのために郵便局のアメリカ向けEMSは、2020年4月下旬から2021年5月一杯取り扱いが中止されていた。電子申告でほとんど問題がないものの、申告内容により電子申告ができないケースがある。 さて、EMSが再開されてみると、2021年1月1日以降は通関電子データ送信が義務化され、手書きのEMSラベルではなく、ラベルの印刷が必須となっている。 これがなかなかのもので、そもそもPCになじみがなく、スマホもどう使うのだと疑問だらけだと、ラベルをプリントして郵便局に持って行くことが難しい。 あて先は手書きなら何とかなろうと、書留で郵便物を航空便でアメリカに書類を送付したケースがある。何と1か月後アメリカから送り返されてきた。電子データ送信に対応していなかったからだろう。 またアメリカ以外の国へ小包を航空便で10月初旬に発送した。通常なら2週間もあれば配達される。ところが2か月を超えても配達されない。相手先からは荷物がまだ日本にあると言われる。 もちろん、Fedex、DHL、 UPS等を使えば問題ないじゃないかと言われるだろう。こうしたサービスになじんでいないと送り状の作成が一苦労だ。さらに、IRSや州のあて先がP.O. Boxだったり、相手先の電話番号がわからないと受け付けてもらえないことがある。 IRSからの受信でも困る。IRSからの手紙の日付だ。例えば手紙にいつまで納付せよ、追加で書類を送れという納期が30日を指定される。ところが、配達されるタイミングでは、およそ1か月経過し、ひどい時は配達時に既に期限を超過してしまっている。 2021年11月19日の段階で、IRSの未処理の個人申告書は650万件、修正申告は11月27日で260万件、さらにForm 941は12月1日で300万件、同修正版が41万件で合計1,000万件を超える(12月3日IRS発表データ)。 折しもクリスマスシーズンに入り気分はホリディシーズンだ。来月には2021年分の申告が始まろうとしている。
〒103-0016
東京都中央区日本橋小網町4-8-403
Phone:03-6231-0301
相続税:資産家のための相続税相談申告センター
日本の税務:星泰光・杉沢史郎税理士事務所
水天宮前駅 | ― |
東京メトロ半蔵門線 6番口 4分 |
---|---|---|
茅場町駅 | ― |
東京メトロ 東西線 A4出口 徒歩5分 |
人形町駅 | ― |
東京メトロ 日比谷線 / 都営浅草線 A2出口 7分 |