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2024.07.21
所得税

ペナルティは控除対象か

個人の申告でSchedule AやSchedule C でペナルティ(罰金)をどう扱うのか。税金そのものは金額の制限があるにせよ、控除を取ることができる。しかし、連邦税または州税の申告遅延に対するペナルティや予定納税の不足額に対するペナルティは控除できるのか。 税金もペナルティも財布からお金が消えるが、その目的には重要な違いがある。 税金は政府への義務的な財政負担だ。道路、学校、社会福祉プログラムなどの公共サービスの資金として使用される。支払う税額は収入、財産等に基づいて決まる。 ペナルティは、ルールを破ったり義務を果たせなかった場合の罰則だ。これは、ルール違反を抑制し、順守を促すことを目的とする。ペナルティはルールを守れば回避できる。 どちらもお金がかかるが、税金は公共サービスの資金となり、ペナルティは行動を守らせることを目的とする。 連邦税または州税の申告遅延や予定納税の不足額に対するペナルティは、税金に関するペナルティなのでどうだろうと考えるかもしれない。 しかし、話を分かりやすく置き換えると、駐車違反やスピード違反をしてペナルティをもらった場合、これを控除としてSchedule CやSchedule Aで使うことができるのかとなる。 一般論として駐車違反やスピード違反が、申告を行う時に必要な合理的控除と言うのはどう考えてもあり得ない。どんどん駐車違反やスピード違反をしてペナルティを受けると、その分を納付した税金とできるなら、それにより結果的に税金の金額が小さくなる。節税のためにどんどん駐車違反やスピード違反をすればよいとなると、どう考えてもまともではない。 これは極端な話かもしれないが、ペナルティは税控除の対象にはならない。申告の遅延や納税額不足を抑制し、納税者が規則に従うようにするために、この控除を認めてはいない。

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2024.07.14
その他

もしかして

アメリカの市民権をベースとする課税とForm 2555はブレーキを踏みながらアクセルを踏んでいるように思える。市民権課税ではアメリカの市民であれば、全世界の所得をアメリカに申告することになる。一方で、外国で働いて得た所得は一定の条件下で所得から除外してくれる。この金額の上限は2023年で$120,000、2024年で$126,500ある。住宅費を加算するともっと大きくなる。 歴史的に見れば独立戦争時でも、外にいる人にも応分の負担を求めていた。独立戦争で命を失いたくない人たちは、現在のカナダに逃れたという。銃を持って戦わないならせめてお金を出してもらいたいという事だったようだ。 一方でForm 2555はいつからあるのかと見ると、1958年のForm 1040の説明書に出てくる。1958年に始まる年に、総所得は米国以外の源泉から得た所得も計算するとある。つまりアメリカ国外源泉の所得も、全部入れるように言い、除外すべきと信ずる外国源泉所得はForm 2555で申告をするように言っている。 1958年以前は、米国外源泉の所得は総所得から除外されていた可能性があった。しかし、1958年以降、この除外はなくなり、総所得は米国外の源泉から得た所得を含めて計算すると明記した。 1958年は考えてみれば、第二次世界大戦の終結から10年以上たち世の中が落ち着いてきた時期だろう。極端な言い方かもしれないが、第二次世界大戦で戦場で戦っている人に戦場から申告書を提出してと言えたか。自分の命を国に捧げて、闘っている人が、戦場で申告書と向かい合うとはとても思えない。原則はそれでも申告書の提出義務があったが、現実論はなかなかそうもいかなかっただろう。1958年時点では第二次世界大戦の終結から10年以上たち、世の中が落ち着いて市民権課税の原則を貫く環境ができたという事か。 しかし、一気に外国所得をアメリカ課税としてしまう事も難しかったのだろう。1958年Form 1040はForm 2555で現実的な救済としたものと思える。除外できる限度額は$20,000だった。今から見れば$20,000は小さいように思えるも、消費者物価指数を考えると現在の20万ドル近い金額だったようで、かなりの金額だ。 このForm 2555は海外で働く人には利益をもたらすが、米国内で働く人には利益を提供しないため、納税者の間に不公平を生み出すと主張する人もいる。もしかしてあの人が何かの声を上げたらその影響は計り知れない。

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2024.07.07
その他

市民権課税

アメリカの市民権やグリーンカードを取得する時に一体、アメリカの税金をどれだけ考えて取得しているか多くの場合は疑問を持つ。極論すれば税務の事にはほとんど関心がないのではないかと思える。 もっと極端なケースはアメリカで出生したことでアメリカ市民となっている人だろう。自分が生まれてきた場所がアメリカだったということは、自ら選べるものではない。だが、その事実を持ってアメリカの税の世界に取り込まれる。それでも、出生から大人になるまでずっとアメリカで生活していれば、アメリカの税金に触れる事があり、それなりの認識も深まるはずだ。 しかしながら、アメリカで生まれたのだが、親がアメリカでの仕事が終わり、幼少時に日本に帰国してしまった。それ以来、アメリカには足を踏み入れたこともなく、自分がアメリカ市民であるという認識すら持っていない。 アメリカは税務上の責任について、何らかの教育や知識を与えてくれているのだろうか。例えば、交通信号は青信号では進み、赤信号では止まる。これは教育受けたから知ったのか、社会生活で知ったのかはわからない。アメリカにいれば申告や納税をすることは常識でしょうと言われるかもしれない。 しかしながら日本にずっと住んでいる人にはアメリカの税金と直接的な接点もない。そしてある日突然、アメリカの申告をしなければならない。申告をしていないことにペナルティがかかると知ったら、理不尽と思うに違いない。わかっていて申告をしていないことに申し開きはできないけど、全く知らないアメリカの申告・ペナルティと言われても困ってしまう。 状況はどうであれ、アメリカから見ればアメリカ市民の基本的な義務は申告・納税する事だから、申告をしなくてもいいですよとは言えない。知らない事を免罪符にすれば、アメリカに住んでいるアメリカ市民が申告をする事を知らないと言えば、申告・納税をしなくても良くなってしまうようなものだ。 外国に住んでいる人間は、全体から見れば少数の例外であり、例外を基準にして全体を変えるわけにもいかない。もちろん、血も涙もないわけではなく、個々の事情により救ってあげましょうという道があることは確かだ。 そうすると、出口としてはアメリカの市民権を放棄するということになってもおかしくはない。ただその場合でも、出国税が待ち受けており少なくとも過去5年の申告の実績、未払いの税金がないということを確認される。 アメリカの市民権を放棄しないのであれば、アメリカの税金の申告を行い、未払いの税金を納付し、当年度からはしっかりアメリカに申告を行わなければいけない。 若い世代ならば、今からアメリカに渡りアメリカ市民として自分の道を切り開く事も考えるかもしれない。然し50才、60才になって今からアメリカに渡り未知の世界を切り開くというのも容易ではないはずだ。 アメリカの市民権課税と言う仕組みはつくづく面倒なものだと思う。

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2024.06.30
その他

3番目の条件に注意

フォーム 8854 でExit taxの潜在的な対象となる人の基準が3 つある。次の3つの要件のいずれかに触れてしまう場合だ。 1.出国日の純資産が200 万ドル以上の場合2.出国前の5年間の年平均税額が、2024年では19万ドル以上の場合3.Form 8854において、出国前の5年間にわたり、すべての米国連邦税申告義務を遵守していると証明できない場合 このうちの1番目と2番目の基準については判断が容易だろう。純財産が200万ドルは$1=150円なら3億円だ。これ以下の財産なら対象とならない。税額の19万ドルは税額で、そこから外国税額控除などを引いた後の納付額ではない。しかしこれもわかりやすい。 3番目の5年間すべての納税義務の遵守で引っかかりが出る。証拠書類として過去5年間の申告書を手元に置いておく。 申告すべき年があるのに申告をしていなかったら、今から申告をせざるを得ない。もしも所得のない年やごく少ない年があり、申告要件を満たさないので申告をしていなかったら申告書はない。その事実を説明せざるを得ない。仮にIRSともめていて、ペナルテイや金利をきちんと払っていなかったら、それをきれいにする。 申告の内容に誤りや脱落があった場合、修正申告を行う。 しかし、仮に利子の額を$3としていたが$5で$2あわなかった。このレベルだと修正しても税額に跳ね返ることはない。でも配当の$1,000を落としていたら税額が出てしまう。IRSが調べて違うと言い始めたら抗弁できない。そのリスクをなくするには修正申告する。 適正に申告を行い払うべき税金を払っていることが肝要だ。 適正ではないかも知れないが払うべき税金を払っている。取るべき控除を取らずに$100余計に税金を払っている。この場合はどうなるのか。 ここで思い出すのは最近、ニュースで取り上げられた自動車の認証試験の例だ。後方からの衝突試験で、1100キロより重い1800キロの物体を衝突させて安全性の確認をしていた。過剰な条件が許容されるのか、されないのかはわからない。 取るべき控除をとらずに、よけいな税金を払っていた。適正な申告で無かった、だからExit taxの対象だというのか。そうはならないだろう思うが、はっきりしたことは何とも言えない。 いずれにしても3番目の条件がやっかいだ。

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2024.06.23
情報申告

FBAR の修正

Form 1040に修正申告があるように情報申告のFBARにも修正申告があるのだろうか。金額に大きな脱落があったり、申告する口座の漏れがある場合には修正を行う。 しかし次のような場合は微妙だ。 FBARの報告は、IRSは年末日のレートを使うように言っている。 残高の最高金額(ドルベース)を算出するために日本円で最高金額を拾い、さらにその日の為替レートをかけると必ずしもドルでは最大値にならないこともあり得る。円安だとドル金額が小さくなり、円高だとドル金額は大きくなる。 それゆえに日々の為替レートをチェックしてさらに日本円での残高の動きもチェックすると、とても時間がかかりすぎて実際はやってられない。でも仮にこうやってドル金額を算出したとする。 あるいは年末レートの代わりにIRSの平均レートを使って最高残高を算出したとする。 こうしたケースはどうなのか。適正ではないから修正をしなくてはいけないのだろうか。 もとの計算値と年末のレートを使った場合の差が、それゆえに報告を必要とする$10,000を超すのか、あるいはそれ以下になるのか。 $10,000を越すのに申告以下だと思って申告をしていないとすれば、申告をしなくてはならない。 しかし、もともと申告レベルを超えていて申告をしていた場合、修正しても数値は違うかも知れないが既に申告はしている。数字の精度は高くなくとも大きな差でなければそのままと判断することもあろう。 どうしても修正したい場合は、もともと提出したのと同じファームを使う(修正用フォームはない)ことになる。FinCEN Form 114の2ページ目の一番上の所にAmendのボックスにチェックをして、最初に申告をした時に付与されているBSA ID 番号をその右側のボックスに記入する。その上で修正版のFBARを申告する。

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2024.06.16
その他

申告データの保存

2024年6月17日は日本からの申告期限だ。期限までに申告できない場合は、申告期限を10月15日まで延長するために、Form 4868を6月17日のうちに提出する。 やっとここで終わった場合、申告のデータはどれくらいの期間、保存しておくべきだろうか。答えは個々の状況によって変わるのだが、一般的なガイドラインは3年だ。 IRS は、最初の申告書を提出した日から少なくとも3 年間、または税金を支払った日から 2 年間、どちらか遅い方の期間、データを保管することを推奨している。この期間は IRSが提出した申告書を調査することがある期間だ。 保存期間を長くするケースもある。当然のことながら、特定の年度に関して IRSの調査を受けていたり、IRS とのやり取りが続いている場合は、問題が解決するまではそのデータを保存しておく。 不正な申告や申告書をまったく提出しなかった場合、IRS は最大 10 年間の調査を行うことがある。めったにあるわけではないが、10年前のデータを問題にされる事はないとは言えない。 個別のケースで異なってしまうのだが、一般的には次のように考えて良いだろう。 期限内に提出し、特に問題はない場合:3 年間保存。IRSと未解決の問題がある場合:7 年間保存。不正な申告や全く申告していなかった場合:10 年間保存。 不動産の購入や譲渡の場合とかは、10年を超えて期限を定めずにデータを保存しておくべきだろう。 あっという間に時間が経過し、申告が記憶から落ちてしまうこともある。データは申告が終わった時に整理しておきたい。一部の文書は物理的なコピーが必要な場合があるが、書類をスキャンして電子的に保存すれば、物理的なスペースを節約でき記録にアクセスしやすくなる。

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2024.06.09
その他

申告書提出後のファイリングステータス変更

申告書を提出した後は、申告ステータスを夫婦合算申告 (MFJ) から夫婦別々申告 (MFS) に変更することはできない。これは、IRS が、申告書を提出した後は MFJ の選択は取り消し不可能であるとみなすためだ。一方で夫婦個別申告 (MFS) から夫婦合算申告 (MFJ) に変更することはできる。 MFS から MFJ への変更を許可する理由 申告の簡素化と奨励: IRSは、一般的に税務手続きが簡素化され、標準控除を大きくとったり税制上の優遇措置が得られる可能性があるため、夫婦が一緒に申告することを奨励している。MFSからMFJへの変更を認めることは、この目的に沿っている。 エラーと管理上の負担の削減:合算申告だと納税申告書の管理が簡素化され、エラーが少なくなる可能性がある。MFSからMFJへの変更を認めることで、勘違いや計算ミスを引き下げることが期待できる。 MFJ から MFS への変更を禁止する理由 租税回避の可能性:MFJからMFSへの変更を認めると、夫婦が共同で負っている税金の支払い義務を除外してしまう。連帯保証人から相手を外してしまう結果になりかねない。 税務申告の一貫性: 夫婦が一緒に申告すると決めたら、その後で別々に申告することを認めないことで、税務申告の一貫性と公平性が保たれる。後から申告方法を変えて税負担を不当に軽くすることを防ぐ。 事務の煩雑さ:MFJからMFSへの変更を認めると、合算申告で計算された税額や還付金を再配分する必要があるため、納税者とIRSの双方に大きな事務負担が生ずる。 MFJからMFSへの変更を禁止することは、税金の納付の責任を相手に押し付けることを防止して、不必要な管理上の複雑さを避けようという事と思える。

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2024.06.02
その他

発信主義です

日本からの申告書の提出は2024年6月17日期限だ。申告書の提出は発信主義を取り、期限内に郵送されれば、期限内に提出されたことになる。つまり、期限内の消印が押されていれば、期限内の提出とみなされる。 順調にいけば良いが、申告書を期限内に提出したものが申告書にエラーがあると受理されず戻ってきてしまうことがある。再提出する時は既に申告期限を越えてしまっている。これは期限後申告になってしまうのだろうか。 例えば、誤った社会保障番号を記入した申告書を6月17日までに提出した。ところがその社会保障の番号の申告書が既に提出されていると返却されてしまった。その後すみやかに再提出する場合は、通常は期限内と見なされる。と言うのは、IRSは誤りがあった申告書の再提出に対して一般的に30日とか60日の猶予を与えるからだ。 迅速に対応しIRSの指示に従い、すみやかに申告書を再提出すれば、ペナルティは課されることはないと期待できる。 こうした経緯をきちんと説明できるように、もともとの申告書が期限内に提出されていたことを示す証拠(例えば、郵送の消印などの確認できるもの)が重要だ。また、訂正後の申告書を再提出した際の証拠も保管しておく。 海外からの郵便等の遅延により遅れて届いた場合は、IRSは郵便事情を考慮に入れる。2020年や2021年にはコロナウイルスのために、国際的な物流が大幅に滞り、IRSは申告期限そのものを延長してくれた。 さて、6月17日まであと2週間しかない。どうしてもこの期限に間に合わない場合は、延長申請を行い10月15日の申告期限まで延ばすしかない。Form 4868を6月17日以前に提出し、予測される税額を支払ことになる。

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2024.05.26
所得税

注意が必要です

先日、新聞に社宅としてマンション借りて家賃を払っていたら、マンションのオーナーが外国人だったので、源泉課税を行っていなかったために追徴課税が発生したという記事があった。マンションを借りて、さらに税金が発生したという日本国内の話だ。所得税法では非居住者から日本国内の不動産を借りて賃料を支払う場合、その金額の20.42%を非居住者の所得税分として借主が源泉徴収し納税しなければならなかった。言われるとなるほどと思うも、法人だったわけで、自然人の場合はどうなるのかとわかりやすくはない。アメリカの場合では、外国人(自然人・法人)が所有するアメリカの不動産を譲渡した場合、源泉課税が発生する。1980 年に制定されたFIRPTA(外国不動産投資税法)がある。外国人投資家が米国の不動産(土地、家屋など)を売却する場合、通常、譲渡益に対してキャピタルゲイン課税が発生する。仮に日本人がアメリカの不動産を30万ドル以上で譲渡すると、譲渡契約の履行時に売却価格の15%が源泉課税されてしまう。売主がキャピタルゲインの税金を支払うことを確実にするために、FIRPTA では、不動産の買主が譲渡価格の 15% を源泉徴収し、 IRS に納めることを義務付けている。これは、売主の税金の支払いの保証金のような役割を果たす。多くの場合は譲渡益の20%課税(1年以上保有)になるので、売却価格の15%は税金の払いすぎになる。そのため譲渡した年の申告を行い、過大支払い分を返してもらうことになる。日本人が当事者であっても、譲渡者がアメリカ市民・グリーンカードホルダー等ならばこの源泉徴収義務は除外される。万が一、米国の不動産を日本人の間で売買し、譲渡した人が15%の源泉税を払わず、購入した人が源泉徴収義務者なのに源泉徴収していないとなると面倒なことになりかねない。しかし、この不動産が外国に存在する場合、FIRPTAからは除外されている。日本に居住するアメリカの不動産のオーナーがアメリカの不動産を賃貸しても、テナントが賃料の源泉徴収を行うことはなく、オーナーは自らアメリカの税務申告を行うことになる。

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