引越をした時には、現時点での住所を使う。アメリカから日本に帰国していても、以前に住んでいたアメリカの住所で申告をすることは適正ではない。現時点の住所なので、1年のうちで旧住所と新住所が混在していれば新住所を使って申告する。 昨年申告をした申告書に間違いがあり修正申告を行う。その住所は旧住所で、既に住んでいない。そのままの住所を使うか、一瞬、迷うかも知れないが、この場合も新住所を使う。 なぜなら、IRSが還付小切手を送っても、旧住所ならば自分の手元に還付小切手が届かない。さらに、追加納税を請求された時に、その通知が自分の手元に届かない。後日、それを知った場合、延滞金や金利が上乗せされて税額が雪だるまになることもあり得る。 こうした事態を防ぐためにも、住所が変更となった場合は、IRSや州に対して住所変更通知を出しておく。 書面で通知しても構わない。書面には少なくとも次の項目を記載する。 自分のフルネーム 社会保障番号または納税者番号 旧住所と新住所 署名 IRSの事務所に直接行って変更することでもよい。 さらに自分が勤務する会社や郵便局にも通知する。 USPS Official Change of Address Form
アメリカ市民やアメリカ居住者の子供は、一般論として、扶養控除の中に入れることができる。片方の親が非居住者であっても、片方がアメリカ市民ならば、子供は外国で生まれたとしてもアメリカ市民だ。 扶養控除を取る場合は、自分だけがその子供を扶養対象にしていなければならない。すでに誰かが扶養の対象にしていたら、二重に控除を取ることはできない。年令が19才以下(フルタイムの学生の場合24才以下)という条件もある。さらに、子供が自分で所得を得て、自活していた場合は対象にならない。 こうした条件がすべて満たされていても、居住条件がついていて、少なくとも親と半年以上、一緒に住んでいることが要件となる。 この場合、子供が学校で学ぶために、親元を離れて半年以上、親とは一緒にいることはできないことがある。すると、扶養の条件に合わなくなってしまうのだろうか。 この場合は、一時的な不在として、本来は親と一緒に暮らしているものとして認めてくれる。同じような考え方は、病院に入院して親元にいられない場合でも適用される。
アメリカは市民権をベースとして属人課税を行う。市民権課税は、世界中でもアメリカとアフリカの国の2カ国だけだという。世界中の国は居住をもとに属地課税を行う。 税制の歴史を紐解いてみると、市民権課税の起源は1861年に始まった南北戦争に遡る。日本で言えば江戸時代の末期から始まったことになる。 1861年に始まった南北戦争でリンカーン大統領の連邦政府は戦費調達のために戦時国債を発行する。しかしながら十分な資金は集まらなかった。その解決のため、1861年法が制定され、アメリカ市民に初めて近代的な所得税が導入された。1861年税法では年間所得$800以上では3%の税率だった。 しかしながら、戦争は長期化し、さらに資金が必要になる。そこで、1862年税法を通過させ、税金を徴収する機関としてthe Bureau of Internal Revenueを創設し、日用品に物品税を課し、年間所得$600以上では3%、$10,000以上では5%の税額を課した。この5%の税金はアメリカ国外に住むアメリカ市民のアメリカ源泉所得にも適用された。 当初、北軍の戦意は高くなく、何とか徴兵から逃げ出そうという人が多くいたらしい。それを防止するために、税率を高く設定し兵役から逃げることを抑止する狙いだった。血を流すことを逃れる人には、余計に税金を払わせるという懲罰的なものとも言われる。 南北戦争が市民権課税やIRSを生み出し、個人の所得税も導入している。そのルーツが今日まで続いている。
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