Tsuchida & Associates日米にわたる国際税務

Tsuchida & Associateshaは日米に渡る国際税務に関する問題を解決いたします。
2020.09.20
遺産税・贈与税

これはいかがなものか

アメリカの市民権やグリーンカードを持つ人が相続で財産をもらう。アメリカは贈与・相続を受けた場合に、財産を受け取った人は課税を受けない。何もしなくてもいいというわけではなく、外国人からの贈与・相続であれば、その財産額が10万ドル以上だと Form 3520で報告義務が生ずる。 相続でForm 3520を提出したら、IRSから相続人が相続財産に対する最高40%の税金を払うように言われる。そんなことはあり得ないはずだ。なぜなら相続人は遺産税を払わないからだ。 ところが、亡くなった方がアメリカの市民権やグリーンカードを放棄した人だった。この場合には、日本の相続と同じように、相続人が税金を払う可能性が残る。 但し、被相続人が出国税でCovered expatriateに該当する場合だ。該当する要件は3つある。 ①納税額基準 過去5年の平均納税額が2019年の場合だと$168,000以上 ②財産額基準 市民権・グリーンカード放棄時に純資産$200万以上の人 ③適正申告基準 過去5年の申告納税義務をきちんと果たしていない人 Covered expatriateではないということを証明すればいいではないか。 しかし、故人が市民権を放棄したのは30年前だったとする。適正に申告をしていたという証拠をどうやって提出し、該当しないと証明するのか。30年前に財産が$200万以下と説明するのも容易ではない。 IRSに30年以上も前の申告書を第三者が求めてもどこまで開示してもらえるかわからない。証明するのは至難の業で、IRSの言うように40%の税金を払うのか。これはあまりにも乱暴な話だ。 IRSもやたらと刀を抜いて振り回すことをしないとは思う。しかしいざという時には、市民権・グリーンカードを放棄した人からの相続や贈与は、面倒な話になることもあり得る。頭の片隅にでも置いた方が良いだろう。

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2020.09.13
情報申告

意図的な行為

Schedule BはPart 1からPart 3まである。Part 1は利子所得、Part 2は配当所得だ。それぞれ$1,500以上の場合は、Part 3を記入するように求めている。今の時代に利子が$1,500もないし、株も持っていないから配当もない。Part 3には縁がないと考えるととんでもないことになる恐れがある。Part 3は外国に口座があれば記載しなければならない。 IRSは税務調査マニュアルで次のように言う。 Schedule Bには説明書があり、外国金融口座の申告義務を説明している。これを読めば極めて容易に申告しなければならないことがわかる。外国に金融口座を持つ人は申告書の説明に書かれている情報を読むべきである。 この情報や関連情報に適合して行動しなければ意図的な無視の証拠となり得る。申告要件を失念し、口座や残高を隠そうと努力することは意図的に申告義務を無視したと結論付けられる。 一方で、Schedule Bで間違えて違うボックスにチェックを入れたり、どこにもチェックを入れなかったりしたことだけでは、意図的に無視したことにはならない。 外国の金融口座を行わないペナルティには二つある。Wilful Conduct(意図的な行為)とNon Wilful Conduct(意図的でない行為)の二つに対するものだ。つまり、申告義務があることを知りながら、踏み倒して申告をしないのが前者で、それ以外の悪意はないものが後者と考えられる。 これによってペナルティの重さが異なる。Wilful Conductは申告漏れの対象財産の上限50%か$100,000の大きい方であり、場合によって刑事罰もある。Non Wilful Conductは上限$10,000だ。 こうしたペナルティが機械的に適用されると言うつもりはない。しかし十分に注意をして慎重に動くべきだろう。

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2020.09.06
遺産税・贈与税

民主党のバイデン候補が勝ったら

増税に潮目が変わりそうだ。日常生活の身の回りで何が影響するのだろうか。 バイデン候補が勝つと、個人所得税の最高税率が40万ドルを越すと37%から39.6%となり、100万ドルを超えるキャピタルゲインの税率が20%から39.6%となると言われる。 所得税だけではなく遺産税・贈与税の影響も出る。現状では約12億円/人(夫婦だと約24億円)の基礎控除が取れるが、2010年レベルの基礎控除が約6億円(上乗せはあるかも知れない)に戻る。 この中に、ステップアップの廃止もあるというのだが、この影響は大きい。ステップアップは財産の取得コストを、故人の死亡した日の市場価格に持ち上げてくれるものだ。 例えば親が30万ドルで不動産を購入し、亡くなった時の市場価格が100万ドルとする。相続した人が、右左に100万ドルで譲渡すると取得コストが100万ドルに塗り替えられているために、譲渡益がゼロで税金は発生しない。これをやめてしまおうというものだ。結果、取得コストは30万ドルのままなので、譲渡益が70万ドルに税額が発生する。 問題は、代々受け継いできた財産で、取得コストがわからないケースだ。日本はいよいよになれば5%を取得コストとみなす。ところが、アメリカの場合は、きちんとした資料を提示しない限りは取得コストをゼロとする。いくら何でも取得コストゼロで財産を取得することはあるまい。しかし親や祖父母の時代の資料が手元にあるのか。そうなると、譲渡額の100%が課税対象となることもあり得る。富裕な層にとってはきちんと管理がなされて資料が残っているかも知れない。ところがそうしたデータが残っていないと、むしろ所得の低い人が影響を受けてしまうかも知れない。 今のステップアップだと通常では相続時にアメリカの税金は発生しない。残された相続人の生活が守られ、相続人が財産を譲渡した時に初めて税金が発生する。財産を譲渡した時のお金が手元にあるので、そこから税金を払うことができる。それが相続時点で納税が起き、更に譲渡時点で税金が発生する事もあり得る。それでも日本の相続ではステップアップしないので、日本人には違和感がないかも知れない。

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2020.08.30
その他

そんなことはありません

アメリカの市民権を放棄する人が2020年に激増している。最初の6か月で約5,800人と言う。昨年同期は444人だから、昨年比10倍以上でいかに多いかがわかる。 アメリカは市民権をベースに課税をしている国で、世界にはほぼ例がない。外国に住んでいても、アメリカ市民であればアメリカに申告をしなくてはならない。この課税は、建国以来のことで、この理由で市民権放棄が激増したとは考えにくい。 コロナウイルの影響でアメリカに入国したくてもままならず、いっそのことアメリカ市民権を放棄して、アメリカの税務から自由になりたいという人が増加していると言う事だろうか。政治的な理由が原因となっているのかも知れない。 市民権やグリーンカードを放棄しようという方から聞かれる心配事がある。 1.アメリカの市民権(又はグリーンカード)を放棄すると財産の半分を税金として取られてしまうのではないか。 2.アメリカの年金が年金をもらえなくなるのではないか。 3.アメリカにある金融口座がアメリカに召し上げられるのではないか。 4.アメリカに二度と足を踏み入れることができなくなるのではないか。 どうしてこういうことが言われるのか不思議だが、通常、適正に税務を処理している限りそんな乱暴なことはない。 一方で市民権やグリーンカードを放棄することにより、きっぱりとアメリカの税務から縁を切るとならないことも確かだ。過去から引きずっている税金があれば、きれいに精算しなければならない。 放棄した年まではアメリカの申告義務がある。その次の年からは、アメリカの申告をしなくていいかも知れない。アメリカ源泉所得があれば将来的にアメリカに申告をする可能性がある。またアメリカの遺産税や贈与税もアメリカに財産が残っていれば考えることになる。

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2020.08.23
遺産税・贈与税

そうはうまくいきません

米国人は居住している場所とは無関係に全世界所得課税を受ける。日本に住んでいる米国人も米国に申告をする。米国では夫婦合算申告をすることが多い。そこで米国人の配偶者と日本人の配偶者でも夫婦合算申告を自然に考える。そのためには最初にその宣言を行い、IRSに認められることが必要な例外措置だ。 本来、日本人の配偶者は非居住外国人なので、米国源泉の所得がない限り米国に申告することはない。それをわざわざ米国居住者扱いをして、日本の所得まで米国の課税所得に入れる。2019年ベースでは標準控除の$12,200を利用できる。そこだけに限るとメリットがある。しかしながら、それが最良かどうかは別問題だ。 さて話は米国の遺産税となる。米国市民の夫婦間の相続では、税金がかからずに無制限に財産を相続できる。米国だけではなく、世界中でも同じ扱いなので、日本に住んでいる米国人の夫婦でも米国の遺産税では同じだ。日本の相続税は別の話だ。 米国遺産税では、米国人の配偶者と日本人の配偶者のケースでも同じと思うかも知れない。なぜなら米国に所得税の申告をする時に、日本人の配偶者を米国居住者として夫婦合算申告を行っているからだ。 日本人配偶者を米国居住者として所得税を申告を行い、これで相続対策ができたというわけにはいかない。いかに所得税では認めても贈与や相続では一線を画している。所得税での宣言が米国遺産税に及ぶことはない。

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2020.08.16
所得税

Form 2555は宣言です

Form 2555は外国に住んでいるアメリカ人やアメリカの税務上の居住者にとっては大変ありがたいものだ。外国で働いて得る所得を、2019年では$105,900控除でき、毎年少しずつインフレ調整で控除額が大きくなる。 最初にForm 2555を使う場合どうするか。基本的な条件を満たしているのであれば、通常の申告でForm 2555をForm 1040に添付すればよい。以降、毎年Form 2555を使いますという宣言書のようなものだ。 申告を行うべき人が、申告を失念していたとする。そして過去に遡って申告を行う場合、このForm 2555を使えるのだろうか。これがあるのとないのでは大きな違いが出る。 申告書が提出されていないわけだから、その年に対してForm 2555を使うという宣言がなされていない。だから使えないというのか、今から過去に遡って宣言をするのだから使えるというのは大きな分かれ道だ。 Form 2555を入れて税額が発生しないならばForm 2555を使うことができる。Form 2555を入れて税金が発生する場合であっても、自ら進んで申告をしようとする場合は使える。ただし、IRSから無申告の指摘を受けて、申告に応ずる場合は、IRSに対して申し立てをして認めてもらう。 Form 2555の提出は、以降、毎年Form 2555を使いますと言っても、後年、これを取り消したい時も出て来よう。どうやって取り消すかだ。Form 2555を使わずに外国税額控除のForm 1116だけにするとか、Schedule Aで控除を取るとForm 2555は使えなくなる。 もしもForm 2555を無効として、気が変わってまたForm 2555を使いたい場合もあろう。基本は5年間復活できない。5年以内にもう一度復活させたいなら、IRSにお伺いを立てIRSの裁定を待つことになる。

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