イーロン・マスクがTwitterを買収し、週40時間はオフィスで勤務することを指示したとニュースになっている。逆に言えばすっかり自宅勤務が定着している。何より通勤時間がなく、人ごみに入ってコロナウイルスに罹患することを心配しなくて良い。また自分で時間をうまく使い生産性も上がるとありがたい限りだ。 さてリモートで働く場合、仕事を行うために費用が発生する。この費用は税務上、控除対象になるのだろうか。当然のこととして、仕事に付随して合理的に発生する次のような費用は控除できる。 コンピュータ、周辺機器、ソフト、消耗品等 部屋代、机、椅子、サイドテーブルなど 電気代、水道、ガス、通信費、電話、オンライン会議費用 修繕費、メンテナンス費用 車両の燃料代と修理サービス費用 交通費、郵便料金、宅配便等 但し、私的な費用とビジネスをきちんと分けて、私的目的に発生した分は差し引かなければならない。自営業の人には当然のことだし、経費の対極には売り上げがある。 問題は給与をもらって働いている人が、こうした費用を税務上控除できるかだ。控除できるなら、リモートワークはとても魅力的に見える。 しかし、会社に雇用されている人が自宅で働いていても、自宅で発生する費用を差し引くことはできない。州税においては何らかのローカル・ルールがあるかも知れないが、連邦税においては可能性はない。 この場合は、会社に対して発生した費用を請求し、会社から発生した費用を肩代わりしてもらうしかないだろう。会社が発生した費用を支払ってくれた場合、その分を所得に加算して課税を受けることはない。
アメリカに長年住んで株等のキャピタル資産を持っている人が、それを譲渡して譲渡益が発生すればアメリカの課税対象となり、アメリカに納税する。連邦税で20%課税だと1億円の譲渡益があれば連邦税だけでも2,000万円の税金が発生する。 しかし、資産を譲渡しないままアメリカの非居住者になると、アメリカの譲渡益課税の対象から抜け落ちてしまう。 だから、これはありがたい節税策とばかりに市民権やグリーンカードを放棄する。IRSはこうした経済的な利益のために、アメリカ市民・グリーンカードを放棄するのはいかがなものかと考える。そこでExit Taxを持ち出して出国にあたり、まだ資産を譲渡していない場合でも、あたかも譲渡をしたものとして譲渡益に課税を行う。 アメリカに長年住んで働いている間に資産の値上がりを享受している。アメリカでの生活、過ごした時間なしには財産が膨らむことはなかった。それを考えれば、アメリカに税金を払いなさいと言う事だろう。そこで、市民権やグリーンカードを放棄した人はForm 8854(出国税)の提出を求められる。 但し、グリーンカードを持っている人では、過去15年において8年以上グリーンカードを持っていたのかどうかという条件がつく。8年以上の場合はForm 8854を提出する。ところが8年未満の場合は提出をすることがない。 ではEビザで10年とか20年アメリカに住んでいる人はどうだろう。その間に資産の値上がりを享受している。しかし、移民ビザではない。もともと移民ではないのでExit Taxの対象ではなく、Form 8854を提出しない。 移民ではない事が大きな分水嶺になっている。アメリカ市民やアメリカ市民とほぼ等しいグリーンカードを持っている人たちの、税務上の責任は重く、納税の義務を果たして国家に貢献しなさいということか。
電子申告を送って申告書がIRSや州に受理されたかどうかはすぐわかる。まれにだが、電子申告がIRSや州から拒絶されることが起きる。代表的な理由は社会保障番号を間違えている事だ。 社会保障番号の間違いは、数字の倒置などの入力ミスによるものだとすぐに修正が効く。しかし、いくら見ても正しく入力されているのに、その社会保障番号で既に申告がされてしまっている場合は面倒だ。 これは自分のミスではない。他の誰かが納税申告書に他人の社会保障番号を入力してしまっている。IRSのチェックを潜り抜けて、申告書は受け入れられている。夫婦間でそれぞれ別に申告書を提出して、子供を二重に扶養に入れたとかならまだわかる。 しかし、どう見てもそう思えない事がある。社会保障番号だけなら、入力の間違いはかなりの確率であるだろう。しかし、名前までとなると簡単ではない。日本人の名前のスペリングは、英語圏の人には必ずしも容易ではない。名前と社会保障番号まで完全一致となると、相当慎重に入力しないといけない。指が滑ったくらいでは日本人の姓名を間違えて第三者の米人が入力してしまったとは考えにくい。 どこかで個人情報を盗まれているなら大変だ。大人はそれなりに、注意も働くけど、子供の場合、そうした注意が働くかどうか心もとない。子供の情報が盗まれて誰かの扶養家族にされて、給付金や税額控除を取られていたら困ってしまう。 とりあえず、にっちもさっちもいかない場合は、紙の申告書を提出する。さらに、明らかに社会保障番号の不正使用があった場合は、Form 14039を一緒に提出して報告する。 翌年、また同じことが発生するならたまったものではない。そこでIRS から IP-PIN を取得して二重認証にする。これは1年しか有効ではないので毎年、取得することになる。2023年1月中旬にはIP-PIN をオンラインで申込みできるので、早めに動くのが良いだろう。
日本で個人用のPayPalアカウントを持っていたら、FBAR および Form 8938 で報告する必要があるのだろうか。 もちろんこれはUS Personを対象としての話だ。US Personとは米国市民、米国居住者、米国法により設立された会社、パートナーシップ、有限責任会社、信託および遺産財団を言う。 PayPalは銀行と同等の金融機関というよりか、海外送金・決済の手段と思える。それならばFBARやForm 8938で申告をしなくて良いように思える。 しかし、送金を受けて出金されないと、PayPalにはそのまま残高が残る。これに対して、PayPalは送金に利用しない残高はすみやかに引き出すよう求めている。2021年12月から、PayPalは、対象となる人の資金をPayPal残高から銀行口座に自動的に引き出すことができると言う。 自動的に引き出されるのであれば、月末時点では送金に用いない余剰資金の残高は残らず、銀行口座に資金は移動する。PayPalには残高は残っていない。その資金は銀行口座の残高として報告が行われる。 送金用で残っている分で銀行口座に移動しないものは、PayPalで報告しないと落ちてしまう。 はっきりしない場合、PayPalの残高をすべて報告して特段の不都合はない。口座の動きを報告したと割り切れば、二重の報告でも、そのまま申告するのが安全運転と思える。
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