仮想通貨はキャピタル資産として譲渡益の課税を受ける。一方、FBARの報告ではどうなるか不透明だ。この点について、FinCENの2020年1月22日付けレターが一定の見解を出している。 現状で、FBAR規則は海外口座にある仮想通貨は報告する口座と定義していない。このため、現時点では海外口座にある仮想通貨はFBARで報告の対象ではない。 とりあえず、現段階では仮想通貨をFBARで申告しなくていいようだ。FinCENはFBARの報告規則をIRSに相談しているということで、この先、この判断は固定的なものではなく、ひっくり返るかも知れないと注意した方が良い。 一方でFATCAはどうなるのかという疑問は残ったままだ。 FBARはFin CENが管轄をしている。しかし、FinCENはFATCAを管轄せず、IRSが管轄する。実際、FBARとFATCAは情報がオーバーラップしている。それ故に同じように考えていいかどうかについては予断を許さない。 仮想通貨だから報告対象外と短絡するのも妥当ではない。仮想通貨が実際の通貨と交換されて報告要件を満たす金額ならば報告対象だ。
子供だからアメリカの申告をしなくても良いと言う事にはならない。課税対象の所得がある場合は、子供でも申告を要する。 課税される所得には働いて得られる所得と、それ以外の利子や配当の不労所得等がある。子供が税務上のアメリカ居住者の場合、2019年申告では次の金額要件を満たせば申告する。 不労所得が$1,100以上ある。 働いて得た所得が$12,200以上ある。 しかしながら子供の場合、自分で申告書を作成することができない。この場合は、子供の後見人が本人に代わって申告を行う。あるいは親が自分の所得の中に子供の所得を加算して申告を行う。 親が自分の所得に子供の所得を加算するのは容易かも知れないが、課税対象額が大きくなることにより、税額が大きくなることもあり得る。 金額要件に満たない場合、子供は申告を要さない。その場合でも、源泉課税を受けていれば、申告を行って源泉課税された分を還付することになる。
住所を書くことは簡単なはずだ。自分が住んでいる住所を申告書の住所の所に記入する。この住所にはIRSが連絡を取ったり、還付の小切手を送ったりするわけなので、きちんとした住所を書かなければいけない。 住所が違ったばかりに還付の小切手がどこかに行ってしまう。もらう物についてはまだしも、払うべき税金がある場合、IRSからの修正通知や督促が自分に届かない。自分が知らないでいるうちにも、時間がどんどん経過することによって税金の延滞税が雪だるまに増えて大変なことになる。 既に帰国しているのにアメリカの住所を書く。IRSの目からはアメリカの居住者がアメリカに住んで申告をしていると捉える。日本に住んでいると言っても、どこにも日本の住所がなければ知りようがない。 Foreign earned income exclusionでは外国で働いて得る所得に対する所得控除$105,900がある。外国に住所があって330日以上住んでいる条件が必要だ。また株式等の譲渡益については、アメリカ非居住者は課税を受けず、住んでいる国での課税となる。 アメリカの住所を記載して所得控除を取りたい、株式譲渡益の課税をしないでほしいといっても無理な話だ。
1月27日よりアメリカの申告書の受付が始まった。さっさと終わらせたいと思うのはよくわかる。しかし、申告のためのデータが手元にないと申告書を作成できない。 日本の源泉徴収票・アメリカのW-2、Form 1099、Form 1040-Sなど、そろそろデータが手元に届いているかも知れないが、3月にならないと手に入らないものもある。自営業の場合は、決算が終わっていることが必要だ。 日本にいれば、日本の確定申告の期限が3月15日なので、日本の申告が終わってからアメリカの申告という流れだろう。というのは、日本で課税を受けた税金をアメリカの申告で外国税額控除として使うためにも、日本の税額がわからないといけない。 幸いなことに、アメリカの申告期限は4月15日だ。日本からの申告だと2か月の自動延長があり、6月15日が申告期限だ。4月15日以降の延滞金がついても、税額にもよるが少額であることが多い。 夫婦合算で申告書を提出する場合、税金の支払い義務は自分にもある。IRSは夫が払おうが妻が払おうが構わない。もしも配偶者が税金を払わない場合、自分に支払いを求められる。申告書の内容を理解して、納得して申告書を提出するべきだ。 拙速になって、後から修正申告書を提出しなくてはいけないなら、落ち着いて1回の申告で終わらせる方が良いだろう。精神的な負担も少なく時間的にも早い。
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