2022年6月

2022.06.26
情報申告

どっちが正しいのだろう

6月24日アメリカの連邦最高裁判所は、「中絶は憲法で認められた女性の権利」だとした49年前の判断を覆した。日本でも6月20日、同性婚をめぐり、大阪地裁は札幌地裁と異なる判断を示した。 アメリカの税務の世界でも、こうした司法の判断が分かれる判決が2021年に出されている。FBARのペナルティについての判断なので、日本人には身近に及ぶ話だ。 即ち、FBARを忘れた、知らなかった等の原因で意図的にではなく申告をしていない場合、ペナルティはどう計算されるのか。 申告をしていなかった年ごとに対してペナルティは計算される。いや、申告をしていない口座ごとにペナルティは計算されるのかという問題だ。 前者で言えば2021年に申告漏れがあれば、上限$10,000となる。後者の場合、申告をしていない口座が3つあれば、$10,000×3口座=$30,000だし、5口座だと$50,000となってしまう。 裁判所により異なる判断が2021年になされている。 The Fifth Circuit Court of Appealsは口座ごとにペナルティはかけられる(United States v. Bittner)。 The Ninth Circuit Court of Appealsは申告をしていない年ごとにペナルティはかけられる(United States v. Boyd)。 これでは居住する州によってペナルティが違ってしまう事になる。United States v. Bittner ではTX州に住んでいたために、272万ドル(約3.5億円)のペナルティが、2007年から2011年の申告をされていない口座ごとに計算された。これがNV州だと5万ドル(約6.5百万円)と言う事になる。 これはどう考えても不都合で、いよいよ最高裁判所に持ち込まれて、おそらくあと1年後には結論が出ていると期待する。 FBARの申告は簡単ものだ。申告さえしていればこうした事態にはならない。しかし申告されていない場合でも、機械的にこうしたペナルティの対象になると言うわけではない。そうした金融口座で発生する所得をきちんと申告していれば、まずはそれほど心配はいらない。

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2022.06.19
所得税

結婚税と結婚ボーナス

2017年以前の話だ。夫婦合算で申告をするのと別々に申告をするのでは、どちらが税金が少なくなるのかという話があった。 共働きをしていて同じような所得ならば、所得を合算すると課税される所得額が大きくなる。所得税は累進課税を取る。所得が大きい人ほど、所得が小さい人に比べて税金が大きくなる。いわゆる結婚税だ。 これが嫌だとして離婚をする。別に配偶者が嫌いでも何でもなく夫婦は円満だ。そこで、毎年、クリスマスになると離婚をする。年が明けるとすぐ再婚する。婚姻のステータスは12月31日で決定される。そのため申告のステータスは二人とも独身となる。何日かだけの間だ。これを毎年繰り返すことで節税になると言うので、年末の離婚・年始の結婚を繰り返す。 これが合理的だと判断するかどうかは考え方によるが、社会通念上、これを道徳的にも認めるわけにはいかない。そこで、税法がそれを助長するのは避けようと言う事になり、婚姻は税金においてほぼ中立となるようにしている。 夫婦の所得が全く異なり、一方の配偶者に所得がない場合で考えると、所得のない配偶者は申告も要さず、税額も発生しない。ところが、夫婦合算での申告をすれば、二人の所得は合計で不変でも、標準控除(2021年ベースだと$12,550)が使えるために、この分課税所得が小さくなる。限界税率37%のケースなら$4,644(約50万円ほど)税金が少なくなる。結婚ボーナスとなっている。これは税法が結婚を後押ししてくれている。 夫婦合算申告が無条件に良いと言う事ではない。ケースごとに違うし、固有の事情がある場合は、慎重に判断する方が良い。

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2022.06.12
その他

発信主義なのですが

6月15日が日本から申告書を提出する期限だ。コロナウイルスの影響で書類の発送が過去2年ぐらい混乱している。さらに戦争が始まったためか、また物流に影響が出ている。 6月15日を直前に、今からアメリカに書類を送っても、一体いつ書類が到着すのかわからない。電子申告を行えばこうした懸念を避けることができる。 しかし、電子申告ができないケースがある。通常、紙の申告書の場合、提出期限までに消印が押された場合は、期限内の申告と見なしてくれる。提出主義なのでありがたい。但し、もともとは到着主義だった。後から提出主義が認められたと言う経緯がある。 それ故に、発信主義には条件がついている。 1.きちんとした切手が貼られて正しい住所にアメリカの郵便で出されている。 2.申告期限日までの消印がついている 3.アメリカの郵便で実際に配達されている。 米国郵政公社を通じて送られる申告書だけではなく、IRSの指定する私的なデリバリーサービスでも適用される。 IRSのサイトは言う。 デリバリーサービスではDHL・ FedEx・UPSが限定列挙されている。これを使えば認めると言うわけだ。 世界中から申告書がアメリカに送られるわけで、IRSが世界中のデリバリーサービスを知っていて、列挙できるだろうか。ここに書いているのは、アメリカを基準として書いているだけだろう。列挙されていない場合は、到着主義というのは、いかにも実態に合わない。

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2022.06.05
遺産税・贈与税

境目があやふや

他の人に対価を求めずにお金を与えることは贈与となる。お金ではなく、物、サービス、とか経済的な価値を持つものを与えても同じだ。 IRSは贈与とは次のように言う。 Any transfer to an individual, either directly or indirectly, where full consideration (measured in money or money's worth) is not received in return. これから見れば親がわが子を育てる事は贈与なのかと思うかも知れない。しかしこれはいかにもおかしい。 親が小さなわが子のために食べさせ、洋服を買い、学校に通わせ、医者に連れて行く。これは親として子供の養育義務を果たしているだけで、子供に贈与をしているとは言わないだろう。 しかし、いつしか子供も大学生になる。日本からアメリカの学校に通うこともある。学費や生活費を仕送りする。年間$30,000とかそれ以上、親が負担することもあるだろう。これは子供の扶養をしているのか、贈与に入るのか境目があやふやに思えるかもしれない。 教育費と言いながら、子供がそのお金で車を買ったり、投資の資金にしたりすると、目的外となり話が違ってくる。子供に全部渡して、贈与ではないかと言われると説明がめんどうだ。贈与と見なされないためには、子供にお金を渡すのではなく、親が直接、学校に振り込めばよい。 大学進学などで一人暮らしする子供への仕送りは、適切ならばアメリカの税金の心配しなくても良い。 アメリカの贈与税では教育費は控除されている。さらに年間非課税枠は2022年では$16,000ある。夫婦では2倍となり、$32,000を子供一人当たりに贈与しても、アメリカの贈与税の申告は不要だ。

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