バイデン大統領は8月24日、1人当たり10,000ドルの学生ローンの返済免除を発表している。 年収125,000ドル以下、夫婦の場合は250,000ドル以下の世帯に対し、10,000ドルの学生ローンの返済を免除する。 低所得の学生が受けるペル・グラントの受給者に対しては最大20,000ドルの免除を行う。2020年3月に施行した学生ローンの一時的な返済停止措置については、年末まで延長する。 これは学生ローンを抱えている人には間違いなく朗報だが、債務免除となることの課税関係が気になった。 基本的に債務免除益は課税所得となり課税を受ける。 たとえば、年間課税所得が 40,000 ドルの人が、10,000 ドルの債務を負っているのに、10,000ドルの返済を免除される。この場合、免除された10,000 ドルの負債が課税所得となり、合計が50,000 ドルになる。2021年の税率表で見ると、独身の場合はこれにより2,150ドル税金が増加する。 債務が免除された時には、 Form 1099-Cを発行され、免除された金額が課税所得として IRS および納税者に報告される。お金はとっくの昔に授業料で支払われているため、単純に税金が増えたと思ってしまうかも知れない。これだと債務免除のありがたみが薄れる。 今回の場合は、学生ローンの債務免除を非課税扱いとするというので、連邦税では心配することはない。しかしながら州税も考えなければいけない。連邦と州では必ずしも扱いは同じではない。13州では課税されると言う情報がある。 学生ローン返済の免除は、すべて返済をしてしまった人にはどう映るだろう。
暑い夏に水分は欠かすことができない。コンビニやスーパーで水が大量に売れて棚に商品が少なくなっているのを見かける。個人の生活で、生きるために水や食料品を購入しても、その費用を控除することはできない。 この炎天下で働いている人では、水を飲まないと命にかかわる事もあり得る。贅沢をして水を飲むわけではない。 このため、カナダは、自営業で徒歩・自転車で配達をする人に8時間の労働で、1 日あたり水や食料を17.50 ドル差し引くことを認めていると言う。定額の範囲では領収証は求められない。 アメリカの税務では、事業をしている場合、控除対象の費用となるためには、その費用が通常のもので、業務に必要なものでなければならない。店を開いて、食材として水や食べ物を購入すれば、売り上げのコストとなる。 自動車で配達をしている場合は、燃料代や油脂代、整備費用等は欠かすことができない。同じように、炎天下で徒歩や自転車で配達をしている人、人力車でお客様を乗せて走っている人には水や食料は欠かせない経費だろう。合理的な範囲でコストと考えても不自然ではない。 そうは言っても、仕事とは無関係で日々の生活で消費するもの、または家族のものを控除することはできない。仕事と個人的な生活で使用する費用がある場合は、総費用を仕事と個人の部分に分けなければならない。 プロスポーツ選手なら食べることが仕事の重要な部分だろう。普通の人でも考えてみれば、食べる事は仕事のエネルギーとなり、所得を得る事につながる。同時に仕事以外でも個人の生活のためでもある。お昼代1000円を、ある人は業務用40%、個人用60%、別の人は70%対30%とか分けられるものだろうか。話としては興味があっても、税務とはなじみにくい。
8月5日時点で、2021年個人所得税の未処理分は970万件だとIRSは言う。このうちの180万件でエラー修正が必要で、790万件の紙の申告書が処理されていない。修正申告書の未処理件数は8月6日で210万件という数字だ。この合計が1,180万件となる。 日本からの紙の申告書はTX州Austinに送られる。ここでは3,400人が働いているとのことだ。 紙の申告書は、人の手でIRSのコンピュータに入力される。自分が1つの申告書の全情報を手入力すると20分で終わろうか、30分かも知れない。日本人なので日本の住所や人名になじみがあるので、まだいいかも知れない。外国人がスペルの間違いもなく日本の情報を入力するのは、さぞ大変な事だろう。 1時間に2つか3つの申告書を、正確に機械のように8時間入力し続ける事は無理だ。その単調さに参って集中力も途切れる。エラー修正とか考えながら処理できるのは、簡単なものなら1日10件程度か。それを毎日、毎日、一年中続ける。1日10件で20日稼働の12か月で年間2,400件だ。仮に全員がインプットできるとして3,400人をかけると816万件となる。全員がインプットだけの仕事と行かないから、もっと少ない数となって、どうやっても1年では終わらない。2023年1月からは2022年分申告が始まって、さらに件数が上乗せされる。 IRSはこのAustinを廃止して他州の拠点に統合するとしていた。こうなると、家族を連れて他州に引っ越すことができるのかと考えるだろう。引っ越しもできないと、事務所が閉鎖されるまでの仕事で、その先はどうしようとか仕事中に頭の中で考える。モチベーションが上がって能率がどんどん上がることはないだろう。 IRSは言う。申告書がどこかに行ってしまい、紛失したのではないかと考えて、2回目の申告書を提出したり、IRSに連絡を取ろうとしないでほしいとのことだ。ますます状況が悪くなってしまう。IRSで働く人も大変そうだ。
FBARがスタートしたのは1970年ですでに50年以上の歴史がある。それから40年後の2010年にFATCAがスタートした。個人から見た時に、FBARとFATCAの申告はほぼ同じではないかと思ってしまう。 確かに申告を要する金額が異なる。単一口座ではなく口座の累積だ。 FBAR:10,000/人以上 TATCA:アメリカでは年末$50,000/人以上 年のいずれかで$75,000/人以上 海外においては年末$200,000/人以上 年のいずれかで$300,000/人以上 しかし記載している情報は最高金額、預金口座/証券口座、金融機関名、口座番号、金融機関住所で、ここは重複している。ならば個人の申告においては、FBARとFATCAを統合して一本にできないものか。 なかなか一本化できないなら、日本・アメリカ以外の第三国だけの口座を報告する。アメリカから見れば日本は外国だが、日本でFBAR/FATCAを提出している人にとり、日本は居住国であり外国ではない。 IRSから見ればアメリカ国内の金融機関の情報はすべてわかる。外国だってアメリカの水準まで引き上げるとするものが、逆にこれだと見えなくなると言うのだろうか。 あるいはFBARの金額要件を見直したらどうだろう。FBARの報告基準額は50年前から$10,000だ。インフレを見ると現在は約$76,000に相当している。 多くの日本人でFBAR/FATCAを提出している人は、もともと日本に暮らしている人たちが大多数だ。日本に住んでいれば、日本に預金口座がなければ困る。金融資産を隠すために日本に金融口座を持っているわけではない。何とか簡単になってもらいたいものだ。
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