6月24日アメリカの連邦最高裁判所は、「中絶は憲法で認められた女性の権利」だとした49年前の判断を覆した。日本でも6月20日、同性婚をめぐり、大阪地裁は札幌地裁と異なる判断を示した。
アメリカの税務の世界でも、こうした司法の判断が分かれる判決が2021年に出されている。FBARのペナルティについての判断なので、日本人には身近に及ぶ話だ。
即ち、FBARを忘れた、知らなかった等の原因で意図的にではなく申告をしていない場合、ペナルティはどう計算されるのか。
申告をしていなかった年ごとに対してペナルティは計算される。いや、申告をしていない口座ごとにペナルティは計算されるのかという問題だ。
前者で言えば2021年に申告漏れがあれば、上限$10,000となる。後者の場合、申告をしていない口座が3つあれば、$10,000×3口座=$30,000だし、5口座だと$50,000となってしまう。
裁判所により異なる判断が2021年になされている。
The Fifth Circuit Court of Appealsは口座ごとにペナルティはかけられる(United States v. Bittner)。
The Ninth Circuit Court of Appealsは申告をしていない年ごとにペナルティはかけられる(United States v. Boyd)。
これでは居住する州によってペナルティが違ってしまう事になる。United States v. Bittner ではTX州に住んでいたために、272万ドル(約3.5億円)のペナルティが、2007年から2011年の申告をされていない口座ごとに計算された。これがNV州だと5万ドル(約6.5百万円)と言う事になる。
これはどう考えても不都合で、いよいよ最高裁判所に持ち込まれて、おそらくあと1年後には結論が出ていると期待する。
FBARの申告は簡単ものだ。申告さえしていればこうした事態にはならない。しかし申告されていない場合でも、機械的にこうしたペナルティの対象になると言うわけではない。そうした金融口座で発生する所得をきちんと申告していれば、まずはそれほど心配はいらない。
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