10月2日現在680万件の個人所得税が未処理のままだ。さらに同日でForm 1040X(修正申告)の未処理分が280万件だとIRSは公表している。IRSとしては何とか年内には正常な姿に戻したいと言っているが、どこまで目論見通りに行くのかわからない。 このところIRSから申告書を処理するために、もっと数字の説明をしてほしいという手紙が来ている。さてその手紙、雨水を被ったようで、あたかも水の入ったバケツの中に手紙を漬け置いたのでは?と思えるほどインクがにじんでいる。まして30日以内に回答せよと言うのに、その期限は1か月前に過ぎてしまっている。 あるケースでは、追加の説明を求めている控除金額が$6だった。この数字一つを確認するために、外国まで手紙を出し、郵便料金を払い、回答を得るまでに2か月とか3か月を要している。ほとんど意味がない事にどれだけ人件費、経費、時間をかけるのか。まして税収は増えない。 申告書を処理している人は業務処理基準書の通りに動いているだけだろう。金額的な処理基準を設けて、これ以下の数字は管理しないとか弾力的に決めて、山のような未処理の申告書を早期に処理するのが本当ではないかと思える。 2021年の申告は例年と同じなら、2022年の1月末には開始される。その前にはクリスマスシーズンもある。あっという間に次の申告シーズンになってしまう。氷山がそこに見えているのに進路も変えられず、氷山に衝突して沈没したタイタニックの二の舞になるのではと心配になる。

当初の申告期限に間に合わずに延長申請をされた場合、10月15日が申告期限だ。来週の金曜日が期限となる。 申告書提出は発信主義を取るために、申告書を郵送する場合、10月15日の消印があれば延長期限内に申告した事になる。電子申告であればタイムスタンプは米国時間なので、日本の10月16日でも、時差により何時間かの間は10月15日となり得る。 延長申請をしたけど、どうしても15日には間に合わなく、月末に申告した場合は、延長申請をしていなかったことと同じ状態になる。申告期限に間に合わなければ延滞税が出る。延滞税は納付金額を対象に計算される。税金が発生しないとか、前年からの繰り越しや予定納税で十分に税額をカバーしていれば延滞税を心配することはない。 日本で働いて納税している場合は、多くの場合、アメリカの税金が発生しないことが多い。 アメリカの申告をせずに、心に重くのしかかったまま毎日を過ごしていても、申告さえすれば納税額を全く心配することがないと言う事も多い。ただし、それは申告をした結果そうなるので、税務当局から無申告を指摘されると面倒なことになるので注意を要する。 あと10月15日までは10日あまりだ。

住んでいる家を譲渡すれば、キャピタルゲインやキャピタルロスが生ずる。連邦税ではキャピタルゲインに対し、独身では25万ドル、夫婦合算申告では50万ドルの譲渡益控除がある。これは大変ありがたい。 譲渡する時点で、過去5年において2年以上その家を所有し、住んでいることだ。日本の不動産だから対象外ということはない。但し、自分たちがそこに居を構えて、住んでいなければならない。投資用の不動産や別荘は除外される。 夫婦であれば、どちらか一方の人が住んでいれば良い。片方の配偶者が、この間に海外や別の場所に住んでいても、片方の配偶者が住んでいれば、その期間をカウントできる。また連続して住まないといけないというのではなく、過去5年の間に居住していた期間を累計して2年以上だと条件に合う。 自分の家として住んでいたとしても、高齢で老人ホームに移らなければならないこともある。あるいは病気やけがで病院に長期に入院しなくてはいけないこともあろう。その費用を捻出するために不動産を譲渡せざるを得ないとする。こうした健康上のやむを得ない理由があるなら、老人ホームや病院にいる期間も自分の家に住んでいた期間としてカウントできる。 更地の場合は、住んでいないために基本的にはその条件に合わない。しかし、譲渡するに際して建物を壊して更地になっているとする。建物を取り壊す前に、自分の家として住んでおり、時間的な要件を満たせば更地故にダメというわけではない。 また、2年の条件に満たない場合であっても、満額ではなく部分的に控除を使える場合もある。それぞれの状況に応じて譲渡益の控除を使える可能性があり、初めから控除を使えないと諦めることはない。

他の人には還付金が届いているのに、自分には還付金がまだ届いていないといない人がおられるはずだ。 還付金の情報はPCでは次の場所で確認できる。IRS.gov “Where’s My Refund?” 画面が要求するデータをインプットすれば、次のような情報を返してくれて現状を確認できる。 IRSがいうにはこの情報が最も正確で、電話をされても、オペレーターはこれ以上の情報はわからないという。 今日まで還付金が届いていないとすれば、様々な理由が考えられる。IRSは申告書を精査しているかも知れない。名前や住所が正しくなくて小切手を送ることができない。申告書を処理するために情報が不足していれば、追加の情報求められることがある。IRSは過年度の未払いの税金があると、還付金をそれに充当してしまう。 いろいろあるわけだが、そうした可能性が思いつかないかも知れない。その場合は、昨年の申告書がまだ未処理の状態にあることも考えられる。IRSの発表では個人所得税では6月23日現在、1750万件の申告書が未処理状態だった。それが9月11日時点で約800万件の個人所得税申告書が未処理のままだ。 IRSは申告書を再提出したり、電話を掛けてどうなっている確認をもとめないでほしいと言う。IRSにできるだけコンタクトせずにそっとしておいて仕事をさせてくださいという状態だ。しばらくはIRS.gov “Where’s My Refund?”をチェックして、待つしかないだろう。

2020年の申告書で、仮想通貨に関する質問がForm 1040で、名前や住所のすぐ下の部分に設置された。仮想通貨の適正な申告にかけるIRSの意気込みが伝わるものだ。しかしながら、仮想通貨を持っているだけとか一方から他方に移しただけの場合どうなるのかと回答に混乱を招いた。結果、2021年のドラフト版Form 1040では微妙に表現が異なっている。わかりにくいがSendという単語が削除されている。 図の一番下の行で、2021年のいずれかの時期に仮想通貨を受け取り、譲渡、交換又は金銭的持分を仮想通貨で得ましたかという表現だ。 この質問には事実をそのまま正直に答えるだけで良い。仮想通貨は資産として扱われる。YesとなればForm 8949があるだろうと言う事になる。譲渡すればキャピタルゲイン・ロスとなる。 基本的にIRSの立場は納税者が申告書にサインすることで申告内容・情報を知っているものと見なす。実際は仮想通貨の取引をしているのにNoと答えると、意図的に事実を隠ぺいしたことになり、ペナルティがより重くなる可能性がある。

FBARの金額要件は、外国金融口座の合計残高が年のどこかで$10,000を超える場合、FBARの申告対象となり、その口座の最高残高の申告を要する。$10,000を越えない限り申告を要さない。 例として80万円を最高残高とする。これを2020年期末の為替レート$1=103.08でドル換算すると、$7,761となる。これは$10,000に満たないためにFBARの申告要件を満たさない。 口座間の資金移動があった場合にどうなるのか。 80万円の口座から、新たに別の口座を作り50万円を移したとする。この場合、旧口座の最高残高は80万円で、新口座の最高残高は50万円だ。同じようにドル換算すると$4,851になる。新口座と旧口座を単純に合計すると$12,612となる。 これは$10,000を越しているので申告の対象と考えるかもしれない。但し、年間の口座の実際の残高は80万円でしかない。この場合は申告対象かどうかと思うだろう。 口座の合計残高は80万円なので$10,000を越えない。この場合は申告を要さない。 では旧口座の残高を2倍にして160万円でそこから50万円を新口座に移したとする。2つの口座の合計残高が$15,522というわけだから、$10,000を越している。FBARの申告要件を満たす。 では旧口座の最高残高は160万円だろうか、110万円だろうか。感覚的には110万円なのだが、FBARの申告では、一時的にも160万円が最高残高なので単純に160万円を報告すると考えられる。 たくさんの口座を持ち、口座間で資金移動を繰り返した場合、実際の残高を算出するのは難しい。ドルでの最高残高を算出するためには為替レートも加味するのが本当だろう。となると、日本円での最高金額が最高のドル額とはならない。為替レートを年間拾って計算するのでは大変な負担となる。ありがたいことに、IRSは期末のレートを使うように指示をしている。IRSとしても負担を軽減するという考えがあったのではないだろうか。その延長で、口座間の資金移動も考えなくて良いとしているのかも知れない。

Form 2555を取って所得を控除して、さらにForm 1116で税額控除を取るのは二重使用となる。そこでForm 2555を使うかForm 1116を使うかは納税者に任されている。しかし、この二つを今年はForm 2555、来年はForm 1116、その次はForm 2555と自由に行き来できるものではない。 何気なくForm 2555を使っているかも知れないが、一度使うと、この先、ずっと使うことが前提になっている。それ故に、Form 2555を使えるのに、使わない場合、このフォームを使わないと宣言することになる。その結果、向こう5年間はForm 2555を使えなくなる。 Form 2555の6行目に次の質問がある。このチェックになっている。 6a 従来Form 2555又はForm 2555 EZを使っていましたか。直近ではいつ使いましたか。 6b 従来Form 2555又はForm 2555 EZを使っていなかったらここにチェックして、7行目に行ってください。 6c 控除を(使えるのにあえて)無効としたのですか。 6d 無効としたなら、その種類と年を記入しなさい。 2020年の申告では$107,600(foreign housing deductionを使う前段階で)までの控除が取れた。しかし、計算してForm 1116の方が、メリットが大きくなるとForm 2555を使わなくなることがある。ところが、翌年、所得が乱高下してForm 2555を使いたいとしても、制限が出る場合がある。 外国で働いて得た所得がない場合、Form 2555を使わないのだが、これは無効化していることではない。また、所得控除と外国税額控除の二重計上とならない領域では、Form 2555とForm 1116は使うことができる。

日本国内で住所が変わる。東京から外に転出したり、県外から東京に転入する。こうした時はすみやかに区役所や市役所に行って住民票の変更手続きを行うし、電気、水道、ガスなどの手続きを行う。 さて、こうした国内での手続きが、アメリカの住所変更通知と連動していると考える人はいないだろう。日本の区役所や市役所での住所変更手続きは、あくまで日本国内の話だ。新住所を日本の区役所や市役所が、IRSやNY州やCA州に自動的に通知してくれるわけではない。何とも当たり前の話だ。 ところが申告書となると、日本の確定申告をしたので、お終いと考えてしまう方がまれにいる。日本の税務署に申告書を提出したら、税務署がアメリカのIRSやNY州政府、CA州政府などにアメリカの申告書を提出してくれると考えるようなものだ。 住所変更手続きでは、当たり前の判断ができるのに、申告書では当たり前の判断ができない。 しかし、心底、そう信じて疑っていない方はいないだろう。税務申告、ましてやアメリカの税務申告となると、訳が分からない、知識もないということが頭の中に拒否反応を起こさせる。居心地の悪いもの、わからないもの、不安を引き起こすものからは離れたいと思うのが自然な反応だ。すると、日本の確定申告を行ったので、私はきちんと義務を果したので一件落着としているのだろう。それでも、それでいいのかなあ、自信がないなあと心の隅では不安を抱えているに違いない。 そう思う原因の一つは日本の税務が属地的な課税を行い、アメリカの税務は属人的な課税を行うというスタートラインがわかりにくいからだと思う。日本の考え方だと、住んでもいない国に申告、納税をする事はほとんどない。例外的に、アメリカに不動産があって賃料があるとか、不動産を譲渡したとなれば別だ。 アメリカは市民権やグリーンカードという属人的な属性が申告の基準となる。日本に住んでいても、アメリカの市民権やグリーンカードを持っている人はアメリカに申告を行う。いかに日本の確定申告をきちんと行っていても、アメリカから見れば無申告となっている。 多くの場合、アメリカへの申告は書類の提出だけで終わり税金が発生しない。申告さえしていればあまり心配することはない。無申告のままだと適法に行動していないことになる。 時間的な余裕がある、夏のこの時期から年内に無申告の状態を脱するいい時期ともいえる。

IRSの処理時間はこの頃かなり時間がかかる。紙の申告書の処理は1年ぐらいかかる感じだし、手紙を出して返事が返ってくるのも同じようなものだ。電子申告をすれば早いのだが、手紙を書かざるを得ないこともある。 例えば、当方の計算では税額が発生しないのに、IRSは見解を異にし支払いを求めることがある。これに対してはIRSに反論をする手紙を書く。ところがIRSからは督促の手紙が定期的に送られてくる。 当方の主張には無回答で、督促の繰り返しだ。これは反論の手紙がIRSから拒絶されたためだと思ってしまうことがある。手紙をもらう都度、そのままにしておくことはできないので、IRSに連絡を取ろうとする。再度、反論の手紙を書くことになる。 しかし実際は、IRSでの処理がなされていないだけのことが多発している。コロナウイルス下にあっては、IRSの職員はテレワークをして、手紙の処理が大幅に遅れている。1年以上かかって、やっと回答が来る事がある。その間、IRSのコンピュータは機械的に時間が来れば督促の手紙を作り続ける。 そのままIRSの言う事に従うわけにもいかないので、何らかのアクションを取らなければならない。電話や手紙を書くようになる。 すると、IRSの人ではさらに電話の対応に追われ、未処理の手紙が山と増えて、その処理にまた時間を使う。さらに例年にはないコロナウイルスの給付金の対応が2020年には2回、2021年には1回あったわけで、IRSの事務処理負担は大変なものだろうと思う。だから申告時期の終わりになっても申告書が3530万件未処理だったのだろう。 かくしてIRSはどんどん機能不全に陥ってしまうことになる。コンピュータによる機械的な督促状がどれだけ、IRSの首を絞めているのかわからない。 IRSできちんとした処理が終わらない間は、督促の手紙を出すことをやめるべきではないかと思う。

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