2018年申告の提出期限は、既に延長申請をしている場合は10月15日となる。あと2~3日しかないわけだが、何としても期限内に申告を完了したい。 紙の申告書を使っている場合、日本からだとこの時点で間に合わないと諦めてしまう方もいるかも知れない。しかし、発信主義を取るので15日の消印があれば期限内申告となる。申告書がアメリカに到着していなくても良い。そう考えるとまだ3日もあるではないかと言う事になる。 でも、どうやっても15日に間に合わない場合もあるだろう。期限を越えるとペナルティの対象となる。しかし、それは税額が発生するからだ。この場合は、とにかく一日でも早めに申告をする。 税額が発生しない、あるいは還付になることもある。この場合は、ペナルティはない。還付金が戻ってくる時期が遅くなるのを問わなければ、申告書の提出は10月一杯でも、11月でも12月でも良い。 とにかく10月15日を越えてしまったら万策尽きてしまうのか。日本で税金を払っていれば、アメリカに税金が発生しない可能性はかなり高い。書類だけの提出となれば10月15日を越えてもなんとかなる。
IRSは年間2億件の通知や手紙を発行していると言われる。きちんとした住所が記載されていない場合、郵便物は配達されず、郵便料金や職員の時間、費用の損失は大変なものになる。 それにしても2億件を365日で割るとざっと一日で55万件、300日稼働だと一日66万件とかになる。2018年には1,400万件の手紙が届かず、金額的損失は4,300万ドル(約45億円程度)と言う見積もりもあると言う。その分、IRSは本来のサービスを行う時間・コストが失われるので、もったいない。 日本へ送付されている手紙がアメリカから直接、日本に来ていないことが散見される。どういうわけか、イギリスから来たり、エストニアから来たりしているものがある。単に、間違えて発送されただけかも知れないし、日本はどこかヨーロッパの国だろうと思われているのかも知れない。 手紙をやめてオンラインにすればよさそうだが、インターネットだと何が起きるかわからない。人間のやる事にエラーはつきもの。せめて申告書提出時には住所をしっかり確認したい。
情報申告と言えば税務申告の陰に隠れて重要度が低いと思うかも知れない。給与所得がメインで普通に源泉徴収をされていたら、追加で税金を納付することもないし、あっても驚くような金額にはならないだろう。 情報申告の一つに外国金融口座の残高報告(FBAR)がある。これは銀行口座や証券口座の最高残高を拾い、ドル換算して報告するだけだ。データさえ把握すれば、後は機械的に作成できる。Form 8938も同様だ。 税金の申告書を作成する複雑さに比べれば容易な申告だ。しかし、これを怠った時にはペナルティがあり、Form 1040で発生する納税額に比べて高額になりえる。まさに割が合わない。 またForm 5471はとにかく分かりにくい。情報申告はこれだけにとどまらないが、ペナルティがあるので忘れないようにしなければいけない。
市民権やグリーンカードを放棄する手続きをしても、適正に税金の支払い義務を果たしていない場合は、いつまでも税金はついて回る。IRSは9月6日、アメリカの市民権を放棄した人に、適正に申告すれば一定の過去の税金を免除してくれると発表した。 適用対象になる人: 2010年3月18日以降に市民権を放棄した人 所得税が下記の金額以下の人 2014年 $157,000 2015年 $160,000 2016年 $161,000 2017年 $162,000 2018年 $165,000 2019年 $168,000 総資産$2M以下の人 当年及び過去5年の申告を行う人で情報申告も含む 悪意があって未払いになっていない人 この措置を利用して、過去の税金が6年間累計で$25,000を超えない場合は、アメリカの税金を免除される。延滞税も金利もつかない。 詳細は今後発表される。
9月となり自分の給与や年金の源泉徴収額が適正額かどうか見直したい。このためには今年の所得がどうなるのか予測して見積もるのだが、なかなか面倒だと思うだろう。 IRSのサイトではこの源泉徴収額を計算してくれるツールを提供している。 Tax Withholding Estimator 自分の状況に合わせて、質問に答えていけば自動的に結果が出て、源泉徴収額が納付なのか還付なのか診断してくれる。さらに、実際にForm W-4の何行目に、どの数字を記入したらよいかまで教えてくれる。 いろいろなケースに合わせて答えを出してくれるので、なかなか重宝する。
時効によりアメリカの税務当局が、申告書を調査したり徴税権を行使しようとしてもできなくなる。時間さえ過ぎてしまえばお終いと考えるかも知れない。 時間が経過するのは、どこかに起点があってそこからの時間経過と言うことになる。この起点は申告書を提出した日で確立される。申告書を提出していなければそもそも時効はあり得ない。 申告書を提出して、一定期間が経過すると申告内容に間違いがあっても、IRSは修正を求めることができない。一般には3年を経過すると、調査をされることはない。所得の過少申告が25%以上だと6年に延びる。徴税権は、IRSが何も動かないで10年経過すると、行使できなくなる。しかし、内容が滅茶苦茶で詐欺まがいと言う場合には、IRSは何年でも過去に遡ることができる。 さらにForm 8938やForm 5471等を提出するべきなのに提出しない場合、申告書は不完全なものとなる。不完全な申告でも時効の時計は進まない。ましてアメリカ国外では時計は止まったままだ。
2018年の申告がまだ終わっていない人もいる時期だが、2019年版のForm 1040のドラフトが発表された。2019年版ドラフトの方が2018年版よりは使いやすい印象だ。 2019年版と2018年版の主な違い 住所記載欄に外国の住所記載欄が入った。 標準控除の選択が住所の下に入れられている。 Health Careのチェック欄がなくなった(強制ではなくなった)。 サイン欄が2ページ目に移動した。 キャピタルゲインが6行目に入る。 Schedule 1はキャピタルゲインが1ページ目に移動した程度でほぼ同じ。 離婚の日付を記載する 2019年1月11日から控除できなくなった。 Schedule 2はPart 2が作られてOther Taxesをまとめた。 Schedule 3はPart 2が作られてOther Payments and Refundable Creditsをまとめた。 Schedule 4から6がなくなった。 ドラフトの段階であり、来シーズンに向けてまだ変更がなされるかもしれない。 ドラフトの一覧はこちらから。
アメリカにいて不動産を持っている人が、海外に来て不動産を手に入れても固定資産税の処理は同じではないかと思うかも知れない。確かに従来は日本(=海外)に不動産を持ち、固定資産税を払っていれば、日本の固定資産税は控除対象になっていた。 しかし、Tax Cuts and Jobs Actで2018年からは外国の固定資産税の控除を認めないことにしてしまった。項目別控除では外国の固定資産税は使えない。アメリカの不動産の固定資産税は控除でき、海外は控除できないわけだから不平等に思うかも知れない。 賃貸事業としてSchedule Eの経費の中で使うことはできても、自分が住んでいる家の固定資産税はそうもいかない。Form 2555のqualified housing expenses で外国の固定資産税を利用するかと言うことになる。
IRSは連邦裁判所の命令をもとに仮想通貨の取引業者から、詳細な取引記録を入手している。それを受けて8月末までにIRSは仮想通貨で利益を出していても申告をしていない人、適正に税金を納付していないと思われる人を対象に1万通の手紙を送り始めた。 その手紙はLetter 6173かLetter 6174又は Letter 6174-Aの3種類がある。 Letter 6173が最も厳しい内容だ。2013年から2017年の申告で申告書が提出されていないか、提出されるべき付属表がついていないために、IRSは納税者が仮想通貨を申告していないと考えている。すぐに修正申告をするように求める。 適正に申告をしていると考える人は、適正に申告をしていると言う説明書をつけて宣誓書を出さなければいけない。回答を無視した場合は税務調査の対象になる。 Letter 6174と6174-A では、納税者が仮想通貨の申告義務を果たしていたら、回答をすることはない。但し、その内容に間違いがあれば、修正申告をするように求めている。 Letter 6174ではIRSは仮想通貨の口座を知っているとする。もしも適正に申告されてなかったら、修正申告をするようにややソフトに求める。 Letter 6174-AはLetter 6174に近いが、上記よりもソフトではない。修正申告を行わない場合、IRSはフォローアップして必要な手続が取るかも知れないとする。 手紙をもらっていない人も、適正に申告をしていない場合は、修正申告が求められる。
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