6月15日が日本から申告書を提出する期限だ。コロナウイルスの影響で書類の発送が過去2年ぐらい混乱している。さらに戦争が始まったためか、また物流に影響が出ている。 6月15日を直前に、今からアメリカに書類を送っても、一体いつ書類が到着すのかわからない。電子申告を行えばこうした懸念を避けることができる。 しかし、電子申告ができないケースがある。通常、紙の申告書の場合、提出期限までに消印が押された場合は、期限内の申告と見なしてくれる。提出主義なのでありがたい。但し、もともとは到着主義だった。後から提出主義が認められたと言う経緯がある。 それ故に、発信主義には条件がついている。 1.きちんとした切手が貼られて正しい住所にアメリカの郵便で出されている。 2.申告期限日までの消印がついている 3.アメリカの郵便で実際に配達されている。 米国郵政公社を通じて送られる申告書だけではなく、IRSの指定する私的なデリバリーサービスでも適用される。 IRSのサイトは言う。 デリバリーサービスではDHL・ FedEx・UPSが限定列挙されている。これを使えば認めると言うわけだ。 世界中から申告書がアメリカに送られるわけで、IRSが世界中のデリバリーサービスを知っていて、列挙できるだろうか。ここに書いているのは、アメリカを基準として書いているだけだろう。列挙されていない場合は、到着主義というのは、いかにも実態に合わない。

他の人に対価を求めずにお金を与えることは贈与となる。お金ではなく、物、サービス、とか経済的な価値を持つものを与えても同じだ。 IRSは贈与とは次のように言う。 Any transfer to an individual, either directly or indirectly, where full consideration (measured in money or money's worth) is not received in return. これから見れば親がわが子を育てる事は贈与なのかと思うかも知れない。しかしこれはいかにもおかしい。 親が小さなわが子のために食べさせ、洋服を買い、学校に通わせ、医者に連れて行く。これは親として子供の養育義務を果たしているだけで、子供に贈与をしているとは言わないだろう。 しかし、いつしか子供も大学生になる。日本からアメリカの学校に通うこともある。学費や生活費を仕送りする。年間$30,000とかそれ以上、親が負担することもあるだろう。これは子供の扶養をしているのか、贈与に入るのか境目があやふやに思えるかもしれない。 教育費と言いながら、子供がそのお金で車を買ったり、投資の資金にしたりすると、目的外となり話が違ってくる。子供に全部渡して、贈与ではないかと言われると説明がめんどうだ。贈与と見なされないためには、子供にお金を渡すのではなく、親が直接、学校に振り込めばよい。 大学進学などで一人暮らしする子供への仕送りは、適切ならばアメリカの税金の心配しなくても良い。 アメリカの贈与税では教育費は控除されている。さらに年間非課税枠は2022年では$16,000ある。夫婦では2倍となり、$32,000を子供一人当たりに贈与しても、アメリカの贈与税の申告は不要だ。

アメリカの税金は自動車の運転免許証のように、18才以上でなければ申告できないと言ったことはない。あるいは年齢が高くなり、運転免許証を返納して自動車を運転しないように税金を卒業することもできない。年齢にかかわらず、一定の所得があれば申告をしなくてはいけない。 親にしてみれば子供を扶養家族として入れているので、何もしなくても良いと考えるかも知れない。しかし所得があれば申告をしなくてはならない。 こうした場合には、親が子供のために申告を行う。親が子供の申告書を作り、親とか後見人がサインする。 但し、子供の所得金額が一定額に達しない場合は申告をすることを要さない。 2022年ベース(=2023年に申告) 働いて得たお金:$12,950 利子や配当など:$1,150 子供がForm W-2をもらっていることがある。しっかり連邦税や州税を源泉徴収されている。こうした場合は、申告要件に満たない場合でも、申告を行い源泉徴収分の還付を申請できる。 さらに、子供の所得を親の申告書に加算して申告を行い、子供は自分の申告書を提出しないやり方が許されている。 子供の所得は利子・配当・譲渡益に限定される。その他にも、いくつか条件があり、年齢で言えば子供は19歳未満(フルタイムの学生なら24歳未満)となる。

紙の申告に比べて電子申告の簡便さは比較しようもない。還付金だって早くもらえるし、紙の申告書にサインしてアメリカに郵送する煩わしさもない。 もちろん電子申告ができない申告がある。電子申告ができるはずなのに、電子申告がうまくできないこともあり得る。申告要件や技術的な問題に起因するなら仕方がない。 何の問題がないのに、申告をしてみたら、何と申告書が受け付けられないこともあり得る。例えば、既に申告がなされていると言う。 自分では申告をしていないのに、申告書が既に申告されていて受理できないとはどういうことだろう。 申告書は名前とSSNで初めにチェックされている。とすれば誰かがSSNの番号を一桁間違えたり、数字を倒置させたりすることがあるかも知れない。しかし、日本人ならばローマ字の綴りが長い。全く知らない第三者が自分の名前を申告書に間違えて記入できるかと言えば、ほとんど不可能だろう。さらにSSNまでがぴたりと一致することは考えられない。自分だけではなく、配偶者や子供まで及んでいるとなるとこれはあり得ない。 2021年分では$1,400/人のコロナウイルスの給付金がある。これをそっくり持って行かれる。なんともひどい話だ。 もしもこうした話に巻き込まれたら、次のサイトが助けになる。 Taxpayer Guide to Identity Theft Tax-Related Identity Theft 自分の情報をすっかり盗まれてしまうことがないように、十分に注意が必要です。

アメリカのコロナウイルスの給付金のドル小切手をもらって、机の中に入れて忘れていないだろうか。 2020年では$1200と$600での2回小切手が発行されている。最近は$1=130円あたりなので2枚合わせると、23万円程度もらえるはずだ。 そこで、机の中から小切手を探し出して銀行に持って行く。日本国内でドル小切手の現金化の案内がある。 しかし、銀行は小切手の買取に応じてくれない。小切手の有効期間が過ぎてしまっていると言う。 確かに確認してみると小さな字で金額があるところの下にVOID AFTER ONE YEARと書いている。財務省の発行する小切手は発行日から1年間有効で、州の還付小切手は6カ月しか有効でないこともある。 23万円がただの紙屑になってしまった。困ったと思うかも知れないが、もう一回、新しい小切手を発行することをIRSに依頼することができる。 「これこれの理由によって小切手を現金化する前に1年過ぎました。お手を煩わせてすみませんが、新しい小切手を送ってください」と手紙を書く。期限切れの小切手の裏側にVoidと記入して、手紙と共に発行元に送る。 新しい小切手を日本にいつ送ってくれるかは、現状では時間がかかると見た方が良いだろう。新しい小切手を入手したらすみやかに銀行に持ち込む。 2021年に$1,400の小切手も発行されている。これも1年をすぎないように注意が必要だ。

申告関連の仕事をすべて電子申告で処理できるとありがたいのだが、必ずしもそうはいかない。仕方なく郵便局に行ってIRSに書留やEMSで書類を送ることがある。日本からはテキサス州の処理センターに送付する。 あて先はIRSのサイトに次のように書かれている。 Department of the Treasury Internal Revenue Service Austin, TX 73301-0215 この住所は、日本で言えば“東京都東京都庁”のような書き方だ。郵便局ではちゃんとした地番がわからないと困るので、きちんと記入してくださいと求められる。United States Postal ServiceはIRSのサービスセンターに、固有のZIPをつけているので大丈夫といってもらちが明かない。 IRSのサイトで地番を探すと次のように書いている。 Austin - Internal Revenue Submission Processing Center 3651 S IH35, Austin TX 78741 日本からはTX州Austinに送付する。これで大丈夫だろうと思いきや、電話番号が書いていないとダメだという。インターネットで探しまくり、コスタリカの米国大使館で下記の電話番号を発見する。 For Courier Service (DHL, FedEx., UPS, etc…) IRS 3651 S. IH 35 Austin, Texas 78741 Phone: (512) 460-7948 さて、やっとこれで何とかなると思ったら、あて先は手書きでは受け付けてもらえない。 <米国宛て> 手書きラベルでは通関電子データが送信されないため、引き受けができません。 と言う事で国際郵便マイページサービスに入り、ラベルを作成する。 これでやっとの事で出口に出られると思ったら、国際郵便は配達に時間がかかり、いつ到着するかは明言できないとのこと。 こうして苦労して提出した書類はIRSの倉庫に保管される。コロナウイルスのため、一体、IRSがいつ処理をしてくれるのか読めない。2022年になってまだ1,640万件の個人所得税関連の書類が未処理だと言う。これじゃ、どうみても1年はかかるだろう。戦争のためにさらに国際的な物流が混乱する。コロナウイルス、戦争とその影響は計り知れない。このところ、ごく当たり前だった日常が、実は危ういものに乗っていた脆弱なものかと思えてしまう。

申告内容を間違える、ミスがあるという事は避けようがない。完全で誤りがないのは理想だが、人間の行うことで、間違いを修正しなければならないと言うのはしかたがない。 情報申告のFBARで、申告するべき口座を申告しなかった・残高を間違えていた・為替レートを間違えていた・転記ミスがあった等々が起きることがある。 FBARも修正申告をできるようになっている。 修正するためには、FBARの申告用紙Form 114の3ページ目の行番号1の所に、修正する対象年とAmendにチェックを入れる。さらにその右側にオリジナルのIDナンバーを入れなくてはならない。 オリジナルのID?そんな番号があったっけ?と思うかも知れない。FBARを送信してConfirmationも残してある。それを見ればわかるだろうとチェックしてもそれらしい番号はどこにもない。 実はFBARを送信してからFinCEN はメールで受信結果をメールで通知してくれている。その中に書いてある。 Type: FBARX Receipt No.:FX22-00XXXXXX Filing Name: 2021-XXXXXXX Your FBAR submission has been acknowledged by FinCEN and assigned the BSA Identifier: 3100021XXXXXXX. といった情報が含まれている。FBARを修正しなければならない時は、この Identifier番号を記載することになる。 さて、FBARの申告が終わったところで安心してしまっている。FinCENからこうしたメールが届いているなんて思いもかけていない。古いメールも削除されてしまっている。修正できないではないかと頭を抱えてしまうかもしれない。 FinCENのデータベースで最終的には確認できる道は残っている。これも簡単には行かない場合は、この番号にゼロを14桁入れてくださいとIRSは言っている。

納税者は正確な税額だけ税金を払う権利があると、納税者の権利に記載されている。 Taxpayers have the right to pay only the amount of tax legally due, including interest and penalties, and to have the IRS apply all tax payments properly. と言う事は、払わなければいけない税額以上を納付することはない。仮に納付するべき税金の100%ではなく、90%しか納付しなければ、未払いの部分の10%に延滞金利などが上乗せで追加の納付を求められる。 では、税額以上に納税したらどうなるか。例えば、納付期日に間に合わず延滞金が出る。IRSから延滞金の請求が来るのが必至だ。払うのはいいにしても、また日本からその精算分を支払う手続きが大変だ。金額的にはわずかな金額でしかない。多少多く支払っても1回で済んだ方がありがたい。こうして納付する税額以上の税金を払う。 IRSのコンピュータでは税額が$XXXから$YYYとは記録されていない。そのものずばりの金額だ。そうなると、送金したお金と税額が不一致だから受領出来ないとなることもあり得る。するとこの郵便事情が良くない時に、何カ月もかかってリカバリーをしていくことになり、その間の延滞金がさらに変動する。こうなるとせっかくの考えが墓穴を掘ることになりかねない。 正確な税額を納付する。そしてIRSがさらに延滞金を求めてきたらその正確な金額を納付する。納税者は正確な税額以上に税金を払わない権利があると言うわけだから、申告書の納税額以上に多少大目に支払うことはない。 余談ながら、いかに正確な税額を支払ってもIRSは受け取りを拒否することがある。本当かと思うかも知れないが100万ドル(約1.3億円)を超える小切手は受領してもらえない。この場合は、小切手を分割して1枚の額面を100万ドル以下にしなくてはならない。

アメリカの個人所得税の最も重要な一丁目一番地が市民権課税だ。この市民権課税は世界広しといえども、ほぼアメリカだけの仕組みだ。世界中の諸国が居住地課税なのに、アメリカのスタンダードだけが異なっている。 居住地課税だと国を越えて引越すと、住んでいる国に軸足を置いて申告を考えればよい。一方、市民権課税だと、アメリカ市民である限り世界中のどこに行ってもアメリカの税務が追いかけて来る。 どうしてこんなになったかと言えば、アメリカの独立戦争と関係していたらしい。アメリカは18世紀に独立をかけてイギリスと戦争をしていた。この時に、お金を持っている人たちは、自分の子供が血を流さないために、アメリカの外に逃がしたらしい。お金を出させることで人々を囲い込み、外にいる人でさえアメリカの人ならば、みな犠牲を払って独立に貢献しようとなったと言いう。もしも本当ならば、国ができる時からアメリカのDNAの中に市民権課税が組み込まれているようだ。 日本に住んでいると言うことで我々は日本の税金の中で生きている。一方、アメリカの市民権やグリーンカードを持ちながら日本に住んでいれば、アメリカの税金の対象でもある。二カ国の税金を払うのは大変なことだ。だから国同士が話し合って二重課税を回避しようとする。 アメリカが一方的に日本に譲歩すれば、市民権を基礎として課税をしているアメリカの根本に風穴があく。即ち、外国に出ることによってアメリカの税金の外に出られるとなる。独立戦争当時に当てはめると、アメリカの外に出れば血も流さず税金も払わずいられる。これを良しとするならば、国の根幹が揺らぐ。そうしてできた国の市民権課税を容易に取り下げられまい。世界中に例のない孤高の市民権課税だ。

〒103-0016
東京都中央区日本橋小網町4-8-403
Phone:03-6231-0301
相続税:資産家のための相続税相談申告センター
日本の税務:星泰光・杉沢史郎税理士事務所
| 水天宮前駅 | ― |
東京メトロ半蔵門線 6番口 4分 |
|---|---|---|
| 茅場町駅 | ― |
東京メトロ 東西線 A4出口 徒歩5分 |
| 人形町駅 | ― |
東京メトロ 日比谷線 / 都営浅草線 A2出口 7分 |