遺産税・贈与税

2021.02.14
遺産税・贈与税

居住者かどうか

アメリカの所得税の申告を行う場合、アメリカの居住者であるかどうかと言う事はとても大きな意味を持つ。全世界の所得に課税を受けるかアメリカ源泉所得だけが課税対象になるのか分かれ道になる。 アメリカの市民権やグリーンカードを持っている場合は、所得税においては居住者となるし、一定期間アメリカにいるとアメリカの居住者となるのが原則だ。 しかし、遺産税において、アメリカ市民以外の人がアメリカの居住者となるには実態と居住意志を見ての判断となる。 そうすると所得税においてグリーンカードを持っている人や実質滞在テストで滞在者となっても、遺産税においては必ずしもアメリカの居住者とならないこともある。税目によって居住者と非居住者が泣き別れてしまう。 仮に難民が自分の生まれた国を捨ててアメリカに入国したとする。そして、アメリカに入国して1週間後にアメリカで亡くなる。所得税の観点ではアメリカ市民でもないし、グリーンカードを持っているわけでもない。実質滞在テストでも183日に満たない。しかしながら、帰る国を捨ててアメリカに入国しているために、遺産税の上ではアメリカの居住者と判断されるという極端な話にもなりうる。 一方、日本で生まれ日本に家族が住んでおり、財産も日本にある人が、グリーンカードを取得して10年も20年もアメリカに住んでいる。しかしアメリカ人の配偶者が亡くなると、日本に帰国すると決めている。この場合は遺産税の上ではアメリカの居住者ではないと言うことも十分にありえる。

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2021.01.31
遺産税・贈与税

遺産税の増税

2021年では遺産税の生涯控除が11.7百万ドル(夫婦では2倍の23.4百万ドル)だ。日本円で言えば約12億円(夫婦で約24億円)の控除があるために、そこまでは遺産税が発生しない。最高税率は40%で2025年末まで継続されることになっていた。 大統領選挙で現バイデン大統領は、この控除を3.5百万ドル(夫婦で7百万ドル)、税率を45%に上げることを提案していた。この生涯控除(基礎控除)と最高税率の変更にとどまらず、相続財産の取得コストを取得コスト方式にかえようと言う大きな変更もある。 現状ではコストとは個人の相続開始日の市場価格に塗り替え(ステップアップ方式)となる。例えば故人が30万ドルで取得した不動産が、相続開始日に100万ドルになっているとする。相続人がこれを譲渡すればざっと70万ドルの譲渡益が出るが、その不動産をすみやかに譲渡すれば、コストが70万ドルに持ち上げられるので譲渡益は発生しない。かくして残された人の生活を守ることができる。 一方、取得コスト方式に切り替えられると、譲渡益が70万ドルとなり課税を受けることになる。大雑把に20%の税率として14万ドルの税金が発生する。日本ではこの方式なので、違和感はないかも知れない。 コロナウイルスで混乱している中で、実際にいつ立法化されるかどうかはわからない。しかし、時間の問題と考えた方が良いのではないか。通常は立法化された以前に完了した申告は、そのままで影響を受けない。しかし2021年の初めから遡って対象とすると言う事になれば申告が終わったものと安心できなくなる。 いずれにしても日本の相続から考えると異次元の話だ。日本人が亡くなった時にアメリカ遺産税でアメリカ居住者と見なされる場合、日本を含む世界中の財産が遺産税の対象となる。日本の相続税もあるために、アメリカの遺産税だけではなく日本の相続税が大きな課題になりえる。

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2020.11.08
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バイデン候補が勝って

バイデン候補の勝利がほぼ決まったようだ。これによってアメリカの税金は増税にかじを切ることになる。 連邦遺産税においては生涯控除が減額されると見られている。2017年税法のもとで2020年の遺産税の控除額は$11.58百万($1=105円で約12億円)あり、夫婦の場合はこの2倍で$23.16百万(同じく約24億円)の控除がある。この控除額を超えた場合は40%の税率で課税を受ける。この控除額はインフレ調整を受けながら2021年から2025年まで増加していくのが足元の状態だ。 しかし、これは2025年末までの話で、2026年以降については新たな法律がない限り、2017年法以前に戻ってしまう。バイデン候補が大統領となって、2017年当時の控除額$5.491百万か、更に踏み込むと控除額がもっと減少し、最高税率60%とかに向かう可能性がある。 控除額は生前(贈与)でも死後(相続)でも使える。今の状況では、仮に約12億円の財産があり、2025年末までに亡くなれば、控除により遺産税は発生しない。何もせずに時間が経過してしまうと、約12億円の控除は使えず、課税対象遺産税額が約6億円増加して約3億円前後の増税となる可能性がある。 では今のうちにこのメリットを取ろうと、約12億円を贈与して、2025年までに亡くなれば贈与は無税となる。ところが2025年を超えて2026年になっても生きていれば、約6億円の控除しかない。この場合、6億円は課税対象になって最高税率で課税されてしまうのか。基本的な考え方は、12億円の控除は取り上げられることはない。 しかし、バイデン大統領になり、2025年末ではなく早期に終了させて、控除額も約6億円ではなくもっと少なくすると決めたらどうなるのだろうか。法律が成立するまでに行われたことまで無効とはしないだろう。そのため新たな法律が決まる前に、駆け込みの贈与が増加すると見られる。 上記の控除額はあくまでアメリカ市民や遺産税・贈与税法でアメリカ居住者とみなされる人が対象だ。日本に住んでいる人は、同じ控除額を享受できるわけではない。また、日本の相続税・贈与税も考えなければいけない。

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2020.09.20
遺産税・贈与税

これはいかがなものか

アメリカの市民権やグリーンカードを持つ人が相続で財産をもらう。アメリカは贈与・相続を受けた場合に、財産を受け取った人は課税を受けない。何もしなくてもいいというわけではなく、外国人からの贈与・相続であれば、その財産額が10万ドル以上だと Form 3520で報告義務が生ずる。 相続でForm 3520を提出したら、IRSから相続人が相続財産に対する最高40%の税金を払うように言われる。そんなことはあり得ないはずだ。なぜなら相続人は遺産税を払わないからだ。 ところが、亡くなった方がアメリカの市民権やグリーンカードを放棄した人だった。この場合には、日本の相続と同じように、相続人が税金を払う可能性が残る。 但し、被相続人が出国税でCovered expatriateに該当する場合だ。該当する要件は3つある。 ①納税額基準 過去5年の平均納税額が2019年の場合だと$168,000以上 ②財産額基準 市民権・グリーンカード放棄時に純資産$200万以上の人 ③適正申告基準 過去5年の申告納税義務をきちんと果たしていない人 Covered expatriateではないということを証明すればいいではないか。 しかし、故人が市民権を放棄したのは30年前だったとする。適正に申告をしていたという証拠をどうやって提出し、該当しないと証明するのか。30年前に財産が$200万以下と説明するのも容易ではない。 IRSに30年以上も前の申告書を第三者が求めてもどこまで開示してもらえるかわからない。証明するのは至難の業で、IRSの言うように40%の税金を払うのか。これはあまりにも乱暴な話だ。 IRSもやたらと刀を抜いて振り回すことをしないとは思う。しかしいざという時には、市民権・グリーンカードを放棄した人からの相続や贈与は、面倒な話になることもあり得る。頭の片隅にでも置いた方が良いだろう。

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2020.09.06
遺産税・贈与税

民主党のバイデン候補が勝ったら

増税に潮目が変わりそうだ。日常生活の身の回りで何が影響するのだろうか。 バイデン候補が勝つと、個人所得税の最高税率が40万ドルを越すと37%から39.6%となり、100万ドルを超えるキャピタルゲインの税率が20%から39.6%となると言われる。 所得税だけではなく遺産税・贈与税の影響も出る。現状では約12億円/人(夫婦だと約24億円)の基礎控除が取れるが、2010年レベルの基礎控除が約6億円(上乗せはあるかも知れない)に戻る。 この中に、ステップアップの廃止もあるというのだが、この影響は大きい。ステップアップは財産の取得コストを、故人の死亡した日の市場価格に持ち上げてくれるものだ。 例えば親が30万ドルで不動産を購入し、亡くなった時の市場価格が100万ドルとする。相続した人が、右左に100万ドルで譲渡すると取得コストが100万ドルに塗り替えられているために、譲渡益がゼロで税金は発生しない。これをやめてしまおうというものだ。結果、取得コストは30万ドルのままなので、譲渡益が70万ドルに税額が発生する。 問題は、代々受け継いできた財産で、取得コストがわからないケースだ。日本はいよいよになれば5%を取得コストとみなす。ところが、アメリカの場合は、きちんとした資料を提示しない限りは取得コストをゼロとする。いくら何でも取得コストゼロで財産を取得することはあるまい。しかし親や祖父母の時代の資料が手元にあるのか。そうなると、譲渡額の100%が課税対象となることもあり得る。富裕な層にとってはきちんと管理がなされて資料が残っているかも知れない。ところがそうしたデータが残っていないと、むしろ所得の低い人が影響を受けてしまうかも知れない。 今のステップアップだと通常では相続時にアメリカの税金は発生しない。残された相続人の生活が守られ、相続人が財産を譲渡した時に初めて税金が発生する。財産を譲渡した時のお金が手元にあるので、そこから税金を払うことができる。それが相続時点で納税が起き、更に譲渡時点で税金が発生する事もあり得る。それでも日本の相続ではステップアップしないので、日本人には違和感がないかも知れない。

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2020.08.23
遺産税・贈与税

そうはうまくいきません

米国人は居住している場所とは無関係に全世界所得課税を受ける。日本に住んでいる米国人も米国に申告をする。米国では夫婦合算申告をすることが多い。そこで米国人の配偶者と日本人の配偶者でも夫婦合算申告を自然に考える。そのためには最初にその宣言を行い、IRSに認められることが必要な例外措置だ。 本来、日本人の配偶者は非居住外国人なので、米国源泉の所得がない限り米国に申告することはない。それをわざわざ米国居住者扱いをして、日本の所得まで米国の課税所得に入れる。2019年ベースでは標準控除の$12,200を利用できる。そこだけに限るとメリットがある。しかしながら、それが最良かどうかは別問題だ。 さて話は米国の遺産税となる。米国市民の夫婦間の相続では、税金がかからずに無制限に財産を相続できる。米国だけではなく、世界中でも同じ扱いなので、日本に住んでいる米国人の夫婦でも米国の遺産税では同じだ。日本の相続税は別の話だ。 米国遺産税では、米国人の配偶者と日本人の配偶者のケースでも同じと思うかも知れない。なぜなら米国に所得税の申告をする時に、日本人の配偶者を米国居住者として夫婦合算申告を行っているからだ。 日本人配偶者を米国居住者として所得税を申告を行い、これで相続対策ができたというわけにはいかない。いかに所得税では認めても贈与や相続では一線を画している。所得税での宣言が米国遺産税に及ぶことはない。

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2020.08.09
遺産税・贈与税

アメリカの税務と縁がなくても

アメリカの税務など全く縁もゆかりもないという方でも、突然アメリカの税務に巻き込まれてしまう事がある。 アメリカに住んでいた親族が亡くなって、財産の相続人になる場合がその一つだ。全く、財産をもらうことなど考えてもいなかったのに、ある日突然降ってわいたような話が起きる。故人には配偶者や子供がおらず、親も生きていないために、日本の兄弟姉妹が相続人となる。あるいは個人年金の受益人として日本に住んでいる方が指定されている。 アメリカの金融機関から財産を受け取るために様々な書類の提出を求められる。アメリカで亡くなる方は高齢で亡くなっている。すると日本の相続人もその兄弟姉妹で高齢と言う事が多い。なかなかフットワーク良く実務が進まないことがある。 アメリカから要求されるいろいろな書類の一つがForm W-8 BENだ。この中で、TIN(Taxpayer Identification Number)を記入しなくてはならない。アメリカの社会保障番号(SSN)か納税者番号(ITIN)を求められている。 日本に住んでいる方でアメリカと縁もゆかりもなければ、アメリカの社会保障番号や納税者番号を持っていることは期待できない。アメリカで働きアメリカの社会保障制度の中に入るわけではないので、社会保障番号は取得できない。残るは納税者番号ITINになってしまう。 たとえ話として適切かどうかわからないが、立ち位置を変えるとアメリカに住んでいるアメリカ人に、日本から相続をするために、日本のマイナンバーを取ってくださいというようなものだ。 納税者番号の取得はいくつかあるポイントの一つにすぎず、実務として何をどうやっていくのかは、かなり時間を要し簡単ではない。 いずれにしても、アメリカの税務と縁がないと思っていても、突然、引き込まれてしまう人もいる。年令が高い方の場合、なかなか容易に相続が進まないことがある。

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2019.12.29
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親族にアメリカの家を貸す

アメリカで購入した不動産を第三者に賃貸して賃料を得る。これは不動産賃貸事業を行っているのでアメリカの所得税の申告対象となる。 自分の持っている不動産を配偶者、子供や兄弟などに住まわせ、賃料をもらわないとかほとんどお金をもらわないこともありえる。 これをアメリカの申告書ではどう処理するべきか。アメリカの税務上、本来、第三者に賃貸したのであれば得られる賃料をもらわないと、この分が贈与として考えられる。 では贈与税の申告をどう行うことになるのか。アメリカでは贈与税は贈与をした側に発生する。不動産を借りた人は贈与税を支払う形ではない。 もしも米国市民の夫婦間での賃貸とすると、夫婦間贈与はアメリカでは無制限の配偶者控除があるために贈与税は発生しない。米国市民から日本の配偶者だと1年につき15.5万ドルの配偶者控除がある。もともと夫婦間での賃貸は極めてまれかもしれないが、基本は賃料をもらわなくてもアメリカの税金は発生しない。 夫婦でない場合は、年間の非課税贈与枠が$15,000ある。家賃が年間$15,000以内だと贈与税は発生しない。$15,000を超えた部分は贈与の対象となる。しかしながら、死亡時に適用される控除額がある。その控除枠を先食いしたものとして死亡時に精算すれば、実際には贈与税はほぼ発生しないと言えるだろう。 つまり、親族に自分の不動産を無償で住まわせても、アメリカの所得税の対象ではなくアメリカの贈与税が課税される可能性も小さいと考えられる。

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2019.12.08
遺産税・贈与税

アメリカの共有財産

アメリカでは夫婦間で財産を共有することが多い。配偶者が亡くなった時に、生きている配偶者がその共有分をもらう形が典型と言える。相続が発生した場合、その共有財産を取得した時に誰がいくらお金を出したのかと言う事が問題になる。 アメリカ人同士の夫婦では、相手が資金を出していなくても、共有にした時に半分が相手のものになる。そこで、残りの半分だけが相続財産の対象となる。 一方、外国人(=日本人とか)の場合は、いくらお金を出して取得したかが問題になる。共有と言いつつも、持ち分を証明する証拠書類を提出できなければ、すべてが遺産税の対象に含まれてしまう。何とも不公平に思えるかも知れない。 しかし、かえってこれが良い結果をもたらすこともあり得る。2019年では1140万ドル(約12億円)の控除がある。外国人の場合は、この控除を満額使えないにせよ、10%で1.2億円、20%ならば2.4億円の控除を使える(日米の財産比率で変動)。1億円程度の財産ならば控除額以内なので、遺産税はかからない。 もともと3,000万円で不動産を買っていたものとする。アメリカでは遺産税に取り込まれた部分が、死亡日の市場価格におきかわって取得コストになる。この時点で1億円の不動産を1億円で譲渡しても、所得税では譲渡益が発生しない。 自分の持分50%ならば、この分は遺産税に入らない。その結果、50%分しか死亡日の市場価格に置き換わらない。上述だと3,000万円×50%+5,000万円=6,500万円が取得コストだ。1億円で譲渡すると3,500万円の譲渡益が出てしまう。 アメリカの財産を譲渡しても、日本の所得税の対象になる。日本の所得税では取得コストが置き換わらない。この点は要注意だ。

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