遺産税・贈与税

2024.11.03
遺産税・贈与税

子供にかわって親が税金を払うと

親が子供のアメリカの税金を支払うことができる。小切手・クレジットカード・銀行振り込みで支払う時には子供の名前と社会保障番号(SSN)を明記する。これにより、子供が税金を納付したことになる。 ただし、親が子供のために税金を支払う場合、それは贈与と見なされる可能性がある。IRSは、等価の見返りなしに他人に財産やお金を譲渡する行為を贈与としている。これには他人の税金を支払うことも含まれる。 さて、アメリカの場合贈与税は贈与者が支払う。日本は受贈者が贈与税を払うので、全く正反対だ。親がアメリカの贈与税を負担することになる。 しかし、年間および生涯の遺産税・贈与税の控除が適用されるため、支払った金額が必ずしも贈与税の対象になるとは限らない。2024年の年間控除額は受贈者1人あたり18,000ドルある。この金額以内だった場合は、親はアメリカの贈与税を支払うことはないのでアメリカの贈与税の申告書を提出する事はない。 支払った金額がこの控除額を超える場合、贈与税の申告が必要になる。生涯控除が1人当たり$13,610,000($1=150円で約20億円強)あるために必ずしも贈与税を支払う必要はない。 これはどういうことかと言えば、この生涯控除額を先食いするからだ。財産が20億円以上で相続の時に生涯控除を満額使いたい場合は、18,000ドルを超える部分の贈与税を支払えばよい。 さて、これはアメリカ市民の親子間での話となる。日本に住んでいる日本人の親がアメリカに住んでいる子供というケースではどうなるか。 非居住外国人たる日本の親にはアメリカの生涯控除はない。そのため、$18,000の非課税枠を超えてしまうと、課税対象となってしまう。 さらに日本の贈与税が出てくる。2024年の日本の非課税贈与枠は110万円だ。アメリカの非課税贈与枠だけ見て贈与を行うと、日本の非課税贈与枠を超えることがある。この場合、日本の贈与税を払うのはアメリカに住んでいる子供となる。日本の税金を支払うためには、日本に納税管理人が必要となる。 日本人の親が子供にかわってアメリカの税金を支払う事はできるけど、贈与の話を頭に置いておきたい。

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2024.09.22
遺産税・贈与税

アメリカ贈与税は100年前に誕生

アメリカの歴史を見てみると、ちょうど今から100年前に贈与税が初めて誕生している。20世紀初頭、アメリカは歳入の確保と公平な税制を目指していた。第一次世界大戦の戦費調達もあり、遺産税は1916年に導入された。しかし、富裕層は生涯にわたって資産を贈与することで課税対象となる遺産を縮小し、多額の税務上の負担を回避することができた。 これを防ぐために1924年に贈与税が導入された。即ち、贈与税は、遺産税を補完するように設計されており、財産の移転が生前か死後かに関わらず、課税の対象となるようにした。 贈与税は政治的・経済的な圧力で1926年に廃止された。しかし、廃止は生涯贈与による税の回避につながるため1932年に贈与税を再導入している。 再導入以来、贈与税はさまざまな変更と調整を受けてきた。1976年には贈与税と遺産税を統合し、生涯贈与を通じた遺産税の回避を制限している。 贈与税 は生きている間、遺産税は死後での財産移転だが、人の一生で財産を移転することに生涯控除を使う。この控除が2024年では$13,610,000($1=140円で約19億円)あり、ほとんどの人は事実上、贈与・相続では税金がかからない。アメリカは財産を移転する人が課税され、日本は財産をもらう人に課税される。 しかしながら、これはアメリカ市民の控除だ。日本に住んでいるアメリカ非居住者の方が贈与を行う場合は話が違う。贈与においては2024年では年間非課税贈与額は$18,000でこれを超えると課税を受ける。 贈与税と遺産税の通算で一生涯いくら控除ができると言う形はなく、死亡時に$60,000までの控除しか使えない。仮に遺産の総額 $100,000なら、免除額$60,000で課税対象額は $100,000 - $60,000 = $40,000だ。適用税率22%で遺産税額$8,800となる。 アメリカ市民には寛大でも非居住外国人にはそうではない。

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2024.08.25
遺産税・贈与税

例外もあります

アメリカでは財産をあげる人が課税される。日本は財産をもらう人が課税される。贈与(または相続/遺贈)を受ける多くの人が、アメリカも日本と同じで財産をもらった人が課税されると考えてしまう。これは正しくはないのだが、アメリカの税務であっても、日本の頭でいる方が安全な場合がある。 一つは財産から生ずる収入だ。 仮に叔母が家を贈与してくれたとする。一般的なルールでは、家そのものの価値は総所得に含まれない。つまり、家を贈与された時にその価値に対して税金を払う必要はない。 ところが、その家を賃貸して賃貸収入を得た場合、その賃貸収入は総所得に含まれ、賃貸収入に対して税金を払う事になる。 もし叔母が家そのものではなく、家からの賃貸収入を贈与してくれた場合、その賃貸収入は総所得に含まれる。賃貸収入に対して税金を払う必要がある。 さて、この叔母が元々アメリカ市民またはグリーンカードを持っていた場合だ。現在は市民権やグリーンカードを放棄してしまっている。この場合の贈与や遺贈には特別な税金が適用される場合がある。 特別譲渡税(Section 2801 Tax)があり、元アメリカ市民であった叔母から受け取った贈与や遺贈が、特別譲渡税の対象となることがある。この税金は、贈与や遺贈の価値の40%に相当する税金が課される。 贈与の価値が1,000,000ドルだと、贈与された財産の価値に対してざっと400,000ドルの特別譲渡税を支払う事になる。しかも税金を払う人は贈与を受けた人だ。 叔母が30年前、50年前にアメリカ市民権を放棄していたとしても、この規定の対象になるのだろうか。特別譲渡税の適用には時間的な制限がある。特別譲渡税は2008年6月17日以降にアメリカ市民権を放棄した人に適用される。したがって、30年前、50年前に市民権を放棄した人からの贈与や遺贈は、この特別譲渡税の対象にはらない。 こうした財産から生ずる所得や贈与そのものに対する課税は、アメリカ市民やグリーンカードを持っている人だけに発生するものではない。 全くアメリカに足を踏み入れたこともない、日本で暮らしている普通の日本人にもアメリカの税金が発生する。知らなかったので何もしていませんでしたではすまない。

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2023.11.19
遺産税・贈与税

世代をスキップさせる相続

祖父母はできるだけ早い時期に、自分の財産を子や孫に残したいと考える。しかしながらアメリカの相続では、遺産税を考えなければいけない。2023 年現在、遺産税には生涯控除額があり、 1,292 万ドル($1=150円で約19億円)以内の遺産ならば税金は発生しない。夫婦を合わせると2倍となるので約38億円までは遺産税がかからない。これだけでも大変な数字で普通の人には縁のない数字だ。但し、この数字はアメリカ市民とかそれに準ずる人に適用される。外国人である日本人が必ずしもこの金額の控除を満額使えるわけではない。 このラインを超えると税金を払って子が相続した財産が、さらに将来孫に渡されるとまた遺産税が発生してしまう。ならば自分の子供ではなく孫に相続させると、遺産税を払う機会が1回で済んでしまうと考えるかも知れない。 スキップさせて財産をもらうのは孫や孫だ家ではなく、曾姪や甥など、他の近親者も対象となる。また血縁関係、結婚関係、または養子縁組のない受益者も、祖父母より 37 歳半年下であれば、スキップ対象とみなされる。 これは良さそうだが、アメリカ連邦税では世代を飛ばす相続にはGeneration Skipping Transfer Tax(GST)が存在する。GSTは遺産税とは別であり、遺産税が課された後に追加される。一律 40%で計算される。 親から子へ、子から孫へと相続すると遺産税が二回発生する。子を飛び越えて孫に相続させると遺産税一回+GST一回で二回課税が発生する。GSTは税率が40%で遺産税がもう一回あるのと変わらない。 仮に、生涯控除を使い切ってフル課税を受けると仮定して、100万ドルを孫にあげようとするとどうなるか。きわめて大雑把な単純計算だが、遺産税が40%で40万ドル、GSTが同じく40万ドル、遺産税の上乗せ分にもGSTがかかるので16万ドルだ。税金は合計96万ドルとなる。祖父母が196万ドル払って、孫は100万ドルを手にする。これではどうしようもない。 Generation Skipping Transfer Taxは、祖父母が子をスキップして遺産税を回避するのを防ぐように機能する。

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2023.11.12
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大谷選手がグローブ6万個を寄贈

エンゼルスの大谷翔平選手が11月9日、日本国内約20,000校の全小学校に各3つのジュニア用グローブ約60,000個を寄贈するというニュースが流れた。すごくインパクトが大きく、さすがに大谷選手だと拍手を送らずにはいられない。 アメリカの贈与では年間非課税枠があり、2023年では$17,000となっている。何とか非課税にしたいと考えている時に、この天文学的なニュースを聞いたら一体どうなっているのかと驚くかもしれない。 アメリカは日本と異なり、贈与をする人が贈与税を払う。アメリカの贈与で2023年の非課税贈与枠は、もらう人の一人あたり1年間に17,000ドルだ。もらう人の数の制限はないので、何人でも非課税で贈与ができる。 ただし、年間控除額を超える贈与は課税対象の贈与とみなされ、贈与者の生涯控除額(現在 1,292 万ドル;$1=150円で約19.4億円)と相殺することになる。1,292万ドルの免除は、贈与と遺産税を合わせたものに適用される。贈与に免除を使用すると、遺産税に使用できる生涯控除額が減額される。このため、財産が約19億円もない場合、通常はアメリカの贈与税・遺産税を払うことがない。 これは良い話だと、日本に住んでいる祖父母がアメリカに住んでいる子供や孫に一人当たり300万円/人(同上レートで$20,000)をあげたらどうなるか。$20,000-$17,000=$3,000が課税対象となる。税率が$10,000までは18%なので$540の納税となる。 さて、$540の納税と言うけども、生涯控除の約19億円がある。$540の税額が出てきたところで、生涯控除額のために、全く余裕でアメリカの贈与税を払うことはないと思うかも知れない。 ところがこの生涯控除額はアメリカ市民(グリーンカード所有者等)を対象にしている。残念ながら日本に住んでいる日本人の祖父母を対象にしているのではない。そのために、アメリカの外国人たる祖父母には課税がなされてしまう。 大谷選手の天文学的な贈与には贈与税がかからず、何で自分が課税されるんだと思わないためには、アメリカの非課税贈与額の金額に納めなければならない。さらに重要なことは、日本の贈与税があるため、日本の非課税贈与枠を忘れてはいけない。

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2023.10.29
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教育資金一括贈与

日本には教育資金一括贈与があり、1500万円までの教育資金の贈与は非課税となる制度がある。祖父母が日本に住むアメリカ市民権も併せ持つ孫に、教育資金の一括贈与を行った場合を考えてみる。 アメリカの贈与税はもらった人が課税を受けるのではなく、贈与を行う人が課税される仕組みだ。日本とは180度異なる。 では、もらう側の孫は何もしなくても良いのかと言えばそうではない。アメリカでは外国贈与の報告制度があり、その課税年に10万ドルを超える外国贈与がある場合、Form 3520で報告をしなくてはならない。この報告を行わなければペナルティの対象となる。 日本の教育資金一括贈与はアメリカの税務から見た時にどう扱うべきなのだろう。そもそも、この制度は贈与たり得るのか。贈与としたらいつForm 3520を提出するのか。 贈与とはあげましょうという人ともらいましょうという人の双務的な契約だ。祖父母が幼稚園、又は小学校に入学する子供に贈与をしますといっても、孫に行為能力がなく、何のことかわからなければ、祖父母の一方的な行為で贈与とは言い難いだろう。 また、贈与であるからには贈与を受けた人が完全に自分のものとして、自由に贈与を受けたお金を消費したり処分することができなければならない。 教育資金一括贈与は直接、その本人にお金が渡るわけではなく、金融機関にプールされている。その子供の自由になる個人の預金口座にお金が振り込まれているわけでもない。1500万円を金融機関の教育資金口座に払い込んでもらっても、その使途について入学金、入園料、授業料、教材とか制限がある。その事実を証する証票がなければその資金を払い戻してもらえない。お金が教育資金として使われなければこの制度の対象にはなり得ない。 こうした状況では、アメリカの税務から見た場合、1500万円の教育資金一括贈与の資金が金融機関に振り込まれた時に、贈与がなされたと認定するのは難しいだろう。 幼稚園・小学校・中学・高校・大学等に入学時に、お祝いとして贈与をもらうとか毎年の授業料を払ってもらうならば、その時点で、贈与が都度発生したと見るべきだろう。 さてForm 3520は1課税年で10万ドル以上の外国贈与が報告対象だ。現時点では$1は約150円なので、1500万円を一回に教育費として使えば、10万ドルとして報告の対象となる可能性がある。毎年授業料100万円とか、入学時に100万円とか200万円とか入学金として使っていたとしても、現状の為替水準では1年で10万ドルを超えることはない。 こうして考えてみると、教育資金の一括贈与をForm 3520で申告しなければならないケースはほとんどないと考えて良いだろう

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2023.07.16
遺産税・贈与税

暑い夏の夜に

米国市民権やグリーンカードを放棄した人は、やれやれ、これで一切のアメリカ税務から縁が切れたと思うかも知れない。しかしながら、税務上の出国した後でも気を許せないことがある。 外国贈与では、もらった人は、多くの場合、Form3520で贈与を受けたことを報告するだけで、贈与税を支払うことはないと書いた。しかしながら、物事には例外がありうる。良かれと思って行った贈与が、贈与された側にとんでもない影響を及ぼすこともあり得る。 贈与した側は納税をしなくてはならないと分かっている。しかしながら、全く予期しない事態が出来し、納税する資金がないとか、資金はあっても健康状態が悪化して動くことが難しくなってしまうこともあろう。 贈与者が納税できなくなってしまった場合、贈与を受けた人がその税金の支払いを求められることになる。 さらに全く意識をしていないところに、とんでもない悪夢が顔を出すかも知れないことがある。アメリカ市民権やグリーンカードを放棄した人が、贈与又は相続に絡む場合だ。 米国税法2801での贈与・相続への課税がある。この条項で「対象となる出国者」とされると、贈与・相続額に対して現時点では40%の税金が財産をもらった側に課されてしまう。さらに驚く事は、出国時の財産でお終いになるわけではなく、出国以降の財産も課税対象になり得る。 財産をあげる側はアメリカに住んでいないこともあり、相続なら亡くなっている。そのため、上述の対象でない出国者たることの証明が、財産をもらった側に発生すると言うややこしい話だ。 あたかも自分が潔白であることを、相手のデータで証明する話なので大変だ。一例がForm 8854で出国前5年の申告を適正に行い、納税額があれば納税をしていることだ。これを証明する責任が財産をもらった側にある。 アメリカ市民権やグリーンカードを放棄したのが10年前、20年前と言うこともあろう。財産をあげる方も、もらう方も、こんな話は聞いたことがないと言うはずだ。相続なら事実を究明しようにも、本人が亡くなっている。かくして財産をもらった人は客観的な証拠書類を提出できない。結果的にもらった財産の40%の課税と言うのはあまりにも過酷だ。 これを避けるためには、財産をもらう人の手元に、財産をあげた人の出国税の申告書や出国前5年の申告書、その申告のために必要なデータ、契約書などの関連データがないといけない。 アメリカ市民権やグリーンカードを放棄した人は、そうした書類を財産と共に財産をあげる人に対して、きちんと整理して渡さないといけない。財産をもらう人が複数いれば、そのデータを複数揃えなくてはならない。 そもそもこんな話を聞いたこともないと言うのが普通だろう。だからと言って免罪符にはならないのが悩ましい。アメリカ市民権やグリーンカードを放棄した人は、すべてForm 8854を提出していないと、それ以前の話でアウトになってしまう。 暑い夏の夜の怪談みたいな話である。

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2023.07.09
遺産税・贈与税

気をつけたい外国贈与2

外国贈与はあげる人が外国人(日本人)で、もらう人がアメリカ市民、グリーンカード所有者、税務上のアメリカ居住者の場合、外国贈与としてアメリカの税務を考えなければならない。 もらう人のアメリカ贈与税についてはこちらに書いた。では、外国人の贈与を行う人はアメリカの税務ではどうなるのか。 アメリカ税務上、贈与に対する課税は贈与者に行われる。即ち、贈与を行う外国人が税金を負担することになる。あげる方にしてみれば贈与をしてなおかつ、それに対する税金を自分で払う形だ。 ただ、日本に住んでいる人が、アメリカ市民、グリーンカード所有者、税務上のアメリカ居住者に日本にある財産を贈与しても、基本はアメリカの贈与税の対象とはならない。日本の贈与税の対象だ。 しかし、日本に住んでいる人でも、アメリカ市民、グリーンカード所有者、税務上のアメリカ居住者に財産を贈与して、アメリカの贈与税の対象になるケースがある。 贈与する財産がアメリカに存在する場合がこのケースにあたる。 例えば、親がもっているアメリカにある不動産を子に贈与するような場合だ場合だ。物理的にアメリカに存在するもの(と想定されるものも含む)の贈与で、相手に直接渡される現金や美術品、貴金属、家具、自動車だとか有体財産が対象だ。2023年では非課税贈与枠が$17,000なのでこの金額を越えると課税となってしまう。 現金の中には小切手や銀行送金も含まれる。親がアメリカに預金口座を持っていて、その口座から子供のアメリカの口座に銀行送金をすると贈与と見なされうる。 親が日本の口座から子のアメリカの口座に送金する、日本にある親の口座から日本にある子の口座に送金すれば、アメリカの贈与税の観点ではより安全と言える。しかしながら、日本の贈与税があるので、日本側税務を考えなければいけない。 アメリカの贈与や相続では、生涯控除がある。2023年では1292万ドル($1=140円で約18億円)だ。この枠内の場合、アメリカの贈与税はかからないと考えかもしれない。しかしながら、贈与税においてはアメリカの非居住者たる外国人の我々は、この生涯控除を使うことができない。相続の場合は別だ。 贈与を行う場合は、もともと日本の贈与税がある。アメリカの贈与税だけではなく、日本の贈与税も慎重に検討しなければならない。

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2023.01.08
遺産税・贈与税

気をつけたい外国贈与

外国贈与とはアメリカの税務では、アメリカ市民・グリーンカード所有者・長期居住者が外国に住んでいる人から贈与を受けることをいう。日本に住んでいる日本人の祖父母や親が、子供・孫にお年玉やら教育費や不動産購入等のお金や不動産そのものをあげることが一例だ。 アメリカの税務で考えてみる。初めに、あげる方ももらう方も日本人同志で、対象の財産がアメリカにはなく日本にある場合では、通常はアメリカの税務を考えることはない。日本の贈与税を考えればよい。 しかし、あげる方が外国人(日本人)で、もらう方がアメリカ市民、グリーンカード所有者、税務上の居住者の場合、外国贈与としてアメリカの税務を考えなければならない。 アメリカ税務上、贈与に対する課税は贈与者に行われる。即ち、贈与を行う外国人(日本人)が税金を負担することになる。日本では正反対でもらう人が税金を負担する。あげる方にしてみれば贈与をしてなおかつ、それに対する税金を自分で払う形だ。 すると日本に住んでいる日本人の祖父母や親が、アメリカの贈与税の申告をするのかと言う事になるが、外国からの贈与はアメリカの贈与税の対象となっていない。外国からアメリカにどんどんお金や財産が無償で流入して悪かろうはずがない。外国からの贈与に税金をかけて、わざわざブロックすることはないと言う事だろう。 これからすれば、外国贈与はほとんど気にしなくていいと思うかも知れない。こんな良い話はないと思うかも知れないが、実は頭を抱える事がある。 贈与を受けるアメリカ市民、グリーンカード所有者、税務上の居住者は、贈与税を払うことがない。しかし、10万ドル以上の贈与または相続をForm 3520で開示する義務がある。 10万ドルは1件での金額ではなく、その年に行われた、受取人一人当たりの金額だ。3万ドルを4回もらえば12万ドルで開示義務に該当し、Form 3520の提出対象となる。3万ドルを3回と4回目が$1万に満たない金額ならば、10万ドルに達しないので、このフォームの提出要件を満たさない。 その年の申告で失念したり遅れて開示すると、ペナルティを受ける可能性があるので慎重に処理をしたい。また、日本の金融口座にお金が振り込まれたら、FBARやFATCAでの申告対象になり得るので、これも合わせて気をつけたい。外国贈与は意外なところで注意が必要だ。

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