1月23日からITSは2022年分の2023年分申告を受け付ける。これは世界中から申告書がIRSに送られる。当然、日本に住んでいる人もこの対象だ。日本に住んでいれば日本円で生活している。日本円のまま申告はできないわけだから、アメリカの申告をするためにはドルに換算する。 すると為替レートが必要になる。この為替レートはいろいろな政府機関や民間会社が発表している。 Governmental Resources • Treasury Department’s Currency Exchange Rate • Federal Reserve Bank • U.S. Department of Agriculture External Resources • Oanda.com • xe.com • x-rates.com しかしながら、IRSが発表する2022年の年間平均為替レートは、1月22日現在、まだ発表されていない。IRSのサイトにあるのは2021年の2022年申告用のデータで、これは1年前の申告シーズンに使ったものだ。 申告書を明日から提出してくださいと言うのに、為替レートが発表されていなければ計算できない。何か、外国からの申告は2の次と言わんばかりだ。IRSから見れば、海外からの申告期限は6月15日と2か月の延長があり、猶予があるじゃないのというかも知れない。 Federal Reserve Bankの2022年平均為替レートは発表されている。 $1=131.4589円だ。またFBARやForm 8938に用いる年末日の為替レート$1=131.83円だ。 いずれにしても円安のおかげでドル換算した時に、数字が小さく出る。課税所得が小さい方向になるので、なんとなく気持ちが楽になる。 おそらく数日以内にIRSは平均レートをIRSのサイトで発表するだろう。従来、IRSの年間平均レートを使っていれば、継続性を大事にしてIRSのレート発表を今しばらく待ち、それを使うのが安全コースだろう。
IRSは1月23日(月曜日)から、2022年の個人所得税の申告書を受付ると発表した。 それにしても気になるのは、前年分までの申告書がいまだに処理されていないことだ。昨年の申告での未処理申告件数は、IRSによればピーク時に1150万件で、これが2022年12月中旬には約400万件まで減少いる。逆に言えば、まだ400万件ぐらい残っているともいえる。 今年の個人所得税申告件数は1億6800万件程度とみられる。昨年の申告書の処理が全て終わっていないのに、新たな年の申告書が雪崩を打って押し寄せてくる。 IRSは予算が増加し、職員数が増えるので、今年は昨年よりも良くなると言う。2023年はコロナウイルスの給付金の支給がなくなるので、今年はIRSの職員の負担も減り、本来の申告書の処理に集中できる。 機械ならば設置したらすぐに動くだろう。しかし、職員数を増やしても、申告書を処理する人は、税金の勉強をしなければいけないし、トレーニングを受けなければならない。雇用された翌日からバリバリと仕事をこなせるとはならないだろう。 2023年も引き続き、申告はトンネルから抜け出せず、地下鉄の電車に乗り続けるようなもので、電車は地上を走ってくれないだろう。2023年も甘くは見ずに、相変わらずの混乱の中での2023年申告シーズンになるに違いない。 さてこうした中で、日本からのアメリカへの申告だ。ありがたいことに、日本からの申告期限は6月15日だ。還付も納付もない申告の場合、せめてピーク時の満員電車(4月15日期限)を避けて申告をしたらどうだろう。ピークを外してすいている電車に乗るように、IRSの負担を軽くすることができるかもしれない。
外国贈与とはアメリカの税務では、アメリカ市民・グリーンカード所有者・長期居住者が外国に住んでいる人から贈与を受けることをいう。日本に住んでいる日本人の祖父母や親が、子供・孫にお年玉やら教育費や不動産購入等のお金や不動産そのものをあげることが一例だ。 アメリカの税務で考えてみる。初めに、あげる方ももらう方も日本人同志で、対象の財産がアメリカにはなく日本にある場合では、通常はアメリカの税務を考えることはない。日本の贈与税を考えればよい。 しかし、あげる方が外国人(日本人)で、もらう方がアメリカ市民、グリーンカード所有者、税務上の居住者の場合、外国贈与としてアメリカの税務を考えなければならない。 アメリカ税務上、贈与に対する課税は贈与者に行われる。即ち、贈与を行う外国人(日本人)が税金を負担することになる。日本では正反対でもらう人が税金を負担する。あげる方にしてみれば贈与をしてなおかつ、それに対する税金を自分で払う形だ。 すると日本に住んでいる日本人の祖父母や親が、アメリカの贈与税の申告をするのかと言う事になるが、外国からの贈与はアメリカの贈与税の対象となっていない。外国からアメリカにどんどんお金や財産が無償で流入して悪かろうはずがない。外国からの贈与に税金をかけて、わざわざブロックすることはないと言う事だろう。 これからすれば、外国贈与はほとんど気にしなくていいと思うかも知れない。こんな良い話はないと思うかも知れないが、実は頭を抱える事がある。 贈与を受けるアメリカ市民、グリーンカード所有者、税務上の居住者は、贈与税を払うことがない。しかし、10万ドル以上の贈与または相続をForm 3520で開示する義務がある。 10万ドルは1件での金額ではなく、その年に行われた、受取人一人当たりの金額だ。3万ドルを4回もらえば12万ドルで開示義務に該当し、Form 3520の提出対象となる。3万ドルを3回と4回目が$1万に満たない金額ならば、10万ドルに達しないので、このフォームの提出要件を満たさない。 その年の申告で失念したり遅れて開示すると、ペナルティを受ける可能性があるので慎重に処理をしたい。また、日本の金融口座にお金が振り込まれたら、FBARやFATCAでの申告対象になり得るので、これも合わせて気をつけたい。外国贈与は意外なところで注意が必要だ。
アメリカの非居住者が、アメリカにある居住用の不動産を30万ドル以上で譲渡すると、FIRPTAという源泉課税を受ける。 なんでそんなことになるのかというと、外国に住んでいる人がアメリカの不動産を譲渡して、譲渡益を申告しない事を防止するためだ。即ち、税金の漏れをなくするために、不動産の売買時に、買主が強制的に譲渡価格の15%(100万ドル以上で10%)の源泉徴収を行い、源泉徴収義務者としてIRSに納付する。 円で表記するが、仮にアメリカの不動産が1億円で売れた場合、売主は源泉徴収の1,500万円を引かれ、残りの8,500万円を手にする。 本来、この不動産に対する所得税の課税は、長期保有の不動産ならば、譲渡益の20%の課税を受ける。仮にその不動産を5,000万円で購入し、減価償却や譲渡経費を脇に置いて、1億円ー5,000万円=5,000万円の利益が出たとする。税金は5,000万円の20%で1,000万円となる。 つまり、源泉徴収は1,500万円だから、税金の1,000万円より500万円多く払っている。これは何としても還付してもらわなければいけない。そのために、非居住者はアメリカの申告書を提出して、過大に納付した500万円の還付を受ける。申告書を提出して人質を返してもらうようなものだ。ただし、それまでの時間がかかる。 さて米国市民、グリーンカードなどのアメリカ居住者はこの源泉徴収の対象外だ。すると次のように考えるかもしれない。 うちの配偶者はアメリカ市民だ。アメリカの申告も夫婦合算で行っている。不動産も共有名義だ。よし、配偶者が譲渡したことにすれば源泉徴収はゼロじゃないのか? しかし、これはうまくいかない。不動産譲渡益は、その不動産の購入時にお金を出した人の比率で売主に配分される。もしも購入金額を日本人の配偶者が全て負担していたら、本来100%が日本人のものだ。でも、夫婦の共有名義として登記しているので、それぞれの持分は50:50とされる。 ところが、日本の税務から見たら50:50にした時に、そもそも贈与をしたのではとみなされる恐れがある。実態を見てもらい、贈与はなく片方の配偶者個人のものだとする。確定申告時に、実態により日本人配偶者が100%自分の所得として課税を受ける。良かったと思うかも知れないが、アメリカの夫婦合算の申告書半分がそれぞれの配偶者だと、アメリカで課税を受けた税額の50%しか、日本の申告で外国税額控除を取れなくなるかも知れない。源泉徴収の話以上に、そもそもの話になりかねない。 夫婦が一つのユニットになっているアメリカと、夫婦でもそれぞれ課税を受ける日本の違いが出てしまう。
日常、いろいろな形でありがとうございましたとお礼を渡すことがある。この時期は、お世話になっているからとお歳暮を贈ったり、お世話になった人にお礼をあげたりもらったりする。 こうしたお礼はアメリカ税務上、どうなるのだろう。贈与税と所得税の切り口で考える。 贈与税で言えば、社会通念上の通常のお礼ではまず贈与税の対象とはならない。 アメリカでは日本と異なり、あげる人が贈与税を支払う。しかも、あげる人一人あたりで2022 年の贈与税の年間非課税控除額16,000 ドルがある。夫婦であげるとこの2倍となる。非課税の枠を超える贈与はしていないだろう。 一方、会社、雇用主から社員への現金や現金同等物の贈り物は、たいていの場合は報酬としてみなされる。特別ボーナスとかインフレ一時金とかは課税対象の所得となる。違和感はないだろう。 しかしながら、現金以外のお菓子や誕生日祝いをもらったり、会社のコピー機、携帯電話をたまに私的利用する事はどうか。私的利用は許されるかどうかは脇に置くと、ごく少額なら税務処理が現実的でないと見なすため、税金の対象にしていない。 少額とはいくらかと言えば、明快な線引きはない。2001 年IRS のフリンジ ベネフィットガイドでは、 少なくとも 1回、100 ドルは少額ではないとしている。金額が小さくとも恒久的に何度も繰り返されるとこれも課税対象になることもある。
ずいぶん昔の事だが、給料は現金で支払われていた。給料袋にお金が入れられて、給料日には上司からその給料袋を受け取るものだった。懐に現金があると気が大きくなって、あっという間にお金がなくなったり、給料袋を紛失してしまうとか、逆に、使いかけの給料袋が机の中から出てきたと言う人もいたりしてにぎやかな時代だった。 しかし、いつの間にか給料は「銀行口座」「証券口座」に振り込まれる。口座の残高だけが動いて記載される。 そして今、給与を○○Payなどスマートフォン決済サービスで受け取る「デジタル給与払い」が近々実現しそうだと新聞で伝えられている。「決済サービス」に給与が直接振り込まれると、ATMに現金を下ろしに行くことがなくなる。スマホがまるで金融機関のATMだし、自分の財布となっている。 キャシュバックやポイントなどの特典もつくならありがたい話だ。ますますお金を支払ったり、受け取ったりするのではなく、情報だけがやり取りされて決済が終わってしまう。何とも便利なものだと思える。 そこで、気になるのはFBARやFATCAの報告の時に、決済サービスをどう扱うのだろう。金融口座で給与を受けて、そこから○○Payに残高が移る場合、金融口座の残高把握は可能だ。しかし給与支払元から給与がスマホの○○Payに振り込まれるなら、金融機関を通過しない。 決済サービスゆえに金融機関じゃなく、残高報告の対象から外れるのかよくわからない。しかし、趣旨としては決済サービスでも、情報申告の対象に入れると言う方向なのだろうと思う。金融機関の住所や支店名を書くのも戸惑うし、口座番号をどう書くのか疑問を持つ。 とは言え○○Payの残高をすべて報告して特段の不都合はない。申告しないで後から何かを言われるより、そのまま申告するのが安全運転と思える。
年内も1か月を切り、来月には2022年分の2023年申告が始まる。今月はクリスマスでお休み気分になりがちだが、そろそろ申告の資料もそろえなければならない時期に来ている。アメリカの税務から早く解放されたいならば、ここは大事な月だ。 グリーンカードを持っている人が日本に帰国して、そのままグリーンカードを持ち続けていれば、今までのようにずっとアメリカへの申告がついて回る。グリーンカードが期限切れでも、正式な放棄手続きなしには、税務上のステータスは変わらない。 日本だけではなく全世界の所得がアメリカへの申告の対象になる。日本の所得もアメリカに申告しなければならない状況が続く。グリーンカードを放棄するか決断できなければ、アメリカへの申告はこの先もついて回る。 日本に帰国して、もうアメリカに戻ることはないとはっきり決断できているならば、グリーンカードの放棄を行い、アメリカの税務から解放されたらどうだろう。日本の申告に加えてアメリカの申告を行う事は面倒だろうと思う。 グリーンカードの放棄はアメリカ大使館でのサイトに掲載されている。難しいことはなく方向さえ決まっていたら、手続きは書類を郵送するだけで、書類の作成は20分か30分あれば終わるだろうし、あっけないほど簡単だ。年内に十分行うことができる。そうすれば2022年分の2023年申告(出口税も含めて)が最終申告となる㊟。 この手続きを1月以降に行うと、さらに最終申告が1年延びて2024年まで延びてしまう。 一方で、積極的にこれからアメリカで生活されると言うも当然、おいでになる。年令に関係なく70歳半ばになってグリーンカードを取得され、これからアメリカに移るという方にもお会いした。この場合は、日本の年金も含めてしっかりアメリカで申告を行うことになる。 ㊟グリーンカードを放棄しても、アメリカに不動産があって賃貸所得があるとか、その不動産を譲渡して譲渡益の課税を受ける場合は、アメリカ非居住者としてのアメリカへの申告は残る。この場合は、完全にアメリカの税務と接点がなくならない。
イーロン・マスクがTwitterを買収し、週40時間はオフィスで勤務することを指示したとニュースになっている。逆に言えばすっかり自宅勤務が定着している。何より通勤時間がなく、人ごみに入ってコロナウイルスに罹患することを心配しなくて良い。また自分で時間をうまく使い生産性も上がるとありがたい限りだ。 さてリモートで働く場合、仕事を行うために費用が発生する。この費用は税務上、控除対象になるのだろうか。当然のこととして、仕事に付随して合理的に発生する次のような費用は控除できる。 コンピュータ、周辺機器、ソフト、消耗品等 部屋代、机、椅子、サイドテーブルなど 電気代、水道、ガス、通信費、電話、オンライン会議費用 修繕費、メンテナンス費用 車両の燃料代と修理サービス費用 交通費、郵便料金、宅配便等 但し、私的な費用とビジネスをきちんと分けて、私的目的に発生した分は差し引かなければならない。自営業の人には当然のことだし、経費の対極には売り上げがある。 問題は給与をもらって働いている人が、こうした費用を税務上控除できるかだ。控除できるなら、リモートワークはとても魅力的に見える。 しかし、会社に雇用されている人が自宅で働いていても、自宅で発生する費用を差し引くことはできない。州税においては何らかのローカル・ルールがあるかも知れないが、連邦税においては可能性はない。 この場合は、会社に対して発生した費用を請求し、会社から発生した費用を肩代わりしてもらうしかないだろう。会社が発生した費用を支払ってくれた場合、その分を所得に加算して課税を受けることはない。
アメリカに長年住んで株等のキャピタル資産を持っている人が、それを譲渡して譲渡益が発生すればアメリカの課税対象となり、アメリカに納税する。連邦税で20%課税だと1億円の譲渡益があれば連邦税だけでも2,000万円の税金が発生する。 しかし、資産を譲渡しないままアメリカの非居住者になると、アメリカの譲渡益課税の対象から抜け落ちてしまう。 だから、これはありがたい節税策とばかりに市民権やグリーンカードを放棄する。IRSはこうした経済的な利益のために、アメリカ市民・グリーンカードを放棄するのはいかがなものかと考える。そこでExit Taxを持ち出して出国にあたり、まだ資産を譲渡していない場合でも、あたかも譲渡をしたものとして譲渡益に課税を行う。 アメリカに長年住んで働いている間に資産の値上がりを享受している。アメリカでの生活、過ごした時間なしには財産が膨らむことはなかった。それを考えれば、アメリカに税金を払いなさいと言う事だろう。そこで、市民権やグリーンカードを放棄した人はForm 8854(出国税)の提出を求められる。 但し、グリーンカードを持っている人では、過去15年において8年以上グリーンカードを持っていたのかどうかという条件がつく。8年以上の場合はForm 8854を提出する。ところが8年未満の場合は提出をすることがない。 ではEビザで10年とか20年アメリカに住んでいる人はどうだろう。その間に資産の値上がりを享受している。しかし、移民ビザではない。もともと移民ではないのでExit Taxの対象ではなく、Form 8854を提出しない。 移民ではない事が大きな分水嶺になっている。アメリカ市民やアメリカ市民とほぼ等しいグリーンカードを持っている人たちの、税務上の責任は重く、納税の義務を果たして国家に貢献しなさいということか。
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