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所得税

2025.04.20
所得税

5年ルール

Form 2555(外国所得控除)は、米国市民または居住者が海外に居住し、一定の要件を満たす場合に、海外で得た所得を米国所得税から控除することを可能とする。2024年では126,500ドルだ。 これは日本で働いている人だと、$1=150円で約1900万円の働いて得た所得を控除でいるので、課税対象の税額がなくなることが多く、実にありがたい精度だ。 米国は全世界所得課税制度を採用しており、米国市民および居住者は、全世界で得た所得に対して米国所得税を支払う。日本で得た所得に対して、日本で税金を支払い、アメリカの税金も支払うので、二重課税が発生する可能性がある。Form 2555は、この二重課税を軽減する。 海外で働く米国人は、現地の生活費が高かったり、米国にいる家族を扶養する必要があったりと、経済的な負担が大きい。Form 2555は、これらの負担を考慮し、海外勤務者を優遇する目的も含まれる。 さて、このありがたいForm 2555に5年ルールが存在する。Form 2555(外国所得控除)を自主的に使用をやめると、向こう5年間は再び利用することが制限される 納税者が頻繁にForm 2555を利用・放棄すると、IRSは、それぞれの状況を個別に審査し、適切な税額を決定することになる。これは、税務行政の負担を増大させ、税金の徴収・管理にかかるコストを増加させる。 納税者が頻繁に税制上の地位を変更すると、税収の予測が困難になり、政府の財政運営に支障をきたす。5年ルールは、Form 2555の利用を一定期間制限することで、税収の安定性を確保し、税制全体の予測可能性を高める。これにより安定的な財政運営を行うことができるようになる。 知らずにForm 2555を放棄すると、5年ルールで向こう5年間使えなくなる事になりかねない。 ただし特定の年に所得がなく、Form 2555を使うことができない場合は、控除の対象となる条件を満たしていないだけで、Form 2555の放棄ではない。したがって、5年ルールの制限対象にはならない。

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2025.04.06
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延長申請と言うものの

アメリカの個人所得税の申告期限は、アメリカ本土では2025年4月15日で、日本からの申告期限は6月16日(2か月の自動延長付き)だ。Form 4868を提出することで、10月15日まで延長できる。Form 4868を提出する際に税額がある場合は、その納付も必要となる。 このプロセスは本来は簡単だ。しかしながら、自宅で10分から20分で済ませてしまう方もいれば、何日もかけて取り組んでもうまくできないと感じる方もいる。どちらのケースも十分にあり得る。 では、なぜ簡単とは言い切れないのか。これは税務自体の難しさではなく、パソコンやスマートフォンの使用が苦手であったり、オンラインショッピングでのカード決済に慣れていないことが影響している。 以前であれば、気軽に銀行に出向いて送金を依頼すれば、時間はかかるもののお店の人が手続きを行ってくれた。その場で必要な書類の記入を教えてもらうこともできた。しかし、今では機械化と合理化が進み、人間が対応しない時代となっているし、店舗もATMに取って代わり無人化されていることもある。 確かに、パソコンやスマートフォンを使ってオンラインショッピングをしている方でも、初めてアメリカの税金をクレジットカードで支払う手続きを行う際には、不安を感じることもあるかも知れない。 Form 4868は、電子申告であればすぐに送信可能だ。しかし、電子申告に対応していない場合は、郵便局からForm 4868を郵送することになる。この場合、宛先や発送書類を手書きで記入し郵送しようとすると、受け付けてもらえない。そのため、国際郵便マイページサービスを利用して、パソコンやスマートフォンでラベルや発送書類を作成する必要がある。なお、発信主義なので期限内の発信(消印が期限内)ならば、到着が期限を越えても構わない。 こうなってしまうと、税務の話からパソコンやスマートフォンの使い方に話が移ってしまう。延長申請には思わぬ時間がかかることもある。 それゆえに、今日でも明日にでも行動を起こすことがお勧めだ。支払いだけを先に済ませたり、Form 4868の送付だけを先に行ったりしても問題はない。同時に全てを終える必要はなく、それぞれに時間差があっても申告期限までに完了すれば大丈夫だ。 なお、日本からの申告期限は6月16日なので、あわてることなく申告していただきたい。

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2025.03.30
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ありがたい標準控除だが

課税所得を減らすには、主に標準控除(standard deduction)と項目別控除(Itemized deduction)の2 つの選択肢がある。標準控除は固定金額(独身で$14,600とか)を引いてくれるもので、個々の経費をレシートを集めて計算する必要がない。一方、項目別控除ではSchedule Aを用いて、医療費、住宅ローン利息、州税と地方税、慈善寄付などを計上する。 標準控除と項目別控除のうち、いずれか高い方を選択できる。統計的に90%の人が標準控除を使い、残り10%の人が項目別控除を使っている。 確かに高額の医療費や固定資産税やローンの利息等を払っている場合は、項目別控除が有利だ。しかしそれに対しても制限が設けられている。 医療費は 調整後総所得(AGI) の 7.5% を超える分のみ控除対象となる。これ以下の場合は医療費の控除を使えない。住宅ローンの利息は、住宅ローン債務の最高 75 万ドルまでの部分に制限される。州税や固定資産税等の控除の上限は 10,000 ドルで、これ以上の部分は使えない。現金寄付は 調整後総所得(AGI) の 60% までで領収書が必要となる。 多くの場合、標準控除がシンプルでメリットが大きい。これは簡単でありがたいものだ。 ところが、外国人がアメリカに申告を行う場合は話が全く違う。日本に住んでいるアメリカ市民でもなくグリーンカードホルダーでもない人は、Form 1040NRを使う。 Form 1040NRに標準控除はない。初めからSchedule A(Itemized deduction)を用いるしかない。 さらに制限が出る。 医療費であれば、治療が「米国で合法的に認められた医療行為」と同等であること。領収書や診断書など、英文または翻訳済みの証明書類が必要で、為替レートは支払い時の公式レートで換算する。AGIの7.5%基準はそのまま適用される。 日本の所得税は、アメリカの州税または地方税にあたらない。但し外国税額控除を残している。固定資産税の控除は米国内の州・地方のものに限定され、日本の固定資産税は控除できない(賃貸事業では使用できる)。 寄付金控除は、米国の税制に基づく規定がある。寄付を受け取る団体は、IRSより適格団体として事前に認定されている場合に限り控除が認められる。 こうやってみるとSchedule Aで控除を取れるものはほとんどない。この場合、たくさん時間を使ってレシートを集めて整理しても、ほとんど無駄に終わってしまう。

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2025.03.23
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Form 2555での所得控除

Form 2555は、外国に住んでいるアメリカ人やアメリカの税務上の居住者が、外国で働いて得る所得を控除してくれる。2024年では$126,500だ。$1=150円レベルだとほぼ1900万円まで所得から差し引いてくれるので、多くの場合、課税対象の所得が無くなる。 もちろんこれを使うためには条件がある。 納税者がアメリカ以外の国(例えば日本)に通年にわたって居住しているか、連続する12ヶ月間に330日以上をその国で過ごしていると言う条件がつく。 外国での所得を控除してくれるなら、不動産譲渡益や株式譲渡益までも控除してくれると良いのだがそうはいかない。 対象はアメリカ市民や税務上の居住者が海外で働いて得た所得で、次のようなものが含まれる。 給与および賃金: 海外の雇用主から支払われる給与や賃金。自営業の利益: 海外で事業を行い得た利益。ボーナスや手当: 海外の勤務に関連したボーナスや特別手当。 働いて得たものではない所得には次のようなものが含まれる。これは対象外だ。 利子所得: 海外の銀行や金融機関から得た利子。配当金: 外国企業から支払われる配当。賃貸収入: 海外の不動産を貸し出して得た収入キャピタルゲイン: 海外の資産の譲渡益。年金や年金受取: 海外の年金制度から得た収入。 給与が1000万円だと、所得控除で課税される所得がゼロになってしまう。ならば申告書を提出しなくても良いのだろうか。Form 2555を提出して初めて課税所得がゼロになる。申告書類を提出しないと、IRSから見れば無申告の状態でしかない。申告書を提出して初めてForm 2555使えるので税額は発生しないことになる。 さらに外国税額控除Form 1116があるので二重にアメリカに税金を払う必要がないと考えるかもしれない。しかし、Form 2555で所得控除を受けて、さらに所得控除したものに発生した外国税額を控除すると、二重の控除になってしまう。所得で落とした分に相当する外国額は控除することはできない。 またForm 2555を用いるとchild tax creditを取れなくなることもある。Form 1116の方がメリットが出ることもあり得るので、細かくは自分の状況に応じて判断することが必要となる。

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2025.03.09
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税務申告はTax return

日本では、会社員の場合、年末調整で税金に関する手続きが行われる。しかし、アメリカでは、自分自身で税金の申告を行う必要がある。アメリカには源泉徴収制度があるものの、年末調整のような制度はない。 この税務申告は「tax return」と呼ばれる。この言葉は、納税者が政府に財務情報を「返す(return)」行為と、政府が過剰に支払った税金を「返す(return)」行為の二重の意味を持つ表現だ。 アメリカの税務上の居住者は、全世界所得に基づいて課税される。居住者の判定は、市民権やグリーンカードの保有、アメリカ滞在日数等を基準に行われ、この基準を満たす限り、世界のどこに居住していても基本的にアメリカの税務上の居住者とみなされる。したがって、アメリカの所得だけでなく、日本の所得もアメリカに申告する必要がある。日本の所得が含まれない場合、適正な申告とはならない。 アメリカの税務上の居住者は、日本の確定申告の期限が早いため、まず日本で確定申告を行うことになる。日本の申告を終えただけで、アメリカの申告が未提出となると無申告になるので注意が必要だ。 日本の申告でも全世界の所得に対して課税を受ける。その後、アメリカの申告を行うと、アメリカでの税額が発生することがある。二カ国で二重に課税されるため、外国税額控除などで二重課税を避けることが重要となる。日本の申告で外国税額控除を取るケースや、アメリカの申告で外国税額控除を取るケースがあり、この外国税額控除の処理は複雑になりやすい。 アメリカの申告は不慣れで、わからないことが多いため、とにかくこの税務申告を終わらせようと一生懸命になる。何とか終えたら、「よかったよかった」となり、もう一つのReturnであるInformation Returnがすっかり抜け落ちていることが散見される。 Information Returnとは、FBAR(海外銀行口座報告)やFATCA(外国口座税務コンプライアンス法)など、情報提供義務を含むもので、アメリカの税務当局(IRS)が海外の金融資産に関する情報を収集し、適切に税金を徴収するために設けられたものだ。これらの申告は特に難しいものではなく、事実を列挙するだけだが、提出しなければペナルティが課せられる可能性がある。但しアメリカの税務上の非居住者にはこの申告は不要だ。 アメリカの税務上の居住者:Tax return(全世界所得)+Information returnアメリカの税務上の非居住者:Tax return (アメリカ源泉所得だけ) この枠組みをしっかり押さえて申告を行うことになる。

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2025.03.02
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分かれ道

アメリカの個人所得税では、アメリカの居住者か非居住者かの区別が大きな分かれ道になる。アメリカの居住者である場合、全世界の所得がアメリカの申告対象となる。非居住者の場合は、アメリカを源泉とする所得のみが課税対象となる。 一般的にはアメリカの居住者と言えば、アメリカに住んでいる人と考える。アメリカに住んでいるわけだから日本には住んでいない。つまり物理的に日本に身を置いて暮らしていれば日本の居住者だし、日本から出国して日本には住んでいないと日本の非居住者だ。 しかし、アメリカの税務は個人の属性で判断する。即ち、アメリカの市民権を持つ人、グリーンカードを持つ人、さらに「実質滞在テスト」において一定期間以上アメリカに滞在している人が税務上の居住者となる。したがって、市民権やグリーンカードといった属性が居住者の判断に影響を与える。 日本からアメリカに引っ越した場合、日本には住んでいないため、アメリカの居住者と見なされることは、日本及びアメリカの税務において自然に受け入れられる。 しかし、アメリカ市民やグリーンカードを持っている人が日本に引っ越した場合だ。日本の居住者となるので、アメリカの非居住者と考えたくなる。日本の国土に足をのせて同時にアメリカの国土に足をのせることができないからだ。一方の国の居住者=他国の非居住者とならないので感覚的にわかりにくい。 日本の税務は、日本に住んでいる人を居住者と定義しているため、アメリカ市民やグリーンカード保有者をその視点で考えようとする。一方、アメリカの税務では、日本の税務が定義する居住者のみに依存せず、個人の属性に基づいて居住者を決定する。結果として、居住者である限り、日本の定義においてもアメリカの定義においても、それぞれの国で居住者と見なされる。 どちらの国でも居住者である場合、全世界の所得が課税対象となるため、所得が一つしかないところに二つの国の税金が併存する厳しい状況が生じる。この問題を解消するために、どちらの国の税金を優先すべきかを調整するために租税条約が設けられており、二重課税を回避しようと試みている。しかし、この調整機能が効かない場合、二重に税金が課せられることになる。 申告書を作成するデータは、日本の税務でもアメリカの税務でも、居住者である限り世界中の所得のデータを集めることになる。アメリカの非居住者の場合、アメリカの申告書の対象となるのは、世界中の所得ではなくアメリカを源泉とする所得になる。

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2025.02.23
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Form 1040記入の些細なミスで失敗

申告書を作成する際、まずは名前、住所、社会保障番号(SSN)などを記入する。この部分は申告書の入り口となる重要な項目だ。しかし、ここでミスを犯すと、申告書を受け付けてもらえず却下される可能性がある。 1.名前 結婚した人に多いのは、新姓を記入してしまうことだ。IRSは最初に社会保障局(SSA)の記録と申告書の名前と番号を照合する。社会保障カードの名前と番号が正しいとされるので、これと合っていない場合は、申告書が受理されない。 社会保障局(SSA)の記録を直さないといけないのだが、修正する時間がない場合、旧姓のまま申告を余儀なくされる。 名前にハイフンが入る事がある。このハイフンを抜かして記入してしまう。これもエラーとなってしまう。 最初の記入欄は完璧でも、最後の署名や日付を忘れたまま郵送しまった場合、申告書が無効扱いになって送り返される。 2.SSN(社会保障番号)・ITIN(個人納税者番号) 思い込みでいい加減な番号を記入したり、数字の倒置で番号を間違えることがある。自分の番号ではなく家族の番号をうっかり書いてしまうこともある。社会保障カードと不一致ならば、これも申告書が返却されてしまう。Married Filing Jointlyの場合、配偶者のSSNを記入せずにいると申告が即時却下される。 ITIN(個人納税者番号)で申告をしていた人がSSNを取得したら、必ずSSNを記入する必要がある。IRSは「SSNを取得したら、以降の税務申告ではITINではなくSSNを使用する」と明記している。ITINを記入した場合、IRSは申告書を受理することができず、その申告書に関する処理に問題が発生する可能性がある。 3.住所 自分が居住していない住所を書いてしまう。日本に居住しているのにアメリカの住所を借りて申告してしまう。実際は住んだこともない州から州税の申告も求められてしまう。 IRSからの連絡や還付金の小切手がその住所に行ってしまう。不足している書類の追加や税金の納付通知、還付小切手等が所在不明になる。気が付いて調べたら何年も前から税金が未納付で延滞金、金利が雪だるまという事もあり得る。 還付小切手がいつまでも届かない。調べてみたら、旧住所に配達されるも、あて先不明とされ、アメリカまで戻されていることもある。 税務申告は些細なミスが大きな損失に繋がることがある。特に氏名とSSNは、IRSと社会保障局の記録と完全一致させる必要がある。この点をしっかり確認することが重要だ。

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2025.02.16
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最初の一歩はデータ集め!

アメリカの税金申告、初めてだと何から始めたらいいのか迷いがちだ。 まずは時間の枠組みを意識 しながら、一つずつ手順を踏んでいくことになる。 アメリカの確定申告を始めるにあたり、最初に行うべきことは「データ集め」だ。何をどのように進めたら良いか迷っている場合は、まず重要な期限を把握して、その期間内に必要な処理を進めていくことが大切だ。 アメリカの申告期限は通常4月15日で、日本から申告する場合には、2か月の自動延長があり、6月16日が期限となる。一方、日本の申告期限は3月17日なので、アメリカの申告に取り組む前に、日本の申告を終わらせることが推奨される。 日本の申告が年末調整で完了している場合、すぐにアメリカの申告に取り掛かることができる。しかし、給与以外の所得がある場合は、日本の確定申告を先に完了させる。 申告の準備で一番大切なのは、 必要なデータを漏れなく集めること。アメリカ市民やグリーンカード所有者、長期滞在者の場合は全世界所得が申告対象だ。それ以外のアメリカ非居住者の場合は、アメリカ源泉の所得が申告対象となる。 データがなければ、スタートラインに立てない。以下のような書類を集める。 【日本のデータ】 給与の源泉徴収票預金利子、配当金の明細株式等の譲渡に関する書類賃貸事業を行っている場合は決算書日本の確定申告書の写し・税金の納付実績等々 【アメリカのデータ】 給与の源泉徴収票 (Form W-2、1099-NECなど)利子・配当金の明細 (Form 1099-INT、1099-DIVなど)証券口座の取引明細書 (statement)その他、収入や控除に関する書類等 これらの書類は、1月末から2月中旬にかけて発行される。 金融機関に住所変更を届けていない場合は、書類が届かない可能性があるので、オンラインでダウンロード する。 データ収集段階で不備があると、後工程で大きな修正が必要になることがある。今の段階では、しっかりデータを揃え、データが揃ったら申告書の作成に進んでいく。

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2025.02.02
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帰国時の不動産の譲渡益控除について

アメリカに不動産を保有している個人が日本に帰国する場合、夫が先に日本に帰国し、妻が子供の教育のためにアメリカに残ることがある。このように夫婦が日米で別々に住んでいる中で、アメリカの不動産を譲渡する場合、不動産の譲渡益控除を受けられるのだろうか。 アメリカの税法上の居住者は、以下の要件を満たす場合には、居住用不動産の譲渡益を控除できる。 要件: 所有要件(Ownership Test): 直近5年間のうち、2年以上その家を所有していること居住要件(Use Test): 直近5年間のうち、2年以上その家に住んでいること 控除額: 夫婦個別: 最大$250,000夫婦合算: 最大$500,000基本的に、日常的に住んでいる主たる住居(Main Home)であることが必要で、投資物件や別荘の場合には譲渡益控除を受けることはできない。 夫の日本の家が主たる住居となれば、アメリカの家はセカンダリー(secondary home)になり、別荘や別宅のような位置づけになってしまう。 アメリカに残っている妻と子供が、夫の帰国から数年後に日本に帰国し、その際にアメリカの家を売却する。家族として主たる家ではないので控除ができないかと言えば、譲渡益控除を完全に失うわけではない。 その理由は、夫と妻が別々に適用条件を判断できるという点にある。たとえ夫にとってアメリカの不動産がセカンドホームであっても、妻にとっては主たる住居であるため、妻が単独で所有要件と居住要件を満たせば、最大25万ドルの控除を受けることができる。ただし、妻に不動産の所有権がない場合は、この控除は利用できなくなる。 もし最大50万ドル(約7500万円)の控除を利用したい場合、夫婦の両方が所有要件と居住要件を満たす必要がある。夫が所有要件を満たして、過去5年間のうち2年以上住んでいる居住要件が問題だ。これを満たすためには、帰国後3年以上経過すると居住期間が2年未満になってしまうため、帰国後3年以内に譲渡する必要がある。 例外として、「やむを得ない理由」により売却する場合、居住期間の要件を満たしていなくても部分的な控除が認められることがある。健康上の理由、仕事上の理由、予期しえない理由などがあれば、部分的な控除が適用されることがある。 税務上の処理を簡単にするために、日本に帰国する前にアメリカの家を譲渡することを検討するのも一つの方法だ。日本の非居住者であるうちに不動産を譲渡すれば、日本での税務申告に直接影響しない。帰国後にアメリカの不動産を売却すると、譲渡益があれば日本の税金の対象になりえる。 最終的には税金の面だけで判断できるわけでもなく、税金以外の要素 (子供の教育、生活環境など)総合的に状況を考慮して判断することは言うまでもない。

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