いろいろなケースで日付が気になることが度々ある。株式や不動産などの譲渡によるキャピタルゲインだ。 譲渡が行われていることが条件なわけだから、いつ譲渡が行われたのかと言う事になる。契約した日、最終的に支払いが行われて受け渡しが行われた日が譲渡の日なのか。 契約成立の時点と、最終的な受け渡しの時点では時間差がある。不動産の場合、契約した日から最終的にその受け渡しが完了するまで時間を要する。年末ではX年の申告書で計上するのか、X+1年の申告書上で申告するのか、ここで別れてしまう。 不動産の譲渡を報告するForm 1099-Sのボックス1では、Date of closingと記載されている。売却は、エスクロー/権原会社によって譲渡証書が記録される特定の日に「終了」、つまり最終的なものになる。その瞬間まで、販売は終了していないため、最終的なものではない。その時までは、取引を取り消すことができ(契約に応じてペナルティの有無にかかわらず)、そのため、売却はまだ確定していない。 キャピタルゲインの税率が1年未満の短期と1年以上の長期では異なる。自宅を譲渡した時に、過去5年間で2年以上、その家を所有して、居住していると譲渡所得から25万ドル(夫婦で50万ドル)の控除を取れる。申告年が異なると、所得の大きさにより税率区分が変動する。 微妙なところで条件を満たす・満たさないと言うこともありえる。
今年は4月18日が連邦税の申告期限だ。海外から申告をする場合は2か月の自動延長がついて6月15日が申告期限だ。 日本(海外)からの申告は、まだ2か月あるので大丈夫だが、アメリカに住んでいる方の場合は時間がない。申告期限までに申告書を提出できない場合は、Form 4868を提出して申告期限の延長を行う。この時に本来、納付すべき税額があればその税額を支払う。 フォーム4868には2つの部分しかない。パートIでは、名前、住所、社会保障番号を入力する。結婚していて、夫婦合算で申告する場合は、配偶者の社会保障番号も記入する。 パートIIの4行目は、総納税義務の見積もりを記入する。5行目は給与の源泉徴収額や予定納税ですでに支払った税額を記入する。払った税額を差し引くと6行目で支払額が得られる。 7 行目に、支払う準備ができている金額を入力する。必ずしも全額を記入することはないのだが、支払い遅延のペナルティや利息を避けるために、できるだけ多く支払う。 8行目では、米国市民又はアメリカ居住者が海外に出ている場合にチェックする。最後の行(9行目)では、納税申告書1040NRまたは1040NR-EZを提出する場合にチェックする。 5分もあればお終いになる。これだけでペナルティを回避できるなら使わない手はない。 税額をきちんと計算できない場合はどうやって税額を予測するか。 2022年の所得が2021年とほぼ同じな場合は、2022年の税額もほぼ同じと推定できる。 2021年の納税申告書の24行目が今年も同じと推定してし、2022年にすでに支払った税金(源泉徴収されたものや予定納税)を差し引いて納付額とする。 もう少し時間があればIRS 1040-ESワークシートで税額を計算することもできる。これを使用すると、昨年の収入や状況が大幅に変化した場合に役立つ。 いよいよ時間がなく合理的に推定もままならない場合は、見切って多めに支払っておく。4月18日までに本来納付するべき税額の90%以上が支払われて、申告時に残額をきちんと払えば支払い遅れのペナルティはない。
今年のアメリカの個人所得税の申告期限は4月18日だ。しかし、海外から申告を行う場合、即ち日本から申告を行う場合、2か月の期限延長があり申告期限は6月15日だ。 IRSは次のように言う。 You are allowed an automatic 2-month extension to file your return and pay federal income tax. 申告書の提出期限を延ばしてくれるし、支払いも2カ月延ばしてくれる。海外にいるとありがたい話だなあと思う。 なぜ2か月の期限延長を自動に認めてくれるのだろう。正しいかどうかは定かではないが、次のような事情もあったのだろう。 アメリカは過去100年をみても、戦争を何度も経験している。戦地はアメリカ国外だ。アメリカのために命をかけて働いている人が、ケガをしたり命を落としたりする。それでも申告はしなければならないが、国内にいる人と同じ締め切りで良いとは言えないだろう。 戦争だけではなく、外国に住んでいれば特に昔は、電子申告もあるわけではなく、船便でアメリカに申告書が送られる。期限内に郵送してもアメリカに着くまでに1,2か月かかることもあったのだろう。国内で暮らしている人とは置かれている状況が違う。 申告書を提出して納税することを2か月自動延長してくれるのはそれなりの配慮だろう。そこまでは良い。しかし、読み進めると次の文章が出てくる。 Even if you are allowed an extension, you will have to pay interest on any tax not paid by the regular due date of your return. 申告期限が税金の納付期限と言ったけど、金利は払ってもらいますよということだ。 海外にいる人に対して、理解を示してくれるところまでは良い。申告書を2か月遅れて提出してもそこは不問に付す。ところが税金の支払いになったら、ちゃんと金利を払ってくださいと言う。確かに理屈としてはその通りかもしれない。 日本から申告を行う場合、2か月の申告期限の延長があり期限は6月15日だ。
申告書を提出しなくても良い場合として、所得が申告基準に満たないことがある。それはわかりやすいとして、所得が申告基準を越えていても控除により、課税所得がゼロになるような場合だ。 Form 2555は外国勤労所得を控除してくれる。2022年分の申告では、条件を満たせば$112,000まで控除できる。 Form 2555によって課税所得がゼロとなり税金は発生しない。だからForm 1040もForm 2555も提出しないと考えてしまうと、これは正しくはない。Form 2555を提出して課税所得がゼロになるのだから、それを反映したForm 1040を提出しなければならない。 これらの書類を提出しないと、IRSから見れば課税所得があるにもかかわらず、申告書を提出していない無申告の状態でしかない。これはそのまま見過ごすことはできないと言う事になる。 Form 2555で課税所得がゼロと考えて申告書を提出していないので、今から申告を行いたいと考える。過去に遡っての申告はもちろん可能だ。しかし、遅れて過去の申告を行う場合、Form 2555は提出できるのか。これを使えないと大変影響が大きい。 権利を使うことができる条件を満たしているならば、まずはその権利を使える。しかしながら権利を行使できる期間が存在する。その期間が過ぎてしまえば、権利行使はできないのではと思える。 申告書の提出が1年以上遅れても、次の場合にはForm 2555外国所得控除を選択できる。 ① Form 2555を使うと税額は発生しない。Form1040とForm 2555を提出する。 ② Form 2555を使っても税額が発生する。この場合でも、IRSが先んじて納税者がForm 2555を使う選択をしていないことわかっていない場合、Form1040とForm 2555を提出して税額を納付する。 ③ Form 2555を使っても税額が発生する。IRSが納税者がForm 2555を使う選択をしていないことを知っている場合、遅延除外を申請して裁定を求める。 こうしてみると、1年以上時間が経過していてもForm 2555を使える事が多いだろう。これらのいずれかで所得税申告書を提出する場合は、フォーム1040の最初のページの上部の空白欄に「セクション1.911-7(a)(2)(i)(D)に従って提出」と記載する。 Form 2555により課税所得がゼロとなり税金は発生しない。だからForm 1040もForm 2555も提出しないとは考えないことだ。
申告書を作る入り口で困ってしまう事がいくつもあり得る。例えばデータが手元にないとか社会保障番号(SSN)や納税者番号(ITIN)がないとか、申告の第一歩が踏み出せない。 そうした中で、何と自分の名前でうまく行かないことがある。違う名前を記入するとか、ローマ字の綴りを間違える。社会保障カードの記載・グリーンカードの記載・預金口座の記載・免許証の記載・パスポートの記載・マイナンバーの記載等々で微妙に異なることもある。 名前が違う、綴りが違うと言うのは基準とのずれになる。では基準は何かと言えば社会保障カードが基準となる。この社会保障カード又は納税者番号通知ときちんと合っていないといけない。納税者、その配偶者、またはその子供の名前がそうした記録と一致しない場合、IRSは申告書を受け付けない。 結婚した時に名前が変わる。しかし、社会保障カードの情報は昔のままだ。結婚して姓を変えても、離婚してもそのままになっている。変更はSocial Security Administrationで行える。 電子申告なら、送信時に申告書が受理されないので間違いがすぐわかる。日本から電子申告ではなく紙での申告をすると郵便局等での発送が簡単ではない。お金もかかる。IRSに届いても、紙の申告書がいつ処理されるのかわからない。半年くらいたって、あるいは1年たってIRSから連絡をもらって、申告書を受理できないと拒絶される。一生懸命、何とか申告をしようと時間をかけても取り付く島もない。 気持ちをくじけさせないで、また同じことを繰り返す。処理をされる時は1年先、2年先になっているかも知れない。特に日本にいる人にとっては、一見簡単な事が容易ではない。余計な時間もかかり、エネルギーも注がねばならない。これだけでIRSはハードルを高くして、まるで申告を遠ざけているようにすら思える。 自分の注意で不必要な手間を避ける事ができる。申告書を作成する時には落ち着いて名前をチェックすることをお勧めする。
申告書を正確に作成して提出したはずなのに、申告書を出した後で、間違いや修正したい所を発見することがある。しまったと思う事があってもおかしくはない。 以前に提出した申告書を修正するためには、修正申告書を提出できる。たとえば、500ドルの還付の申告書を提出して還付を受ける。その後よくよく見たら、さらに300ドルの還付金があることがわかる。後日800ドル還付として修正申告書を提出し、追加の300ドルを還付してもらう。この場合は申告書としての記録は当初の500ドルの還付の申告書と、追加の300ドル還付の申告書の二つとなる。 これと同じ効果を持たせるために、申告書を差し替えることができないかと思う。つまり最初の申告書ではなく、後から提出した申告書だけを有効なものとさせる。 実はこれは可能だ。但し時間の制限がある。例えば今年の申告期限が4月18日として、2月とか3月に申告をしているとする。この4月18日の前なら、新しい申告書を提出して、そっくり申告書を取り換えることができる。申告期限の延長をかけて申告書を提出していれば、10月15日期限なので、その間いつでも申告書の取り換えが効く事になる。 還付金の修正で少額ならば、二度も申告書を提出してかえって面倒と思うこともあるだろう。何でそんなことをしなければいけないのかと思うかも知れない。それは確かにその通りで、少額の還付より面倒なことを避けたいと言う判断が優先しておかしくはない。でも納付の場合は、面倒だから税金を納付しないと言うわけにはいかない。 オリジナルの申告書を提出してそのままとしていると、後から変更ができない事がある。例えば夫婦合算申告をしていて、夫婦別々に申告をする方が良いと言う事がわかっても、一度、申告書を提出してしまうと夫婦別々の申告書は提出できない。 あるいはForm 8938を提出していなかったとか、Form 3520で日本の相続や贈与で、10万ドル以上の報告義務があるのに報告していなかった場合は、それゆえにペナルティの対象とされてしまう事もあり得る。 そこで、この差し替え申告書が有効となる。つまり、夫婦個別の申告書も再度提出できる。提出するべきFormを提出していなかったという事実も根こそぎ抹消してくれる。ペナルティを心配しているなら、申告期限までに、新たに差し替え申告書を提出すれば、この差し替え版がオリジナルとなり心配もなくなる。 しまったと言う事があれば、申告期限日の前ならば申告書を差し替えることができる。
アメリカの税務申告の観点の話だ。アメリカの居住者は全世界所得課税となる。居住者は市民権やグリーンカード等をベースで判断する。この基準に合えば、世界中どこに住んでいても基本的にはアメリカの税務上の居住者だ。 アメリカの申告をしなければならない人が、日本に住んでいるから日本の確定申告を行い、これで責任を果たしたと思っているかもしれない。しかしアメリカに申告をしていない。 さあ大変だと思っても、申告をする必要がない場合がある。病気やその他の理由で所得が申告基準に達していないこともあろう。所得額の基準で申告をしないことがある。 しかし、この基準に達していなくても申告をすべき時もある。一例がコロナの支給金を受給する時だ。申告をしなければ2020年$1,800と2021年$1,400をもらうことができない。2023年時点では、今から遡ってこの給付金をもらうことができる。 FBAR(Form 114)とFATCA(Form 8938)の情報申告も注意が必要だ。FATCAの申告要件は海外(日本)に住んでいれば口座残高が年末で20万ドル、期中では30万ドル以上だ。FBARは口座をすべて合わせて$10,000だ。 Form 8938は税務申告書の一部を構成する。所得が少なく申告書を提出しない人にとっては、口座残高が50万ドルだろうが100万ドルだろうがForm 8938を提出することはない。そうすると、これを提出しなかったからとしてもペナルティの対象ではない。 しかしFBAR(Form 114)は税務申告書とは別に提出する。FBARは申告書の一部を構成していない。単純に独立している。FBARは口座をすべて合わせて$10,000だ。となると、FATCAの申告基準金額よりもずっと小さいにもかかわらず、この申告だけは避けて通ることができない。しかも申告をしていなかったらペナルティもあり得る。 申告をする側から見ると何だかわかりにくい。
結婚することにより二人の人間が運命共同体として、あたかも一つのユニットとして生きていく。こうなると、夫婦としてそれぞれが所得を得ていたとしても、右のポケットにお金を入れても、左のポケットに入れても一つのユニットとしては変わりがない。 そこでアメリカの税法には、日本にない夫婦合算というファイリングステータスがある。申告を行う時になれば、二人で一つの申告書を作成すれば良い。なにも時間をかけて申告書をそれぞれの人間が提出する事もない。 昔から一人口は食えなくても、二人口は食えると言うわけではないが、標準控除をフルに二人分使えて税額控除を取る幅も広がる。 一方の配偶者に所得がないとか少ない場合で考えると、所得の少ない配偶者は申告も要さず、税額も発生しない。2022年分で言えば個人としての標準控除$12,950を捨ててしまっている。 ところが、夫婦合算での申告をすれば、二人の所得は合計で不変でも、標準控除が2倍となり、使える控除は$25,900となる。もしも、限界税率37%のケースなら$12,950の37%で$4,792($1=130円なら約60万円)税金が少なくなる。結婚がボーナスを与えてくれる。 片方の配偶者が単身赴任をしていて、例えば日本とアメリカにいるとしても夫婦の合算申告は可能だ。 ではファイリングステータスを後から変更して修正申告を提出できるだろうか。ありがたいことに過去3年以内の申告書ならば還付が可能だ。 申告書を提出する事は、納付するべき税金を支払う責務を持つことになる。夫婦であれば、一方の配偶者に、もしも仮に税金を支払う力なない場合は、もう一人の配偶者が支払うことを約している。これはIRSにとっては間口が広がる。 しかしながら夫婦合算で申告していたものを、夫婦個別の申告に修正することは認められない。夫婦個別にすることはその税金の支払いから除外することになりかねない。それは容易には認めますとは言えない。
1月23日からITSは2022年分の2023年分申告を受け付ける。これは世界中から申告書がIRSに送られる。当然、日本に住んでいる人もこの対象だ。日本に住んでいれば日本円で生活している。日本円のまま申告はできないわけだから、アメリカの申告をするためにはドルに換算する。 すると為替レートが必要になる。この為替レートはいろいろな政府機関や民間会社が発表している。 Governmental Resources • Treasury Department’s Currency Exchange Rate • Federal Reserve Bank • U.S. Department of Agriculture External Resources • Oanda.com • xe.com • x-rates.com しかしながら、IRSが発表する2022年の年間平均為替レートは、1月22日現在、まだ発表されていない。IRSのサイトにあるのは2021年の2022年申告用のデータで、これは1年前の申告シーズンに使ったものだ。 申告書を明日から提出してくださいと言うのに、為替レートが発表されていなければ計算できない。何か、外国からの申告は2の次と言わんばかりだ。IRSから見れば、海外からの申告期限は6月15日と2か月の延長があり、猶予があるじゃないのというかも知れない。 Federal Reserve Bankの2022年平均為替レートは発表されている。 $1=131.4589円だ。またFBARやForm 8938に用いる年末日の為替レート$1=131.83円だ。 いずれにしても円安のおかげでドル換算した時に、数字が小さく出る。課税所得が小さい方向になるので、なんとなく気持ちが楽になる。 おそらく数日以内にIRSは平均レートをIRSのサイトで発表するだろう。従来、IRSの年間平均レートを使っていれば、継続性を大事にしてIRSのレート発表を今しばらく待ち、それを使うのが安全コースだろう。
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