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2024.07.14
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もしかして

アメリカの市民権をベースとする課税とForm 2555はブレーキを踏みながらアクセルを踏んでいるように思える。市民権課税ではアメリカの市民であれば、全世界の所得をアメリカに申告することになる。一方で、外国で働いて得た所得は一定の条件下で所得から除外してくれる。この金額の上限は2023年で$120,000、2024年で$126,500ある。住宅費を加算するともっと大きくなる。 歴史的に見れば独立戦争時でも、外にいる人にも応分の負担を求めていた。独立戦争で命を失いたくない人たちは、現在のカナダに逃れたという。銃を持って戦わないならせめてお金を出してもらいたいという事だったようだ。 一方でForm 2555はいつからあるのかと見ると、1958年のForm 1040の説明書に出てくる。1958年に始まる年に、総所得は米国以外の源泉から得た所得も計算するとある。つまりアメリカ国外源泉の所得も、全部入れるように言い、除外すべきと信ずる外国源泉所得はForm 2555で申告をするように言っている。 1958年以前は、米国外源泉の所得は総所得から除外されていた可能性があった。しかし、1958年以降、この除外はなくなり、総所得は米国外の源泉から得た所得を含めて計算すると明記した。 1958年は考えてみれば、第二次世界大戦の終結から10年以上たち世の中が落ち着いてきた時期だろう。極端な言い方かもしれないが、第二次世界大戦で戦場で戦っている人に戦場から申告書を提出してと言えたか。自分の命を国に捧げて、闘っている人が、戦場で申告書と向かい合うとはとても思えない。原則はそれでも申告書の提出義務があったが、現実論はなかなかそうもいかなかっただろう。1958年時点では第二次世界大戦の終結から10年以上たち、世の中が落ち着いて市民権課税の原則を貫く環境ができたという事か。 しかし、一気に外国所得をアメリカ課税としてしまう事も難しかったのだろう。1958年Form 1040はForm 2555で現実的な救済としたものと思える。除外できる限度額は$20,000だった。今から見れば$20,000は小さいように思えるも、消費者物価指数を考えると現在の20万ドル近い金額だったようで、かなりの金額だ。 このForm 2555は海外で働く人には利益をもたらすが、米国内で働く人には利益を提供しないため、納税者の間に不公平を生み出すと主張する人もいる。もしかしてあの人が何かの声を上げたらその影響は計り知れない。

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2024.07.07
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市民権課税

アメリカの市民権やグリーンカードを取得する時に一体、アメリカの税金をどれだけ考えて取得しているか多くの場合は疑問を持つ。極論すれば税務の事にはほとんど関心がないのではないかと思える。 もっと極端なケースはアメリカで出生したことでアメリカ市民となっている人だろう。自分が生まれてきた場所がアメリカだったということは、自ら選べるものではない。だが、その事実を持ってアメリカの税の世界に取り込まれる。それでも、出生から大人になるまでずっとアメリカで生活していれば、アメリカの税金に触れる事があり、それなりの認識も深まるはずだ。 しかしながら、アメリカで生まれたのだが、親がアメリカでの仕事が終わり、幼少時に日本に帰国してしまった。それ以来、アメリカには足を踏み入れたこともなく、自分がアメリカ市民であるという認識すら持っていない。 アメリカは税務上の責任について、何らかの教育や知識を与えてくれているのだろうか。例えば、交通信号は青信号では進み、赤信号では止まる。これは教育受けたから知ったのか、社会生活で知ったのかはわからない。アメリカにいれば申告や納税をすることは常識でしょうと言われるかもしれない。 しかしながら日本にずっと住んでいる人にはアメリカの税金と直接的な接点もない。そしてある日突然、アメリカの申告をしなければならない。申告をしていないことにペナルティがかかると知ったら、理不尽と思うに違いない。わかっていて申告をしていないことに申し開きはできないけど、全く知らないアメリカの申告・ペナルティと言われても困ってしまう。 状況はどうであれ、アメリカから見ればアメリカ市民の基本的な義務は申告・納税する事だから、申告をしなくてもいいですよとは言えない。知らない事を免罪符にすれば、アメリカに住んでいるアメリカ市民が申告をする事を知らないと言えば、申告・納税をしなくても良くなってしまうようなものだ。 外国に住んでいる人間は、全体から見れば少数の例外であり、例外を基準にして全体を変えるわけにもいかない。もちろん、血も涙もないわけではなく、個々の事情により救ってあげましょうという道があることは確かだ。 そうすると、出口としてはアメリカの市民権を放棄するということになってもおかしくはない。ただその場合でも、出国税が待ち受けており少なくとも過去5年の申告の実績、未払いの税金がないということを確認される。 アメリカの市民権を放棄しないのであれば、アメリカの税金の申告を行い、未払いの税金を納付し、当年度からはしっかりアメリカに申告を行わなければいけない。 若い世代ならば、今からアメリカに渡りアメリカ市民として自分の道を切り開く事も考えるかもしれない。然し50才、60才になって今からアメリカに渡り未知の世界を切り開くというのも容易ではないはずだ。 アメリカの市民権課税と言う仕組みはつくづく面倒なものだと思う。

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2024.06.30
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3番目の条件に注意

フォーム 8854 でExit taxの潜在的な対象となる人の基準が3 つある。次の3つの要件のいずれかに触れてしまう場合だ。 1.出国日の純資産が200 万ドル以上の場合2.出国前の5年間の年平均税額が、2024年では19万ドル以上の場合3.Form 8854において、出国前の5年間にわたり、すべての米国連邦税申告義務を遵守していると証明できない場合 このうちの1番目と2番目の基準については判断が容易だろう。純財産が200万ドルは$1=150円なら3億円だ。これ以下の財産なら対象とならない。税額の19万ドルは税額で、そこから外国税額控除などを引いた後の納付額ではない。しかしこれもわかりやすい。 3番目の5年間すべての納税義務の遵守で引っかかりが出る。証拠書類として過去5年間の申告書を手元に置いておく。 申告すべき年があるのに申告をしていなかったら、今から申告をせざるを得ない。もしも所得のない年やごく少ない年があり、申告要件を満たさないので申告をしていなかったら申告書はない。その事実を説明せざるを得ない。仮にIRSともめていて、ペナルテイや金利をきちんと払っていなかったら、それをきれいにする。 申告の内容に誤りや脱落があった場合、修正申告を行う。 しかし、仮に利子の額を$3としていたが$5で$2あわなかった。このレベルだと修正しても税額に跳ね返ることはない。でも配当の$1,000を落としていたら税額が出てしまう。IRSが調べて違うと言い始めたら抗弁できない。そのリスクをなくするには修正申告する。 適正に申告を行い払うべき税金を払っていることが肝要だ。 適正ではないかも知れないが払うべき税金を払っている。取るべき控除を取らずに$100余計に税金を払っている。この場合はどうなるのか。 ここで思い出すのは最近、ニュースで取り上げられた自動車の認証試験の例だ。後方からの衝突試験で、1100キロより重い1800キロの物体を衝突させて安全性の確認をしていた。過剰な条件が許容されるのか、されないのかはわからない。 取るべき控除をとらずに、よけいな税金を払っていた。適正な申告で無かった、だからExit taxの対象だというのか。そうはならないだろう思うが、はっきりしたことは何とも言えない。 いずれにしても3番目の条件がやっかいだ。

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2024.06.16
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申告データの保存

2024年6月17日は日本からの申告期限だ。期限までに申告できない場合は、申告期限を10月15日まで延長するために、Form 4868を6月17日のうちに提出する。 やっとここで終わった場合、申告のデータはどれくらいの期間、保存しておくべきだろうか。答えは個々の状況によって変わるのだが、一般的なガイドラインは3年だ。 IRS は、最初の申告書を提出した日から少なくとも3 年間、または税金を支払った日から 2 年間、どちらか遅い方の期間、データを保管することを推奨している。この期間は IRSが提出した申告書を調査することがある期間だ。 保存期間を長くするケースもある。当然のことながら、特定の年度に関して IRSの調査を受けていたり、IRS とのやり取りが続いている場合は、問題が解決するまではそのデータを保存しておく。 不正な申告や申告書をまったく提出しなかった場合、IRS は最大 10 年間の調査を行うことがある。めったにあるわけではないが、10年前のデータを問題にされる事はないとは言えない。 個別のケースで異なってしまうのだが、一般的には次のように考えて良いだろう。 期限内に提出し、特に問題はない場合:3 年間保存。IRSと未解決の問題がある場合:7 年間保存。不正な申告や全く申告していなかった場合:10 年間保存。 不動産の購入や譲渡の場合とかは、10年を超えて期限を定めずにデータを保存しておくべきだろう。 あっという間に時間が経過し、申告が記憶から落ちてしまうこともある。データは申告が終わった時に整理しておきたい。一部の文書は物理的なコピーが必要な場合があるが、書類をスキャンして電子的に保存すれば、物理的なスペースを節約でき記録にアクセスしやすくなる。

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2024.06.09
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申告書提出後のファイリングステータス変更

申告書を提出した後は、申告ステータスを夫婦合算申告 (MFJ) から夫婦別々申告 (MFS) に変更することはできない。これは、IRS が、申告書を提出した後は MFJ の選択は取り消し不可能であるとみなすためだ。一方で夫婦個別申告 (MFS) から夫婦合算申告 (MFJ) に変更することはできる。 MFS から MFJ への変更を許可する理由 申告の簡素化と奨励: IRSは、一般的に税務手続きが簡素化され、標準控除を大きくとったり税制上の優遇措置が得られる可能性があるため、夫婦が一緒に申告することを奨励している。MFSからMFJへの変更を認めることは、この目的に沿っている。 エラーと管理上の負担の削減:合算申告だと納税申告書の管理が簡素化され、エラーが少なくなる可能性がある。MFSからMFJへの変更を認めることで、勘違いや計算ミスを引き下げることが期待できる。 MFJ から MFS への変更を禁止する理由 租税回避の可能性:MFJからMFSへの変更を認めると、夫婦が共同で負っている税金の支払い義務を除外してしまう。連帯保証人から相手を外してしまう結果になりかねない。 税務申告の一貫性: 夫婦が一緒に申告すると決めたら、その後で別々に申告することを認めないことで、税務申告の一貫性と公平性が保たれる。後から申告方法を変えて税負担を不当に軽くすることを防ぐ。 事務の煩雑さ:MFJからMFSへの変更を認めると、合算申告で計算された税額や還付金を再配分する必要があるため、納税者とIRSの双方に大きな事務負担が生ずる。 MFJからMFSへの変更を禁止することは、税金の納付の責任を相手に押し付けることを防止して、不必要な管理上の複雑さを避けようという事と思える。

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2024.06.02
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発信主義です

日本からの申告書の提出は2024年6月17日期限だ。申告書の提出は発信主義を取り、期限内に郵送されれば、期限内に提出されたことになる。つまり、期限内の消印が押されていれば、期限内の提出とみなされる。 順調にいけば良いが、申告書を期限内に提出したものが申告書にエラーがあると受理されず戻ってきてしまうことがある。再提出する時は既に申告期限を越えてしまっている。これは期限後申告になってしまうのだろうか。 例えば、誤った社会保障番号を記入した申告書を6月17日までに提出した。ところがその社会保障の番号の申告書が既に提出されていると返却されてしまった。その後すみやかに再提出する場合は、通常は期限内と見なされる。と言うのは、IRSは誤りがあった申告書の再提出に対して一般的に30日とか60日の猶予を与えるからだ。 迅速に対応しIRSの指示に従い、すみやかに申告書を再提出すれば、ペナルティは課されることはないと期待できる。 こうした経緯をきちんと説明できるように、もともとの申告書が期限内に提出されていたことを示す証拠(例えば、郵送の消印などの確認できるもの)が重要だ。また、訂正後の申告書を再提出した際の証拠も保管しておく。 海外からの郵便等の遅延により遅れて届いた場合は、IRSは郵便事情を考慮に入れる。2020年や2021年にはコロナウイルスのために、国際的な物流が大幅に滞り、IRSは申告期限そのものを延長してくれた。 さて、6月17日まであと2週間しかない。どうしてもこの期限に間に合わない場合は、延長申請を行い10月15日の申告期限まで延ばすしかない。Form 4868を6月17日以前に提出し、予測される税額を支払ことになる。

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2024.05.19
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アメリカの税金を支払う

アメリカの税金を日本から支払う事の煩雑さは、アメリカに申告を行う事が面倒であることの象徴のようだ。 いろいろ苦労してアメリカの申告書を作る。税額が発生して、いざアメリカに納税しようとする。アメリカに支払う税金はドルで納付しなくてはならない。日本からどうやって納税できるのか。 アメリカに住んでいた人で、アメリカに預金口座が残っていれば簡単だろう。しかし、そうでなければかなり面倒だ。 アメリカの税金はドルで支払わなければいけない。しかし、そもそもドルを持っていない。ドルを持っていて近くのコンビニで払えるなら簡単だろうが、日本のコンビニではアメリカの税金を払うことができない。 アメリカの税金をドル小切手で支払うことができる。アメリカに銀行口座があり小切手帳を持っていれば小切手を発行すれば良い。小切手帳がなければ、銀行に出かけてドル小切手を作ってもらうが、うまく行くのかどうか簡単ではない。 こうしてみると、クレジットカード払いが唯一の選択肢ではないかと思える。税金とは言えども、あたかもネットショッピングと同じだ。自分の家にいて自分の空いた時間で手続きができる。 ここから手続きができる。Pay your taxes by debit or credit card or digital wallet | Internal Revenue Service (irs.gov) これも慣れていれば良いのだが、英語の画面と対話して情報を入れていくのもストレスがないとは言えない。年配の方の場合だと、クレジットカード決済になじみがないことがある。 銀行に出かけて銀行から送金を依頼することも選択肢としてある。しかし多くの銀行ではこうした業務には対応しておらず、うまく対応してもらえないか、できたとしても手続きにとても時間がかかる。 若い時には体力的にも大丈夫だったものが銀行まで出かけて、結構な時間を費やすのも簡単ではないこともある。 日本に住んでいる人がアメリカに申告するのは、申告書の作成だけではなく周辺の事柄でも越さなければならないハードルがある。

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2024.02.18
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AIによる双方居住者のFBAR

日本を出国しアメリカに住むようになる時、あるいはアメリカから日本に帰国する時に、たいていは年の途中のタイミングとなる。ということは、日本を出国する場合、1年間のうちにアメリカ非居住者とアメリカ居住者である期間が混在する双方居住者(Dual Status Alien)となる。帰国する場合は順序が逆になる。 この場合は居住期間を居住者として、非居住者期間を非居住者として申告をする。又は通年、居住者として申告を行うこともできる。 さて、話はAIとなる。最近はAIの発展がものすごいので試してみた。双方居住者のFBAR申告はどうなるのか? と聞いてみた。答えは一瞬で驚くばかりの速さだ。しかし回答を見てあれっ、これは違うだろうという答えが返ってきた。 年末時点でアメリカの居住者の場合、FBARの申告要件の金額を$50,000としている。$50,000を超えない場合は申告を要さないと言っている。これは$10,000の間違いで$50,000はFATCAの申告要件だ。 そこで$50,000の根拠を求めると条文を示してくれる。しかし全く関係のない条文だった。 これは違うでしょうと確認すると、税務の専門家ではないので詳しくは税務の専門家に確認くださいと腰が引けている。 さて、一日過ぎて同じ質問をしてみた。しっかりと$10,000という答えに代わっているし、答え方もしっかりしている。確かに学習している。これはすごい。 仮に学習前の情報を見た人が、$50,000が基準額だと思ってしまったらどうなるのだろう。 完全に手放しで、内容を丸のみをしてしまうと適切ではないこともあると肝に銘じ、自分でもしっかり確認することが必要だろう。 しかしながら、確かに確認をしなければいけない答えを返してくれるかもしれないが、その答えは十分に実用的だと感じた。このスピードで進化したら5年後、10年後にはどんな世界が来るのだろうと思ってしまった。

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2023.12.31
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12 月 31 日

12月31日はアメリカの税務ではとても意味のある日だ。 婚姻: 結婚しているのか、独身なのかという婚姻のステータスは 12 月 31 日を基準として判断する。2023年12月31日に結婚している場合は、2023年1月1日から12月31日までフルに 1 年間は結婚しているとみなす。夫婦合算で申告するか、夫婦個別の申告を選ぶことができる。 誕生:赤ちゃんが誕生した場合は、1月1日から誕生したものとして扱うことができる。赤ちゃんが 12 月 31 日に生まれたとしても、社会保障番号があれば、その子をフルに1年間扶養家族として申請できる。 死亡:亡くなった方は、12月31日まで生存していたものとして扱うことができる。そのため、通年、夫婦合算の申告が可能となる。 情報申告のFBAR:外国通貨をドルに換算する。この換算レートは12月31日のレートを用いる。FBARでは最高残高を申告する。本来、日本円での最高値と為替レートの相関でドル最高値となる。すると為替レートにより、必ずしも日本円の最高値がドルでの最高値とはならない。これを計算するためには日々の為替レートもチェックしなければならず大変手間がかかる。ところが、FBARで用いられる為替レートは12月31日のレートに固定されているので、日本円の最高値をそのまま使える。 グリーンカードの放棄:Form I-407を2023年12月31日までに郵送した場合は、2023年にグリーンカードを放棄したことになる。発信主義で提出した書類がアメリカに到着を要するものではない。 Form W-8 BEN:租税条約の低減税率適用のために必要な書類だ。この書類は有効期限があり3年で失効する。この3年のカウントは12月31日で1年が経過したものとされる。即ち2023年12月25日に提出した場合、実質的に7日しかなくても1年が経過したものとされる。 皆様には、2024年も従来にも増して、より一層よい年であることを願っています。

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