紙の申告に比べて電子申告の簡便さは比較しようもない。還付金だって早くもらえるし、紙の申告書にサインしてアメリカに郵送する煩わしさもない。 もちろん電子申告ができない申告がある。電子申告ができるはずなのに、電子申告がうまくできないこともあり得る。申告要件や技術的な問題に起因するなら仕方がない。 何の問題がないのに、申告をしてみたら、何と申告書が受け付けられないこともあり得る。例えば、既に申告がなされていると言う。 自分では申告をしていないのに、申告書が既に申告されていて受理できないとはどういうことだろう。 申告書は名前とSSNで初めにチェックされている。とすれば誰かがSSNの番号を一桁間違えたり、数字を倒置させたりすることがあるかも知れない。しかし、日本人ならばローマ字の綴りが長い。全く知らない第三者が自分の名前を申告書に間違えて記入できるかと言えば、ほとんど不可能だろう。さらにSSNまでがぴたりと一致することは考えられない。自分だけではなく、配偶者や子供まで及んでいるとなるとこれはあり得ない。 2021年分では$1,400/人のコロナウイルスの給付金がある。これをそっくり持って行かれる。なんともひどい話だ。 もしもこうした話に巻き込まれたら、次のサイトが助けになる。 Taxpayer Guide to Identity Theft Tax-Related Identity Theft 自分の情報をすっかり盗まれてしまうことがないように、十分に注意が必要です。
アメリカのコロナウイルスの給付金のドル小切手をもらって、机の中に入れて忘れていないだろうか。 2020年では$1200と$600での2回小切手が発行されている。最近は$1=130円あたりなので2枚合わせると、23万円程度もらえるはずだ。 そこで、机の中から小切手を探し出して銀行に持って行く。日本国内でドル小切手の現金化の案内がある。 しかし、銀行は小切手の買取に応じてくれない。小切手の有効期間が過ぎてしまっていると言う。 確かに確認してみると小さな字で金額があるところの下にVOID AFTER ONE YEARと書いている。財務省の発行する小切手は発行日から1年間有効で、州の還付小切手は6カ月しか有効でないこともある。 23万円がただの紙屑になってしまった。困ったと思うかも知れないが、もう一回、新しい小切手を発行することをIRSに依頼することができる。 「これこれの理由によって小切手を現金化する前に1年過ぎました。お手を煩わせてすみませんが、新しい小切手を送ってください」と手紙を書く。期限切れの小切手の裏側にVoidと記入して、手紙と共に発行元に送る。 新しい小切手を日本にいつ送ってくれるかは、現状では時間がかかると見た方が良いだろう。新しい小切手を入手したらすみやかに銀行に持ち込む。 2021年に$1,400の小切手も発行されている。これも1年をすぎないように注意が必要だ。
申告関連の仕事をすべて電子申告で処理できるとありがたいのだが、必ずしもそうはいかない。仕方なく郵便局に行ってIRSに書留やEMSで書類を送ることがある。日本からはテキサス州の処理センターに送付する。 あて先はIRSのサイトに次のように書かれている。 Department of the Treasury Internal Revenue Service Austin, TX 73301-0215 この住所は、日本で言えば“東京都東京都庁”のような書き方だ。郵便局ではちゃんとした地番がわからないと困るので、きちんと記入してくださいと求められる。United States Postal ServiceはIRSのサービスセンターに、固有のZIPをつけているので大丈夫といってもらちが明かない。 IRSのサイトで地番を探すと次のように書いている。 Austin - Internal Revenue Submission Processing Center 3651 S IH35, Austin TX 78741 日本からはTX州Austinに送付する。これで大丈夫だろうと思いきや、電話番号が書いていないとダメだという。インターネットで探しまくり、コスタリカの米国大使館で下記の電話番号を発見する。 For Courier Service (DHL, FedEx., UPS, etc…) IRS 3651 S. IH 35 Austin, Texas 78741 Phone: (512) 460-7948 さて、やっとこれで何とかなると思ったら、あて先は手書きでは受け付けてもらえない。 <米国宛て> 手書きラベルでは通関電子データが送信されないため、引き受けができません。 と言う事で国際郵便マイページサービスに入り、ラベルを作成する。 これでやっとの事で出口に出られると思ったら、国際郵便は配達に時間がかかり、いつ到着するかは明言できないとのこと。 こうして苦労して提出した書類はIRSの倉庫に保管される。コロナウイルスのため、一体、IRSがいつ処理をしてくれるのか読めない。2022年になってまだ1,640万件の個人所得税関連の書類が未処理だと言う。これじゃ、どうみても1年はかかるだろう。戦争のためにさらに国際的な物流が混乱する。コロナウイルス、戦争とその影響は計り知れない。このところ、ごく当たり前だった日常が、実は危ういものに乗っていた脆弱なものかと思えてしまう。
納税者は正確な税額だけ税金を払う権利があると、納税者の権利に記載されている。 Taxpayers have the right to pay only the amount of tax legally due, including interest and penalties, and to have the IRS apply all tax payments properly. と言う事は、払わなければいけない税額以上を納付することはない。仮に納付するべき税金の100%ではなく、90%しか納付しなければ、未払いの部分の10%に延滞金利などが上乗せで追加の納付を求められる。 では、税額以上に納税したらどうなるか。例えば、納付期日に間に合わず延滞金が出る。IRSから延滞金の請求が来るのが必至だ。払うのはいいにしても、また日本からその精算分を支払う手続きが大変だ。金額的にはわずかな金額でしかない。多少多く支払っても1回で済んだ方がありがたい。こうして納付する税額以上の税金を払う。 IRSのコンピュータでは税額が$XXXから$YYYとは記録されていない。そのものずばりの金額だ。そうなると、送金したお金と税額が不一致だから受領出来ないとなることもあり得る。するとこの郵便事情が良くない時に、何カ月もかかってリカバリーをしていくことになり、その間の延滞金がさらに変動する。こうなるとせっかくの考えが墓穴を掘ることになりかねない。 正確な税額を納付する。そしてIRSがさらに延滞金を求めてきたらその正確な金額を納付する。納税者は正確な税額以上に税金を払わない権利があると言うわけだから、申告書の納税額以上に多少大目に支払うことはない。 余談ながら、いかに正確な税額を支払ってもIRSは受け取りを拒否することがある。本当かと思うかも知れないが100万ドル(約1.3億円)を超える小切手は受領してもらえない。この場合は、小切手を分割して1枚の額面を100万ドル以下にしなくてはならない。
アメリカの個人所得税の最も重要な一丁目一番地が市民権課税だ。この市民権課税は世界広しといえども、ほぼアメリカだけの仕組みだ。世界中の諸国が居住地課税なのに、アメリカのスタンダードだけが異なっている。 居住地課税だと国を越えて引越すと、住んでいる国に軸足を置いて申告を考えればよい。一方、市民権課税だと、アメリカ市民である限り世界中のどこに行ってもアメリカの税務が追いかけて来る。 どうしてこんなになったかと言えば、アメリカの独立戦争と関係していたらしい。アメリカは18世紀に独立をかけてイギリスと戦争をしていた。この時に、お金を持っている人たちは、自分の子供が血を流さないために、アメリカの外に逃がしたらしい。お金を出させることで人々を囲い込み、外にいる人でさえアメリカの人ならば、みな犠牲を払って独立に貢献しようとなったと言いう。もしも本当ならば、国ができる時からアメリカのDNAの中に市民権課税が組み込まれているようだ。 日本に住んでいると言うことで我々は日本の税金の中で生きている。一方、アメリカの市民権やグリーンカードを持ちながら日本に住んでいれば、アメリカの税金の対象でもある。二カ国の税金を払うのは大変なことだ。だから国同士が話し合って二重課税を回避しようとする。 アメリカが一方的に日本に譲歩すれば、市民権を基礎として課税をしているアメリカの根本に風穴があく。即ち、外国に出ることによってアメリカの税金の外に出られるとなる。独立戦争当時に当てはめると、アメリカの外に出れば血も流さず税金も払わずいられる。これを良しとするならば、国の根幹が揺らぐ。そうしてできた国の市民権課税を容易に取り下げられまい。世界中に例のない孤高の市民権課税だ。
年の途中でアメリカに入国したり出国したりする。非居住外国人だった人が居住外国人になったり、その逆に市民権やグリーンカードを放棄して非居住外国人になる。2021年コロナウイルスの3回目の給付では、このDUAL STATUS をどう判断するべきか。 この給付金をもらえる人の条件はざっと次のようになる。 アメリカ市民又はアメリカ居住者の外国人である。 他の納税者の扶養家族になっていない。 調整後の総所得(AGI)は、夫婦合算申告で150,000ドル、世帯主は112,500ドル、独身は75,000ドル以下なら満額もらえる。 支払いを受け取るには社会保障番号(SSN)が必要である。 この条件を裏返した時に、非居住外国人はダメで、申告書を提出するに有効なSSNを持っていない人もダメと読める。 しかしながら、どこの時点を基準にしてアメリカ市民又はアメリカ居住者と判断するのだろうか。年の途中で非居住外国人だった人が居住外国人になったり、その逆に市民権やグリーンカードを放棄して非居住外国人になるDUAL STATUSの場合だ。2021年CARES法は、居住者を判断する基準時点を提供していない。 コップに水が2分の1入っている。これは水が2分の1あるのか、2分の1ないのかどっちだろう。ある方に光を当てれば居住者で、無い方に光を当てれば非居住者か迷う。 亡くなった人では、2020年中に亡くなった場合は2021年のコロナ給付金の対象にはならない。でも2021年に入って亡くなった人は時期を問わず対象となっている。それから類推すれば、2021年にどこかの時点で居住者だったらOKと言う事か。SSNという要件も、家族の中にSSNを持っている人がいれば対象になるので、ITINではダメという事にはならない。各論ではいろいろありえる。
2022年2月11日の朝日新聞に記事が掲載されていたので、目にされた方も多いかと思う。IRSはオンラインで税務手続きを行う時に、身元確認技術を提供するID.meに登録するように呼び掛けていた。 これはなんとかやらなければいけないと思い、アカウントを作って登録をしていた。但し、認証の段階でビデオの自分の顔を登録しなければならない。自分のビデオ映像?と心理的な抵抗感があったのと、自分の顔のビデオをどうやって登録するのかわからず、忙しさに紛れてそのままになっていた。 これはプライバシーで多くの人には抵抗があるだろうと思っていた。さらに特定の民間会社が起用されることには違和感がある。この個人データを民間会社がどう使うのかも不透明だ。 案の定、民主党と共和党の議員団が異議を唱え、市民団体の批判が強くなり、IRSはID.meの顔認識技術の導入を断念すると月曜日に発表した。既に登録してしまった人はどうなるんだろう。 IRSが何でも自前で準備するのは、予算、技術、マンパワー等から見て合理的ではない。民間のいいものはどんどん取り込んでいこうと言う前向きさの表れかも知れない。しかしこうした抵抗でうまく行かないこともあろう。未納の税金を取り立てる業務を民間会社に委託した時も一度はとん挫している。しかし、問題があれば修正すればいいではないかというチャレンジ精神はすごい。 翻って日本はどうかと言えば、安全に安全にと石橋をたたいて渡らない。仕組みを走らせる前にどれだけ内部検討しているかわからない。日本ではこうしたことは起きないはずだ。結果的に日本では革新するパワーがそがれ安全運転優先だ。 さてどっちがいいのだろう。
出国税(Form 8854)でアメリカ市民には救済措置があり、グリーンカードホルダーには救済措置がない。なぜなのかと考える。 全ての話はアメリカの市民権課税という世界に類のない課税の仕方から発生する。生まれながらにしてアメリカ市民は、市民を根拠として税務申告の義務を負う。アメリカ市民であれば、アメリカだけでなく日本だろうが世界中の所得が課税対象となる。 誰がアメリカ市民たるか。アメリカで生を受けた人、アメリカ市民から生まれた人はアメリカ市民となり得る。アメリカで生まれた人が親の帰国に伴い赤ちゃんや幼児の時に帰国している。それ以来、アメリカには行ったこともない。親がアメリカ市民だけど自分は日本の外に行ったこともない。というような、事故でアメリカ市民となっている人がいる。 事故でアメリカ市民になった人にも、アメリカは納税の義務を課し、日本の所得(全世界の所得)をアメリカに申告するよう求める。でも事故でアメリカ市民になった人は、アメリカに申告したこともない。 アメリカの課税制度の1丁目1番地たるアメリカの市民権課税を破る事は、アメリカの税金の根幹にかかわる。アメリカから見れば、アメリカ市民が申告納税義務を果たしていない。情報申告も行っていない。これは法に背くことゆえに、申告納税義務を求め、無申告のペナルティを課すことになる。 日本人だと思って日本に暮らしている人が、ある日突然、アメリカから100万円単位の税金の支払いを求められたらどうだろう。これは気の毒だと言う事をアメリカも理解する。そういう人は、すみやかにアメリカの市民権を放棄してくださいとなる。そしてその場合は、過去にアメリカの申告もせず納税をしていなくても救済する措置がある。 日本の国籍を放棄して、進んでアメリカに帰化した人は、事故でアメリカ市民になったとは言えない。 グリーンカードホルダーは、気がついたら自分がグリーンカードを持っていたとはならない。自ら進んで能動的にグリーンカードを取得している。アメリカに住もうとしているわけだから、当然のこととしてアメリカ社会の法律、規則、しきたり等を知ってもらわなくては困る。アメリカに住んで働き所得を得ても、全世界所得に対する申告納税の義務を知りませんでしたという事を認めるわけにはいかない。 これが事故でアメリカ市民になった人とは一線を画し、救済措置は使わせないと言う事だろうと考える。
PayPal等の電子決済アプリを使用している場合、今年の1月1日から、電子決済がIRSに対してForm 1099-Kで報告される基準が厳しくなる。その流れで米国の納税者ステータスを確認されている。 PayPal等は、年間で合計600ドル以上の商品またはサービスの支払いをIRSに報告する。この目的は、申告書で報告されていない課税所得を減少させることにある。 従来は、個人アカウントで1年間に200件の取引があり、その合計が20,000ドルの場合にのみ、電子決済アプリ提供者はIRSにフォーム1099-Kを報告していた。 この変更で、突然、課税されていなかったものが課税されると言う事はなく、何も変わらないという方もたくさんいるだろう。 もともと、商品やサービスの対価として受け取る所得は課税対象だ。そうした所得が第三者からIRSに通知されるかどうかに関係なく、申告書で報告する責任は変わらない。 この変更で、IRSは取引が良く見えるようになり、所得の申告漏れを防ぐことができる。即ち、報告された所得が申告書上に記載されているかチェックできるからだ。 但し、こうしたサービスが事業で使われているのか、お年玉を送金したとかビジネスの判断がつかない場合もあるはずだ。何でも事業と報告されるかもしれない。また、同じ内容がForm 1099-NECやForm 1099-Miscと重複してIRSに報告されてしまうかもしれない。 確かにこの変更で、取引の透明度が上がるだろう。一方で、所得の二重計上やビジネスと無関係な支払いまで事業としてForm 1099-Kが発行されてしまうかも知れない。だんだん管理水準が上がるかも知れないが、処理上は手間が増える。
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