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親心

2016年10月28日

子供に早めに財産を残してあげたいと考えるのは、アメリカでも日本でも変わらない親心である。親が子供に財産を贈与して、親が考えるように物事が展開することもあれば、必ずしも思った方向に展開しないと言うこともありえる。親としても、子供に何とかしてあげたいと言う気持ちと、自分が年令を経るにつれて、健康を損ねる可能性が増して来る。自分が元気なうちに、将来に対して布石を打っておきたいという気持ちが強くなるのはよく理解できる。

不動産の所有権者が自分ひとりであった場合に、これを子供の名前も入れて二人の共有とするのも良い考えと思える。もしかして相続が起きる時にも簡単にいきそうだ。何よりも財産をあげる側ともらう側にお互いに満足感がある。

この不動産の名義に子供を入れることは、子供から対価を得ているわけではない。すると、贈与税の対象になるのか考えなければいけなくなる。それは仮によしとしよう。

しかし、世の中、考えもしていない事が起きる事がある。親が考えもしなかったことだが、子供が事業に失敗することもある。そして借金を背負うことになり、不動産を手放さなければならないこともでてくる。あるいは事業に失敗しなくても、子供の家庭で夫婦仲が悪くなり、離婚することもでてくる。

親にしてみれば、老後を豊かに暮らすための財産として自分の手元に不動産を持っていた。しかしどこでどう歯車が狂ったのか、子供と不動産を共有にしたばかりに、いつのまにか自分の不動産が、子供の債権者に渡ったり、子供が結婚していた元妻に不動産が持っていかれることもある。

自分の子供に限って、そうなことはありえないと絶対的な信頼を置いているのが親心である。それはそうかもしれない。不測の事がないことに越したことはない。だが、何かが起きた時に、自分の足元が揺るがないのであれば、それは安心である。しかし、そんなことは思ってもいなかったと言ってもどうしようもない事がある。

日本人で日本で暮らしていてもなおかつ、そうしたリスクを読めない事がある。アメリカに暮らしていていろいろとわからない事が多いのも仕方がない。周りに相談できる人もいなければ、自分の思いでいろいろな事を決めなければならない。わかっているつもりでもなかなか見えていない事がある。アメリカに暮らすことはなかなか大変なことだと思う。

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