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US personゆえに

2018年12月31日

Tax Cuts and Jobs Actで国際課税に大改正を行っている。大きな企業が海外子会社を利用して海外子会社に留保金を蓄積し、配当しないことによって課税を逃れるとか無形資産を低税率国の海外子会社に持たせて利益をため込むことを防止しようとする。国際的な大きな企業をターゲットにする。

米国は企業の海外子会社にため込んだ留保金を米国に還流させようと、2018年からは海外子会社からの配当は原則非課税とした。

しかしながら、米国企業が支配する外国子会社の1986年以降の留保金に関しては、一度に又は8年で親会社に配当したものとみなして課税する(Transition Tax)。

さらに2018年から海外子会社の利益に対し、米国の株主に課税を行うGILTIが導入された。その結果、子会社から親会社への配当がなくても課税されてしまう。

こうした課税を受けるのは、海外の会社の支配持ち分を持つUnited States Personsだ。アメリカ国内法で作られた会社・パートナーシップ・トラスト・財団等々である。さらにアメリカ市民又はアメリカ居住者が含まれる。

この大改正で困ってしまうのは、アメリカ市民やアメリカ居住者が日本において会社を作って事業を行っているケースだ。個人事業と変わらない規模の人たちがたくさんいる。日本で自分が100%(または配偶者と50%ずつ)株を所有する会社を作り、英語を教えているとかというケースもある。

こうした人たちは、Transition TaxやGILTIで想定する節税スキームを駆使しているわけではない。アメリカ市民又はアメリカ居住者ゆえに巻き込まれてしまっている。そればかりではなく、アメリカ滞在日数でアメリカ居住者となる人やアメリカで生まれたばかりにアメリカ市民となっている人も対象になる。

もともとアメリカに利益を還流させる目的故に、ターゲットとされた大きな企業は控除を使える。アメリカ還流された配当を個人に行えば、その段階で一般の株主は課税を受ける。

しかし、日本において会社を作って事業を行っている人は、みなしの配当に課税を受けてしまい、企業では使える控除を個人では同じように使えない事があり得る。

Transition taxの対象となれば、1986年以降の留保金を計算するに、日本の決算書をアメリカ会計基準に置き換えることになる。個人レベルで果たしてこうしたことが可能だろうか。この大波に巻き込まれる個人は目的外だと思えるが、United States Personsで規定されてしまう。

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