2024年5月12日

2024.05.12
所得税

慎重に考えて

あなたがアメリカ市民と結婚しており、二人とも日本に住んでいる場合、これがアメリカの申告にどのような影響を与えるのか疑問に思ったことがあるかもしれない。アメリカの市民権やグリーンカードを持っておらず、一般の日本人として日本に暮らしている人のケースだ。 アメリカでは日本にはない夫婦が一緒の申告を行うことができる仕組みがある。行うことができると言うだけで、そうしなければならないということは一切ない。 たとえ二人とも日本に住んでいても、日本人配偶者は税務上アメリカ居住者として扱われることを選択すると、アメリカ市民のようにアメリカの税の世界に飛び込んでしまう。 これは、世界中の所得がアメリカに課税されることを意味する。つまり日本で得ている所得もアメリカの課税対象となってしまう。申告を行うためにはアメリカの納税者番号を取得しなくてはならない。これがそもそも一仕事だ。 日本で税金の申告を行い、日本の所得に日本で課税されたうえに、さらにもう一回アメリカの課税を受ける。外国税額控除で二重課税を回避しようとしても、100%回避できるかはわからない。夫婦の所得を合計すると、所得は大きくなる。大きくなるほど税率は高くなる。配偶者と一緒に申告を行い余分な税金をアメリカに納めることになりかねない。 税務上のメリットが全くないというわけではない。日本人の配偶者も標準控除を取り、課税所得を 2023年ベースで$13,850減少できる。日本人の配偶者に所得がなければ標準控除を活用できる。 しかしその税金の支払責任は、アメリカ人の配偶者だけではなく、日本人の配偶者にも共同で発生する。もしも経済的な能力のない人がアメリカの税金の支払いを求められたらどうなるか。さらにその時にはアメリカ人の配偶者が亡くなっているかも知れないし、婚姻関係を解消しているかも知れない。面倒な話になりかねない。 金銭だけの話ではなく、申告を行うための時間・労力・エネルギーも必要だ。経済的な損得を脇に置けば、わざわざ進んでアメリカの税の世界に飛び込んで、申告や納税の義務を負うことはないだろうと思う。

Read More

Tsuchida & Associates

〒103-0016
東京都中央区日本橋小網町4-8-403
Phone:03-6231-0301


相続税:資産家のための相続税相談申告センター
日本の税務:星泰光・杉沢史郎税理士事務所

アクセス

水天宮前駅 東京メトロ半蔵門線
6番口 4分
茅場町駅 東京メトロ 東西線
A4出口 徒歩5分
人形町駅 東京メトロ 日比谷線 / 都営浅草線
A2出口 7分
Copyright © Tsuchida & Associates All Rights Reserved.
ページTOP