2023.09.24
所得税
どこの税金を支払うのか
働いて得られる給与の場合、給与をもらう原因となった役務の提供がどこで行われたかを考える。アメリカに住んでいて、アメリカで役務提供がなされていれば、アメリカの源泉所得でアメリカの課税となる。アメリカではなく日本と置き換えると日本の課税となる。
すると、日本からアメリカに1週間、アメリカへ出張して仕事をすれば、1週間分のアメリカ源泉所得が発生して、多くの人がアメリカに申告をしなければならないことになる。年間、何度もアメリカに出張する人は面倒な話になりかねない。実際には日米租税条約の短期滞在者免税の規定で年間滞在期間が183日を超えない場合は免税としている。
租税条約がなく、役務提供地基準で課税が行われると、これは面倒なことになる。飛行機に乗務されている方が、ヨーロッパの上空を飛んだ場合に、1フライトで複数国の国境をまたぐ。その場合、各国が領空上を飛んでいる時間で所得配分をして、複数国に申告をしないといけないとなると大変面倒な話だ。各国との協定があって面倒税務処理は避けられているのだろうと思う。
この話は国境を越えて相手国で働くケースに当てはまる。例えばアメリカ居住のアメリカ市民が、毎日国境を越えてカナダに通勤する、あるいはその逆のパターンがある。この場合は、働いている国の非居住者として、その国を源泉とする所得に対してのみ相手国に税金を支払う。さらに相手国に支払った税金を、外国税額控除として自国から控除する。
国境をまたがずに、アメリカの州税をどうやって支払うのかと言う話も出てくる。
一例としてニュージャージー州に住む人がニューヨーク州で働いている場合、居住している州と働いている州の課税が起きてしまう。二重課税を避けるために、ニューヨーク州の税金を、ニュージャージー州で控除をする。ニュージャージー州はペンシルベニア州と相互税協定を結んで働いている州でのみ課税されるが、ニューヨーク州と同様の協定はない。
ではスペースシャトルに乗って仕事をしている場合はどうなるのか。アメリカはスペースシャトルの勤務はアメリカ源泉所得とする。宇宙空間は特定の国の領空を超えているので、他国と源泉所得を分解するようなことはない。