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慎重に考えて

2022年04月10日

配偶者がアメリカ市民で、片方の配偶者が日本に住んでいる日本人の夫婦がいる。日本人はアメリカに居住しておらず普通の日本人だ。

アメリカでは夫婦仲良く一緒に申告を行うと考えることができる。日本にはない夫婦合算の申告だ。

しかし、アメリカに申告をする必要がない日本人がどうして、アメリカに申告を行い納税するのだろう。わざわざ他国の税務の義務まで背負い、他国に税金を払う必要はないと思うことが自然だろう。

夫婦が一体だという精神的な充足感だけではなく、実際にメリットがある場合、夫婦合算すること自体はおかしくはない。

日本人の配偶者に全く所得がなければ、合算しても所得金額は増えない。その上で標準控除2021年申告では$12,550を使えるので、その分、税額が減少する方向に効く。

アメリカ市民と結婚している普通の日本人が、アメリカの税務に入り込むには、特別に手続きを行い、税務申告の上では自分をみなしアメリカ市民としてくださいと言う申請をして受理されなければならない。勝手にはできないことになっている。手続きが面倒だ。

税務上、みなしアメリカ市民となることでアメリカには全世界の所得を申告しなければならない。日本の所得も全部アメリカに申告を行う。それにより夫婦としての所得金額は大きくなる。結果、アメリカの税額が大きくなる方向だと、意味がないだろう。

一見よさそうに見えても慎重に判断する方が良い。というのは申請をして、みなしアメリカ市民としてもらった以上、極端に言えば死ぬまでその申告義務は継続する。何十年もアメリカに申告をし続ける。

夫婦合算で申告を行うことは、納付する税金に責任を取ることを意味する。相手に負担する能力がなければ、自分が納付しなくてはならない。既に相手の配偶者がいなくなっても、アメリカの税金が追いかけて来ることもあり得る。

今は良くても将来どうなるのか。日本人配偶者に所得が出たら税金を払う方向になる。場合によってはアメリカ市民の配偶者の所得が少なくなれば、そもそもアメリカに申告しなくてもよくなる。婚姻関係に波風が立つこともあるかも知れない。そうなっても、本来申告する必要のなかったアメリカに申告をするのか。あるいは不幸にしてアメリカ市民がなくなることもあり得る。アメリカの事はアメリカ市民の配偶者にまかせっきりだったのが、一気に自分に押し寄せる。

こうした望まない事態になれば、みなしアメリカ市民であることを解消しなければならない。書面により申請をして受理されなければならない。

短期的に良いと思えたものが、時間の経過で中長期では逆の方向になることもある。そもそも入り込む必要のないアメリカの税金の世界に、それでも足を踏み入れるか慎重に考えてみるべきだろう。

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