アメリカの所得税の申告を行う場合、アメリカの居住者であるかどうかと言う事はとても大きな意味を持つ。全世界の所得に課税を受けるかアメリカ源泉所得だけが課税対象になるのか分かれ道になる。
アメリカの市民権やグリーンカードを持っている場合は、所得税においては居住者となるし、一定期間アメリカにいるとアメリカの居住者となるのが原則だ。
しかし、遺産税において、アメリカ市民以外の人がアメリカの居住者となるには実態と居住意志を見ての判断となる。
そうすると所得税においてグリーンカードを持っている人や実質滞在テストで滞在者となっても、遺産税においては必ずしもアメリカの居住者とならないこともある。税目によって居住者と非居住者が泣き別れてしまう。
仮に難民が自分の生まれた国を捨ててアメリカに入国したとする。そして、アメリカに入国して1週間後にアメリカで亡くなる。所得税の観点ではアメリカ市民でもないし、グリーンカードを持っているわけでもない。実質滞在テストでも183日に満たない。しかしながら、帰る国を捨ててアメリカに入国しているために、遺産税の上ではアメリカの居住者と判断されるという極端な話にもなりうる。
一方、日本で生まれ日本に家族が住んでおり、財産も日本にある人が、グリーンカードを取得して10年も20年もアメリカに住んでいる。しかしアメリカ人の配偶者が亡くなると、日本に帰国すると決めている。この場合は遺産税の上ではアメリカの居住者ではないと言うことも十分にありえる。
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