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落としどころ

2023年05月21日

日本人と言えどもアメリカで出生していることにより、アメリカへの申告を余儀なくされる。実態はどうかと言えば、日本人として日本で生活しているわけだから、日本人そのものだ。それでもアメリカへの申告義務を負っている。

そうした方に日本人の配偶者がいるとする。アメリカの申告をする時に、Married filing jointly とかMarried filing separatelyを考えざるを得ない。

アメリカの申告は、アメリカに住んでいるアメリカ人を基本にものを考えている。夫婦は家族単位の申告を行い、どちらの配偶者も申告をするのだが、理由があってMarried filing separatelyを選択しているとなる。すると個別に申告を行う時には、標準控除を夫婦の50%をそれぞれに使わなければいけない。あるいは子供の扶養控除を取るにも、どちらかの親が控除することになる。これをそのまま二人がダブルで控除を取ると、所帯としては明らかにおかしい。

となると、IRSからすれば二重の控除は何としても避けてもらいたい。年間の個人所得税の申告件数は約1.6億件以上ある。人の目、人の手で間違いを探そうとするのは不可能だ。コンピュータにやってもらうしかない。SSN(社会保障番号)かITIN(納税者番号)でチェックをかけるしかない。IRSとしては当然のことだ。

すると、返す刀でアメリカとは縁もゆかりもない配偶者までSSNやITINの記入を求める。アメリカの社会保険に入らないとSSNは取れないし、ITINをアメリカと縁のない人が取得することも容易ではない。このためにどれだけ時間や労力やエネルギーを要するかわからない。

アメリカに住んでいればあたり前だから仕組みはそれでできている。しかし、アメリカを離れてしまえば当たり前の世界から簡単に外れてしまう。物事すべて97%とか98%が容易に当てはまっても、残された数%をどうやって救い上げていくかと言うのは難しい。例外にはうまく対応できていない。

もちろん配偶者のSSNやITINなしに紙の申告書を提出する道は残されている。電子申告においても、アメリカと縁のない配偶者のSSNやITINを、必須記入要件から外してくれたらどれだけ楽かと思う。これは納税者としては当然のことだ。

立場が違えば、どちらの当然を取るのだろう。紙の申告が妥協の落としどころなのか。

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