2023.03.05
情報申告
2023年2月28日のFBARペナルティの最高裁判決
2023年2月28日、アメリカ最高裁判所は、FBARを故意ではなく提出しなかったことに対する上限10,000ドルのペナルティは、口座単位ではなく、報告ごとに計算すると決定した(ビットナー対合衆国)。
(経緯)ビットナーは2007年から2011年のFBARを報告していなかった。この5年間で問題となった口座数は全部で272件だった。その結果、IRSは2,720,000ドルの罰金(272口座×10,000ドル)を課した。
これに対してビットナーは、ペナルティは口座ごとではなく、毎年の報告に対して適用されるべきであると法廷に持ち込んだ。これならば、ペナルティは50,000ドル(5年×10,000ドル)となる。
地方裁判所はこれに同意し、ペルティは口座ごとではないとしたが、IRSは控訴し、二審は口座ごとにペナルティが計算されるとした。矛盾した判断が示されたことにより、最高裁判所で審理することになった。
(判決)米国最高裁判所は2023年2月28日火曜日、外国口座の外国銀行および金融口座(FBAR)を故意でなく提出しなかった10,000ドルの罰金は、口座ごとではなく、報告ごとに発生するという判決を下した。
FBARを報告していなかったことに対してのペナルティはどう計算されるのかについては、これで決着を見る事になった。しかし、賛成5対反対4というギリギリの判断だ。
シンプルに考えると、外国の口座を持ち、報告要件を満たす残高ならばFBARを提出する。口座がなくなれば報告はしない。その口座ごとに動いている。とすればペナルティは口座ごとではないかと言う見方もわかる。
マネーロンダリングや国際テロへの資金提供ならば、すべてのアカウントが報告される事が重要だ。非公開のアカウントごとにペナルティを課すことは理にかなっている。
通常のケースでは、それぞれの年を単位としてペナルティを計算すると言うのは歓迎される。年当たりのペナルティ10,000ドルは上限で、実際は個別の状況を勘案することになっている。適正に申告することが何よりも大事だ。