2021年では遺産税の生涯控除が11.7百万ドル(夫婦では2倍の23.4百万ドル)だ。日本円で言えば約12億円(夫婦で約24億円)の控除があるために、そこまでは遺産税が発生しない。最高税率は40%で2025年末まで継続されることになっていた。 大統領選挙で現バイデン大統領は、この控除を3.5百万ドル(夫婦で7百万ドル)、税率を45%に上げることを提案していた。この生涯控除(基礎控除)と最高税率の変更にとどまらず、相続財産の取得コストを取得コスト方式にかえようと言う大きな変更もある。 現状ではコストとは個人の相続開始日の市場価格に塗り替え(ステップアップ方式)となる。例えば故人が30万ドルで取得した不動産が、相続開始日に100万ドルになっているとする。相続人がこれを譲渡すればざっと70万ドルの譲渡益が出るが、その不動産をすみやかに譲渡すれば、コストが70万ドルに持ち上げられるので譲渡益は発生しない。かくして残された人の生活を守ることができる。 一方、取得コスト方式に切り替えられると、譲渡益が70万ドルとなり課税を受けることになる。大雑把に20%の税率として14万ドルの税金が発生する。日本ではこの方式なので、違和感はないかも知れない。 コロナウイルスで混乱している中で、実際にいつ立法化されるかどうかはわからない。しかし、時間の問題と考えた方が良いのではないか。通常は立法化された以前に完了した申告は、そのままで影響を受けない。しかし2021年の初めから遡って対象とすると言う事になれば申告が終わったものと安心できなくなる。 いずれにしても日本の相続から考えると異次元の話だ。日本人が亡くなった時にアメリカ遺産税でアメリカ居住者と見なされる場合、日本を含む世界中の財産が遺産税の対象となる。日本の相続税もあるために、アメリカの遺産税だけではなく日本の相続税が大きな課題になりえる。

日本に住んでいる方でも。アメリカの第二回目のコロナウイルスの給付金$600を手にしている方も多いだろう。昨年の年末から給付して、今年の1月15日までに給付するわけだから、半月程度の間にアメリカの人々にこれを配る。このスピード感は驚きだ。 これを実現するために、支給対象や所得水準を去年の夏の1回目の給付金のデータをもとに、第2回目を行っている。 この給付金は2020年の税額控除の先払いとなっている。本来、2020年の確定申告を行い申告書の上で控除を取るべきなのに、2020年の数字ではなく、2019年の所得金額の数字(場合により2018年の数字)を2020年と見なして控除額を計算する。正しいとか正しくない数字と言うのは当然あり得る。その精算は2020年の確定申告書で行うと言う立て付けになり、Form 1040の30行目にその控除を入れる。 こうした変更をIRSはコンピュータプログラムを修正し、正しく動くことを確認する。そのための余分な時間が申告書の受付開始日を2月12日と、例年よりも約半月遅らせた。 仕組みができても、問題は個人がそこに入れるデータの正しさだ。Adjusted Gross Incomeが独身だと$75,000、夫婦合算だと$150,000を超えるとフェーズアウトが始まる。コロナウイルスが蔓延していなかった2019年にはこのラインを越えて所得のあった人が、2020年では所得が大きく減少し、給付金を受け取るべきなのに給付金をもらえていない。あるいは扶養家族が増えているのに、2019年では扶養家族がいなかったと言う事もあり得る。場合によっては、2020年の所得が多く、給付金の対象にならないこともあろう。 この控除を計算するためにForm 1040の説明書の59ページ目にワークシートがあるので、これを使って控除額を計算する。また手元にもらっているIRS Notice 1444も必要だ。 特に海外に住んでいた、住所が変更等で、給付金が手元に届いていない人もいるだろう。亡くなったり、市民権やグリーンカードを放棄して日本に住んでいて支給対象でない人が給付金をもらっていたかもしれない。個人が計算に用いる給付金とIRSの支給額が不一致で、例年以上に面倒な申告になりそうだ。

外国通貨による所得はドルに換算する。FBARでは年末レートを使用する。 家の譲渡益を計算する場合、相続で相続額を確定する時などでは、実際のその日のレートを用いる。 FRBのレートや金融機関発表のものは、それぞれ少しずつレートが異なるが、それでも良いとされている。外国の銀行が発表しているレートも認められる。

コロナウイルスのために帰国をしたくても出国ができない、入国ができないと言う事が起きている。TVのニュースで取り上げられていたケースは、日本に観光旅行で入国した人が、滞在中に本国が海外からの入国を禁止したために、そのまま1年間日本で身動きができなくなっていると言うものだ。これはアメリカにいても同じで、本国が扉を開けてくれないと帰ろうにも帰れない。 外国人がアメリカに一定期間以上滞在すると、実質滞在テストで滞在日数を計算し、アメリカ居住者となってしまう。アメリカ居住者となれば、全世界所得を対象にして居住者として課税を受けてしまう。 しかしながら、これはどう考えても不合理だ。アメリカに観光目的や、会社の出張で入国した人が、たまたま病気のため、事故でけがをして入院し、動きが取れなくなっている場合も同じだ。アメリカの居住者になろうとしているわけではない。 この場合は、実質滞在テストでそうした病気での日数を除外できる。Form 1040NRにForm 8843を添付して日数を除外する。もともとForm 1040NRを提出する必要がない場合は、Form 8843も提出する必要がない。ただし、そうであっても、もしもIRSからForm 8843を要求された場合は提出に応ずる。 コロナウイルスに罹患して入院せざるを得なかっただけではなく、検疫で動くことができない、交通手段がない、外出が制限とかコロナ鎖国もあろう。こうした場合は、個別の事情を勘案されて判断されるので、事情をきちんと説明できる関連書類を揃えることになる。

今年の春にコロナウイルスの経済活性化のために給付金$1,200/人が支給された。今回、その第2弾が行われるようだ。 今回の給付額は下記という。 独身 $ 600 夫婦合算 $1,200 子供がひとり増えるごとに$600 独身であれば調整後総所得(AGI)が$75,000以下で満額もらえる。夫婦合算では同じく$150,000以下だ。ただし、所得金額がこのラインを越すと、フェーズアウトが働く。$75,000や$150,000以上では$100増加するごとに$5減額されていく。つまり、独身では$87,000、夫婦合算申告では$174,000を越えると、給付金が消滅する。 これは本来、2020年の所得で計算されなければならない。しかし、ここで支給するために、2019年分の申告書をベースに計算される。給付金は2020年の先行控除という位置づけだ。結果として金額が過少の場合は控除金額で調整となる。申告書に銀行口座が記載していれば直接、口座振り込みになる。それ以外は小切手で支払われる。 さて、この給付がいつ行われるかだ。当然、一日でも早くということになる。できるだけ早く支給しなければならないものの、IRSにとっては新年度の申告と重なる時期だ。2019年分の申告書も処理しきれていないのに、またここにマンパワーを持っていかれるとどうなるのかと思う。 支給開始が新政権のスタートと重なり、支給金をもらっていない前に2020年申告シーズンが始まってしまう事も考えられる。その場合、控除に上げてしまい申告をしてから、給付金が振り込まれたら二重請求になってしまう。適正でない受給は返金しなくてはいけない。 こうしてみると、2020年の申告はかなり混乱する事も考えられる。

IRSの発表では、11月24日現在、個人所得税申告書が710万通、法人の申告書が230万通未処理のままだという。その原因はコロナウイルスだ。このままだと個人と法人と合わせて900万通以上の申告書は、年内に終わらせることができるのか不透明だ。2019年分の還付金の支払いが、2021年にずれ込むこともあるかも知れない。 コロナウイルスの影響は、ますます広がっており、12月18日までに、アメリカのコロナウイルス感染者数は1760万人で死者31.5万人という。退役軍人省が発表する第二次世界大戦(1941~1945年)の4年間における戦闘による死者数29万1557人を超える数字だ。IRSだけでコロナウイルス陽性者が1,100人を超えると言われている。IRSが年明けまでに遅れを取り戻し、正常な状態に戻るかどうかは予断を許さない。 申告書の作成に必要なForm 1099等の発行が遅れることも考えられる。データが遅れ、申告をサポートする人たちもテレワークしていると、2020年分の申告は混乱しそうだ。例年、IRSは申告書を1月末から受付を開始する。2019年分の申告が処理されていなければ、受付の開始時期も遅くなるかも知れない。 7月15日まで3ヶ月延長された2020年申告の状況と比べて、現在の状況のほうが深刻だ。しかしながら、申告までの時間的余裕があると申告期限の延長を前提に動くわけにはいかない。今度の申告は混乱する中で、4月15日期限で備えることになる。日本からの申告期限は2ヶ月の自動延長があるので6月15日だ。

アメリカの個人の所得税申告書を作成する時には、婚姻上のステータスを記入する。即ち結婚しているのか、独身であるのかというステータスだ。 202X年分の申告をする時に、1年を通じて結婚をしている、または独身というケースはシンプルだ。しかし、202X年中に結婚したり、離婚をした場合は、どの時点で判断するのか。それは12月31日時点で判断する。年末最終日に結婚していれば1年中結婚しているものと考える。年末最終日に結婚していなければ1年中、独身というわけだ。ここまではわかりやすい。 202X年中に配偶者が亡くなったと言う場合、亡くなった配偶者があたかも12月31日まで生存しているものとして、税務上扱うことができる。 結婚している証拠書類はCity/County/Stateが発行したMarriage Certificateだ。結婚した州と住んでいる州が異なる場合、住んでいる州では結婚していないことになるのだろうか。他州で発行される証明書も全米では認められる。 2015年にはアメリカの最高裁は50州で同性婚を合法としている。一方で、同棲は認められても、法的に結婚しているわけではない。連邦税では法的に結婚をしていれば夫婦として申告をすることができる。しかしながら州によって同棲を認める・認めないと混在する。すると連邦税と州税では婚姻のステータスが変わってしまう事もありえる。 さて、国を超えてしまった場合はどうなるのだろう。日本法では結婚しているが、アメリカの州法では結婚していない、あるいはアメリカの州法では結婚していても日本法では結婚していないとなると、これは大変な混乱をもたらす。それ故にアメリカの州法によらない結婚でもアメリカの婚姻関係は認められる。 ならば回教国で4人の妻がいる場合はどうなるのだろう。この場合はどうやら第一夫人が正式な配偶者として認められるようだ。

2020年10月18日版のForm 2555のinstructionsで、Covid-19による滞在日数カウントの救済が盛り込まれている。 Covid-19がなければPhysical Presence Test(PPT)またはBona Fide Presence Test(BFT)のいずれかでこの条件に合う人に、下記の時間枠で外国に滞在できなくとも、この間の出国は時間的な条件を満たすものとして扱ってくれる。 中国では2019年12月1日から2020年7月15日の期間 他の国では2020年2月1日から7月15日の期間 この処置を希望する場合は、Form 2555のトップページの上部のスペースにRevenue Procedure 2020-27と記載する。 Form 2555は一度使うと将来に渡りそれを用いる事が前提となっている。もしもForm 2555を使いたくないという状況になれば、IRSに申請してForm 2555を用いる選択を無効とすることができる。一度、無効にしてしまうと5年間はForm 2555を使うことができないので要注意だ。

FBARとFATCAと外国金融口座の情報申告が2つもある。提出する方からすれば、ほぼ同じ情報を2回申告するので、面倒だと思うのではないだろうか。それも、アメリカ市民とかグリーン・カードを持ってForm 1040を提出する人であり、Form 1040NRを提出する人は、FATCAやFBARとは接点がないと思うかも知れない。 FATCAは税法26条の世界で規定されている。これはアメリカ国内法だけではなく、租税条約も関係してくる。183日テストを適用して居住者というのが国内法の考え方であっても、租税条約でアメリカの非居住者となることは可能だ。一例として学生や教授条項に当てはまる人はアメリカに入国しても5年とか2年は居住日数から除外できる。つまり本来アメリカ居住者であっても、租税条約により非居住者となることもある。さらにこれは税額の計算上の話で、情報申告では適用されない。 FBARを規定するのは31条の1970年法(the Bank Secrecy Act of 1970)だ。Financial Crimes Enforcement Network (FinCEN)が管轄してIRSではない。FBARは国内法であり、居住者は居住者でしかない。 通常のパターンはForm 1040でFATCAの申告を行う。合わせてFBARの申告も行う。しかし、Form 1040NRでFATCAの申告を行い、合わせてFBARの申告も行う場合もある。 金額要件を入れるとForm 1040でもForm 1040NRでも次のケースが出ることがあり得る。 FATCA FBAR 〇 〇 × 〇 〇 × × × Form 1040NRを提出する人は非居住外国人で、FATCAもFBARも縁がないと考えるかも知れない。大抵はそれで良くても、機械的にそうならないこともあるのでやっかいだ。

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