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2020.11.08
遺産税・贈与税

バイデン候補が勝って

バイデン候補の勝利がほぼ決まったようだ。これによってアメリカの税金は増税にかじを切ることになる。 連邦遺産税においては生涯控除が減額されると見られている。2017年税法のもとで2020年の遺産税の控除額は$11.58百万($1=105円で約12億円)あり、夫婦の場合はこの2倍で$23.16百万(同じく約24億円)の控除がある。この控除額を超えた場合は40%の税率で課税を受ける。この控除額はインフレ調整を受けながら2021年から2025年まで増加していくのが足元の状態だ。 しかし、これは2025年末までの話で、2026年以降については新たな法律がない限り、2017年法以前に戻ってしまう。バイデン候補が大統領となって、2017年当時の控除額$5.491百万か、更に踏み込むと控除額がもっと減少し、最高税率60%とかに向かう可能性がある。 控除額は生前(贈与)でも死後(相続)でも使える。今の状況では、仮に約12億円の財産があり、2025年末までに亡くなれば、控除により遺産税は発生しない。何もせずに時間が経過してしまうと、約12億円の控除は使えず、課税対象遺産税額が約6億円増加して約3億円前後の増税となる可能性がある。 では今のうちにこのメリットを取ろうと、約12億円を贈与して、2025年までに亡くなれば贈与は無税となる。ところが2025年を超えて2026年になっても生きていれば、約6億円の控除しかない。この場合、6億円は課税対象になって最高税率で課税されてしまうのか。基本的な考え方は、12億円の控除は取り上げられることはない。 しかし、バイデン大統領になり、2025年末ではなく早期に終了させて、控除額も約6億円ではなくもっと少なくすると決めたらどうなるのだろうか。法律が成立するまでに行われたことまで無効とはしないだろう。そのため新たな法律が決まる前に、駆け込みの贈与が増加すると見られる。 上記の控除額はあくまでアメリカ市民や遺産税・贈与税法でアメリカ居住者とみなされる人が対象だ。日本に住んでいる人は、同じ控除額を享受できるわけではない。また、日本の相続税・贈与税も考えなければいけない。

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2020.11.01
情報申告

FBAR申告期限

FBARの申告期限は2015年分までは2016年6月30日だった。当時、FBARの申告には期限の延長という概念はなく、税金の申告とFBARの情報申告の期限は全く別だった。 2016年分の2017年申告からは、税金の申告と一体化されて4月15日が申告期限となった。6月30日から4月15日まで期限が前倒しとなった。ところが、税金の申告と期限を合わせたために、海外(日本)から申告をする場合は2ヶ月の自動延長があり、6月15日が期限となる。さらに、税金の申告書には申告期限の延長があり、申告書提出の延長申請をすれば10月15日が申告期限となる。FBARは税金の申告書と一体になるので、FBARだけの延長申請はなく自動延長だ。 2019年のFBARの申告は、コロナウイルスのために、当初の4月15日が7月15日に延長された。海外(日本)から申告をする場合は6月15日という期限も7月15日となった。延長の場合は10月15日という期限はそのままだ。 2020年10月6日にFinCENは、 the California Wildfires, the Iowa Derecho, Hurricane Laura, the Oregon Wildfires, and Hurricane Sallyで、罹災した人のFBAR申告を2020年12月31日まで延長する。 これは特別措置だったわけだが、この内容をサイト上で10月14日に通知した際に、誤ってすべての人が12月31日まで延長の対象と発表してしまった。すべての人を対象にしたものではないと、すぐに訂正するのだが、時すでに遅かった。苦肉の策ですべての人を対象に10月15日を10月31日までに変更した。上述の罹災者は、年内一杯がFBAR申告は期限後申告となる。 2019年分の2020年のFBAR申告は極めて異例であった。気がつけば年内も2ヶ月で、あっという間に2021年になる。そろそろ、2020年分の2021年申告のために、金融口座の最高残高をチェックする時期になる。

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2020.10.25
その他

日本語初登場

我々は税金の申告をしなければいけないの事をどうして知ったのだろうか。小学校か中学校だかの社会科で憲法では税金を納めること(納税)は国民の義務と言われたからだろうか。どのくらい時間をかけて教えてもらったか、覚えていない。 日本に住んでいる人ならば、日本の社会の中で生きており、アメリカの税金は見たことも聞いたこともないというのに近いだろう。ある日突然、アメリカの申告をしなければならないことを知り愕然とする。日本の確定申告だってよくわからないのに、ましてアメリカの申告書を学ぶ機会は殆どない。 アメリカの税金について、習っていなかったことが免罪符になり、申告をしなくても良いというわけには行かない。 動物だって、赤ちゃんが生まれてすぐ、一人で生きて行けない。親が子供に生きるすべを教え、子供が生きていく能力を身につけて、親から離れていく。何も知らない子供が親からいきなり水の中に投げ込まれ、バタバタしている間に泳げるようになるのでよいのだろうか。 どうこう言っても、残念ながらIRSは日本語でアメリカの税務を学ぶ機会をほとんど提供していなかった。IRSのサイトもスペイン語、ロシア語、中国語、韓国語、ベトナム語のページがあっても日本語のページは見たことがなかった。それだけニーズが低いからだろう。 しかしながらこの9月に初めてIRSのサイトに日本語のページが登場した。人類が初めて月に降り立ったような感覚になる。今後の大きな発展を期待したい。

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2020.10.18
所得税

合理的な理由

Form 8854を提出しなかったり、FBARの申告をしていないとか、遅れて申告をする。遅れて提出をする時に、なぜ遅れたのかという合理的な説明をする理由書を提出するように言われることがある。事情を汲んでペナルティを減額する事もあるからだ。 FBARの提出遅れは次の選択肢から選ぶようになっている。 • 忘れていた • 申告する必要があるのを知らなかった • 金額が申告要件以下だと思った • 外国口座だと知らなかった • 口座の報告書を無くしたり期限内にもらえなかった • 情報が不十分で、それを入手するに時間がかかった • 配偶者のサインを期限内にもらえなかった FBAR以外はこうした選択肢はなく、遅れるに至った合理的な説明を求められる。 1.何がいつ発生したのか 2.どんな原因でそうなったのか 3.どうして期限を守れなくなったのか 4.どんな努力をどれだけしたのか 5.状況が変化した時に、どのようにリカバリーしたのか 自分の責任によらず、外的な理由といえば、自然災害(地震・火事・台風・水害など)、病気、戦争、内乱等だろう。しかし、病気ならば第三者の証拠書類を求められる。なかなか難しい。 2019年分の申告書の提出でいえば、コロナウイルスを理由にして、何ヶ月か遅れましたということは言えるかも知れない。だけども3年も、5年も申告書を提出していないことの合理的な理由とはならないだろう。 自分としては善管注意義務を果たして、やるべきことをやった、落ち度はなかったと言いたくても、説明は難しい。申告の義務を知らなかった・日本に申告をしていたので十分だと思っていた・忘れていた等が正直なところではないだろうか。 初めてのことならば、まあまあということもあるかも知れない。しかし、2回も、3回も同じことが起きている場合、事情を汲んでもらえるかどうかは難しい。

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2020.10.11
その他

申告書以外での苦労

10月15日が、2019年の個人所得税の延長申請をした場合の最終申告期限だ。 申告書の作成で苦労するというのは致し方ない話だ。やっとの思いで申告書を作成し、税金を支払うために銀行に出かけてドルの小切手を作ってもらう。数年前までは面倒だと思ってもそれなりにできていた。 今はどうなのか。 納付する税金のドル小切手を作ろうと銀行に行く。払い込み先をIRS指定のpayable to U.S. Treasuryとすると、銀行は小切手作成に応じてくれない。相手先の銀行口座への振込しかできない。ならば郵便局に行って国際郵便為替証書を作成してもらおうとするも、取り扱いがなく応じてもらえない。 全く手がないわけではなく、IRS向けの支払いならば、IRSのサイトでオンラインでの支払いを選択して、クレジットカード払いもできる。いろいろ記入しなくてはならず一手間かかる。 申告をして還付金を受け取ることもある。外国向けにはIRSはドル小切手を送付してくる。さて、この小切手を都市銀行に持ち込んで円に換えてくださいと言う。もう2年前からそのサービスは無くなりましたと言われる。Prestia(SMBC信託銀行)のみが可能な状態だ。ドル小切手をもらっても、換金できずに机の引き出しに入れてしまうと、あっという間に1年が過ぎてしまう。小切手の有効期間が過ぎてしまい、期限切れのままでは換金ができなくなる。 郵便局でアメリカ向けに郵便を送ろうとEMSのサービスを申し込もうとしても、アメリカに書類を送るサービスは4月以来停止されたままだ。Private Delivery Serviceを使うしかない。 申告書の作成以外にいろいろ手間がかかることがある。

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2020.10.04
その他

$750税金を払っている

NYタイムズの記事によれば、トランプ大統領の納付した個人所得税の税額は、2016年と2017年には連邦個人所得税は$750だ。年間8万円程度の税金を払っている。2000年から2015年の15年で10年は$0となっている。Factbaseによれば2017年の所得は約$6億だ。$1=100円としても600億円以上で、数字が大きすぎて計算するのも大変だ。しかし、損失が出て課税所得がなければ税金を払わない。税法に合致して損失をうまく使っているのだろう。 アメリカ人は一体どのくらい税金を払っているのだろう。 この資料では、アメリカの平均値は2018年では総所得$78,635で連邦税が$9,032、州税が$2,285、その他$78の合計$11,394を納税している。 Source: Consumer Expenditure Survey, U.S. Bureau of Labor Statistics, September, 2019 $750というのは、2017年の税額表では課税所得が$7,500と言う事になる。国のトップとなるリーダーが、ほとんど税金を払っていないと言う事は、どのように説明できるのだろう。

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2020.09.27
その他

書類の発送も一仕事

今年ほど日本からアメリカに書類を送ることに苦労した年はなかった。コロナウイルスのために郵便局に行ってEMS(国際スピード郵便)を使おうにも、サービスが提供されていない。 そうなると、FedEx・DHL・UPSと言ったPrivate Delivery Service(PDS)しか手段がない。使えるサービスがIRSのサイトで列挙されている。 ここで困るのは、IRSの郵送先住所だ。P.O. Box宛ての住所が指定されていることがある。 このPDSはP.O. Box宛ての住所は受け付けない。そのためPDS専用のあて先となる。 これでやっと出口にたどり着いたと思いきや、PDSからはあて先の電話番号がなければいけないと言われる。仕方なく、Googleで調べるといくつかの番号がある。 Internal Revenue Service (IRS) 3651 South Interstate 35 Frontage Road, Interregional Hwy, Austin, TX 78741 Phone: +1 800-829-1040 米国大使館のこのページは異なる番号がある。 For Courier Service (DHL, FedEx., UPS, etc…) IRS 3651 S. IH 35 Austin, Texas 78741 Phone: (512) 460-7948 いずれにしても電話番号は記入されるとPDSは受け付けてくれる。 個別の州は一つ一つ、検索して調べるしか手がないようだ。いよいよわからない場合は、州のtax officeに聞くと教えてもらえる。

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2020.09.20
遺産税・贈与税

これはいかがなものか

アメリカの市民権やグリーンカードを持つ人が相続で財産をもらう。アメリカは贈与・相続を受けた場合に、財産を受け取った人は課税を受けない。何もしなくてもいいというわけではなく、外国人からの贈与・相続であれば、その財産額が10万ドル以上だと Form 3520で報告義務が生ずる。 相続でForm 3520を提出したら、IRSから相続人が相続財産に対する最高40%の税金を払うように言われる。そんなことはあり得ないはずだ。なぜなら相続人は遺産税を払わないからだ。 ところが、亡くなった方がアメリカの市民権やグリーンカードを放棄した人だった。この場合には、日本の相続と同じように、相続人が税金を払う可能性が残る。 但し、被相続人が出国税でCovered expatriateに該当する場合だ。該当する要件は3つある。 ①納税額基準 過去5年の平均納税額が2019年の場合だと$168,000以上 ②財産額基準 市民権・グリーンカード放棄時に純資産$200万以上の人 ③適正申告基準 過去5年の申告納税義務をきちんと果たしていない人 Covered expatriateではないということを証明すればいいではないか。 しかし、故人が市民権を放棄したのは30年前だったとする。適正に申告をしていたという証拠をどうやって提出し、該当しないと証明するのか。30年前に財産が$200万以下と説明するのも容易ではない。 IRSに30年以上も前の申告書を第三者が求めてもどこまで開示してもらえるかわからない。証明するのは至難の業で、IRSの言うように40%の税金を払うのか。これはあまりにも乱暴な話だ。 IRSもやたらと刀を抜いて振り回すことをしないとは思う。しかしいざという時には、市民権・グリーンカードを放棄した人からの相続や贈与は、面倒な話になることもあり得る。頭の片隅にでも置いた方が良いだろう。

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2020.09.13
情報申告

意図的な行為

Schedule BはPart 1からPart 3まである。Part 1は利子所得、Part 2は配当所得だ。それぞれ$1,500以上の場合は、Part 3を記入するように求めている。今の時代に利子が$1,500もないし、株も持っていないから配当もない。Part 3には縁がないと考えるととんでもないことになる恐れがある。Part 3は外国に口座があれば記載しなければならない。 IRSは税務調査マニュアルで次のように言う。 Schedule Bには説明書があり、外国金融口座の申告義務を説明している。これを読めば極めて容易に申告しなければならないことがわかる。外国に金融口座を持つ人は申告書の説明に書かれている情報を読むべきである。 この情報や関連情報に適合して行動しなければ意図的な無視の証拠となり得る。申告要件を失念し、口座や残高を隠そうと努力することは意図的に申告義務を無視したと結論付けられる。 一方で、Schedule Bで間違えて違うボックスにチェックを入れたり、どこにもチェックを入れなかったりしたことだけでは、意図的に無視したことにはならない。 外国の金融口座を行わないペナルティには二つある。Wilful Conduct(意図的な行為)とNon Wilful Conduct(意図的でない行為)の二つに対するものだ。つまり、申告義務があることを知りながら、踏み倒して申告をしないのが前者で、それ以外の悪意はないものが後者と考えられる。 これによってペナルティの重さが異なる。Wilful Conductは申告漏れの対象財産の上限50%か$100,000の大きい方であり、場合によって刑事罰もある。Non Wilful Conductは上限$10,000だ。 こうしたペナルティが機械的に適用されると言うつもりはない。しかし十分に注意をして慎重に動くべきだろう。

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