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2020.08.30
その他

そんなことはありません

アメリカの市民権を放棄する人が2020年に激増している。最初の6か月で約5,800人と言う。昨年同期は444人だから、昨年比10倍以上でいかに多いかがわかる。 アメリカは市民権をベースに課税をしている国で、世界にはほぼ例がない。外国に住んでいても、アメリカ市民であればアメリカに申告をしなくてはならない。この課税は、建国以来のことで、この理由で市民権放棄が激増したとは考えにくい。 コロナウイルの影響でアメリカに入国したくてもままならず、いっそのことアメリカ市民権を放棄して、アメリカの税務から自由になりたいという人が増加していると言う事だろうか。政治的な理由が原因となっているのかも知れない。 市民権やグリーンカードを放棄しようという方から聞かれる心配事がある。 1.アメリカの市民権(又はグリーンカード)を放棄すると財産の半分を税金として取られてしまうのではないか。 2.アメリカの年金が年金をもらえなくなるのではないか。 3.アメリカにある金融口座がアメリカに召し上げられるのではないか。 4.アメリカに二度と足を踏み入れることができなくなるのではないか。 どうしてこういうことが言われるのか不思議だが、通常、適正に税務を処理している限りそんな乱暴なことはない。 一方で市民権やグリーンカードを放棄することにより、きっぱりとアメリカの税務から縁を切るとならないことも確かだ。過去から引きずっている税金があれば、きれいに精算しなければならない。 放棄した年まではアメリカの申告義務がある。その次の年からは、アメリカの申告をしなくていいかも知れない。アメリカ源泉所得があれば将来的にアメリカに申告をする可能性がある。またアメリカの遺産税や贈与税もアメリカに財産が残っていれば考えることになる。

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2020.08.23
遺産税・贈与税

そうはうまくいきません

米国人は居住している場所とは無関係に全世界所得課税を受ける。日本に住んでいる米国人も米国に申告をする。米国では夫婦合算申告をすることが多い。そこで米国人の配偶者と日本人の配偶者でも夫婦合算申告を自然に考える。そのためには最初にその宣言を行い、IRSに認められることが必要な例外措置だ。 本来、日本人の配偶者は非居住外国人なので、米国源泉の所得がない限り米国に申告することはない。それをわざわざ米国居住者扱いをして、日本の所得まで米国の課税所得に入れる。2019年ベースでは標準控除の$12,200を利用できる。そこだけに限るとメリットがある。しかしながら、それが最良かどうかは別問題だ。 さて話は米国の遺産税となる。米国市民の夫婦間の相続では、税金がかからずに無制限に財産を相続できる。米国だけではなく、世界中でも同じ扱いなので、日本に住んでいる米国人の夫婦でも米国の遺産税では同じだ。日本の相続税は別の話だ。 米国遺産税では、米国人の配偶者と日本人の配偶者のケースでも同じと思うかも知れない。なぜなら米国に所得税の申告をする時に、日本人の配偶者を米国居住者として夫婦合算申告を行っているからだ。 日本人配偶者を米国居住者として所得税を申告を行い、これで相続対策ができたというわけにはいかない。いかに所得税では認めても贈与や相続では一線を画している。所得税での宣言が米国遺産税に及ぶことはない。

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2020.08.16
所得税

Form 2555は宣言です

Form 2555は外国に住んでいるアメリカ人やアメリカの税務上の居住者にとっては大変ありがたいものだ。外国で働いて得る所得を、2019年では$105,900控除でき、毎年少しずつインフレ調整で控除額が大きくなる。 最初にForm 2555を使う場合どうするか。基本的な条件を満たしているのであれば、通常の申告でForm 2555をForm 1040に添付すればよい。以降、毎年Form 2555を使いますという宣言書のようなものだ。 申告を行うべき人が、申告を失念していたとする。そして過去に遡って申告を行う場合、このForm 2555を使えるのだろうか。これがあるのとないのでは大きな違いが出る。 申告書が提出されていないわけだから、その年に対してForm 2555を使うという宣言がなされていない。だから使えないというのか、今から過去に遡って宣言をするのだから使えるというのは大きな分かれ道だ。 Form 2555を入れて税額が発生しないならばForm 2555を使うことができる。Form 2555を入れて税金が発生する場合であっても、自ら進んで申告をしようとする場合は使える。ただし、IRSから無申告の指摘を受けて、申告に応ずる場合は、IRSに対して申し立てをして認めてもらう。 Form 2555の提出は、以降、毎年Form 2555を使いますと言っても、後年、これを取り消したい時も出て来よう。どうやって取り消すかだ。Form 2555を使わずに外国税額控除のForm 1116だけにするとか、Schedule Aで控除を取るとForm 2555は使えなくなる。 もしもForm 2555を無効として、気が変わってまたForm 2555を使いたい場合もあろう。基本は5年間復活できない。5年以内にもう一度復活させたいなら、IRSにお伺いを立てIRSの裁定を待つことになる。

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2020.08.09
遺産税・贈与税

アメリカの税務と縁がなくても

アメリカの税務など全く縁もゆかりもないという方でも、突然アメリカの税務に巻き込まれてしまう事がある。 アメリカに住んでいた親族が亡くなって、財産の相続人になる場合がその一つだ。全く、財産をもらうことなど考えてもいなかったのに、ある日突然降ってわいたような話が起きる。故人には配偶者や子供がおらず、親も生きていないために、日本の兄弟姉妹が相続人となる。あるいは個人年金の受益人として日本に住んでいる方が指定されている。 アメリカの金融機関から財産を受け取るために様々な書類の提出を求められる。アメリカで亡くなる方は高齢で亡くなっている。すると日本の相続人もその兄弟姉妹で高齢と言う事が多い。なかなかフットワーク良く実務が進まないことがある。 アメリカから要求されるいろいろな書類の一つがForm W-8 BENだ。この中で、TIN(Taxpayer Identification Number)を記入しなくてはならない。アメリカの社会保障番号(SSN)か納税者番号(ITIN)を求められている。 日本に住んでいる方でアメリカと縁もゆかりもなければ、アメリカの社会保障番号や納税者番号を持っていることは期待できない。アメリカで働きアメリカの社会保障制度の中に入るわけではないので、社会保障番号は取得できない。残るは納税者番号ITINになってしまう。 たとえ話として適切かどうかわからないが、立ち位置を変えるとアメリカに住んでいるアメリカ人に、日本から相続をするために、日本のマイナンバーを取ってくださいというようなものだ。 納税者番号の取得はいくつかあるポイントの一つにすぎず、実務として何をどうやっていくのかは、かなり時間を要し簡単ではない。 いずれにしても、アメリカの税務と縁がないと思っていても、突然、引き込まれてしまう人もいる。年令が高い方の場合、なかなか容易に相続が進まないことがある。

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2020.08.02
所得税

期限後申告と還付金

期限後申告で税金を払う場合、その税金に対してペナルティや金利がかかるので、一日も早く申告をしなくてはいけない。 では、期限後申告で還付金をもらう場合はどうなるのだろう。この場合は、納付すべき税金を払っているのでペナルティはかからない。 では金利はどうなるのか。納税が遅れた分に対して金利が発生するわけだから、還付が遅れた場合は、IRSにその分だけ貸付をしている。となれば、貸し付けた分に利子が払われることになる。通常の申告期限は4月15日なので、この日以降の還付には日割り計算での利子がつき、還付金とは別個に支払われる。 7月1日から9月30日の間に還付が行われる場合は、年利3%で日割り計算となる。銀行の預金より利率が高い。 高い利率でIRSに預金しているとなれば、できるだけ還付を遅くすればいいではないかと思うかも知れない。しかしながら、その遅延がIRSの責任によるものではなく、納税者によるものならば、その期間はIRSの金利を支払う期間から除外される。 さて利子がついたので良かったとなるかと言えば、この分は銀行の利子と同じで、もらった年の所得に算入される。右手であげて左手で返してくださいという結果になる。税率は100%ではないので、もちろん何がしかは手元には残る。 しかし、3年を過ぎてしまえば、金利だけの話ではなく、還付そのものが権利落ちになってしまう。 還付であっても早期の申告が必要だ。

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2020.07.26
情報申告

FBARの延長申請を忘れた?

もともとFBARの申告期限は2014年分までは6月30日だった。申告期限の延長もなかった。しかし、2015年からは申告書の申告期限と同じとなって4月15日となった。海外からの申告期限は2か月の猶予があり6月15日だ。 今年はコロナウイルスのために、申告書の申告期限が7月15日まで延期された。FBARも同期して動くので、期限は7月15日だった。 7月15日でも申告ができない場合は、Form 4868で延長申請を行う。しかしながら、FBARの延長申請書はどうした?と心配されるかもしれない。 Form 4868を提出する、提出しないとは関係なく、FBARは自動的に10月15日まで延長が認められている。FBARに関しては延長申請を行ってリクエストすることがない。

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2020.07.19
所得税

延長申請をできなかった

7月15日までに申告書を提出できなかった。そこで、Form 4868を提出し、支払うべき税額を納付して10月15日までの延長申請を行った。これで、10月15日までに申告を行い、納付した税額が過大な場合は、還付金が支払われる。納付額が過少の部分には過少支払いのペナルティが発生する。 延長申請を行わなかった。この場合は7月16日からのペナルティが発生する。申告書を提出しないペナルティ・税金を納付しないペナルティ・金利等だ。 日本で申告し税金を納付していると、外国税額控除等によりアメリカの税金が発生しないことがある。だからアメリカに申告をしなくても良いとはいかないのだが、この場合は、アメリカには書類だけの提出となる。 ペナルティ、金利は支払うべき税額×5%とか10%と計算され、加算される。と言う事は支払うべき税額がない限り、ペナルティ、金利は発生しないと言う事になる。即ち、7月15日までに延長申請を行わずにアメリカに申告したとしても、アメリカの税額が発生しない場合はペナルティ、金利を心配することはない。 納付する税額がある場合は、一日も早く申告をすることだ。納付すべき税額に1か月で5%、2か月で10%といったペナルティが発生する。

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2020.07.12
情報申告

外国の年金の報告

FBARとFATCAはほとんど同じだと思うだろう。確かにその通りなのだが、いくつか違う点がある。その一つが外国年金の報告だ。 基本はどちらも報告の対象なのだが、FBARは報告者が持っている金融機関の口座を報告する。と言う事は会社等が従業員のためにかけてあげる退職年金口座が、個人の口座になっていなければ報告の対象からは外れる。 一方、FATCAではそうした年金であっても報告対象にする。最大金額は12月31日の公正市場額となる。 だが、その金額をどう把握するのか。この金額がわからない場合は、その年に支給された年金額を書く。この金額もわからないし、支給された額もなければゼロと書く決まりだ。 国が支給する公的年金は、いずれも報告を要さない。既に年金を受給して預金口座の中に含まれているならば、その口座の残高として報告する。 FATCAの方が面倒に思えるかも知れないが、その報告はForm 1040の一部分を構成する。FBARはForm 1040の一部分ではない。それ故に、年金等の残高がいくら大きくても、そもそもForm 1040の申告要件に満たなければ、FATCAの申告は不要だ。

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2020.07.05
所得税

どっちが良いか

グリーンカードの放棄を行えば、放棄の時点でアメリカの税務上の居住者を終了する。放棄日が2020年6月30日だとする。税務上、2020年1月1日から6月30日まではアメリカの居住者であり、7月1日からはアメリカの非居住者と考える。 しかし税務上、アメリカ居住の終了日は2020年の12月31日とされる。その年の最終日までが居住者として扱われるのが基本となる。 それはおかしいと思うかも知れない。6月30日を居住終了日とするためには、IRSにステートメントを出さなくてはいけない。年の途中でアメリカの非居住者になった、それ以降Tax Homeが外国にあって外国とより密接な関係があるとかいろいろ書いて宣言を行う。宣言をして認めてもらえないと、6月30日にアメリカの非居住者になったとは言えないという仕組みとなっている。 これはグリーンカードの所有者だけではなく、長期間アメリカに居住していた人も対象となる。 ステートメントを提出しないとその手間がない。2020年の通年を居住者として、Form 1040だけで申告できるなら、夫婦合算申告ができ、標準控除も使える。一方で年末までの全世界所得が課税の対象となる。 宣言をしてForm 1040+Form 1040NRの形(Dual Status)なら夫婦合算申告はできなくなるし、標準控除を使うことができなくなる。非居住者になればその期間の全世界所得ではなく、非居住者期間に対応するアメリカ源泉所得を申告する。 どちらが好ましい結果を生むのかどうかはケースによる。

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