2026年6月7日

2026.06.07
所得税

日本に暮らしながらアメリカに申告する

アメリカの税制は、夫婦をひとつの “経済の共同体” として扱う。その思想がもっとも色濃く表れるのが MFJ(夫婦合算申告) だ。MFJ を選ぶと、標準控除は 2 人分、税率の階層は広く、教育や住宅に関する控除も開かれていく。 2025 年の標準控除は 31,500 ドルだ。もし MFS(夫婦個別申告) を選べば、その半分の 15,750 ドル になる。実効税率を 20% とすれば、標準控除の差だけで 約 50 万円の差 が生まれる。さらにMFS を選ぶと、教育控除、勤労所得税額控除、子ども関連の控除など多くの優遇が閉ざされ、標準控除は半分に縮む。税率も不利になり、結果として税額は高くなることが多い。 アメリカの税制には、夫婦の収入構造によって税負担が変わる 「結婚ボーナス(marriage bonus)」 と 「結婚ペナルティ(marriage penalty)」 という現象がある。 Marriage Bonus(結婚ボーナス) 夫婦の収入に差が大きいほど、MFJ のメリットは大きくなる。片方が高収入で、もう片方が専業主婦(主夫)やパートタイムであれば、MFJ によって税率階層が広がり、夫婦全体の税負担が下がる。典型的な marriage bonus のケースだ。 Marriage Penalty(結婚ペナルティ) 夫婦双方が高収入の場合、MFJ によって税率階層が圧縮され、結婚したことで税額が増えることがある。 日本居住者の場合は控除の制限が多いため、総合的には MFJ が有利になるケースが多い。 一方で、MFJ を選ぶと数字だけでは語れない連帯責任という重みがある。配偶者が税金を未納にした場合でも、MFJ では双方が責任を負わなければならない。 MFS(夫婦個別申告)は税制上は不利だが、自分の税務責任を自分だけに限定できるという最大のメリットがある。 日本の税制には MFJ に相当する制度がないため、「結婚している=自動的に夫婦合算」というアメリカの発想は、日本人にとって直感的ではない。配偶者がアメリカ市民であれば、MFJ が当然という感覚があるかもしれないが、アメリカでは結婚していても、夫婦は毎年 MFJ と MFS を自由に選べる。 状況に応じて、ある年は MFS を選び、翌年は MFJ に戻すという運用も制度上まったく問題ない。

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