日本では令和2年度税制改正大綱の中で、国外中古建物の償却費の扱いがかわり、“不動産所得の損失のうち、国外中古建物の償却費に相当する部分の金額は、所得税に関する法令の規定の適用については、生じなかったものとみなす”と言う。大きな変更となる。 アメリカの場合、国外不動産の償却年数は2017年税法で変わっている。2017年まではthe alternative depreciation system (ADS)で40年償却だった。それが住宅であれば30年、住宅以外の商業不動産は40年にかわっている。 アメリカ国内では償却年数が住宅では27.5年で商業不動産は39年だ。
Form 1040の種類 [wpsm_comparison_table id="6" class=""]
Form 1040のサインをする欄の右側にOccupationを記入する欄がある。Form 1040NRではYour occupation in the united statesと言う欄だ。 Form 1040の説明を読んでもOccupationの記入について明快な説明はない。IRSからすれば、申告書を見る時に、この職業の人は一般的にこの位の所得があるという目安を置いて申告書を見るのだろう。統計的なレベルと比較して大きく乖離していれば、注意をして申告書を見ることができる。記入するのはprogrammer, dentistとかteacher等の具体的な職業の表現を期待されていると思う。 しかし、どう書いていいのかわからないことがある。日本語では会社員と言う表現が合っている。会社員と言うのは包括的で、職業の内容まで表していない。会社では与えられる仕事は変わる。人事部で働いていた人が経理部に移動し、現場の製造部に行くこともある。部署はわかるけど、職務内容の表現が難しい。また課長だ、部長だと言っても職位で職業を表してはいない。 これはstudent, housewife, retiredとかも同じに思える。studentであることによって所得と結びつけるのはどうも違う。housewifeもretiredもしかりだ。unemployedも違和感がある。書きようがないのでそう書いている人がほとんどだろう。 抽象的だが、自分の職業を表す最も適切なものを書くしかない。昔の職業を書いても仕方なく、申告対象年の職業を書く。複数の職業だとメインの職業を書く。夫婦合算申告だと二人の職業を併記する。 どうにも書きようがないのでブランクにしても、そのために指導を受けたと言うのも聞かない。
日本とアメリカの二つの税務申告に直面した場合に、どうして良いのかわからない時に次のように言われることがある。 日本で申告をしているのでアメリカに申告をしなくてもいいのではないか。日本に住んでいる人でアメリカと接点のない場合は、全くその通りだ。 しかし、一旦、アメリカと接点がある人はそうはいかない。アメリカとの接点を持った人はアメリカ市民、グリーンカードを持っている人、アメリカの長期居住者、普通の日本人でもアメリカで貸家などの事業所得があればアメリカへの申告が必要になる。 日本で働いていれば、給料から税金や社会保険料が引かれる。日本の税金が源泉徴収されているわけだが、その源泉徴収分がアメリカの連邦政府やニューヨーク州政府やカリフォルニア州政府に自動的に納付されているわけではない。 そんなのは当たり前だと思うだろう。だが人間、わからない事、確信が持てないことに直面すると、当たり前のことも足元がぐらつく。心理的な障壁を自らに張り巡らすと簡単なことも自信が持てなくなる。結局、判断しようにも自分の中に、アメリカの税務の判断材料や判断基準、経験等がないので日本をベースに考える、あるいは期待感で考える。 やっぱりアメリカの市民権をベースにした課税は独特のもので、日本のように住んでいる国での居住をベースにした課税の方がわかりやすいと思う。でもアメリカの市民権課税は歴史的な必然から出ているもので、アメリカの立ち位置で考えると日本の方がおかしいだろうと言う事になろう。さらに州税もあり、州ごとに課税のやり方も異なる。日本が面倒なのかアメリカが面倒なのかはわからないが、やはり税金が面倒と言う事は共通か。
税務上、アメリカ居住者となるのはアメリカ市民権やグリーンカードを保有する場合の他、アメリカに実際にいる日数で決まる。183日テストだ。 アメリカにいる日数をカウントするのだが、次のような例はどう考えるべきか。 1週間、10日の予定でアメリカに入った人が、アメリカで病気や事故にあってしまう。アメリカの病院に1年も入院してしまったとすれば、183日よりも日数は多くなる。 しかしこの場合は、1週間、10日で帰国するという本人の意志とは無関係に、アメリカで動けなくなっている。こうした状況で、アメリカの居住者となってしまうのか。いくら何でも本来の趣旨ではないわけで、こういう日数は除外される。 また、Form 2555でForeign earned incomeのexclusionを取るために、外国に330日以上居住していることが必要だ。 この場合でも、天変地変とか戦争、内乱でその国に住んでいたくても出国せざるを得ないことがある。これもやむを得ない事情があるわけで、330日基準を満たさなくても、Form 2555を使える。IRSがその対象国のリストを発表する。 日本に居住しているアメリカ市民やグリーンカードホルダーなどが、台風や水害などで被害を受けたとする。日本の家にはしばらく住めないために、国外に避難したとする。これもやむを得ない事情があるわけで、330日基準を満たさなくても、Form 2555を使えないとおかしいと思える。しかしIRSが日数条件を外す対象国に日本を認定してくれるかどうかだ。
7月にIRSは仮想通貨の所得を正確に申告していないとする1万人に警告の手紙を送っている。さらに2019年版のForm 1040, Schedule 1のドラフトがIRSのサイトに掲載された。これを見ると仮想通貨の課税強化に一層、踏み込んできているのがわかる。 Part 1の上の部分にチェックを入れる場所ができた。 “At anytime during 2019 did you receive, sell, send, exchange or otherwise acquire any financial interest in any virtual currency?”. この設問にYes かNoで答えさせる。 Form 1040に仮想通貨による所得がない、あるいはSchedule 1を記入するところがなくとも、この設問には答えなければならない。かくして、Schedule 1は提出することになる。
2018年申告の提出期限は、既に延長申請をしている場合は10月15日となる。あと2~3日しかないわけだが、何としても期限内に申告を完了したい。 紙の申告書を使っている場合、日本からだとこの時点で間に合わないと諦めてしまう方もいるかも知れない。しかし、発信主義を取るので15日の消印があれば期限内申告となる。申告書がアメリカに到着していなくても良い。そう考えるとまだ3日もあるではないかと言う事になる。 でも、どうやっても15日に間に合わない場合もあるだろう。期限を越えるとペナルティの対象となる。しかし、それは税額が発生するからだ。この場合は、とにかく一日でも早めに申告をする。 税額が発生しない、あるいは還付になることもある。この場合は、ペナルティはない。還付金が戻ってくる時期が遅くなるのを問わなければ、申告書の提出は10月一杯でも、11月でも12月でも良い。 とにかく10月15日を越えてしまったら万策尽きてしまうのか。日本で税金を払っていれば、アメリカに税金が発生しない可能性はかなり高い。書類だけの提出となれば10月15日を越えてもなんとかなる。
9月となり自分の給与や年金の源泉徴収額が適正額かどうか見直したい。このためには今年の所得がどうなるのか予測して見積もるのだが、なかなか面倒だと思うだろう。 IRSのサイトではこの源泉徴収額を計算してくれるツールを提供している。 Tax Withholding Estimator 自分の状況に合わせて、質問に答えていけば自動的に結果が出て、源泉徴収額が納付なのか還付なのか診断してくれる。さらに、実際にForm W-4の何行目に、どの数字を記入したらよいかまで教えてくれる。 いろいろなケースに合わせて答えを出してくれるので、なかなか重宝する。
2018年の申告がまだ終わっていない人もいる時期だが、2019年版のForm 1040のドラフトが発表された。2019年版ドラフトの方が2018年版よりは使いやすい印象だ。 2019年版と2018年版の主な違い 住所記載欄に外国の住所記載欄が入った。 標準控除の選択が住所の下に入れられている。 Health Careのチェック欄がなくなった(強制ではなくなった)。 サイン欄が2ページ目に移動した。 キャピタルゲインが6行目に入る。 Schedule 1はキャピタルゲインが1ページ目に移動した程度でほぼ同じ。 離婚の日付を記載する 2019年1月11日から控除できなくなった。 Schedule 2はPart 2が作られてOther Taxesをまとめた。 Schedule 3はPart 2が作られてOther Payments and Refundable Creditsをまとめた。 Schedule 4から6がなくなった。 ドラフトの段階であり、来シーズンに向けてまだ変更がなされるかもしれない。 ドラフトの一覧はこちらから。
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