アメリカの新しい$6000のシニア優遇税制は、奇妙に思える点がある。 日本在住の非居住者(Form 1040-NR 提出者)は標準控除を使えないのに、条件を満たせばシニアボーナス控除だけは利用できる構造になっているからだ。
1. 非居住者は「標準控除」を使えない
日本在住の多くの日本人は nonresident alien(NRA)であり、Form 1040-NR を使う。 このフォームでは次の制限がある。
• 標準控除は使えない
• 65歳以上・盲人の追加標準控除もなし
• 夫婦合算申告(MFJ)も不可
つまり、非居住者は標準控除をそもそも使えない。
2. 新制度「シニアボーナス控除」は別枠の追加控除
OBBBA によるシニアボーナス控除)は次のとおりだ。
• 対象:65歳以上
• 金額:1人最大 6,000 ドル(夫婦とも 65歳以上なら 12,000 ドル)
• 所得制限:所得に応じて段階的に減額
重要なのは、この控除が 標準控除の延長ではなく、まったく別の「追加控除」 として扱われている点である。
3. Schedule 1-A
追加控除をまとめているのが新フォーム Schedule 1-A(Additional Deductions) である。シニアボーナス控除が含まれる。
Schedule 1-A の上部には次の文言がある。
Attach to Form 1040, 1040-SR, or 1040-NR.
さらに最終行には、
Form 1040-NR の line 13c に転記せよ
と明記されている。 つまり、Schedule 1-A は 非居住者用の 1040-NR にも添付する前提で設計されている。
4. なぜ「3階だけ」使えるのか
• 標準控除(1階)と高齢者追加標準控除(2階)は → 標準控除システムという同じ建物 → 非居住者はこの建物に入れない
• シニアボーナス控除(3階)は → 「追加控除」という別棟 → 入口は Schedule 1-A → 1040-NR line 13c
つまり、標準控除の建物には入れないが、別棟の「追加控除の建物」には入れる構造になっている。 法律文書では対象を citizen/resident と説明しつつ、フォーム側では 1040-NR にも入口を設けているため、制度としては変則的である。
5. 日本在住の非居住者は実際に使えるのか
フォーム構造だけを見ると、次を満たせば 1040-NR でも利用可能となる。
• 65歳以上
• 所得が基準以下
• 法律上の適格な個人に該当
• 社会保障番号を保有
ただし、日本在住の 非居住者は ITIN のみで 社会保障番号がなかったり、要件を満たさないことが多い。 制度上の入口は存在するが、実際に適用できる人はかなり限られる。
外国に住む65歳以上非居住者に対して6,000ドルの控除を与えなければいけない理由はない。そうした人を救うならば1階と2階を使えるようにするべきだ。アメリカに住んでいる税務上の非居住者を救おうとしたのだと思うが、外国に居住する高齢者も結果として救われる。とても違和感があるシニアボーナスだ。
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