アメリカの個人所得税を申告するために、まずは2024年申告シーズンの大きな時間的な枠組みをおさえておきたい。 いつから申告ができるのか: 2024年の納税申告シーズンは、例年、1月末からスタートする。正確にいつになるかは今日現在、発表されていない。 いつまでに申告するのか: 2023 課税年度の個人所得税申告書は、2024 年 4 月 15 日までに提出する。納税者はフォーム 1040 (高齢者の場合はフォーム 1040-SR) を提出し、この日までに支払うべき税金を支払う。 納税日は通常 4 月 15 日で、その日が土曜日、日曜日、または休日に当たる場合、納税期限は次の平日に延びる。2024 年では、4 月 15 日は月曜日になるため、その日が納税期限となる。州税は概ね連邦税に準ずるが、個々の州の期限があるので確認を要する。 日本から申告をする場合: 日本からアメリカの申告を行う場合、日本の税金とアメリカの税金の二つの申告となる。この場合、日本で支払った税金をアメリカの税金から控除する形が多い。と言うことは日本の税金が確定していないといけない。日本の確定申告は3月15日期限なので、日本の申告が終わってから申告を行う。 アメリカの申告期限は4月15日だと時間が無くて大変だということになるかも知れない。そこで日本(海外)から申告を行う場合は、2か月の自動延長がある。そのため、6月17日が日本から申告する場合の期限となる。 税金が発生する場合は、納付は4月15日なので、この日は延ばしてもらえない。4月15日以降は延滞金が発生する。 申告期限の延長 申告の期限に間に合わない場合は、10月15日まで申告期限を延長できる。この場合は、当初の申告期限までに申告を延長する手続きを行うことになる。 まずは申告のためにデータを早めに整理すべきだ。

12月31日はアメリカの税務ではとても意味のある日だ。 婚姻: 結婚しているのか、独身なのかという婚姻のステータスは 12 月 31 日を基準として判断する。2023年12月31日に結婚している場合は、2023年1月1日から12月31日までフルに 1 年間は結婚しているとみなす。夫婦合算で申告するか、夫婦個別の申告を選ぶことができる。 誕生:赤ちゃんが誕生した場合は、1月1日から誕生したものとして扱うことができる。赤ちゃんが 12 月 31 日に生まれたとしても、社会保障番号があれば、その子をフルに1年間扶養家族として申請できる。 死亡:亡くなった方は、12月31日まで生存していたものとして扱うことができる。そのため、通年、夫婦合算の申告が可能となる。 情報申告のFBAR:外国通貨をドルに換算する。この換算レートは12月31日のレートを用いる。FBARでは最高残高を申告する。本来、日本円での最高値と為替レートの相関でドル最高値となる。すると為替レートにより、必ずしも日本円の最高値がドルでの最高値とはならない。これを計算するためには日々の為替レートもチェックしなければならず大変手間がかかる。ところが、FBARで用いられる為替レートは12月31日のレートに固定されているので、日本円の最高値をそのまま使える。 グリーンカードの放棄:Form I-407を2023年12月31日までに郵送した場合は、2023年にグリーンカードを放棄したことになる。発信主義で提出した書類がアメリカに到着を要するものではない。 Form W-8 BEN:租税条約の低減税率適用のために必要な書類だ。この書類は有効期限があり3年で失効する。この3年のカウントは12月31日で1年が経過したものとされる。即ち2023年12月25日に提出した場合、実質的に7日しかなくても1年が経過したものとされる。 皆様には、2024年も従来にも増して、より一層よい年であることを願っています。

早いもので2023年もあとわずかで、来月の末には2023年分の申告が始まる。申告を行う基礎データとしてW-2 フォームを使用し、ロイヤルティ、利子、配当などの収入の報告にはさまざまな 1099 フォームを使用する。これはわかりやすい。 しかし、年末ゆえに所得にしろ、費用にしろ2023年分なのか、2024年分なのか判然としないものもあり得る。その一つの例がみなし受領で、現金を伴わなくても報告が義務付けられる場合もある。 現金主義で申告を行っている場合、次のようなケースでは12月分の所得か1月分の所得か迷うかも知れない。 個人事業主は12月20日に仕事が完了し、発注元に30日以内支払い期限を付けた請求書を送る。発注元は12月29日に小切手を個人事業主に郵送する。個人事業主には1月に入って小切手が届く。 この状況では個人事業主は郵送をコントロールできないので、小切手を受け取った1月に所得を認識する。 仮に請求書に記載した住所が旧住所だったり、間違った地番だったことにより、小切手の受領が1月だったとする。この場合は、12月の所得として認識をするように言われても仕方ないかもしれない。 同じケースで小切手が12月31日まで家には届いていたものの、年末年始は日本に戻っており、1月にアメリカに戻ってから実際に小切手を手にする。この場合は、自分の都合で12月に小切手を手にしなかったわけで、12月に所得を認識せざるを得ない。 実際の小切手の受け取りではなく、資金の利用可能性と管理の点から所得を認識することになる。 蛇足ながら、コロナウイルス給付金の小切手を2023年に還付金としてもらっても、そもそも課税対象ではないのでアメリカの所得にあげることはない。

日本に住んでいるので、アメリカのコロナウイルスの給付金とは無関係と思う方が多い。確かにそう思うのは無理からぬことがある。日本の税金は日本に居住している人が支払う(属地的)。だから、アメリカの税金の外にいるし、ましてや給付金をもらえるとは思いもよらない。 アメリカの仕組みではアメリカ市民、グリーンカードなどの個人の属性(属人的)によりアメリカ居住者となり、アメリカの税金との接点が出る。そうなると、属人的にアメリカの居住者となる人は、世界中どこに住んでいてもアメリカに申告をする事になる。逆に言えば税金の還付は世界中どこにいてももらえる。現時点では、コロナウイルスの給付金は税金の還付金としてもらえる。 コロナウイルスの給付金は、2020年に$1,200+$600=$1,800、2021年に$1,400あり2年合計で$3,200/人だ。所得の大きさで必ずしも満額もらえないことはあるが、$1=140円で換算すると約45万円/人となる。 申告を行うべき所得に達していないので、2020年、2021年の申告書を提出していないケースがある。この場合は、仮に所得が無かったとしても申告書を提出する。税金がゼロで納税していなくても、コロナウイルスの給付金だけは還付金として支払ってくれる。 そこで問題になるのは還付の期限があることだ。3年ルールと言われるもので、もともとの申告期限から3年以内に確定申告を行う必要がある。 2020年分で言えば2021年5月17日(この年は特別に1か月遅れ)が申告期限で、ここを起点にして3年、2024年5月17日を超えると2020年分の還付は行われない。2021年分はさらに1年先なのでまだ時間はある。 対象になる人は、年末年始、あるいは年が明けてから過去の申告を行い、コロナウイルスの給付金を還付申請したらどうだろう。 アメリカのコロナウイルスの給付金をもらえるのに、流してしまうのはもったいない。

1年間に個人の所得税申告書はどのくらい提出されるのだろう。2023年10月28日にデータをIRSは報告している。IRSのデータによると10月27日までにIRSは1億6,050万件の申告書を受け取り、1億500万件近くの還付に応じた。還付金額は3,190億ドルを超えた。1件あたり平均の還付額は3,054ドルで、$1=150円なら45万円程度と言うことになる。 アメリカのコロナウイルスの支給金をもらい損ねた人は、申告書を提出して最大で$3,200の還付を受けている。 コロナウイルスの支給があった年には残念なことに詐欺が多かった。申告書を提出しようとすると、既に申告書が提出されてしまっており自分の申告書を提出できない。還付金をもらうことができないと言うばかりではなく、税金の支払いだけが自分の所に来たら大変な話だ。 申告書の詐欺に巻き込まれないようにするには、社会保障番号 (SSN) または個人納税者番号 (ITIN)を安易に開示しないことだ。しかし開示せざるを得ないこともある。 この場合は、IRSの保護個人識別番号 (IP PIN) を取得することも有効だ。社会保障番号 (SSN) または個人納税者番号 (ITIN)に加えて、IP PINを使い二重認証とする。2021年から始まった仕組みだが、この番号は本人とIRSしか知らない。このIP PINは1年間有効で次の申告シーズンでは別途更新しなくてはならない。現時点ではIRSのソフト切り替え時期で11月と12月は申し込みができないが、1月中旬には申込ができる。 Get An Identity Protection PIN (IP PIN) 税金関連の個人情報盗難から身を守るために IP PIN を検討してはどうだろう。

Form 1040には電話番号とメールアドレスを入力する場所がある。下図の一番下だ。ここは入れても入れなくても、申告書の処理に影響を及ぼすことはない。 IRSが連絡を取る必要がある場合は、米国郵政公社の普通郵便を使う。 IRSから電話や電子メールで突然、お金や個人情報を要求されたら、すぐに頭の中で警戒アラームが鳴るはずだ。しかし、アメリカの申告に慣れていなかったり、日本にいて外国語のメールをもらうと判断が難しいことがあるかも知れない。 原則:IRS を名乗って電話や電子メール個人に連絡し、個人情報やお金を要求する場合は詐欺だと思って良い。 IRSは決して次のことをしない。① 電子メール、テキストメッセージ、またはソーシャルメディアで納税者と連絡を開始し、個人情報または財務情報を要求する。② 納税者に訴訟や逮捕の脅迫電話をかける。③ 電話、電子メール、またはテキストメッセージで、納税者の社会保障番号やID PIN を要求する。 Form 1040でなぜこの欄を設けるのかには理由がある。IRSが税務調査、徴税、犯罪捜査など特定のケースで個人に連絡する場合だ。申告をきちんと適正に行っている人には縁がない。その目的だとしても最初は必ず手紙での連絡となる。 Form 1040を記入しなければならないという場合、とにかく律義に丁寧に記入しようとする。もちろんそれが当たり前で、それにより被害を受けないことが理想だ。現実的にはきれいごとだけではない。 この欄を記入するかどうかは自由で、必ず記入しなければならないことはない。大事な個人情報で、これを盗み取られて詐欺に巻き込まれることを未然に防ぎたい。この記入が強制とならない限りは、元から記入しない事が安全だろう。

2022年分の申告を延長申請せずに、延長申請の申告期限の10月17日に申告をして、$400($1=150円で6万円)の税金を納付したとする。ペナルティ・金利は含んでいないので、IRSから後日、ペナルティ・金利の請求があるのは織り込み済みだ。 ペナルティには次の2つがある。① Failure to file penalty (申告遅れ)月当たり残高の5%② Failure to pay penalty (納付遅れ)月当たり残高の0.5% さらに金利は現状で年7%だ。ならば概算で①は$20/月+②は$2/月+金利$2/月=$24の6か月で$144(同レートで2.2万円)と見る。ぺナルティ・金利は2万円ぐらいのものか、まあしかたないなぁ思う。 IRSからペナルティ・金利の請求が来てびっくりする。Original tax amount owed: $400Late filing penalty: $400Late payment penalty: $12Interest: $23.87 納付する元本の$400の2倍以上の合計$835.87の納付となる。 ペナルティだけで$435.87(同レートで6.5万円)だ。元本の6万円を越えてしまっている。仮に元本が100万円なら半年でペナルティがさらに100万円以上払うのか?あり得ない話で、間違いじゃないのかと思ってしまうだろう。 実はこの①Failure to file penaltyには次の条件がついている。60 日を超えて申告が遅れた場合、未払いの税金の 100%または$435(定数)のいずれか少ない方となる。$400前後の元本だと、ペナルティがその倍で2倍税金を払うことになってしまう。 延長申請さえ出していれば、支払い遅れ$12+金利$11.94=$23.94(同レートで3,600円)で終わっている。延長申請を出す・出さないで6万円の差は大きい。ペナルティの詳細はこちらを参照ください。

祖父母はできるだけ早い時期に、自分の財産を子や孫に残したいと考える。しかしながらアメリカの相続では、遺産税を考えなければいけない。2023 年現在、遺産税には生涯控除額があり、 1,292 万ドル($1=150円で約19億円)以内の遺産ならば税金は発生しない。夫婦を合わせると2倍となるので約38億円までは遺産税がかからない。これだけでも大変な数字で普通の人には縁のない数字だ。但し、この数字はアメリカ市民とかそれに準ずる人に適用される。外国人である日本人が必ずしもこの金額の控除を満額使えるわけではない。 このラインを超えると税金を払って子が相続した財産が、さらに将来孫に渡されるとまた遺産税が発生してしまう。ならば自分の子供ではなく孫に相続させると、遺産税を払う機会が1回で済んでしまうと考えるかも知れない。 スキップさせて財産をもらうのは孫や孫だ家ではなく、曾姪や甥など、他の近親者も対象となる。また血縁関係、結婚関係、または養子縁組のない受益者も、祖父母より 37 歳半年下であれば、スキップ対象とみなされる。 これは良さそうだが、アメリカ連邦税では世代を飛ばす相続にはGeneration Skipping Transfer Tax(GST)が存在する。GSTは遺産税とは別であり、遺産税が課された後に追加される。一律 40%で計算される。 親から子へ、子から孫へと相続すると遺産税が二回発生する。子を飛び越えて孫に相続させると遺産税一回+GST一回で二回課税が発生する。GSTは税率が40%で遺産税がもう一回あるのと変わらない。 仮に、生涯控除を使い切ってフル課税を受けると仮定して、100万ドルを孫にあげようとするとどうなるか。きわめて大雑把な単純計算だが、遺産税が40%で40万ドル、GSTが同じく40万ドル、遺産税の上乗せ分にもGSTがかかるので16万ドルだ。税金は合計96万ドルとなる。祖父母が196万ドル払って、孫は100万ドルを手にする。これではどうしようもない。 Generation Skipping Transfer Taxは、祖父母が子をスキップして遺産税を回避するのを防ぐように機能する。

エンゼルスの大谷翔平選手が11月9日、日本国内約20,000校の全小学校に各3つのジュニア用グローブ約60,000個を寄贈するというニュースが流れた。すごくインパクトが大きく、さすがに大谷選手だと拍手を送らずにはいられない。 アメリカの贈与では年間非課税枠があり、2023年では$17,000となっている。何とか非課税にしたいと考えている時に、この天文学的なニュースを聞いたら一体どうなっているのかと驚くかもしれない。 アメリカは日本と異なり、贈与をする人が贈与税を払う。アメリカの贈与で2023年の非課税贈与枠は、もらう人の一人あたり1年間に17,000ドルだ。もらう人の数の制限はないので、何人でも非課税で贈与ができる。 ただし、年間控除額を超える贈与は課税対象の贈与とみなされ、贈与者の生涯控除額(現在 1,292 万ドル;$1=150円で約19.4億円)と相殺することになる。1,292万ドルの免除は、贈与と遺産税を合わせたものに適用される。贈与に免除を使用すると、遺産税に使用できる生涯控除額が減額される。このため、財産が約19億円もない場合、通常はアメリカの贈与税・遺産税を払うことがない。 これは良い話だと、日本に住んでいる祖父母がアメリカに住んでいる子供や孫に一人当たり300万円/人(同上レートで$20,000)をあげたらどうなるか。$20,000-$17,000=$3,000が課税対象となる。税率が$10,000までは18%なので$540の納税となる。 さて、$540の納税と言うけども、生涯控除の約19億円がある。$540の税額が出てきたところで、生涯控除額のために、全く余裕でアメリカの贈与税を払うことはないと思うかも知れない。 ところがこの生涯控除額はアメリカ市民(グリーンカード所有者等)を対象にしている。残念ながら日本に住んでいる日本人の祖父母を対象にしているのではない。そのために、アメリカの外国人たる祖父母には課税がなされてしまう。 大谷選手の天文学的な贈与には贈与税がかからず、何で自分が課税されるんだと思わないためには、アメリカの非課税贈与額の金額に納めなければならない。さらに重要なことは、日本の贈与税があるため、日本の非課税贈与枠を忘れてはいけない。

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