非居住外国人は次の場合に、アメリカへ申告をしなければならないとIRSは説明をする。 1.アメリカで事業を行っている非居住外国人 2 アメリカで事業を行っていなくとも、アメリカ源泉所得があり源泉課税で適正な税金を払っていない人 3.上記1と2の申告をすべき人の代理人 4.非居住外国人の遺産財団またはトラストの管理人 5.非居住外国人の個人又は財産に責任を有する居住者、内国管理人等 2017年分の申告ではpersonal exemptionが$4,050あり、この金額以下の所得では申告要件を満たしていなかった。 しかし、2018年からはpersonal exemptionが廃止されてしまう。さらに非居住外国人はStandard deductionを取ることができない。この結果、非居住外国人はアメリカ源泉所得があれば申告をすることになる。

アメリカ税務上の居住者か非居住者か判断する時に、次の3条件をすべて満たせば非居住者となる。 (1)アメリカ市民権を持っていない (2)グリーンカードを持っていない (3)Substantil Presence Testでアメリカ滞在日数が183日を越えていない (Substantil Presence Testの数え方) ①当年度の滞在日数が31日以上ある ②申告対象年のアメリカ滞在日数+申告対象年の前年のアメリカ滞在日数×3分の1+申告対象年の前々年のアメリカ滞在日数×6分の1≧183日 20xx年分の具体例: 20xx年 120日 20xx-1年 120日 20xx-2年 120日 20xx年120日+20xx-1年120日×1/3+20xx-2年120日×1/6=180日 183日未満であり非居住者となる。 アメリカ滞在日数が183日を越えても、 Qビザを持つ人や F・M・Qのビザを持つ学生等のケースでは例外となる。 特に、Fビザを持つ学生はアメリカ滞在の最初の5暦年を上記、実質滞在テストの日数カウントから除外する。

Form 1040のschedule 3は税額控除である。外国税額控除、子供と扶養者ケア費用控除、教育控除、年金拠出控除等の控除、住宅エネルギー控除等がとれる。海外に住んでいる人や、海外に財産を持つ人には外国税額控除が大きなポイントだ。 一例として、アメリカに出向している日本人が給料をアメリカの会社からもらっているとする。さらに日本にあるマンションを賃貸マンションとして貸しており、それに対して賃貸所得がある。 アメリカの居住者は全世界所得課税となるので、アメリカの給料だけではなく、日本のマンションの賃貸所得に対しても課税の対象にする。日本も賃貸所得は日本源泉の所得なので、日本の税金の対象にする。日本の賃貸所得に対して、その源泉地国(日本)と納税者が住んでいる国(アメリカ)の両方で課税がおきてしまう。 アメリカの申告では、二重課税を回避するため、発生した税額から日本で納めた税額を引く外国税額控除を取る。 標準控除は課税所得を減額する。その課税所得に対して税率がかけられているわけなので、減額に対する実行税率の分しか税金を減少させない。ところが税額控除は100%税金を減らすことになるので、その影響は実に直接的で大きい。 しかしながら、あくまで連邦税の話であり、州税ではその州固有の処理になるので外国税額控除を使えるとは限らない。

2018年のForm 1040は、葉書1枚の大きさで申告ができると言う大改革で大いに期待された。しかしながら、フォームの記載内容はそれ以前の年と大差なく、行を別シート6枚に付表として移動しただけという結果だった。そのために、目線の動きが複雑になりとても使いやすいとは言えなかった。 2019年のForm 1040は葉書1枚の申告書をやめて、付表を6枚から3枚に減少させた。 2019年版は本表が2ページで2018年版よりは改善されていると思うものの、やはり付表に行くために目の動きが複雑だ。 税法そのものを簡素化しない限り、盛り込む内容は変わらない。2017年までのフォームが申告書としては完成度が高くわかりやすいと思える。現状を変革しようとする心は理解するも、やはり土台(税法)から変えないとなかなか難しいだろう。

Form W-8BEN はアメリカ源泉の利子や配当等を受け取る人が、アメリカの税務上の非居住者であることを明言する。さらに租税条約を締結する国の居住者が、条約の恩恵を受ける者として、源泉徴収税率の減免を申請する。これを提出しないと不具合が出る。 米国市民やグリーンカードホルダー、アメリカに住んでいる外国人は、この書類ではなくForm W-9となる。 日本に住んでいる人が、この書類の提出を金融機関などから求められた場合、日本にいてアメリカの非居住者なのだからForm W-8 BENを提出すると考えるだろう。多くの場合はそれで合っているのだが、アメリカの税務上の居住を問題にしている。 アメリカの市民権課税の原則からすると、日本に住んでいてもアメリカ市民やグリーンカードを持っている人は、税務上アメリカ居住者であり、アメリカ非居住者とはならない。 返す刀で、アメリカに住んでいるからアメリカの居住者とは言い切れない場合がある。実質滞在テストで居住者に合致しない場合は、アメリカに住んでいてもアメリカの税務上の非居住者だ。 Form W-8 BENの有効期限は3年だ。Form W-8 BENやForm W-9を提出していても、現状と合わなくなることがある。 市民権やグリーンカードを放棄する場合もあるし、その反対に実質滞在テストで居住者になることもある。その場合は、3年を待たずしてForm W-8 BENかForm W-9の提出が必要になる。 Form W-8 BENでは日本のマイナンバーを記入することにも留意する。

日本では令和2年度税制改正大綱の中で、国外中古建物の償却費の扱いがかわり、“不動産所得の損失のうち、国外中古建物の償却費に相当する部分の金額は、所得税に関する法令の規定の適用については、生じなかったものとみなす”と言う。大きな変更となる。 アメリカの場合、国外不動産の償却年数は2017年税法で変わっている。2017年まではthe alternative depreciation system (ADS)で40年償却だった。それが住宅であれば30年、住宅以外の商業不動産は40年にかわっている。 アメリカ国内では償却年数が住宅では27.5年で商業不動産は39年だ。

Form 1040の種類 [wpsm_comparison_table id="6" class=""]

Form 1040のサインをする欄の右側にOccupationを記入する欄がある。Form 1040NRではYour occupation in the united statesと言う欄だ。 Form 1040の説明を読んでもOccupationの記入について明快な説明はない。IRSからすれば、申告書を見る時に、この職業の人は一般的にこの位の所得があるという目安を置いて申告書を見るのだろう。統計的なレベルと比較して大きく乖離していれば、注意をして申告書を見ることができる。記入するのはprogrammer, dentistとかteacher等の具体的な職業の表現を期待されていると思う。 しかし、どう書いていいのかわからないことがある。日本語では会社員と言う表現が合っている。会社員と言うのは包括的で、職業の内容まで表していない。会社では与えられる仕事は変わる。人事部で働いていた人が経理部に移動し、現場の製造部に行くこともある。部署はわかるけど、職務内容の表現が難しい。また課長だ、部長だと言っても職位で職業を表してはいない。 これはstudent, housewife, retiredとかも同じに思える。studentであることによって所得と結びつけるのはどうも違う。housewifeもretiredもしかりだ。unemployedも違和感がある。書きようがないのでそう書いている人がほとんどだろう。 抽象的だが、自分の職業を表す最も適切なものを書くしかない。昔の職業を書いても仕方なく、申告対象年の職業を書く。複数の職業だとメインの職業を書く。夫婦合算申告だと二人の職業を併記する。 どうにも書きようがないのでブランクにしても、そのために指導を受けたと言うのも聞かない。

日本とアメリカの二つの税務申告に直面した場合に、どうして良いのかわからない時に次のように言われることがある。 日本で申告をしているのでアメリカに申告をしなくてもいいのではないか。日本に住んでいる人でアメリカと接点のない場合は、全くその通りだ。 しかし、一旦、アメリカと接点がある人はそうはいかない。アメリカとの接点を持った人はアメリカ市民、グリーンカードを持っている人、アメリカの長期居住者、普通の日本人でもアメリカで貸家などの事業所得があればアメリカへの申告が必要になる。 日本で働いていれば、給料から税金や社会保険料が引かれる。日本の税金が源泉徴収されているわけだが、その源泉徴収分がアメリカの連邦政府やニューヨーク州政府やカリフォルニア州政府に自動的に納付されているわけではない。 そんなのは当たり前だと思うだろう。だが人間、わからない事、確信が持てないことに直面すると、当たり前のことも足元がぐらつく。心理的な障壁を自らに張り巡らすと簡単なことも自信が持てなくなる。結局、判断しようにも自分の中に、アメリカの税務の判断材料や判断基準、経験等がないので日本をベースに考える、あるいは期待感で考える。 やっぱりアメリカの市民権をベースにした課税は独特のもので、日本のように住んでいる国での居住をベースにした課税の方がわかりやすいと思う。でもアメリカの市民権課税は歴史的な必然から出ているもので、アメリカの立ち位置で考えると日本の方がおかしいだろうと言う事になろう。さらに州税もあり、州ごとに課税のやり方も異なる。日本が面倒なのかアメリカが面倒なのかはわからないが、やはり税金が面倒と言う事は共通か。

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