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所得税

2025.03.02
所得税

分かれ道

アメリカの個人所得税では、アメリカの居住者か非居住者かの区別が大きな分かれ道になる。アメリカの居住者である場合、全世界の所得がアメリカの申告対象となる。非居住者の場合は、アメリカを源泉とする所得のみが課税対象となる。 一般的にはアメリカの居住者と言えば、アメリカに住んでいる人と考える。アメリカに住んでいるわけだから日本には住んでいない。つまり物理的に日本に身を置いて暮らしていれば日本の居住者だし、日本から出国して日本には住んでいないと日本の非居住者だ。 しかし、アメリカの税務は個人の属性で判断する。即ち、アメリカの市民権を持つ人、グリーンカードを持つ人、さらに「実質滞在テスト」において一定期間以上アメリカに滞在している人が税務上の居住者となる。したがって、市民権やグリーンカードといった属性が居住者の判断に影響を与える。 日本からアメリカに引っ越した場合、日本には住んでいないため、アメリカの居住者と見なされることは、日本及びアメリカの税務において自然に受け入れられる。 しかし、アメリカ市民やグリーンカードを持っている人が日本に引っ越した場合だ。日本の居住者となるので、アメリカの非居住者と考えたくなる。日本の国土に足をのせて同時にアメリカの国土に足をのせることができないからだ。一方の国の居住者=他国の非居住者とならないので感覚的にわかりにくい。 日本の税務は、日本に住んでいる人を居住者と定義しているため、アメリカ市民やグリーンカード保有者をその視点で考えようとする。一方、アメリカの税務では、日本の税務が定義する居住者のみに依存せず、個人の属性に基づいて居住者を決定する。結果として、居住者である限り、日本の定義においてもアメリカの定義においても、それぞれの国で居住者と見なされる。 どちらの国でも居住者である場合、全世界の所得が課税対象となるため、所得が一つしかないところに二つの国の税金が併存する厳しい状況が生じる。この問題を解消するために、どちらの国の税金を優先すべきかを調整するために租税条約が設けられており、二重課税を回避しようと試みている。しかし、この調整機能が効かない場合、二重に税金が課せられることになる。 申告書を作成するデータは、日本の税務でもアメリカの税務でも、居住者である限り世界中の所得のデータを集めることになる。アメリカの非居住者の場合、アメリカの申告書の対象となるのは、世界中の所得ではなくアメリカを源泉とする所得になる。

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2025.02.23
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Form 1040記入の些細なミスで失敗

申告書を作成する際、まずは名前、住所、社会保障番号(SSN)などを記入する。この部分は申告書の入り口となる重要な項目だ。しかし、ここでミスを犯すと、申告書を受け付けてもらえず却下される可能性がある。 1.名前 結婚した人に多いのは、新姓を記入してしまうことだ。IRSは最初に社会保障局(SSA)の記録と申告書の名前と番号を照合する。社会保障カードの名前と番号が正しいとされるので、これと合っていない場合は、申告書が受理されない。 社会保障局(SSA)の記録を直さないといけないのだが、修正する時間がない場合、旧姓のまま申告を余儀なくされる。 名前にハイフンが入る事がある。このハイフンを抜かして記入してしまう。これもエラーとなってしまう。 最初の記入欄は完璧でも、最後の署名や日付を忘れたまま郵送しまった場合、申告書が無効扱いになって送り返される。 2.SSN(社会保障番号)・ITIN(個人納税者番号) 思い込みでいい加減な番号を記入したり、数字の倒置で番号を間違えることがある。自分の番号ではなく家族の番号をうっかり書いてしまうこともある。社会保障カードと不一致ならば、これも申告書が返却されてしまう。Married Filing Jointlyの場合、配偶者のSSNを記入せずにいると申告が即時却下される。 ITIN(個人納税者番号)で申告をしていた人がSSNを取得したら、必ずSSNを記入する必要がある。IRSは「SSNを取得したら、以降の税務申告ではITINではなくSSNを使用する」と明記している。ITINを記入した場合、IRSは申告書を受理することができず、その申告書に関する処理に問題が発生する可能性がある。 3.住所 自分が居住していない住所を書いてしまう。日本に居住しているのにアメリカの住所を借りて申告してしまう。実際は住んだこともない州から州税の申告も求められてしまう。 IRSからの連絡や還付金の小切手がその住所に行ってしまう。不足している書類の追加や税金の納付通知、還付小切手等が所在不明になる。気が付いて調べたら何年も前から税金が未納付で延滞金、金利が雪だるまという事もあり得る。 還付小切手がいつまでも届かない。調べてみたら、旧住所に配達されるも、あて先不明とされ、アメリカまで戻されていることもある。 税務申告は些細なミスが大きな損失に繋がることがある。特に氏名とSSNは、IRSと社会保障局の記録と完全一致させる必要がある。この点をしっかり確認することが重要だ。

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2025.02.16
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最初の一歩はデータ集め!

アメリカの税金申告、初めてだと何から始めたらいいのか迷いがちだ。 まずは時間の枠組みを意識 しながら、一つずつ手順を踏んでいくことになる。 アメリカの確定申告を始めるにあたり、最初に行うべきことは「データ集め」だ。何をどのように進めたら良いか迷っている場合は、まず重要な期限を把握して、その期間内に必要な処理を進めていくことが大切だ。 アメリカの申告期限は通常4月15日で、日本から申告する場合には、2か月の自動延長があり、6月16日が期限となる。一方、日本の申告期限は3月17日なので、アメリカの申告に取り組む前に、日本の申告を終わらせることが推奨される。 日本の申告が年末調整で完了している場合、すぐにアメリカの申告に取り掛かることができる。しかし、給与以外の所得がある場合は、日本の確定申告を先に完了させる。 申告の準備で一番大切なのは、 必要なデータを漏れなく集めること。アメリカ市民やグリーンカード所有者、長期滞在者の場合は全世界所得が申告対象だ。それ以外のアメリカ非居住者の場合は、アメリカ源泉の所得が申告対象となる。 データがなければ、スタートラインに立てない。以下のような書類を集める。 【日本のデータ】 給与の源泉徴収票預金利子、配当金の明細株式等の譲渡に関する書類賃貸事業を行っている場合は決算書日本の確定申告書の写し・税金の納付実績等々 【アメリカのデータ】 給与の源泉徴収票 (Form W-2、1099-NECなど)利子・配当金の明細 (Form 1099-INT、1099-DIVなど)証券口座の取引明細書 (statement)その他、収入や控除に関する書類等 これらの書類は、1月末から2月中旬にかけて発行される。 金融機関に住所変更を届けていない場合は、書類が届かない可能性があるので、オンラインでダウンロード する。 データ収集段階で不備があると、後工程で大きな修正が必要になることがある。今の段階では、しっかりデータを揃え、データが揃ったら申告書の作成に進んでいく。

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2025.02.02
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帰国時の不動産の譲渡益控除について

アメリカに不動産を保有している個人が日本に帰国する場合、夫が先に日本に帰国し、妻が子供の教育のためにアメリカに残ることがある。このように夫婦が日米で別々に住んでいる中で、アメリカの不動産を譲渡する場合、不動産の譲渡益控除を受けられるのだろうか。 アメリカの税法上の居住者は、以下の要件を満たす場合には、居住用不動産の譲渡益を控除できる。 要件: 所有要件(Ownership Test): 直近5年間のうち、2年以上その家を所有していること居住要件(Use Test): 直近5年間のうち、2年以上その家に住んでいること 控除額: 夫婦個別: 最大$250,000夫婦合算: 最大$500,000基本的に、日常的に住んでいる主たる住居(Main Home)であることが必要で、投資物件や別荘の場合には譲渡益控除を受けることはできない。 夫の日本の家が主たる住居となれば、アメリカの家はセカンダリー(secondary home)になり、別荘や別宅のような位置づけになってしまう。 アメリカに残っている妻と子供が、夫の帰国から数年後に日本に帰国し、その際にアメリカの家を売却する。家族として主たる家ではないので控除ができないかと言えば、譲渡益控除を完全に失うわけではない。 その理由は、夫と妻が別々に適用条件を判断できるという点にある。たとえ夫にとってアメリカの不動産がセカンドホームであっても、妻にとっては主たる住居であるため、妻が単独で所有要件と居住要件を満たせば、最大25万ドルの控除を受けることができる。ただし、妻に不動産の所有権がない場合は、この控除は利用できなくなる。 もし最大50万ドル(約7500万円)の控除を利用したい場合、夫婦の両方が所有要件と居住要件を満たす必要がある。夫が所有要件を満たして、過去5年間のうち2年以上住んでいる居住要件が問題だ。これを満たすためには、帰国後3年以上経過すると居住期間が2年未満になってしまうため、帰国後3年以内に譲渡する必要がある。 例外として、「やむを得ない理由」により売却する場合、居住期間の要件を満たしていなくても部分的な控除が認められることがある。健康上の理由、仕事上の理由、予期しえない理由などがあれば、部分的な控除が適用されることがある。 税務上の処理を簡単にするために、日本に帰国する前にアメリカの家を譲渡することを検討するのも一つの方法だ。日本の非居住者であるうちに不動産を譲渡すれば、日本での税務申告に直接影響しない。帰国後にアメリカの不動産を売却すると、譲渡益があれば日本の税金の対象になりえる。 最終的には税金の面だけで判断できるわけでもなく、税金以外の要素 (子供の教育、生活環境など)総合的に状況を考慮して判断することは言うまでもない。

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2025.01.19
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申告期限

(申告開始と申告期限) 2026年1月26日(月)が申告開始日 2026年4月15日(水)が申告期限 (海外からの申告) 2か月の自動延長可能 2025年6月15日(月)が申告期限・ただし納付は4月15日期限 (延長申請した場合) 2026年10月15日(木)が申告期限・ただし納付は4月15日期限 (州税) 州税の申告期限は連邦と一致している。下記の州は一致していない。 (連邦と異なる申告期限) ハワイ州:2026年4月20日 デラウエア州:2026年4月30日 アイオワ州:2026年4月30日 バージニア州:2026年5月1日 ルイジアナ州:2026年5月15日

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2025.01.19
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Tax Schedules

スケジュールというので、申告に関する日程の事と思うかも知れないが、申告書につけられる付属表のことを意味する。 付属表はそれぞれの部分を構成し、Form 1040は全体のまとめ表になっている。 主な付属表には次のようなものがある。 Schedule A – 項目控除を行う場合にこの付属表を用いる。例えば医療費の控除や州税や住宅ローン支払利息など。 Schedule B – 利子や配当が$1,500を超えると、その明細をこの付属表に記載する。外国金融口座を持っているかどうかのチェックもこれで行う。 Schedule C –事業所得はこのフォームで報告する。このフォームは自営業税のSchedule SEとも連動する。 Schedule D – キャピタルゲインやキャピタルロスの報告をこれで行う。 Schedule E – 不動産賃貸所得があればこのフォームを用いる。 Schedule SE – 自営業税の算出に用いる。 Schedule 1 – Form 1040 の「総所得」に足し算する追加所得と所得控除をまとめる 。 Schedule 2 – Form 1040 の所得税以外で 足し算される税金をまとめる。 Schedule 3 – Form 1040 の追加の税額控除をまとめる。 個々の付属表の内容が変動すると、全体のまとめ表のForm 1040も連動して変わってしまう。そのため個々の付属表を固めてから全体を作成すると無駄が少ない。

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2025.01.18
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日本からの連邦税申告書の提出先

日本からの連邦税提出先です。 納税額がない場合: Department of the Treasury Internal Revenue Service Austin, TX 73301-0215 USA 納税額がある場合: Internal Revenue Service P.O. Box 1303 Charlotte, NC 28201-1303 USA

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2025.01.12
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2025年のアメリカの申告シーズンは、1月27日(月曜日)に始まる

今年のアメリカの申告シーズンは1月27日(月曜日)に始まり、IRSへの申告書の提出と納付の期限は例年通り4月15日だ。日本からは2か月の申告書提出の自動延長がある。6月15日が日曜日なので、6月16日が申告期限となる。 初めてアメリカの申告をされる方もいるだろうし、アメリカの申告をしなければいけないという事を初めて知ったという人もいるはずだ。 アメリカ市民またはグリーンカード保持者であれば、世界中のどこに住んでいても、毎年アメリカの連邦所得税の申告義務がある。その理由は、アメリカが「全世界所得課税」を採用している事による。これは、アメリカ市民またはグリーンカード保持者は、世界中の所得に対してアメリカの税金を支払う義務があることを意味する。世界中の所得と驚くかもしれないが、日本も同じで、日本に住んでいる人は世界中の所得が申告対象になり得る。 アメリカに住んでいれば、社会生活でアメリカの税金と接点があるため、申告・納税について社会生活の中で身につく側面がある。しかし、海外在住者は、アメリカの社会や文化、税制から離れた生活を送っているため、アメリカの税務申告の必要性を実感しにくい。特に、アメリカで生まれたが、生まれてこの方ほとんど日本に住んでいる人には、アメリカの税金は意識されていないこともあろう。 アメリカの税金に関しては膨大な情報があるものの、日本語のものは少なく、内容も複雑で理解しにくい。アメリカの社会や文化、税制から離れた海外で生活しているため、アメリカの税務申告の必要性を実感しにくい状況にある。 それでも申告・納税をしていなければ、ペナルティの対象になってしまう。ペナルティがあるから申告をすると言うのも一面的過ぎるが、交通ルールと同じで信号を守らないと交通事故にあってしまう。 アメリカ市民やグリーンカード所持者でない、ごく普通に日本に暮らしている人でも、アメリカに不動産を持ち、賃貸をしたり、不動産を譲渡すれば、アメリカの申告をしなくてはならなくなる。 あと、2週間もすればアメリカの個人所得税の申告が始まる。交通事故にぶつかって初めてアメリカの申告義務を知るという事がないように、微力ながら今年もサポートしたいと思いを新たにしている。

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2024.12.01
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なぜ二つの仕組みがあるのか?

アメリカは市民権をベースにした課税を行う。アメリカ市民や永住権保持者は、世界中の所得に対してアメリカに税金を納める必要がある。海外で働いている場合、その国でも所得税を納めるため、同じ所得に対してアメリカとその国の両方で税金を支払うことになる。これが二重課税の問題だ。 この二重課税を避けるために、アメリカには外国所得控除(Foreign Earned Income Exclusion)という制度がある。一定の条件を満たせば、海外で得た所得の一部または全部をアメリカの課税所得から除外することができる。2024年の場合、除外できる最大額は$126,500となっている。 一方で外国税額控除(Foreign Tax Credit)という制度もある。これもアメリカ市民や永住権保持者が海外で得た所得に対する二重課税を緩和する。 外国税額控除は1962年の歳入法で導入され、外国所得控除は1978年の税制改革法(Revenue Act of 1978)で設立されている。歴史的には最初に外国税額控除があるのに、なぜ外国所得控除という制度が追加されたのだろう。 この理由をアメリカ市民が日本で働いて所得を得ている例を考えてみる。日本での所得が50,000ドルであり、日本の所得税率が20%、アメリカの税率が25%という仮定だ。 外国税額控除:日本で支払う税金は50,000ドル x 20% = 10,000ドルだ。アメリカでの税金は50,000ドル x 25% = 12,500ドルだ。アメリカの税は、外国税額控除後に 2,500ドル(12,500ドル - 10,000ドル)となる。 外国所得控除:2024年の外国所得控除の上限は126,500ドルなので、50,000ドルの外国所得はこの限度内で全額除外され、アメリカでの税金は発生しない。 この例からわかるように、外国税額控除は外国で支払った税金を控除するが、すべてを控除できるわけではなく、追加でアメリカの税金を支払う可能性がある。 一方、外国所得控除は海外で稼いだ所得そのものを除外するため、二重課税を回避する効果が高い場合がある。ただし外国所得控除を使った部分は外国税額控除と二重使用はできない。外国所得控除を超える部分について超える部分については外国税額控除を使うことができる。 外国所得控除があることで、海外で働くアメリカ市民や永住権保持者は、より効果的に二重課税を回避し、税負担を軽減することができる。

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