アメリカ市民やグリーンカードホルダー等は、税務上、アメリカの居住者なので外国に住んでいても、基本はアメリカの連邦税の申告をしなければならない。所得が申告要件を満たさない場合はこの限りではない。 これは、アメリカは属人課税をとるからだ。アメリカに物理的に存在している・いないは問題にならない。 では一体、州税はどうなるのだろうか。同じように州税を申告しなければならないのだろうか。答えはYes/Noのどちらもあり得る。州によっても温度差がある。 (申告を要する) 特定の州を源泉とする所得がある場合だ。例えば、一例として不動産を賃貸していて賃貸所得があれば、その不動産が存在する州に個人所得税の申告をすることになる。 (申告を要しない) 州の所得税がない場合は、州の申告を行う必要がない。次の州は個人所得税がない。 Alaska・Florida・Nevada・South Dakota・Texas・Washington・Wyoming これははっきりしているケースだが、この中間になれば必ずしも画一的に判断できるものではない。 人によってはアメリカを離れるにあたり、もうアメリカに戻るつもりはなく、すべての財産を処分して日本に来たというケースがある。 日本で働けば日本の所得もアメリカ市民・グリーンカードホルダーとして連邦に申告をする。しかし、アメリカに戻る気はなく住んでいた州と一切のつながりを断ってきていれば、基本的には州税を考えることはない。 そうではなく、家族はその州に住んでおり、家もあるし実態はアメリカにあって、日本にいるのは短期間の仮の姿となれば州税を考えることになる。 特に次の州は容易につながりを断つ事を認めない。 California・New Mexico・South Carolina・Virginia 全体を見ての判断が必要となり、画一的に線引ができない難しさがある。

このところFTB(カリフォルニア州の税務当局)から、納税すべき税額が支払われていないという手紙を日本でもらっている人が見受けられる。 その税金が支払われていないと言われている対象年度が、1980年代や1990年代で、20年も30年も前の話である。当時、数万円レベルの税額が、現在は数十万円となって請求されている。 20年・30年前に学生とかOPTでカリフォルニア州に滞在して所得があったが、申告をしていなかったとか様々な理由が考えられる。あるいは何かの間違いで、たまたま自分の社会保障番号がヒットしているのかも知れない。 なぜ20年も30年もして、こうした手紙を受け取るのか不思議かも知れないが、申告をしていない限り時効はなく、いつまでもフォローされる。 税額を払うべきなのに払っていなければ納税する。反対に、そうした事実はないならば、間違った税金の請求だとFTBに認めさせなければいけない。黙って、何もしなければ消極的にその事実を認め、逃げていると見なされることも否定できない。 こうした手紙をもらった場合、きちんと対応すべきで、何もしないことは事態を悪化させるので注意するべきだ。

日本に住んでいる人(アメリカ非居住者)がアメリカに申告する必要が出てくるのは、アメリカを源泉とする所得がある場合だ。すると何がアメリカ源泉の所得になるか判断することになる。その判断基準は一般的には次の表による。 (所得の源泉地決定) 所得項目 源泉の決定要因 給料、賃金など 役務の提供地 事業所得:役務提供 役務の提供地 事業所得:購入した在庫の売却 売られる所 事業所得:製造されたものの売却 分配される 利息 支払人の住んでいるところ 配当 アメリカ会社、または外国会社か 賃貸料 資産があるところ ロイヤルテイ:天然資源 資産のあるところ ロイヤルテイ:特許、著作、その他 資産が使われる場所 不動産の譲渡 不動産の場所 動産の譲渡 売り手の税務上の家のあるところ 年金 役務が提供され年金が稼がれた所だが日米租税条約では受給地課税 奨学金 – フェローシップ 支払人の居住地 天然資源の売却 輸出ターミナルで製品の公正市場価格に基づく配分。 この基準で言えば、働いて得られる給料賃金は役務を提供したところが所得の源泉地となる。となれば何日かアメリカに出張したケースでもアメリカ源泉所得が出てしまう。これは日本アメリカ共にその処理が大変煩雑で、国際的な経済活動を妨げるので、日米租税条約で例外を設ける。 アメリカ市民とグリーンカード保有者は、世界中の所得がアメリカの税金の対象(全世界所得課税)になる。この所得源泉地を考えることはない。

グリーンカードを取得することで、あたかもアメリカ市民と同じように、アメリカに住んで働くことができる。そうした権利が認められる反面、義務も伴う。表だけのコインがないのと同じで、表(権利)があれば裏(義務)もある。 グリーンカードを持っていることで、アメリカへの申告納税がついて回る。アメリカに住んでいてアメリカの所得があれば、アメリカに申告することには抵抗がないだろう。 時間とともに、アメリカに住んでいる人も日本に帰国することがある。またアメリカに戻るかもしれないし、老後はハワイでのんびり暮らそうと考えたり、アメリカに自由に入出国したいということになると、グリーンカードをそのまま継続する。 しかし、アメリカの税金を意識されないことがある。日本は属地的な課税を行うために、日本から離れると日本の税金の外に出ることもある。それ故に、アメリカも同じだろうと思うと間違えてしまう。アメリカは属人的な課税なので、アメリカ市民権やグリーンカードを放棄しない限り、世界中の何処に住んでいてもアメリカへの税金の申告はついて回る。日本で得た所得を日本で申告するのと同じように、日本で得られた所得であっても、アメリカにも申告をしなければならない。全世界所得課税を行うためだ。 日本にいてもアメリカに申告するのは大変だ。将来アメリカにもう一度住むと考えても、実際には日本に落ち着いてしまうと、グリーンカードは必要がなくなる。アメリカへの税金の申告義務を果たすことが重荷ならば、きちんとグリーンカード放棄の手続きをするべきだ。あるいは、グリーンカード持ち続けるならば、日本に住んでいても毎年、きちんとアメリカに申告を行わなければならない。その義務を怠ると無申告となってしまう。 グリーンカードを放棄する・持ち続けるかはっきりさせて、それに伴う手続きをきちんと行う事が必要だ。

Pay as you earnまたはPay as you goという言葉を見聞きして一体なんだろうかと思うかも知れない。会社で働いて給料を得ている人は、毎月の給料から源泉所得税が引かれている。その給与から源泉所得税が引かれるという仕組みのことだ。何も難しい意味はない。要は、給与所得が発生したら、そのタイミングに合わせて税金を払う。 日本では会社の給与担当者が源泉徴収額を決めて、年末になると年末調整をしてくれる。会社に勤めている人が給与所得だけで、他に申告をする所得がなければそれで税金の支払はお終いになる。 アメリカではこうした会社の給与担当者がやってくれるサービスがない。となれば、自分で計算することになる。その年の税額を自分で予測に基づいて計算し、源泉徴収額を決めるのがForm W-4となる。 その年の所得額が確定していない段階で、それを予測し税金を割り出す。その税額を毎月の給与に分割して源泉徴収額を自分で決める。予測なので、1年間を終わった段階で税金の過不足が発生する。このためForm 1040等を提出して税金の精算をしている。税金を多く払っていれば還付を受けるし、少なく払っていれば追加の納付(過少支払いのペナルティや金利が発生)を行う。

税金の納付は次のような手段できる。 1. IRS Direct Pay 個人向け 2. クレジットカード・デビットカード カード払い 3. Electronic Federal Tax Payment System 事業者向け 4. Electronic Funds Withdrawal タックスソフト等からの支払い 5. Same–day wire アメリカ国内にある口座からの支払い 6. 小切手・マネーオーダー 7. 現金 アメリカにある契約されたコンビニまたはIRSの事務所で支払い 日本から納付する場合は、オンラインでのカード払いが多い。 日本にある金融機関で振り込むことは、手間と時間・コストがかかるので、IRSは推奨していない。またコンビニは日本国内の店ではなく、アメリカの店で、しかも契約している店に限定される。

日本を出国しアメリカに住むようになる時、あるいはアメリカから日本に帰国する時に、たいていは年の途中のタイミングとなる。ということは、日本を出国する場合、1年間のうちアメリカ非居住者とアメリカ居住者である期間が混在する双方居住者(Dual Status Alien)となる。帰国する場合は順序が逆になる。 (日本を出国してアメリカ居住者となる場合) アメリカ非居住者の期間:この期間においては、アメリカ源泉所得だけをForm 1040NRで申告する。 アメリカの居住者である期間:この期間においては、全世界所得がアメリカの申告の対象になる。Form 1040で申告する。 このケースではForm 1040にDual Status Returnとトップに記載し、 Form 1040NRのトップにはDual Status Statementと記載する。 (アメリカを出国してアメリカ非居住者となる場合) Form 1040NRにDual Status Returnとトップに記載し、 Form 1040のトップにはDual Status Statementと記載する。 いずれにしても、2種類の申告書を提出する。入国または帰国で分けるので、期間の記載も注意する。 この双方居住者になった時に制限が出る。 1.標準控除を使う事が出来ない 2.所帯主にはなれない 3.夫婦合算申告を選択できない(夫婦別々の申告となる) 4.配偶者がアメリカ市民やグリーンカードホルダーの場合は、特例を使い夫婦合算申告は可能である(税金の計算上有利かどうかはケースによる) 5.いろいろな控除で制限を受ける

所得税を任意の国に選択的に納めることができるだろうか。アメリカに申告をしなければならない場合でも、日本に申告をしているのでアメリカに申告をしないと言うことである。あるいは、その逆でアメリカに税金を払うから、日本の税金を払わなくてもいいと考えることだ。 日本に住んでいる人がアメリカに旅行へ行く。アメリカで自動車を運転してスピード違反で捕まる。これはアメリカの罰金だ。日本人なので日本の国庫に罰金を納める、だからアメリカには罰金を納めなくてよいとは考えないだろう。 日本で給料をもらっている人が、その税金をアメリカに払うから、日本で税金を納付しなくてもいいと考えることはないはずだ。ましてやふるさと納税のように、世界中の好きな国に税金を払うから、日本の税金はそれでおしまいとは考えないはずだ。 スピード違反の罰金の代わりに、日本居住者のアメリカ不動産の賃貸所得と置き換える。 この場合は、スピード違反と異なり、一国だけでは終わらずに、二か国の税金の対象となる。アメリカの不動産賃貸所得であっても、日本居住者は全世界所得に対して課税を受けるので、アメリカの所得であっても日本の税金の対象になる。 日本で税金を納めているので、アメリカには申告しなくていいと考えるとえらいことになる。アメリカでのスピード違反の例で言えば、日本の国庫に罰金を納めているから、アメリカの罰金を払わなくても良いと考えているようなものだ。 逆にアメリカに申告をしているから、日本に申告をしなくても良いと考えるとこれも間違えてしまう。 ただし、二か国で二重に課税することは気の毒なので、外国税額控除で日本の税金からアメリカで支払った税金を差し引きましょうと言うしくみがある。結果的に、アメリカで税金を納め、日本ではその税額分を差し引くので、日本では税金が発生しなかったということもあり得る。完全に100%、二重課税を回避できるかどうかはケースごとに異なる。 もしも申告していない場合は、すみやかに過去にさかのぼり申告しなければならない。

Form 1040で夫婦合算で申告をする場合に、最初にForm 1040で名前を記入する。名前を記入する時に1行目は夫で2行目は妻とか決まっているのだろうか。夫婦の記載順序は固定的に、夫が最初の行で妻が二行目ということはない。 仮に、1行目に記載されている人より、2行目の人の所得が大きく、実質的に2行目の人が家計を支えているとする。家計を支えている人が1行目に記載されるということもない。 では自由に記入できると言って、その時の気分で好き勝手に書いていいものだろうか。 Form 1040のインストラクションは13ページで次のように言う。 If you filed a joint return for 2015 and you are filing a joint return for 2016 with the same spouse, be sure to enter your names and SSNs in the same order as on your 2015 return. 2015年に夫婦合算申告をしていて、2016年でも夫婦合算申告をするならば、2015年の申告書と同じ順番で記入するようにと書いている。昨年と同じにしなさいというわけだ。 でもそうはいっても、配偶者が亡くなってしまったら自分が1行目に来ないとおかしいではないかと思うかも知れない。配偶者が亡くなった年に関しては、亡くなった配偶者はその年の最後まであたかも生きていたように処理できる。となれば前年と同じ順序で名前を記入する。

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