アメリカに住んでいる人が、日本の家を賃貸にしている場合やその家を譲渡した場合に日米の二重課税が発生する。この場合、日本で支払った所得税をアメリカの連邦所得税から外国税額控除として控除する。これにより、アメリカの連邦所得税で二重課税が回避される。 連邦税は外国税額控除のおかげで税金が発生していないから、州税も同じく税金が出ないと思うかもしれない。ところが、どこを探しても州税では外国税額控除を入れるところがない。 カリフォルニア州の例ではPublication 1031で次のように言っている。 California does not allow a foreign tax credit or a foreign earned income exclusion. If you claimed the foreign earned income exclusion on your federal return, include the amount of your foreign earned income exclusion on Schedule CA (540NR), Part II, Section B, line 8d,column C. カリフォルニア州では外国税額控除又は外国所得控除を認めない。また外国所得控除を連邦税の申告で使っていた場合は、Schedule CA (540NR)で持ち戻すように言っている。 ニューヨーク州、ハワイ州やほとんどの州では、連邦税の外国税額控除をそのまま使える余地はない。

Form 1040ではItemized deduction(項目控除)かStandard deduction(標準控除)のいずれかを選択する。標準控除は一定の条件を満たせば、その内訳を開示することなく一定額を取ることができる。しかし、医療費控除等をとる方が有利な場合には、項目控除を選択することになる。 医療費は自分自身だけではなく、家族に対してかかった医療費も控除の対象になる。費用全額が控除対象となるのではなく、Adjusted Gross Income(調整後総所得)の7.5%相当分は認められず、そのラインを超えたものだけだ。保険で補償された場合、その部分は含まれない。会社が払ってくれた医療保険も入らない。また、計上のタイミングは請求書をもらった時ではなく支払を行った時になる。 医療費には、直接的な医療行為や薬などを対象とするだけではなく、広義の医療行為や医療行為に付帯するものまで含まれる。 差し引ける治療費は、主に肉体的・精神的な障害または病気を軽減するか予防するもので、単にビタミンや休暇のような費用を差し引くことはできない。 (含まれるもの) 身体検査、救急、メガネ・コンタクト・鍼、中毒治療、松葉杖、妊娠中絶、義歯、三輪車、包帯、血糖テストキット、キズ修正する美容外科、胸部再生手術、経口避妊薬、矯正具、作業療法、点字本と点字雑誌、医療行為の一環として家を改修(段差をなくする・ドアや玄関を広くする、カウンターやキャビネットを低くする・電気のコンセントやスイッチなどの調整・外回りを家に入りやすくする)、車(特別な装置がある)、盲導犬または他のヘルパー動物サービス等々。 (一般にダメなもの) ベビーシッテイング、規制薬物、美容外科手術、ダンスレッスン、おむつサービス、電気分解治療、葬式、毛髪移植、ヘルスクラブ会費、家事の手伝い、違法治療、妊婦用の服、医療貯蓄口座、大衆薬、水泳レッスンなど

カレンダーイヤーの12月31日(暦年ベース)のステータスで決定する。 種類 内容 独身 結婚していない、又は離婚して他のステータスに当てはまらない場合、独身となる。当年前に配偶者をなくし、当年中に結婚していないと独身となる。 夫婦合算 結婚していて、配偶者と所得や控除を合算して一緒の申告を行う。 当年に、配偶者をなくして年末の段階で結婚していない場合、当年は亡くなった配偶者と通年、結婚していたとすることが出来る。 夫婦個別 夫婦が別々に申告を行う。 日本はこの形である。 所帯主 年末に未婚であり、年の6ヶ月以上、自分や子供を入れた家族のコストを半分以上負担している場合に適用できる。 子供のいる寡婦(夫) 配偶者をなくし、適格扶養者がいる場合、このステータスとなる。 配偶者が亡くなった年に夫婦合算申告が出来る状態にあったこと。年の6ヶ月以上、自分や子供を入れた家族のコストを半分以上負担していること。さらに年末に結婚していない場合に適用となる。

Form 1040ではAdjusted Gross Income(調整後総所得)を計算した後に、項目控除を取るか標準控除を取るか選択することになっている。調整後総所得を減額するために有利な方を選択すればよい。 項目控除は次のような項目だ。それぞれのレシートをかき集めることになる。 医療費 税金 支払利息 慈善寄付 その他 例えば医療費の控除があるが、調整後総所得の7.5%までは認められず、そのラインを超えた分だけが控除対象になる。 標準控除は特に裏づけのレシートが要るわけでもなく、単に決まった控除額を取るので簡単だ。一定額の控除を機械的に取ることができる。 夫婦が申告をする場合、夫婦合算申告という日本にはない申告の仕方と、日本のように夫婦が個別に申告を行うやり方のいずれかを選択する。 夫婦が個別に申告を行う場合、片方の配偶者が項目控除を取ると、もう一方の配偶者も項目控除を取らざるを得ない。この結果、場合によっては不利となることもあるが、そういうルールとなっている。 Form 1040NRを見ると標準控除がない。日本に住んでいる人(非居住外国人)がForm 1040NRを使ってアメリカに申告する場合は、項目控除を記入することになる。

2018年と2017年個人所得税の主な変更点は下表となっている。

2018年からは標準控除がほぼ2倍になるので、項目別控除を取る人は少なくなる。さらに、Schedule Aは大きく変更を加えられた。 2018年版Schedule Aでなくなるのは下表で×マークがついているJob Expenses and Certain Miscellaneous Deductionsだ。また三角マークの所も変更されている。 (廃止:Job Expenses and Certain Miscellaneous Deductions) 自腹のビジネス経費・投資のアドバイス料・申告書作成料などは廃止された。但し、事業を行っている場合はSchedule Cで控除することになる。 (修正) 1.州や市に支払った税金は上限$10,000で制限される。外国の固定資産税は控除できない。Schedule C、Eに記載されるものはこの制限はない。 2.住宅ローン額は75万ドルまで下げられる。過去に訴求して実施されないため、2017年12月15日以前の住宅ローン限度額は100万ドルのままとなる。 3.現金寄付AGIの50%から60%へ上方修正され、株は30%で不変だ。 4.火災や風水害や盗難による損失は原則廃止。大統領令による大規模災害のみとなる。 5.項目別控除の限度は外された。限度はなくなったものの、上記のように個々には制限されているために効果はよくわからない。 (Form 1040NRのschedule A) 標準控除は取れないので、項目別控除を取ることになる。もともと医療費控除や住宅ローン利息がない。その上でJob Expenses and Certain Miscellaneous Deductionsが廃止された。

2018年の試作版Form 1040は驚くほど簡素化された。2017年版申告書では79行だったものが23行になっている。従来のForm 1040A, Form 1040EZは廃止だ。試作版Form 1040はまだ最終版ではないので注意が必要だ。 個人の所得税申告件数は1.5億件ある。3分の1の人はこれでお終いになるのだと言う。3分の2の人は6枚の付表を使う事になる。 Form 1040の試作版(ここをクリック) 1ページ目は個人のデータで、2ページ目は所得内容・控除・税額計算で構成される。100年以上前の1913年版の最初の申告書みたいだ。ずいぶん簡単と思いきや、従来はなかった付表の1から6までが追加される。従来のものは2ページに収まっていたものが、分断されて枚数が6枚増加する。ブロック積み上げ方式だと言う。 PCのフォルダー管理で言えば、6つサブフォルダーができた。従来はサブフォルダーまで入らずにすんだものが、もう一回クリックする回数が増えてサブフォルダーに行くような感じで、逆に手間で面倒だ。 さらにもともとあった付表のA,B,C,D,Eとかつけるので、多くの人にとっては、申告書の枚数が増える。 始めて申告書を手にする人は、これで慣れると違和感がないだろう。従来の申告書からすればかなり落差がある。しかし2,3年もすれば何も感じなくなるかもしれない。 このフォーム変更は、IRSコンピュータのプログラム変更が大幅になるのは必至だ。この手間が例年の何倍かかるのかわからないが、おそらく、2019年の申告開始は遅くなるだろう。 日本ではこういうやり方はおそらくできないだろうと思う。2年も3年も前からプログラム変更を行って、この時期には完成版が出来上がっていよう。アメリカは、とにかく、走りながらでも変えていけばいい、でもトータルでは納税者の負担は減少すると元気よく断行する。仕組みを変えようとするパワーは見習うべきなのだろう。

10月25日のTBSテレビのNスタでMega Millionsの取材があった。一等当選金額が約1,800億円というとんでもない高額宝くじの課税についてコメントさせていただいた。 課税関係は連邦税37%と、住んでいる州、あるいは購入が認められていない州の場合、購入した州での州税が発生する。ざっと45%前後が税金となる。 さらに、日本人がアメリカに出張した時にこの賞金を獲得すると、日本で所得税と住民税で55%の税金を払う。但し、外国税額控除を使えるので、完全な二重課税とはならないもののほぼ半分は税金と言うことになってしまう。

日本にはない申告のステータスが夫婦合算だ。夫婦が離れて暮らしている場合に、夫婦合算申告を使うことができるか? どちらかが単身赴任していれば、別々の州に住んでいることがある。日本とアメリカに分かれて住んでいる場合もある。 地理的に離れて住んでいることは問題がない。あくまで、結婚していると言う婚姻上のステータスによる。どの時点で結婚しているのかが問題となるが、これはその年の12月31日の時点で判定する。 仮に配偶者が年のどこかの時点で亡くなった場合、12月31日時点では配偶者はいない。この場合は、特別に亡くなった配偶者が12月31日まで生存していたものとみなしてくれる。一緒に住んでいなくても、亡くなっても、夫婦合算申告は可能だ。

〒103-0016
東京都中央区日本橋小網町4-8-403
Phone:03-6231-0301
相続税:資産家のための相続税相談申告センター
日本の税務:星泰光・杉沢史郎税理士事務所
| 水天宮前駅 | ― |
東京メトロ半蔵門線 6番口 4分 |
|---|---|---|
| 茅場町駅 | ― |
東京メトロ 東西線 A4出口 徒歩5分 |
| 人形町駅 | ― |
東京メトロ 日比谷線 / 都営浅草線 A2出口 7分 |