2026年10月

2026.10.11
所得税

10月15日

10月15日は、米国の個人所得税申告書を延長している人にとっての提出期限である。この時期になると、毎年同じ質問が届く。 「15日までに払わなければならないのか」 「どうやって払えばいいのか」 「間に合わなかったらどうなるのか」 まず知っておいてほしいのは、延長で延びたのは「申告書の提出期限」であって、「納税期限」ではないということである。申告書に記載される納税額は、本来の期限である4月15日時点で納めるべき税額である。延長をしても、その納税期限自体は延びていない。そのため、4月15日から実際に支払う日までに発生する利息は、通常、申告書の税額には含まれない。10月に支払うのはあくまで税額の元本であり、利息や延滞関連の請求は後日、IRSや州税当局から別途通知されることが多い。 10月15日を過ぎると何が起きるのか 申告書の提出期限を過ぎると、納税額が残っている場合には、Failure to File Penalty(申告遅延加算税)が課される。一般的には未納税額に対して月5%で、上限は25%である。一方、納税そのものが遅れている場合のFailure to Pay Penalty(納付遅延加算税)は通常月0.5%である。つまり、提出の遅れは納税の遅れよりもはるかに重い。 どうしても間に合わない場合でも、何も提出しないよりは、可能な限り完成度の高い申告書を提出するほうが有利なケースが多い。 間に合わないなら、見積りで提出するという選択肢もある 必要な資料がまだ届かない。どうしても数字が確定しない。そのような場合には、その時点で入手できている情報を基に、合理的な見積りで申告書を作成して提出する方法がある。納税額が見込まれる場合は、その見積額も併せて支払っておく。その後、追加資料が届いて数字が確定したら、修正申告(Amended Return)で訂正する。ただし、数字がほとんど記載されていない申告書や、実質的に白紙に近い申告書は、有効な申告として扱われない可能性がある。あくまで、その時点での最善の情報に基づいて誠実に作成することが前提である。 反対に、税額がゼロまたは還付見込みで、情報申告の罰則リスクもない場合には、無理に急いで誤った申告をするより、必要資料を待って正確に申告するほうが合理的なこともある。 日本に住んでいる場合 海外に住む米国納税者は、申告期限が自動的に6月15日まで延長される。しかし、10月15日までさらに延長するためには、通常はForm 4868による延長申請が必要である。そのため、延長申請を行っていない場合には、6月15日の時点ですでに期限後申告の状態になっている。このような場合は、「10月15日に間に合わせること」よりも、「できるだけ早く提出すること」のほうが重要である。 納税額が残っている場合には、時間の経過とともに加算税や利息が増えていくため、早く提出し、早く支払うほど負担は小さくなる。 FBARだけは別 海外口座報告であるFBAR(FinCEN Form 114)は扱いが異なる。FBARは延長申請を提出していなくても、自動的に10月15日まで期限が延長される。したがって、FBARについては10月15日が実質的な最終期限である。 間に合わなかったからといって、そのまま放置するのが最もよくない。申告書は後から修正できる。しかし、提出しないまま時間だけが過ぎると、加算税も利息も積み上がっていく。10月15日を迎える今、「完璧に出す」ことよりも、「適切に出す」ことも考えたい。

Read More
2026.10.04
情報申告

FATCAは、なぜこんなにわかりにくいのか

銀行や証券会社で口座を開くとき、「米国との関係はありますか」と尋ねられた経験がある人は少なくないだろう。そのとき初めてFATCA(Form 8938)という言葉を知った人もいるはずである。ところが、少し調べてみると、すぐに壁にぶつかる。 海外に住んでいるなら大丈夫なのかと思えば、そうとも限らない。提出が必要になる金額を調べると、5万ドルという説明もあれば20万ドルという説明もある。さらに、夫婦の場合は扱いが違うという話まで出てくる。結局、自分は何をしなければならないのか。Form 8938には、迷いやすい要素がいくつも重なっている。 まず戸惑うのは、提出基準である。 税務の世界では、「年収がいくら以上なら申告が必要」のように、一つの数字が示されることが多い。しかしForm 8938はそうではない。米国に住んでいる人と海外に住んでいる人では基準が異なり、さらに夫婦で申告するかどうかでも変わる。そのため、「いくら以上なら提出が必要なのか」という単純な質問であっても、人によって答えが違う。しかも、日本に住んでいるからといって、自動的に海外居住者の基準が使えるわけではない。 ここで二つ目の迷いが生まれる。それは日付である。税法は一年単位で動いている。しかし人の生活はそうではない。赴任も帰国も、グリーンカードの取得も放棄も、多くは年の途中で起こる。 日本から米国へ移った年。米国から日本へ戻った年。こうした年には、「いつから」「いつまで」が重要になる。いつから米国の税法上の居住者だったのか。いつまで居住者だったのか。 一見すると単純な話のようだが、実際にはそこが最も分かりにくい。特に家族が絡むと話はさらに複雑になる。本人は帰国したが、子どもの学校の都合で家族は米国に残る。あるいはその逆もある。現実の生活ではよくあることだが、税務の世界ではその一つ一つが判断材料になる。 そして最後に、多くの人を悩ませるのが夫婦の扱いである。 夫婦合算申告をする場合には、夫婦全体で判定する。一方、別々に申告する場合には、それぞれが個別に判定する。 さらにFBARの報告制度になると、またルールが違う。同じ海外資産についての話なのに、制度によって数え方や考え方が変わる。混乱するのも当然だろう。 では、どう考えればよいのか。 まず、自分はその年に米国の税務申告をするのか。しなければForm 8938が基準額に達していても提出することはない。 次に、その年のうち、いつからいつまで米国の税法上の居住者だったのか。 最後に、夫婦で合算申告をするのか、別々に申告するのか。 この三つを整理すると、多くの場合、自分にどの基準が適用されるのかが見えてきやすい。 FATCAがわかりにくいのは、基準額、居住者判定、引越しの年、夫婦の扱い。いくつもの分岐点が同時に存在するからである。

Read More

カレンダー

2026年10月
月 火 水 木 金 土 日
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

Tsuchida & Associates

〒103-0016
東京都中央区日本橋小網町4-8-403
Phone:03-6231-0301


相続税:資産家のための相続税相談申告センター
日本の税務:星泰光・杉沢史郎税理士事務所

アクセス

水天宮前駅 ― 東京メトロ半蔵門線
6番口 4分
茅場町駅 ― 東京メトロ 東西線
A4出口 徒歩5分
人形町駅 ― 東京メトロ 日比谷線 / 都営浅草線
A2出口 7分
Copyright © Tsuchida & Associates All Rights Reserved.
ページTOP