アメリカの国土安全保障省(DHS)が、F-1学生などの在留資格管理を見直すFinal Ruleを公表した。これまでF-1学生は、原則として「Duration of Status(D/S)」、つまり学生としての資格を維持している期間について在留できる仕組みだった。これが、原則としてプログラムの長さを基礎とした固定された在留期間に変わり、期間を超えて滞在する場合には延長などの手続きが必要になる。
ここで注意したいのは、移民法上の在留資格と、税務上の居住者判定は別の問題だということである。
F-1ビザは、税金を免除する制度ではない。F-1学生について特別な扱いがあるのは、主としてSubstantial Presence Testにおける米国滞在日数の計算である。
たとえば大学内でのアルバイトによる給与は、F-1だから米国税がかからないということではない。米国源泉所得については通常どおり課税関係が生じ、必要に応じてForm 1040-NRなどを提出することになる。
特例は「5年ルール」
F-1学生は、一定の要件を満たす限り、最初の5暦年について、米国滞在日数をSubstantial Presence Testの計算から除外できる。多くの場合、この期間は米国の税務上の非居住者として扱われる。
重要なのは、この「5年」が「今回の留学から5年間」という意味ではないことである。過去に何暦年、F-1などのstudentとして米国滞在日数を除外したかが問題になる。過去のF-1によるexempt yearsは、新しいF-1を取得したからといってリセットされない。
たとえば大学留学で2年間アメリカに滞在し、その後日本へ帰国したとする。そして数年後、大学院へ進学するため再びF-1で渡米した場合、本人にとっては新しい留学でも、税務上は最初の2暦年をすでに使っている。新しいF-1によって5年の時計がゼロに戻るわけではない。
この点を知らないまま再渡米すると、「まだF-1だから税務上は非居住者」と考えていたところ、実際には5暦年のexemptionを使い切っており、Substantial Presence Testによって米国居住者となる可能性がある。
税務上の居住者になると、原則として全世界所得が米国の課税対象となる。これまで意識していなかった日本の預金利息、日本株の配当や譲渡益などが、米国の所得税申告に登場してくる。また、FBARやForm 8938などの情報申告も問題になる。
今回のDHSの制度変更は移民法上の在留期間管理の話だ。しかし税務の視点から見ると、移民法上の手続きが新しく始まっても、税務上の「5年ルール」がリセットされるわけではない。移民法上の在留期間と、米国税務上の居住者判定。この二つは別々の時計で動いている。
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