PayPal等の電子決済アプリを使用している場合、今年の1月1日から、電子決済がIRSに対してForm 1099-Kで報告される基準が厳しくなる。その流れで米国の納税者ステータスを確認されている。 PayPal等は、年間で合計600ドル以上の商品またはサービスの支払いをIRSに報告する。この目的は、申告書で報告されていない課税所得を減少させることにある。 従来は、個人アカウントで1年間に200件の取引があり、その合計が20,000ドルの場合にのみ、電子決済アプリ提供者はIRSにフォーム1099-Kを報告していた。 この変更で、突然、課税されていなかったものが課税されると言う事はなく、何も変わらないという方もたくさんいるだろう。 もともと、商品やサービスの対価として受け取る所得は課税対象だ。そうした所得が第三者からIRSに通知されるかどうかに関係なく、申告書で報告する責任は変わらない。 この変更で、IRSは取引が良く見えるようになり、所得の申告漏れを防ぐことができる。即ち、報告された所得が申告書上に記載されているかチェックできるからだ。 但し、こうしたサービスが事業で使われているのか、お年玉を送金したとかビジネスの判断がつかない場合もあるはずだ。何でも事業と報告されるかもしれない。また、同じ内容がForm 1099-NECやForm 1099-Miscと重複してIRSに報告されてしまうかもしれない。 確かにこの変更で、取引の透明度が上がるだろう。一方で、所得の二重計上やビジネスと無関係な支払いまで事業としてForm 1099-Kが発行されてしまうかも知れない。だんだん管理水準が上がるかも知れないが、処理上は手間が増える。

申告書を作成するという本来的な部分の周辺に伏兵がいる。国際的な書類の送付がその一つだ。 コロナウイルスのために郵便局のアメリカ向けEMSは、2020年4月下旬から2021年5月一杯取り扱いが中止されていた。電子申告でほとんど問題がないものの、申告内容により電子申告ができないケースがある。 さて、EMSが再開されてみると、2021年1月1日以降は通関電子データ送信が義務化され、手書きのEMSラベルではなく、ラベルの印刷が必須となっている。 これがなかなかのもので、そもそもPCになじみがなく、スマホもどう使うのだと疑問だらけだと、ラベルをプリントして郵便局に持って行くことが難しい。 あて先は手書きなら何とかなろうと、書留で郵便物を航空便でアメリカに書類を送付したケースがある。何と1か月後アメリカから送り返されてきた。電子データ送信に対応していなかったからだろう。 またアメリカ以外の国へ小包を航空便で10月初旬に発送した。通常なら2週間もあれば配達される。ところが2か月を超えても配達されない。相手先からは荷物がまだ日本にあると言われる。 もちろん、Fedex、DHL、 UPS等を使えば問題ないじゃないかと言われるだろう。こうしたサービスになじんでいないと送り状の作成が一苦労だ。さらに、IRSや州のあて先がP.O. Boxだったり、相手先の電話番号がわからないと受け付けてもらえないことがある。 IRSからの受信でも困る。IRSからの手紙の日付だ。例えば手紙にいつまで納付せよ、追加で書類を送れという納期が30日を指定される。ところが、配達されるタイミングでは、およそ1か月経過し、ひどい時は配達時に既に期限を超過してしまっている。 2021年11月19日の段階で、IRSの未処理の個人申告書は650万件、修正申告は11月27日で260万件、さらにForm 941は12月1日で300万件、同修正版が41万件で合計1,000万件を超える(12月3日IRS発表データ)。 折しもクリスマスシーズンに入り気分はホリディシーズンだ。来月には2021年分の申告が始まろうとしている。

アメリカの市民権やグリーンカードを放棄した場合に、Form 8854(出国税)を提出する。Form 8854の申告期限は、放棄をした年の申告期限と同じで、申告書と一緒に提出する。Form 8854で出国税の対象となる人が定義されている。 対象になる人は、次の3つの基準で判断される。 ①税額基準:放棄より前5年の平均所得税が下記を超えているか。 2018年は165,000ドル 2019年は168,000ドル 2020年には171,000ドル ②純資産基準:純資産が200万ドルを超えているか。 ③適正申告基準:放棄より5年前からすべての連邦税義務を遵守しているか。 ①と②の基準ではNoでも、③の申告基準を満たさないことが散見される。即ち、放棄した年の前5年を適正に申告し、納税している基準を満たしていない。この場合はすみやかに過去に遡り適正に申告をして、税額があれば納付する。 せっかく3つの基準に適合したけれど、Form 8854を提出していない。この場合は、税務上はアメリカ居住者であり続けるのだろうか。以前においてはその扱いであった。しかしながら、現在ではForm 8854を提出していない場合でも、放棄手続きにより税務上はアメリカ非居住者となる。結果的に、アメリカの市民権やグリーンカードを放棄した年以降は全世界所得課税から外れる。 Form 8854を提出していないと、上記の3つの基準をパスしていると宣言しないために、出国税の潜在的な対象となってしまう。しかし遅れてForm 8854を提出しても、3つの基準をパスすれば出国税の対象ではない。 出国税を免れても、Form 8854を提出遅れのペナルティはどうなるか。上記3条件をパスして出国税の対象とならない場合は、ペナルティをほぼ心配しなくても良さそうだ。出国税対象になってしまう人にはペナルティは残る。 IRSがペナルティに動くかどうかは個々の事情も勘案されるし、アメリカ市民については救済もあり手続きも発表されている。流れはForm 8854をきちんと提出するように背中を押していると思える。

アメリカの税務から離脱するためには、アメリカ市民権やグリーンカードを放棄することになる。 離脱をするのであれば、あと2か月以内に行うのが良い。というのは、2021年中に離脱をすれば、2021年の申告が最終申告となる。これが2022年1月とか2月に入ってしまうと、最終申告は2022年分の所得税申告を、2023年に行うことになる。年内に放棄できれば、所得税申告を今年の分でお終いにできる。 では市民権やグリーンカードを放棄することを思いついたらすぐできるのか。市民権については、アメリカ大使館や領事館での面接で意志確認が必要になる。面接スケジュールを取れないと年内は難しい。 ところがグリーンカードの場合はとても簡単だ。Form I-407を記入して、手元にあればグリーンカードと再入国許可証と共に郵送する。今日準備して明日郵送すれば完了という感じなので、年内に十分間に合う。原則的に放棄日は郵送した日で、受領された日ではない。 市民権やグリーンカードを放棄すれば出国税(Form 8854)を提出する事になる。多くの場合、税金が発生することはないと思う。この出国税の対象になるかだが、納税額基準や財産基準で問題がなくても、適正に過去5年間申告を行っていると言う適正申告基準が問題になりやすい。もしも過去5年分の申告をきちんと行っていなければ、今からすみやかに行えば大丈夫だ。 市民権やグリーンカードを放棄する方針が固まっているならば、来年まで引きずらないことが良いだろう。

10月2日現在680万件の個人所得税が未処理のままだ。さらに同日でForm 1040X(修正申告)の未処理分が280万件だとIRSは公表している。IRSとしては何とか年内には正常な姿に戻したいと言っているが、どこまで目論見通りに行くのかわからない。 このところIRSから申告書を処理するために、もっと数字の説明をしてほしいという手紙が来ている。さてその手紙、雨水を被ったようで、あたかも水の入ったバケツの中に手紙を漬け置いたのでは?と思えるほどインクがにじんでいる。まして30日以内に回答せよと言うのに、その期限は1か月前に過ぎてしまっている。 あるケースでは、追加の説明を求めている控除金額が$6だった。この数字一つを確認するために、外国まで手紙を出し、郵便料金を払い、回答を得るまでに2か月とか3か月を要している。ほとんど意味がない事にどれだけ人件費、経費、時間をかけるのか。まして税収は増えない。 申告書を処理している人は業務処理基準書の通りに動いているだけだろう。金額的な処理基準を設けて、これ以下の数字は管理しないとか弾力的に決めて、山のような未処理の申告書を早期に処理するのが本当ではないかと思える。 2021年の申告は例年と同じなら、2022年の1月末には開始される。その前にはクリスマスシーズンもある。あっという間に次の申告シーズンになってしまう。氷山がそこに見えているのに進路も変えられず、氷山に衝突して沈没したタイタニックの二の舞になるのではと心配になる。

IRSの処理時間はこの頃かなり時間がかかる。紙の申告書の処理は1年ぐらいかかる感じだし、手紙を出して返事が返ってくるのも同じようなものだ。電子申告をすれば早いのだが、手紙を書かざるを得ないこともある。 例えば、当方の計算では税額が発生しないのに、IRSは見解を異にし支払いを求めることがある。これに対してはIRSに反論をする手紙を書く。ところがIRSからは督促の手紙が定期的に送られてくる。 当方の主張には無回答で、督促の繰り返しだ。これは反論の手紙がIRSから拒絶されたためだと思ってしまうことがある。手紙をもらう都度、そのままにしておくことはできないので、IRSに連絡を取ろうとする。再度、反論の手紙を書くことになる。 しかし実際は、IRSでの処理がなされていないだけのことが多発している。コロナウイルス下にあっては、IRSの職員はテレワークをして、手紙の処理が大幅に遅れている。1年以上かかって、やっと回答が来る事がある。その間、IRSのコンピュータは機械的に時間が来れば督促の手紙を作り続ける。 そのままIRSの言う事に従うわけにもいかないので、何らかのアクションを取らなければならない。電話や手紙を書くようになる。 すると、IRSの人ではさらに電話の対応に追われ、未処理の手紙が山と増えて、その処理にまた時間を使う。さらに例年にはないコロナウイルスの給付金の対応が2020年には2回、2021年には1回あったわけで、IRSの事務処理負担は大変なものだろうと思う。だから申告時期の終わりになっても申告書が3530万件未処理だったのだろう。 かくしてIRSはどんどん機能不全に陥ってしまうことになる。コンピュータによる機械的な督促状がどれだけ、IRSの首を絞めているのかわからない。 IRSできちんとした処理が終わらない間は、督促の手紙を出すことをやめるべきではないかと思う。

IRSは昨年秋からQRコードを利用する実証実験を行っていた。この度、いよいよスタートをする事になった。QRコードがつけられる手紙の一つがCP 14 letterだ。IRSは1年に800万通のCP 14 letterを郵送している。 CP 14 letterは申告書を提出した結果、申告内容に誤りがあるとIRSが判断する場合、追加で税額を納付するように求める手紙だ。もしもこの手紙をもらった場合、決して放置して無視をしてはいけない。 まずあわてずにしっかり読んで理解をすることから始まる。IRSは見解を異にする部分を手紙に書いている。対象年やオリジナルの申告書を比べて、IRSが何を言っているのかを理解する。結果、IRSの方が正しければ、そのレターに対して返事を出すことはない。クレジットカードで不足額を払ってしまえばすぐ終わる。あたかもオンラインショッピンッグで支払うように、15分20分もあればすぐに決済出来てしまう。 QRコードが手紙についたから、問題がたちどころに解決するというわけではない。スマホを使ってIRSのサイトに簡単にアクセスして、IRSの言うことに同意して不足の税額を払う事にはとても便利だろう。しかし、その内容に疑問を持ったり、IRSが間違っていると思うなら、IRSに電話やレターで内容を確認したり反論をすることになる。これには時間もかかる。それでも現状確認をするだけでも簡単になるなら有効だろう。

昔々の話だ。スーパーマーケットは子供の自分には目新しく驚きだった。商品をかごに入れてキャッシャーで精算してもらう。遠い昔のことで記憶に間違いがあるかも知れないが、その当時、商品のバーコードを手入力していたように覚えている。キャッシャーが一点ごとに商品データを打ち込むのは大変だろうと思った。 さて、IRSの紙の申告だ。IRSは申告書のデータをコンピュータで処理をしている。あの時のキャッシャーと同じように、オペレーターがキーボードで一人、一人の申告書のデータをIRSのコンピューターにインプットしていた。 今はどうかと言えば、電子申告なので手入力をすることはなくなっている。IRSが言うには2020年分では個人所得税の95.3%が電子申告だ。しかし、紙の申告が約320万件あるという。 データをオペレーターがそのまま手入力すると、一人分の申告書でどのくらいかかるのだろう。20-30分ぐらいだろうか。1時間に2-3人となる。インプットした時に、オリジナルの申告書にそもそもインプットミスがあったり、スペルミスや計算が合わない、字が判読できない等々あってフォローすると一体、一日に何件処理できるのだろう。 手入力避けようとするとOCRで画像として取り込み、それを処理するかだ。でも電子申告が答えならば、電子申告を進めるのが本道だろう。翻って、日本からの申告を見ると、かなりの申告は電子申告に対応している。しかし、Self employmentやForm 1042にかかわるものが今一つうまく電子申告に対応していない。 電子申告率95.3%を100%に持ち上げるのは大変な作業だろう。電子申告にそぐわない、難しいものが残っているわけだし、仕組みができたところで利用者が利用しないとどうしようもない。頂上は見えているのに、なかなか容易ではない。

現状で日本からITIN(納税者番号)の取得は申請して、ざっと1年近くかかってもおかしくはない。平常時でも半年程度のものが、コロナウイルスのために足をすくわれてしまっている。 1年近く待たされてやっとIRSの手紙が来る。これが入学試験の合格・不合格と書いているようなシンプルなものだ。即ち、合格の場合はITINが書かれているし、不合格の場合は拒絶と冷たく書かれて、書類に不備があるので再提出しなさいと木で鼻をくくったような冷たい手紙が来るだけだ。 その判断はIRSの処理担当者にゆだねられている。入学試験の記述問題で、同じ解答を書いていても採点者によって合格、不合格が分かれるようなもので、理不尽極まりないことがある。 架空の人間に対して取得されたITINで余りに不正が多すぎた結果だろう、ITINの発行に際しては、IRSは初めからかなり難易度を高くしているように思える。IRSに提出する書類のこの表現が不十分なので、ここを次のように直してくださいと手の内を見せるような指示をしてくれない。 拒絶は大抵、金融機関からのSupporting Documentsが不十分という理由だ。法人のロゴマークがないとか、FAXでオリジナルではないとかという形式的理由と、文章表現が不十分という内容の理由がある。 そうすると、金融機関に再度書類作成を依頼して、再提出と言う事になる。こうなるとITINを手にするまで、とても1年ではありえない。IRSもそれで良しとはしていないだろうが、かなり時間がかかる状況は悪化しているが改善しているようには思えない。

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