遺産税・贈与税

2016.12.19
遺産税・贈与税

遺産税の税率

アメリカの相続が起きた場合、2016年現在での連邦遺産税の税率は下記の通りだ。 なお、表の右端の税額は、一番左の金額に対する税額となっている。 遺産税額の計算の仕方:40万ドルの場合 ①25万ドルまでの税額は70,800ドル ②25万ドルを超え40万ドルの15万ドルは34%の税額で51,000ドル 40万ドルの税額(①+②)=121,800ドルとなる。 ただし、故人がアメリカ市民であれば545万ドルの生涯控除額がある。 税額に引き直すと2,125,800ドルの税額控除となる。 という事は、税額が発生したら常に40%の最高税率となる。 40万ドルは545万ドルより少ないので税金は発生しない。 さらに、545万ドルを超えても、相続がアメリカ市民の夫婦では配偶者控除額は無制限だ。 アメリカ市民の夫婦では相続によって遺産税を払うことがない。 しかし、アメリカ市民ではない日本人の場合は545万ドルの生涯控除額はそのまま使えず、 無制限の配偶者控除も適用されない。

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2016.12.09
遺産税・贈与税

遺言があるのに無遺言相続

遺言があるのに無遺言相続とはどういうことだろう。いくつかケースが考えられる。 遺言を作成した人が、大事に保管をしていても、残された人がその遺言を発見できないことが考えられる。あるいは、本人がうっかり何か別の書類と思いこみ、廃却してしまったという事もあるかも知れない。 遺言書を作成してくれた弁護士のところに副本が残っているだろうが、古い話でたどることもできないかも知れない。銀行のセーフティ・ボックスに入れているのだろうか。家の中にあるのか、探してもわからない。 あるいは、無遺言となる方が利益を得る人がいて、意図的にわからなくしたのだろうか。 遺言があったとしても、そもそも、故人にきちんとした判断力が残っていなかったとチャレンジされて、遺言そのものが無効となるかも知れない。 遺言書が複数出てきて、過去の遺言書を無効としておらず、それぞれの遺言書の中身が全く異なる内容が記載されているかも知れない。 やっと探し当てたものは本人のサインがなく、弁護士や立会人のサインもなかったらどうなるのか。 そうした面倒な話ではないにせよ、遺言書が日本で作成された日本語のもので、アメリカの裁判所がその有効性を認めないこともあろう。 いろいろなケースが考えられ、そうした場合にどう処理するのかというの個別の事情によるだろう。 一般的には、こうした場合は遺言がないとされて、州の無遺言相続法で処理せざるを得なくなることがある。

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2016.12.07
遺産税・贈与税

無遺言相続

遺言を残さなかった場合は無遺言相続となる。この場合はその州の無遺言相続法により相続が行われる。 財産の種類と場所がとても重要になる。 というのは、一義的には、動産は亡くなった方の死亡時の本拠となる場所の州法が適用になる。 不動産は相続分割主義により、不動産と動産では扱いが分離され、不動産は存在する州の法律によって相続される。 つまり複数の州法が入り込む可能性がある。 日本だと、財産は不動産でも金融資産でも扱いを分けることはないが、アメリカは分けてしまう。結果として州によってどのように財産を相続するかは異なる。 多くの州では、子供がいない場合は配偶者がすべて相続する。配偶者と子供が一人の場合は、配偶者と一人の子供が半分ずつ相続する。配偶者と子供が二人以上だと3分の1が配偶者で、残りは子供たちが相続する。州ごとに確認を要する。 遺言がない場合でも、受取人指定がされている財産は除外される。共有財産は共有している人のものになるし、生命保険の受取は指定された人になる。

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2016.12.02
遺産税・贈与税

日本語の遺言

日本人においては、もともと遺言を残さない人が圧倒的に多い。一方、遺言があるとしても日本人なら日本語の遺言だろう。 例えば、遺言でアメリカにある不動産は娘に、日本にある預金は息子に相続させるといった内容を記載する。こうした日本語の遺言がアメリカで有効たりえるだろうか。 当然のことながら、日本語で書かれている遺言をそのままアメリカの裁判所に提出しても、理解してもらえることはない。まずは英語に翻訳しなくてはいけない。形式要件もあるだろうし、内容もきちんとわかるもので、少なくともアメリカの遺言としての要件以上のものを満たしていれば、認めてもらえる可能性は十分にある。 しかし、ノートに走り書きしてあるものを遺言として提出しても認めてもらえるか。また、立会人もいなかったり、立会人の数が3人以上という条件のあるところで、2人しかいない遺言を認めてくれるのか大いに疑問だ。 アメリカの要件を満たさないものならば、遺言として認めてもらうのは極めて難しいと思う。カリフォルニア州の不動産であるなら、同州の法律が適用になる。アメリカの不動産に関する相続は、不動産の存在する州法の規定によることになるからだ。他州の要件は満たしていると言っても、その州の要件を満たしていないと難しい。 もちろん単に、日本語で書かれているというだけで無効とは言えないが、その州の裁判所の判断次第となる。しかし、日本人が日本に住んでいて日本語の遺言書を作成し、その効力をアメリカのある州に及ぼすことになれば簡単なことではない。 簡単ではないというのは、最初から不可能というのではなく、ケースによるだろう。手書きであり、立会人もいなくても、交通事故で命を落とす直前の極限の状態で書かれたような場合ならば、認めてくれる可能性はあるかも知れない。 さて、かくして遺言というものが認められない場合にはどうなるか。遺言がない状態となり、その州の無遺言相続法により相続が行われることになる。

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2016.11.29
遺産税・贈与税

遺産財団の執行人・管財人の仕事

アメリカでは被相続人(亡くなった人)が遺産税を払う。しかし、亡くなった人は、生きていないため行動することができない。そのために、故人を代理する遺産財団が作られる。 遺産財団は、故人の債権債務を精算し、財産の分配処理や、相続に関する税金の納付などを故人に代わって行なう。遺産財団は亡くなった時に設立され、財産が相続する人に渡され、申告手続きが終わるまで存続する。 この役割を担う人がExecutor/Administrator(執行人/管財人)として任命される。執行人は遺言書で記載され次のような表現がある。 Executor I name (Executor 1) to serve as my executor. If (Executor 1) is unwilling or unable to serve as executor, I name (Executor 2) to serve as my executor. No executor shall be required to post bond. 執行人 私は執行人として動く(執行人1)を任命する。もしも(執行人1)が執行人となることを望まず、あるいは、そうしようとしてもできない場合、私は(執行人2)を任命する。いずれの執行人も保証金を積むことを求められない。 実際には表現はいろいろ変わるが、趣旨としてはこうした条項が記載される。 (執行人・管財人の仕事) 執行人・管財人は次のような仕事を行う。 法的に遺産財団を代表する 遺言を裁判所に提出する 債務を弁済する 債権を回収する 債権公告をする 税金を支払う 役所や銀行に通知、クレジットカードを止めたり、賃貸契約の終了を行う 残った財産を相続人に渡す等々 執行人・管財人は故人の遺産税や所得税等の税金に対して責任を持つ。万が一、支払うべき税金の資金が不足していれば、執行人・管財人が代わって責任を果たすので責任は重い。

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2016.11.28
遺産税・贈与税

遺産税って何ですか

アメリカの遺産税、Estate taxesというのは誰かが亡くなって、その財産を相続する時に課せられる税金だ。それは相続税の事ではないかと思われるかも知れない。相続税はInheritance taxesと言われ、Estate taxesとは別のものだ。 同じように思うかもしれないが大きく異なる。 誰が税金を払うかが全く異なる。また課税される対象財産も異なる。 遺産税:故人が税金を払う 相続税:相続した人が税金を払う 遺産税:相続財産の総額に課税される 相続税:相続した分に課税される アメリカは遺産税方式をとるため、亡くなった人が死んでも、なお、自分で税金を支払う。亡くなった人は行為能力がない。ゆえに、自分では動けないので、亡くなった時に自分に代わる遺産財団が形成される。 遺産財団の執行人は遺言書に記載される。遺言書がない場合や執行人が先に亡くなっていたり、任に堪えない場合、そもそも設定されていない場合は裁判所が認める人が執行人となる。 故人に帰属する財産は自らの遺産財団に移転し、遺産財団の執行人が故人に代わって遺産税や未払いの負債を支払い、残った財産を相続人に渡す。故人の段階で相続財産総額に課税を受けているので、相続財産を相続した人は、税金を支払った後の財産を手にする。それ故に、相続人は自分の段階では税金を払う必要がない。それでも遺産の相続を辞退することができる。 あたかも、死亡時に自分に代わる清算会社が設立され、債権・債務をきれいにして、残余財産を相続人に渡たす。債務は支払が行われているので、相続する人は債務を相続することはない。しかる後に、清算会社そのものが消滅するといった段取りとなる。 相続税は、遺言があれば故人の遺志が反映されるが、遺言がない場合は、残った人たちの間で協議してどのように財産を分けるか決める。債務があれば債務まで相続する。相続税も相続人が相続した部分に課税を受けて税金を支払う。 アメリカは、遺産税は連邦の段階のみならず、州の段階で遺産税または相続税がある。遺産税方式はイギリスの方式が採用され、相続税方式はドイツやフランスの方式をとる州で行われる。 それぞれの州によりやり方が異なるため、必ず二段階で連邦と州で課税を受けるわけではない。州によっては課税をしない州もある。

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2016.10.30
遺産税・贈与税

贈与する人が贈与税を払う

アメリカの税務に関して、多くの点で日本と同じだと思うことがある反面、日本と全く違うとびっくりすることがある。 アメリカの贈与税は贈与をする人が課税される。 日本では贈与税は、財産をもらった人が申告と納税をする。 アメリカの贈与税も日本と同じく、財産をもらった人が払うと考えている方が多い。アメリカでは、もらった人が贈与税を払う。 アメリカの贈与にも年間非課税額があって、この金額以下ならば課税対象にならない。2016年、2017年では$14,000だ。 年 非課税贈与額 2013 $14,000 2014 $14,000 2015 $14,000 2016 $14,000 2017 $14,000 日本では贈与を受ける人が課税を受けるので、この点が全く異なる。 例を見てみよう。Aさんに、贈与をしてくれる祖父母、父母、おじさん、おばさん、その他親戚で合計10人いたとする。それぞれ$10,000を贈与してくれると、Aさんは10人×$10,000=$100,000贈与されたことになる。 この$14,000と言うのは贈与する人についての枠なので、$10,000だと、$14,000以下ので、贈与をする人は全く贈与税を心配することがない。もちろん、贈与をされた人は全く課税を受けない。 ところが、気を付けなければいけないのは日本の贈与税だ。アメリカにいる人が、日本にいる親から贈与を受ける。贈与する人が日本国内に住所があれば、日本の贈与税の対象になってしまう。 (受贈者が外国に居住しているとき) https://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4432.htm

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2016.10.28
遺産税・贈与税

贈与であるからには

贈与においては3つの要素が不可欠である。 1.贈与をするという意志がある 2.贈与されるものが実際に届けられる 3.贈与を受け取る人がそれを受領する 素直に考えればこの3つの要件を満たしていれば贈与が成立する。しかしながら、あげる人がそのあげるものに等しい対価をもらえば贈与にはならないし、事業としてそうした行為がなされているのであればこれも贈与にはならない。 例えば、おじいちゃんが孫に、自動車をあげようという申し込みをする。孫は、自動車を受け取りましょうと合意がなされる。そして、実際に自動車が孫の手に渡ることが必要だ。 贈与を行う人がその言葉や書面により贈与を行う意志を表す。そこでは贈与者が贈与を行う法的能力がなければならない。自分のことをきちんとできない子供や大人(法律行為をすることができない人)が贈与を行うことはできない。 おじいちゃんが自動車をあげようという意志を表す場合、正常な判断がなされていることが必要だ。 仮に、おじいちゃんが酔っ払って思わず出た言葉だった場合、本当かもしれないし、本心でないかもしれない。また、第三者から圧力をかけられたり、脅されてそういう言葉を発した場合はまともではない。また、いわゆるぼけているような場合も、正常な判断能力を持って言っているのかどうかわからない。 孫にあげるつもりが、孫以外の人に間違って渡してもこれも効力がない。孫にあげるとして贈与をしたものが、もらった人が孫でないとする。その人には贈与を行う意図がないので無効である。 贈与が行われる時期は現在でなければならない。 孫にいつかわからない将来に自動車をあげようと言っても、それは現在、その意図がないと言うことに他ならない。孫はいつかもらえるだろうと期待するだろうが、それは贈与とは異なる。 また、贈与であるからには、無条件にあげるものでなければならない。孫がこの大学に合格したら、この試験に合格したら、この会社に入ったら、この人と結婚したら、男の子が生まれたらとか条件をつけようと思えばいくらでも条件がつく。指定した大学に合格しないことや、条件を満たさない場合は無効になってしまう。

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2016.10.28
遺産税・贈与税

財産を受け取るのも、受け取らないのも自由

ジョングリシャムの小説、テスタメントの最後の部分において、莫大な財産を相続できるはずのレイチェルがマラリアで亡くなってしまう。自らは決して財産を手にしようとせず、信託を作ることを希望し、キリスト教の教えや飢餓救済、疾病対策、ホームレスの救護、子供たちの救護に信託の配当所得を使ってほしいと願うものである。結局、ジョングリシャムは小説の主人公、レイチェルのキャラクターとして書いたのか、彼自身の精神世界を書いて見せたのか興味深いところだ。おそらく彼自身の理想論なのかもしれない。 さて、結局この場合は遺産の相続を受け取り拒否したのだろうか。レイチェルの遺書には相続の受け取りを拒否したり辞退することをしないと書く。ただし、相続を受け取る意向がない。つまり、財産を受け取る権利は放棄しないが、自らはその権利を受けるのではなく、自分に代わって信託を作るのだと言うことになる。 相続を受けたり、受けなかったりすることは自由である。日本でも同じと言えるのだが、アメリカでは異なることは、基本的には相続財産にはマイナス財産は初めからない。それゆえに、財産を相続するときは必ずプラス財産だけが対象なのだが、それでもその受け入れを断ることができる。 しかしながら、あらゆる状況の中でこうしたことが許されるかどうかは疑問が残る。例えば、自らが支払不能に陥っていたり、破産をしている場合だ。当然のこととしてその財産が自分の手元に入ることにより、不義理をしている人にお金を返せる。こうした場合に、容易に、財産の受け取りを拒否できるのだろうか。こうした場合には、強制的にも財産を受け取ってもらい、そこから返すべきものは返すことが良いことかもしれない。 もしも、このように財産の受け取りを拒否した場合、一度手元にある財産を再度贈与したことになるのであろうか。もしもそうなるとしたら、自らは財産を手にすることはなく、自分の手元には贈与税だけが残ることになる。これも何かしっくりしない。と言うわけで、多くの州では、そもそも、その財産をもらう人が、もともとの贈与を行う人が贈与をする前になくなっているのと同じ考え方をとる。まったくその人がいないものとして、財産の分配を考える。 財産を受け取るのも、受け取らないのも自由だ。

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