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2025.10.26
その他

アメリカ政府機関の閉鎖でのIRSの混乱

政府機関閉鎖に備えたIRSの緊急対応計画によると、シャットダウンが2025年10月8日から2026年4月30日まで及ぶ場合、全職員約74,300人のうち約35000人が自宅待機だという。 この期間に申告する必要があるのか。 この状態なので申告書を提出しなくてよいということにはならない。通常通り納税申告を続ける必要があるし、納税するべき税金を払わなくてもよいということにはならない。 電子申告または紙の申告書の提出は引き続き可能だが、紙の申告書の処理は政府の業務が完全に再開されるまで延期されるようだ。IRS は郵便物を受け取り、受け取った税金の支払いを入金することはできても、通常、書面による通信には応答しない。政府閉鎖中に IRS に手紙を郵送しても、その未処理件数が増えるため、政府業務が完全に再開された後の返答にさらに時間がかかることを覚悟しておく必要がある。 この状態でもIRSのコンピュータは機械的に動いている。税額不足の督促状を発行し続ける。しかしながらIRSが税額不足という判断が間違えていることがある。日本から書面でIRSの督促レターに答えても書類を見てもらえない。時間だけが経過し、なぜIRSの手紙に対して無回答なのかとPCが機械的に発行するレターがエスカレートし、銀行預金の差し押さえも辞さないといった手紙が送られてくることもあり得る。 日本からとっくに回答をしているのに、なぜ回答をしてこないというのには閉口してしまう。当方の主張に理があるのにも関わらず、それが否認されてしまっていると考えがちだ。しかし何のことはない、当方から提出した手紙が全く開封されておらず、単に滞っている。ただIRSのPCが督促状を発行し続ける。 この状態はしばらく継続すると覚悟した方がよいだろう。このままだと感謝祭からクリスマスの季節となり、ただでさえお休みモードになりやすい。処理されていない手紙が一斉に処理されるといっても、長期的に休んでいた仕事がいきなり次の日から100%、150%で動きだすとは考えにくい。 参考までに、2018年の政府閉鎖は35日間いた。当時IRS(内国歳入庁)が業務を再開した時、未回答の郵便物が500万通も積み上がり、閉鎖のピーク時には、IRSは1日あたり70万通以上の郵便物を受け取っていたという。一日の郵便物の処理件数が2万件としても250営業日で、丸々1年間を要するという状況だった。 こうした大変な時期にある。物事が順調に動いていない。自らやるべきことは適切に行い、IRSの処理進捗に対しては長期にわたる対応遅延も想定する必要があるだろう。

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2025.10.19
所得税

不動産譲渡益に税金がかからないか?

米国では、主要な居住用不動産の譲渡益に対して、最大25万ドル(夫婦合算申告の場合は最大50万ドル)までのキャピタルゲインが非課税となる。この控除を超過した利益には、連邦のキャピタルゲイン税が課税される。 控除制度の概要(Section 121 Exclusion) 米国の主要な居住用不動産の譲渡益に対する譲渡益控除(Section 121 Exclusion)は、1997年の納税者救済法(Taxpayer Relief Act of 1997)によって導入された。現行制度では、譲渡日以前の過去5年間のうち合計2年以上その不動産を所有し、かつ主要な住居として使用していれば、独身者は最大25万ドル、夫婦合算申告者は最大50万ドルまでの譲渡益を繰り返し非課税にできる。この控除額は2025年現在も変更されていない。 インフレ調整の欠如と課税対象者の増加 この控除限度額はインフレ調整されていない。そのため、時間の経過とともに実質的な税制優遇の価値は低下している。その結果、近年、米国全土での住宅価格の高騰により、控除額を超過する譲渡益が発生し、キャピタルゲイン税の課税対象となる人が増加傾向にある。1997年以降の住宅価格の上昇率に合わせて控除額が調整されていた場合、現在の非課税限度額は独身で約60万ドル、夫婦で約120万ドルに相当するとの推計もある。 政治的な動向:キャピタルゲイン税廃止の議論 この状況に対し、トランプ大統領は、住宅市場の流動性向上策として、主要な居住用不動産のキャピタルゲイン税を完全に廃止する法案の支持を表明し、検討していると報じられている。非課税限度額の撤廃や引き上げは、特に高額物件の売買を活性化させ、市場供給の増加につながることが期待される。 日本の不動産への適用と為替の影響 米国で確定申告を行う納税義務者(米国市民や永住権保持者など)にとって、このキャピタルゲイン控除は、日本にある主要な居住用不動産の譲渡にも適用される。譲渡益は米ドル建てで計算され、為替レートの変動が大きく影響する。例えば、以下のケースでは、円安が米ドル建ての利益を抑え、非課税枠に収まる結果となる。 購入時(2000年): 5,000万円 ÷ 107.8円/ドル 約$46万 売却時(現在): 1億円 ÷ 150円/ドル 約 $67万 譲渡益: $67万 - $46万=約$21万 約$21万の譲渡益は、独身者の控除額でも$25万の範囲内であるため、米国連邦税の課税は発生しない。もしも譲渡益の控除額がインフレ調整されると更に余裕が生ずる。ただし、これは日本の税金は別に考慮する必要がある事は言うを待たない。 (まとめ) 個人所得税の主要な不動産の譲渡益控除額:独身で最大25万ドル 夫婦合算で最大50万ドル

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2025.10.12
その他

市民権・グリーンカード放棄と Form 8854

米国市民権や永住権を放棄した人(以下「Expatriate」)は、放棄した年の翌年4月15日までに、通常の所得税申告とともに「Form 8854:Initial and Annual Expatriation Statement」を提出する。納税者が課税年度途中で米国の永住権を放棄して U.S. person でなくなった場合、その課税年度は Dual-Status Yearとなる。この年は、年度内に米国居住者(Resident)としての期間と非居住者(Nonresident)としての期間が混在する。そのため、年度末時点での身分により、申告書の「本体」が異なる。 【Dual-Status Year における申告書の構成】 1.年度末に非居住者である場合 - 本体:Form 1040-NR(Dual-Status Return) - 添付書類:Form 1040(Dual-Status Statement) 2.年度末に居住者である場合 - 本体:Form 1040(Dual-Status Return) - 添付書類:Form 1040-NR(Dual-Status Statement) グリーンカードを返納し、その年度末に非居住者となった場合は、Form 1040-NR が Dual-Status Return となる。 【Form 8854 の提出について】 Form 8854(出国税)は、納税者が米国居住者でなくなったことを IRS に正式に通知するとともに、過去5年間の税務遵守状況を証明するために提出する。このForm 8854 に記載するバランスシート評価の基準日は「Form I-407 提出の前日」とされ、これが米国居住者としての最終日となる。記載内容には、全世界資産の時価評価額、負債状況、ならびに過去5年間の税務コンプライアンスが含まれる。 【紙の申告・電子申告】 Form 8854のバランスシート評価基準日が「居住者終了日(Form I-407提出の前日)」であるため、「Form 1040(dual status statement)への添付」が理論的に自然だと感じられる。 しかしながら説明書を見れば次のように書いてある。 Former U.S. long-term residents are required to file Form 8854, Initial and Annual Expatriation Statement, with their dual-status return for the last year of U.S. residency. Dual status returnに付けなさいとある。Dual status statementに付けるようには書いていない。紙の提出の場合、Form 1040-NR を本体とし、Form 8854 を添付し、さらに Form 1040 を添付書類としてひとまとめにして郵送する。 一方、電子申告(e-file)の場合は、一式の書類パッケージとして IRS に提出されるため、どちらに添付するかを個別に考慮する必要はない。

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2025.10.05
その他

アメリカ政府閉鎖と申告への影響

アメリカの「政府閉鎖(Government Shutdown)」は、議会が10月からの新年度予算を可決しない場合に発生し、連邦政府機関の一部が一時的に業務を停止する状態だ。IRS(内国歳入庁)も例外ではなく、納税や還付、問い合わせ対応など納税者サービスにさまざまな影響が及ぶ。 IRS職員のうち半数強が自宅待機対象となり、人数は最大で約3万人以上に及ぶと言われる。自宅待機は解雇(レイオフ)ではなく一時的な業務停止で無給休業であり、在宅勤務とは異なる。業務指示がなければ、自宅で業務に関わる行為(メールや電話対応、資料作成など)は行えないことになる。 IRSの政府閉鎖時の基本対応 閉鎖の最初の5営業日程度はほぼ全職員が通常業務を継続する。閉鎖が長期化すると、業務は「継続されるもの」と「停止されるもの」に明確に分かれる。 継続される優先業務 電子申告(e-file)の受付・処理 既存の支払いや徴収業務 詐欺防止・犯罪捜査関連業務 システム保守・セキュリティ管理 停止または遅延する業務 紙の申告書の処理 電話・郵便での問い合わせ対応 新たな還付金の発行(特に紙ベース) 対面での納税者支援の業務 閉鎖期間中に申告や支払い期限が到来しても、法定期限の延長は自動的には行われない。納税者は、通常どおり期限内に電子申告や納税を行う必要がある。 日本からの申告はどうなるのか 問い合わせやサポートの遅延・停止 日本等の海外からIRSに連絡しても、コールセンターが人員削減や閉鎖状態となるため、質問や申告トラブルへの対応が大幅に遅れる。 書類提出・審査の遅延 郵送による確定申告書類やITIN(納税者番号)申請の処理が大幅に遅延する。書類審査やエラー対応も通常より長く時間がかかる。 還付(Refund)の遅延 アメリカの還付金を受け取る場合、払い戻しにより時間がかかる。 電子申告(e-file)への影響は限定的(現状) 現在の政府閉鎖初期段階ではe-file(電子申告)は維持されるものの、閉鎖が長期化した場合は停止リスクや確認作業の遅延も想定される。 現状でもIRSの処理がDOGEの人員削減で遅れているのに加え、政府閉鎖が加わった。人は働いていなくともIRSのコンピュータシステムは停止しない。職員が対応できないため、納税者が通知に返信しても処理が進まず、時間経過とともに自動で督促や差押えのレターが発行されるケースも懸念される。納税者は、過剰な反応(差し押さえなど)を防ぐための証拠保全が重要になる。

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2025.09.28
その他

IRS還付業務は大変革の渦中へ ―人員削減・デジタル化・還付小切手廃止

2025年、米国内国歳入庁(IRS)の税金還付は、人員削減や予算縮小でかなり時間がかかっている。一方で大統領令により、電子化を推進して小切手の郵送を廃止し、還付作業の合理化を推進する。 1. 還付金の処理状況の確認 IRSは還付に関する問い合わせについて、原則として「Where’s My Refund」で確認を案内する。個別ケース調査は原則不可で、特別な優先処理や詳細確認は行われない。 2. 人員削減とサービス低下 IRSは2024年度、約1億1,760万件の還付を実施(申告全体の約65%)している。一方で2025年、IRS職員は25%以上削減(約1万人規模)という推計がある。 これにより以下の影響が出ている。 審査・カスタマーサービス・還付処理部門での遅延 特に紙申告・修正申告・ID確認案件の遅延 問い合わせへの対応遅れ(電話もつながりにくい) 3. 紙の還付小切手が廃止へ 2025年3月、トランプ政権により「紙による還付小切手送付の原則廃止」が決定。9月30日以降は納税者への還付は電子支払い(ダイレクトデポジット・プリペイドカード・デジタルウォレット)に原則的に一本化され、紙の小切手は段階的に廃止されて、限定的な例外(米国銀行口座のない人等)以外使えなくなる。 4. 日本の居住者への影響はどうなるか 2025年9月以降の制度変更は、原則として “新しい還付申告(たとえば 2025年分の税申告=2026年申告)以降” を対象とする可能性が高い。そのため2024年またはそれ以前の過去分の還付は、しばらくは従来通りのやり方が併存するものとみられる。 具体的には今後発表されるIRSのガイダンスを待つことになる。

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2025.09.21
所得税

着地点は同じでも

アメリカの税務上、不動産賃貸事業に実質的に関与しているか、またはほとんど関与せずに賃料から経費を控除した純額のみを受領しているかによって、税務上の扱いが異なる。つまり、アメリカ非居住者の賃貸活動が受動的であるか能動的であるかという点が焦点となる。 受動的賃貸活動 外国に居住するオーナーが不動産の管理や維持にほとんど関与しない場合、その賃貸活動は「米国の事業または商業に実質的に関連する」とはみなされない。この場合は受け取った賃料総額に対して一律30%の源泉徴収税が課され、経費や減価償却などの控除は認められない。 能動的賃貸活動 オーナーが不動産の管理や維持に実質的、継続的、定期的に関与する場合、その賃貸活動は「米国の事業または商業に実質的に関連する」とみなされる。これはオーナー自身が直接活動していなくても、オーナーの代理として不動産管理会社が以下のような業務を積極的に行っている場合も、能動的な活動と判断される。 賃借人の募集 賃貸契約の交渉 賃料の徴収 修繕の手配 費用の支払い等 能動的賃貸活動の場合の税務上の利点として、賃料収入から、不動産税、修繕費、減価償却費、管理費、住宅ローンの利息などの関連費用を控除できる。結果として、賃貸事業が税務上マイナス(損失)になることも一般的だ。 能動的賃貸活動の場合は、Form W-8ECIを不動産管理会社に提出する。これは事業活動の宣言となり、源泉徴収が免除される。非居住者オーナーはForm 1040-NRをIRSに提出して賃貸所得を申告する。 Form W-8ECIを提出していない場合は、賃料から源泉徴収されて不動産管理会社からオーナーに源泉徴収票(Form 1042-S)が発行される。Form 1040-NRを申告することで最終的な税額が計算され、過剰に徴収された税金は還付されるが、還付金の受け取りまで半年程度かかる場合がある。

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2025.09.14
その他

10年課税ルール

グリーンカードを放棄しても10年間はアメリカの申告をしなくてはならないと心配する人がいる。かつては放棄後10年間、米国源泉所得に課税されるルールがあったために、放棄後もずっと申告が必要と思われていることがある。 もともとの古いルール 2008年6月17日以前に、米国籍放棄やグリーンカードを返納した人に対して適用されていたのが、alternative tax regimeと呼ばれる仕組みだった。米国籍やグリーンカードを持っていた人は、非居住者扱いになっても10年間は特定の所得について、米国の課税を受けるというものだった。 この方式では放棄後10年間、非居住者となってもなお、米国株のキャピタルゲイン等を、あたかも米国源泉所得であるかのように課税される。このため放棄後もずっと米国に申告義務があると誤解される原因となった。 現在のルール 2008年のHEART で出国税(exit tax)が導入された。出国税の対象となる人は、出国時に全世界資産を時価で売却したとみなされて課税される方式となっている。一度きりの課税方式が採られるようになり、10年課税ルールは原則廃止されている。 これは出国税対象となる人の話で、それ以外の人は関係がない。しかし放棄した後は、出国税対象となる人もそれ以外の人でも、アメリカ源泉所得があればアメリカ非居住者としてアメリカに申告するのは避けられない。不動産賃貸や不動産譲渡、配当などが該当する。

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2025.09.07
その他

クレジットカードでの納税

日本からアメリカの税金を納付する場合、手段がなくて苦労するが、クレジットカード払いが最も簡単で現実的な選択肢となっている。IRSは直接カード決済を受け付けていないため、次のような決済処理業者を通じて納税を受け付けている。 Pay1040.com:手数料は納税額の1.75% ACI Payments:手数料は納税額の1.85% 手数料は、5,000ドルの納税の場合、Pay1040.comを利用すれば87.50ドル発生する。10,000ドルの納税の場合、手数料は175ドルとかなり大きくなる。便利なのだが納税額が大きくなればなるほど、手数料の絶対額も大きくなる。 通常のショッピングでクレジットカードを使用する場合、商品購入日はカード会社が取引を記録する日だ。そして実際に銀行口座から金額が引き落とされる日は、購入から1〜2ヶ月後となる。通常、支払い完了とみなされるのは、引き落とし日だ。 すると4月15日の納付期限に合わせてクレジットカードで支払っても、実際の引き落としが5月や6月になり、期限を過ぎてしまうのではないかと心配するかもしれない。しかし、税金のクレジットカード納付では、決済処理業者がカード情報を送信し承認を受けた日が納税完了日とみなされる。つまり、4月15日までにカード決済が承認されれば、IRSはその時点で期限内納税として完了したと見なす。この点ではショッピングとは異なるので、支払いの遅延を心配する必要はない。 税金のクレジットカード納付では、Confirmation Number(確認番号)やPayment Confirmationメールを受け取る。これにはPayment Dateが明記され、IRSが期限内納税か否かを判断する基準となる。今年はIRSが納付した金額や支払日を間違えて、手紙を送っているのが目立つ。後日、納税に関して確認が必要になった場合に、これらの証拠が非常に重要となる。

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2025.08.31
所得税

これは違うのでは

東京都心のマンションの値上がりは驚くほどで、もはや普通のサラリーマンが購入できるレベルを超えてしまっていると言われる。そうしたマンションは外国人投資家や一部の投資家が購入し、実際に居住していない空き部屋が70%というマンションもあるという。マンションの購入が投資となっている。70%が空き家というのは驚いてしまうが、何も東京に限ったことではなく、ソウルは東京以上に激しく80%が空き部屋というケースもあるというので、世界的な流れなのだろう。 アメリカの投資家も多いと聞く。アメリカの観点では為替だけではなく、1031 交換(section 1031 exchange)も影響していると思う。この仕組みは、特定の事業用または投資用不動産を売却し、得られた利益を別の同種不動産に再投資した場合、キャピタルゲイン税の課税を繰り延べできる制度だ。アメリカだけでなく日本を含む海外の不動産も対象となる。 1031交換の本来の目的は、経済活動の促進にある。投資家が不動産を売却する際、その利益に多額の税金が課されると、次の投資に回せる資金が減少し、不動産市場の流動性が低下する。しかし、1031交換を利用すれば、売却益を税金として納めることなく、次の物件に再投資できるため、不動産市場の活性化を促す効果が期待される。これにより、投資家はより長期的な視点で不動産を保有・管理し、資本を効率的に再配分できるようになる。 しかしながら、現実の投資家にとり最大の関心事は、この制度が提供する課税の繰り延べだろう。つまり投資用不動産を譲渡してキャピタルゲインが発生しても、1031交換を繰り返すことで、投資家はキャピタルゲイン税の支払いを事実上、無期限に先送りすることが可能となる。 これは大変なインパクトがあり、生きている限り拡大再投資していけばそのキャピタルゲイン税を支払わない。でも生きているうちにどこかでその不動産を譲渡したら、キャピタルゲインが実現すると言われるだろう。 ならば相続で子供に渡したらどうなるか。アメリカは相続開始日の市場価格が取得コストとして塗り替えられる。ということは、キャピタルゲインの課税がないままに、相続でも税金がかからずにその財産は配偶者や子供のものになってしまう。これは富の集中を助長してしまう。1031交換は本来の目的から外れてしまっているのではないかと思える。

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