日本からアメリカの税金を納付する場合、手段がなくて苦労するが、クレジットカード払いが最も簡単で現実的な選択肢となっている。IRSは直接カード決済を受け付けていないため、次のような決済処理業者を通じて納税を受け付けている。 Pay1040.com:手数料は納税額の1.75% ACI Payments:手数料は納税額の1.85% 手数料は、5,000ドルの納税の場合、Pay1040.comを利用すれば87.50ドル発生する。10,000ドルの納税の場合、手数料は175ドルとかなり大きくなる。便利なのだが納税額が大きくなればなるほど、手数料の絶対額も大きくなる。 通常のショッピングでクレジットカードを使用する場合、商品購入日はカード会社が取引を記録する日だ。そして実際に銀行口座から金額が引き落とされる日は、購入から1〜2ヶ月後となる。通常、支払い完了とみなされるのは、引き落とし日だ。 すると4月15日の納付期限に合わせてクレジットカードで支払っても、実際の引き落としが5月や6月になり、期限を過ぎてしまうのではないかと心配するかもしれない。しかし、税金のクレジットカード納付では、決済処理業者がカード情報を送信し承認を受けた日が納税完了日とみなされる。つまり、4月15日までにカード決済が承認されれば、IRSはその時点で期限内納税として完了したと見なす。この点ではショッピングとは異なるので、支払いの遅延を心配する必要はない。 税金のクレジットカード納付では、Confirmation Number(確認番号)やPayment Confirmationメールを受け取る。これにはPayment Dateが明記され、IRSが期限内納税か否かを判断する基準となる。今年はIRSが納付した金額や支払日を間違えて、手紙を送っているのが目立つ。後日、納税に関して確認が必要になった場合に、これらの証拠が非常に重要となる。

ここにきてIRSからレターが発行され、申告内容を否認し税金を支払うように求めるレターが極端に多くなっている印象を受ける。今までに経験したことがない状況だ。しかも、従来は何ら問題のなかったものが否認されている。 どこで否認されているかといえば、外国税額控除や租税条約の適用そのものを認めないケースだ。これらは今まで長期にわたり問題なく通っていたものである。 どうしてこんなことになっているのか考えると、トランプ政権による IRS の職員 25,000 人の削減が原因しているのではないかと思い当たる。これにより約 4 人に 1 人が失職することになる。 この削減では当然のことながら国際課税の専門部署も対象となる。この分野は個別ケースの判断が入るので、人の目を通して申告書の処理をしている。特に Form 1116やForm 8833 を審査する国際課税部門はもともと人数が限られている。 結果として、1人あたりの処理負担が増加してしまった。なんとしても処理をしないわけにいかないので、コンピュータを活用し機械的な判断をさせることに切り替わっているのではないかと思う。システム的に判断をさせて人員削減を乗り越えようとするが、うまくいっていない。従来の人の目による柔軟な判断がなされず、機械的な判断により誤った通知が発行されるケースが増加しているのだろう。 トランプ政権の経費削減の取り組みが、IRSのサービス低下につながっていることは否定できない。それでも政権は合理化をしながら経費削減を強力に推し進めようとしている。結果として目の行き届かないところが増える。トランプ政権の経費削減の取り組みは、いわゆる「トランプ関税」ではないが、海外からの申告者へのサービス低下を犠牲にしても、本丸であるアメリカ国内の税務行政に注力し減税を行う形なのだろう。 海外からアメリカに申告をしている人にとっては、IRSから問題を指摘する手紙をもらうことが増加したのは一時的なことではなく、来シーズンも続いていくと考えたほうがよさそうだ。

2025年3月25日に署名されたトランプ大統領令「アメリカの銀行口座への支払いと銀行口座からの支払いの近代化」は、連邦政府のあらゆる支払いを電子化することを目的としている。 この大統領令は、連邦政府から個人・企業への給付金、税金の還付金、ベンダーへの支払い、および個人・企業から政府への納税・手数料などの支払いを対象とする。2025年9月30日以降、原則として紙の小切手による支払い・受領を停止し、電子決済へ移行する計画となっている。 デジタル化が進む世の中の流れからすればこの方針は理解できるのだが、海外に居住する納税者にとって大きな問題が生じる。 【還付金の受け取りが困難になる】 この変更は、日本など海外に住む人々に大きな影響を与える可能性がある。従来は紙の小切手で還付金を受け取っていたが、新制度では個人の預金口座への振込みのみが基本となり、しかもその口座は米国内の金融機関に限られる。つまり、米国内に住んでおらず、アメリカの電話番号や銀行口座を持たない日本居住者は、実質的に米国の銀行口座を持つことが困難なため、還付金受領の手段を失ってしまう恐れがある。 大統領令はこうした状況を踏まえ、米国の銀行口座を持たない納税者のために「代替手段」を検討するよう財務省に指示している。具体的には、従来通り紙の小切手で支払いを継続するのか、またはその他の電子的受取方法を導入するのか、今後の対応が注目される。 銀行口座への振込みしかないのであれば、米国外に住所を置く納税者向けに、日本の銀行口座への振込みが検討されるべきではないかという意見もある。実際、アメリカの年金の振込みは日本の銀行口座にも対応しているケースがあるため、IRSが対応しないならば説得力に欠けると思われるのではないだろうか。 現実問題として、現時点で還付金を待っている多くの納税者がいる。すでに提出している申告書には米国内の銀行口座情報を記載していない。実際には準備不足で銀行振込に対応できないために、紙の小切手による送付が唯一の手段となってしまうだろう。 日本在住者をはじめ海外の納税者は、大統領令や手続き変更に関する最新情報を入手しにくく、手続き変更への対応が追いつかず、しばらくは混乱が続く可能性がある。

米国グリーンカード保持者から「納税申告(タックスリターン)の義務はいつまで続くのか?」という質問をよく受ける。 グリーンカード保持者の米国への申告義務の発生要件: 主に次の2点が同時に成立する場合だ。 ① グリーンカード保持者であること ② 標準控除を超える一定水準以上の所得があること ただし、所得が基準額以下の場合でも、次のようなケースでは申告義務が生じることがある。 ・Form 1099-R や Form 1099-NEC により源泉徴収された税金の還付を受けたい場合 ・自営業所得が$400以上ある場合 ・国外に居住しており、外国口座や外国資産についての報告(FBAR、Form 8938など)が必要な場合 ・Earned Income Credit(勤労所得税額控除)などの税額控除を請求する場合 ・毎年の申告を行った証拠となる書類が必要な場合など 長期的な考慮事項: 特別な必要がない限り、米国の申告を継続することは負担となりえる。グリーンカードを放棄すると米国の年金を受給できなくなるのではないかと懸念される方もいるが、年金受給資格を満たしていれば、日本に居住しながらも米国の年金を受け取ることは可能だ。日本の銀行に直接振り込んでもらうこともできる。 グリーンカードの放棄自体を推奨するわけではないが、申告が煩雑・負担で特に今後アメリカで生活をすることもないと考えるならば、思い切った決断をするのも一つの選択肢と言えよう。

グリーンカードを保持し続ける限り、毎年の米国への申告義務がある。グリーンカードを持っている人が日本に帰国して日本に納税すると、米国の納税義務が終了したと誤解している場合がある。特に、グリーンカードの有効期限が切れてしまった場合に、米国での納税義務も自動的になくなると考えてしまうケースがよく見られる。 しかし、これは誤りだ。税務上は非常に明確に規定されている。グリーンカードで税務上の「居住者」ステータスを取得したら、グリーンカードが取り消されるか、本人が正式に放棄しない限り、そのステータスは継続する。 米国の税法では、永住権の放棄は、個人がForm I-407または永住権放棄の意思を記載した書面にグリーンカードを添えて米国移民局に提出する手続きが必要だ。グリーンカードを紛失してしまい、返納できないと心配される方もいるが、手続きは可能で、紛失して提出できないことを説明する文書を添付すれば問題ない。 グリーンカードの放棄日はいつかについても誤解が多い。グリーンカードの放棄はForm I-407を提出した日に基本的に有効となる。 Form I-407を提出した後に、Form 797-Cが送られてくるので、Form 797-Cの発行日が放棄日だと誤認されがちだ。Form I-407は発信主義であり、提出日に効力が生ずる。 グリーンカードを放棄すると、Form 8854(出国税)の対象となり得る。もちろんこの対象になるには3条件がある。いずれかの条件に当てはまると、出国税の対象になるのだが、それでも出国税の対象にならないことがある。それは過去15年において8年以上グリーンカードを持っていなければ、原則として出国税の対象から外れることができる。 この時の1年の数え方は、単純に暦年でカウントする。クリスマスの時期にグリーンカードを取得した場合でも、わずか数日でも1年経過となってしまう。 日本に帰国された方の中には、年齢を重ね、将来的に米国で生活や仕事を再開する可能性が低いと判断し、グリーンカードの必要性を感じなくなるケースが多く見られる。しかし、その一方で米国への納税申告義務だけは残り続け、ご自身での手続きが難しくなると大きな負担となり得る。そのため、グリーンカードが不要となった段階で、思い切って整理することが良い選択となる場合が多く見受けられる。

アメリカはカナダやメキシコと国境を接している。カナダに住んでいる人が毎日、国境を越えてアメリカで仕事をしたり、逆にアメリカからカナダに行って仕事をしたりする人々がいる。 アメリカで働けば、その給与は「アメリカ源泉所得」となり、アメリカでの課税対象になる。カナダに住んでいれば、カナダでも全世界所得の申告義務があり、つまり両方の国に納税義務が生じて「二重課税」の状態が発生する。 実際の納税は「勤務国」でまず行い、「居住国」では申告時に外国税額控除を適用する。これにより実質的な二重課税を回避しようとする。 興味深いことに、この国際間の税務ルールは、アメリカ国内で州をまたいで働く場合の考え方と非常によく似ている。原則として、まず所得を得た勤務地の州(源泉地州)で納税し、その後、住んでいる州(居住地州)の納税額からその分を控除する、という手続きを踏む。 例えばニュージャージー州(NJ州)に住んでニューヨーク州(NY州)で働いている人は、まずNY州に非居住者として申告をして、NY州で得た所得に対する州税を納める。次に、住んでいるNJ州に対して、居住者として申告を行う。NJ州の税額から、NY州およびニューヨーク市に払った税額を控除する。 多くの場合、NY州・市の税率の方が高いため、控除額がNJ州の税額を上回ることがある。結果として、税率の高いNY州・市に税金を全額納めたのと同じような結果となる。 もしNY州を東京都、NJ州を神奈川県や千葉県と読み替えた場合、日本ではどうなるか。アメリカの仕組みは、まるで東京都にだけ地方税を納めるように見える。日本の税制は大きく異なる。日本では都道府県をまたいで通勤しても、所得税は国が全国一律のルールで課税する。そして、住民税は勤務地に関わらず、その年の1月1日時点で住んでいる自治体に納めるのが原則だ。 このように比較すると、アメリカの州が、税務上はあたかも一つの国のように独立した課税権を持っていることがよくわかる。

今年の申告で税額の支払いを銀行振替で行った。4月15日にはきちんと支払いが行われすべてが終わった。ところがIRSの手紙が来る。税金の納付がされていないので、いついつまでに支払えと言う督促状だ。丁寧にもペナルティ・金利がついている。 そんな馬鹿なと思うも仕方ないので、とりあえず言われる税金を納付して、これ以上の事態の悪化を防ぎ、足元から調べ直すことになる。 口座番号・納税者情報の不一致金額・年度・口座番号のミス過去の未払い税金があり充当されてしまった銀行側の誤送金IRSのシステムエラー第三者の詐欺等 自分での処理はわかるものの、相手があることは容易に調べることができない。大変な労力をかけて一つ一つ問題と思う所をつぶしていかなくてはならない。 ところが何とIRSは2025年6月12日に次の一部の電子決済処理の遅延に関するIRSの声明を出した。 IRS は、一部の電子支払いの処理に遅延が生じており、期限内に支払いが行われたにもかかわらず、一部の納税者が未払い残高を示す IRS 通知を受け取っていることを認識しています。 影響を受ける納税者:電子申告で納税申告書に記載された納税額を納付した納税者は、IRSが金融機関を通じて納税額を受領しているにもかかわらず、口座上で納税額が「保留中」と表示されることがあります。この通知は、納税額が口座で処理される前に開始されたか、納税額は処理されたもののエラーが発生し、納税額口座を更新する前にエラーを修正するための追加手続きが必要となる可能性があります。 電話は不要です:納税通知書を受け取った納税者が、電子的に全額かつ期日までに納税した場合、現時点では通知書に返答する必要はありません。納税者は、IRSオンラインアカウントの納税アクティビティページで納税状況を確認できます。このページでは、納税履歴や処理中の保留中の納税状況を確認できます。オンラインアカウントを確認しても7月15日までに納税が処理されていない場合は、通知書に記載されている電話番号に電話をかけることができます。 支払いが IRS によって正しく適用されると、関連する罰金と利息は自動的に調整されることに注意してください。 申告書に記載された納税額の一部のみを支払い、残りの未払い額を全額支払うことができない納税者は、IRS.gov/opaにアクセスして残りの残高の支払い計画を立てるか、通知の指示に従って追加の徴収代替手段を要求する必要があります。 影響を受ける納税者の皆様、IRS は支払い処理の遅延により生じたご不便をお詫び申し上げます。 何と何と、これは。

米国の市民権やグリーンカードを放棄する際、出国税(Form 8854)の対象となる可能性がある。この制度では、出国時に株式等の保有資産の「未実現利益(含み益)」を強制的に実現させ、米国で課税する。通常、課税は資産売却時に発生するが、出国税では未売却の資産も売却済みとみなす独特のルールが適用される。これにより、実際の現金収入がない幽霊利益に対しても課税が行われる。 出国時には資産の「含み益」を強制的に実現させ、アメリカで課税を行う。この含み益が実現するのは、本来は実際に資産を売却した場合だ。売却した場合には、売却代金が手元に入り、そこから税金を支払うことになる。 しかし、出国税では実際の売却は行わない。売却したとみなされ、いわゆる幽霊利益に対して課税が行われる。たとえば、株を50万ドルで購入し、市民権やグリーンカードを放棄する時にその株の価値が100万ドルだとした場合、この含み益50万ドルが実現したものとして課税される。手元に納税資金がなければ、借入をして税金を支払う必要がある。 さて、資産を5年後や10年後に実際に売却したとする。その時、日本に居住して日本の税金の対象となる。この資産の取得原価は100万ドルに引き上げられ、そのときの売却価格が30万ドルだとすると、譲渡損70万ドルが発生する。 ここで問題となるのは、アメリカで出国税が課された未実現利益と、日本で実際に発生した譲渡損失との関係だ。日米の税制を単純に合算すると、実際には70万ドルの損失が出ているにもかかわらず、アメリカでは先行して50万ドルの未実現利益に対して課税が完結しているという状況になる。 アメリカ政府の観点から見ると、市民権またはグリーンカードを放棄した人が未実現利益を抱えたまま出国すると、将来的にその資産を売却した際に得られる譲渡益に対する課税が困難になる。アメリカ非居住者の株式譲渡益は、原則としてアメリカの課税対象とならないためだ。 アメリカの市民権またはグリーンカードを保持している場合、資産の譲渡によって実現する利益には課税され、その税収はアメリカの社会インフラを支える財源となる。しかし、市民権またはグリーンカードを放棄した人は、アメリカの社会インフラを享受して財産を増やしたにもかかわらず、その果実の課税を受けないまま国外に持ち出すことになる。 結局のところ、国としての割り切れなさと個人としての割り切れなさが残る。アメリカが選択した結果は、国としての割り切れなさを優先したものといえるだろう。

米国の申告書に記載される金額は米ドルで表示することが義務付けられている。これは、日本で得た給与、事業所得、利子、配当金など、あらゆる種類の収入に適用される。収入が日本円で支払われた場合でも、Form 1040に報告する際には、適切な為替レートを使用して米ドルに換算しなければならない。 内国歳入庁(IRS)は、外国通貨の換算に関して、一貫して使用されている公表された為替レートであれば受け入れている。 次のようなレートが使われている。もちろん日本の金融機関のレートでも問題ない。 IRSのサイト:https://www.irs.gov/individuals/international-taxpayers/yearly-average-currency-exchange-rates米国財務省のウェブサイト:https://fiscaldata.treasury.gov/datasets/treasury-reporting-rates-exchange/treasury-reporting-rates-of-exchange連邦準備制度(Federal Reserve):http://www.federalreserve.gov/RELEASES/XE.comなどの為替レート: http://www.xe.com/ 収入が年間を通じて均等に得られている場合は、その課税年度の年間平均為替レートを使用して日本円を米ドルに換算することが認められる 。一方、不動産や株の売却など、単一の日に発生した取引については、その日の為替レートを使用する必要がある 。 年間平均レートが一般的に適している収入の例:給与所得: 年間を通じて毎月または隔週など、定期的に支払われる給与年金: 年間を通じて定期的に支払われる年金収入定期的な賃貸収入: 毎月定期的に受け取る賃貸収入 情報申告のFBARでは12月31日のレートが指定されている。換算した時の小数点以下は四捨五入とされている。一方FATCAでは12月31日のレートが指定されているわけではなく、小数点以下は切り上げとされる。 FBARは指示がはっきりしていて、たとえ日本円の残高が最も大きい日が6月30日であっても、為替換算レートは12月31日のレートとなる。 結果として、同じ申告書の中でFBARとFATCAでは異なる数字になってしまう可能性がある。しかしながら日本円では同じなのに、FBARとFATCAでは異なるドル金額と言うのは違和感があるので、FBARの数字に合わせるのが落としどころと思える。

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