2021.03.14
国際税務
教授条項の廃止
この所J-1ビザを持っている方から、アメリカ入国後2年もたっていないのに、報酬に課税されるが間違いではないかと言う質問を受ける。
これは日米租税条約の第20条のいわゆる教授条項の事だ。日本からアメリカに出かけて大学等で教育や研究を行う対価としての報酬は、従来アメリカに入国してから2年間は、アメリカでの課税は免除されると言うものだった。
これについて2019年8月30日に「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約を改正する議定書」が発効し、従来の第20条の教授条項は廃止となっている。8ページ目の第7条だ。
ただし、改正議定書の発効日の8月30日において現行条約の特典を受ける権利を有する教授等については、同日以後も、その特典を受ける権利を失う時まで、その特典を受ける権利を引き続き有するとしている。
今までは日本の非居住者で、なおかつアメリカで2年間課税の免除と言うのは、両国の課税からすり抜けてしまう所得があったかも知れない。それからすれば、普通の課税関係に入るわけで、わかりやすいとも言える。日米租税条約の第20条廃止に気を付けてアメリカの申告を忘れないでいただきたい。
アメリカの大学のサイトを見ると、依然として日本との租税条約で教授条項が有効と記載しているものもある。個別の国との租税条約の改訂までなかなかフォローアップできないのだろう。