2020.08.09
遺産税・贈与税
アメリカの税務と縁がなくても
アメリカの税務など全く縁もゆかりもないという方でも、突然アメリカの税務に巻き込まれてしまう事がある。
アメリカに住んでいた親族が亡くなって、財産の相続人になる場合がその一つだ。全く、財産をもらうことなど考えてもいなかったのに、ある日突然降ってわいたような話が起きる。故人には配偶者や子供がおらず、親も生きていないために、日本の兄弟姉妹が相続人となる。あるいは個人年金の受益人として日本に住んでいる方が指定されている。
アメリカの金融機関から財産を受け取るために様々な書類の提出を求められる。アメリカで亡くなる方は高齢で亡くなっている。すると日本の相続人もその兄弟姉妹で高齢と言う事が多い。なかなかフットワーク良く実務が進まないことがある。
アメリカから要求されるいろいろな書類の一つがForm W-8 BENだ。この中で、TIN(Taxpayer Identification Number)を記入しなくてはならない。アメリカの社会保障番号(SSN)か納税者番号(ITIN)を求められている。
日本に住んでいる方でアメリカと縁もゆかりもなければ、アメリカの社会保障番号や納税者番号を持っていることは期待できない。アメリカで働きアメリカの社会保障制度の中に入るわけではないので、社会保障番号は取得できない。残るは納税者番号ITINになってしまう。
たとえ話として適切かどうかわからないが、立ち位置を変えるとアメリカに住んでいるアメリカ人に、日本から相続をするために、日本のマイナンバーを取ってくださいというようなものだ。
納税者番号の取得はいくつかあるポイントの一つにすぎず、実務として何をどうやっていくのかは、かなり時間を要し簡単ではない。
いずれにしても、アメリカの税務と縁がないと思っていても、突然、引き込まれてしまう人もいる。年令が高い方の場合、なかなか容易に相続が進まないことがある。