2016年10月26日

2016.10.26
所得税

夫婦合算申告

アメリカの税法には、日本にない夫婦合算申告がある。アメリカは常に夫婦合算申告と言うやり方を取ってきたかと言えばそうではない。第二次世界大戦の前においては日本のように、夫婦個別の申告を行っている。 国家が総動員で男女分け隔てなく仕事をおこない、それぞれが申告を行うことが行われていた。しかし、第二次世界大戦の終結と共に女性はふたたび家庭の中に戻っていったという時代背景がある。夫は外で働き、妻は家庭婦人としてしっかり家を守る。絵に描いたような幸せなアメリカの家庭の形だ。 こうした枠組みでは、夫婦が仲良く一つの所得を分け合い、運命共同体として夫婦合算の所得税申告を行う。50年、60年以上前の伝統的なライフスタイルや価値観にあっていたものだと思う。 しかしながら、女性の社会進出で、夫は会社・妻は家という形が崩れてしまう。 物事が崩れて、複雑になったもう一つの要素は累進課税である。所得が多くなれば、課税する税率が高くなる。夫の所得にプラスして妻の所得がさらに足された時に、所得は垂直的に累積されるから、容易に妻の所得が高い限界税率の適用をもろに受けてしまう。個人として申告をすれば税金がほとんどかからないような所得であっても、夫婦合算所得になれば夫に上乗せした所得での限界税率で、$1から課税される。 こういう風に考えると、古き良き伝統の上にある仕組みと言えようが、ぴったり現状はまらない所が出ている。日本のようにあくまでも個人ごとの申告の方が、この場合では簡単である。しかし、夫婦は運命共同体で、いかに夫が稼いだお金とは言え、妻が家庭を守っているからこそ得られたものだ。働いて得られた所得は、夫婦仲良く貢献して半分ずつ得られたものだと考えるのもいい。 アメリカ人を見ていると、大統領が飛行機に乗る絵を見ると、必ず、奥さんが隣にいる。年寄りになっても夫婦仲むつまじく手をつないで歩くとか、家庭が単位であることを強く感ずる。これが夫婦合算申告なのだとしみじみ思う。 日本人は、当然のこととして、ビジネスの場に配偶者を連れてくることはなく、ビジネスに家庭を持ち込むことなく働くのである。老人になっても二人で仲良く手をつないで歩くなど日本人には考えにくい。日本には夫婦合算申告は風土的に縁遠い。課税の仕方としても日本の方がシンプルで合理的だけど、機能的すぎて味わいがない?かもしれない。

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2016.10.26
所得税

共同責任

夫婦が一緒に税金の申告を行う(夫婦合算申告)場合、夫婦は密接不可分のものとして納税に対する責任を負う。従って、いずれかの配偶者が税金を払うことができない場合、もう一方の配偶者はその税金の支払い義務を負うのが基本だ。 それゆえに、夫婦がしっかりとした信頼で結ばれていれば問題はない。しかしながら、そうでない場合もあり、離婚をするということもありえる。この場合、夫婦合算申告をした過去の申告に対して、離婚や別離をしてからその影響を受けることがある。 困ったことに、所得を誰が得ているのかと言うことは全く問題にならない。従って、別れた人に所得があり、もう一人には所得がなくとも、片方の人が税金を払わない(払えない)場合、もう片方の人が支払いをしなくてはならないことになってしまう。 そうなると借金を背負わされるような形になり、その借金が返済されるまで、前の配偶者の亡霊にまとわりつかれると言うことになりかねない。これが夫婦合算申告のネガテイブな面と言える。 十分に、申告書の内容を理解し、納税義務について理解して夫婦合算申告のサインをするべきだ。しかし、現実には、あまりにも多くの人が、内容も見ないで申告書にサインしている(サインさせられている)ように思えてならない。 サインをする時に、内容を理解できなかったら、きちんと内容を理解してサインするべきだ。サインをしてしまってから、知りませんとは言えない。こうしたことに巻き込まれ、英語の理解力や税法の知識がないために、経済的不利益を受けるようなことがあってはならない。

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2016.10.26
その他

いつ人間になり、いつまで人間なのか

人間は税法上の権利を有する。生まれてすぐの子どもに相続をさせることは可能である。では、臨月の子どもは法律上どう扱われるのだろう。生まれていない場合、税法上の権利を認められないのか。 つまり、人間はいつ人間になり、いつまで人間なのかと言うことである。例えば生まれている、いないというところで、権利の線引きをして良いものだろうか。赤ちゃんは未熟児であれば、数ヶ月で生まれ、十分に育つことができる。一方、十月十日して生まれる子ども当たり前なわけだが、生まれていないと言うことで法的な権利がないのだろうか。 所得税法上の扱いで考えてみる。 扶養控除に入れる場合だ。この場合は年末の時点で判断を行う。12月31日に生まれていれば、その年の1月1日から遡って、扶養することができる。年をまたがず、12月31日に生まれるならば、その年の1月1日から人間としてこの世に存在していない時から、権利を認められる。生まれていなくても十月十日は権利を認められる。一方、1月1日に生まれた場合、前年は全く扶養対象にはならない。同じ十月十日は権利を認められない。 その反対に、亡くなった時のことを考えてみる。夫婦合算申告において、その年のいずれかのタイミングに配偶者をなくしても、その年については夫婦合算申告を行うことができる。ということは、1月1日に亡くなったとしても、税法上はその年の末まで365日、生き続けて権利を認められることになる。 次に相続において考えてみる。 きわめて特殊ながら、次のようなケースもありえる。臨月のお母さんが事故で亡くなり、その直後で赤ちゃんが生まれる。一瞬でも母親が生きていれば、通常の相続と言うことになる。ところが赤ちゃんが生まれた時には、母親は亡くなっているわけだ。親が亡くなった時に、赤ちゃんは生まれていないので、赤ちゃんには相続権はないと考える?のだろう。 と言うのは、これほど微妙な話ではなくても、配偶者の凍結精子で、配偶者が亡くなってから、ずいぶん間を置いて赤ちゃんが生まれると言うのも医学的には可能だ。この場合は、一瞬の差ではなく、何ヶ月も何年もして赤ちゃんが生まれることができる。こうした場合、親は完全に亡くなっているわけで、ここに親子関係を認めて、赤ちゃんの相続権を認めるのは、いかにも逸脱しているように思われる。

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2016.10.26
年金

IRAの早期引き出し

59.5才にならない前に、年金からお金を引き出すと早期引き出しとなってペナルテイになってしまう。しかしながら、病気のためとか適格事由がある場合にはペナルテイの対象にはならない。この適格な早期引き出しであれば、調整項目として控除対象になる。 個人年金(IRA)等の適格年金に加入している人は、年金の拠出時に拠出分は非課税の扱いを受けている。非課税のまま元本と利息が積みあがる。これを退職年齢に達してから受給することになる。 しかしながら、59.5才になる前に引き出してしまうと、定期預金を解約したような形になり、早期引き出しのペナルティ10%が課せられる。Additional taxes on IRAs and other qualified retirement plansにこのペナルティが入ってくる。 IRAの引き出しでペナルティが発生した場合、金融機関は、Form 1099-INT のボックス2でペナルティを報告する。フォーム1040にこの金額を記入する。 Traditional IRAは個人年金だ。この掛金は課税所得から一時的に除外され、毎年、お金を掛けることにより、あたかもその分の課税所得が少なくなったように作用する。そして、年金をかけている間に生まれる利息は課税されずに積みあがっていく。さて、掛けた個人年金を引き出すことになる。典型的には3つの時期がある。 1.59.5才に達しない前での引き出し この個人年金を引き出す場合、59.5才以前に引き出すと10%の早期引き出しペナルティがあるということを聞くだろう。10%でも払いたくないと思う気持ちはわかる。しかしながら、もともとIRAをかけた時、拠出した分は、税金を払う前のお金から拠出している。仮に20年、30年前に拠出したとすれば、その掛け金は本来課税対象だったものを、課税を繰り延べてもらっている。 そこで、10%のペナルティがあるに加えてもともとの所得税を払わなくてはいけなくなる。 仮に仕事を失い、59.5才以前に自分のIRAに手をつけなければならないとする。その部分は通常の課税所得として申告書に記載する。さらに10%の早期引き出しペナルティがかかるので大変だ。 2.59.5才を経過し70.5才になるまでの引き出し 拠出した分は、上記の1と同じで税金を払う前のお金から拠出している。課税を繰り延べてもらっている部分が課税を受ける。ただし、10%の早期引き出しペナルティはない。 3.70.5才を越えての引き出し 70.5才になれば個人年金を強制的にも引き出しをしなければならない。課税を繰り延べてもらっている部分が課税を受ける。ただし、10%の早期引き出しペナルティはない。

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2016.10.26
情報申告

2016年分FBARの申告期限が変更

現在、FBARの申告期限は6月30日である。7月末に立法化されたThe Surface Transportation and Veterans Health Care Choice Improvement Act of 2015でこの申告期限が変更される。 すなわち2016年分(=2017年申告)から4月15日となり、個人の所得税申告書の提出期限と同期する。ただし、6か月の期限延長が可能となり、延長した場合の提出期限は10月15日となる。 海外に住んでいる場合、個人の申告期限は2か月の自動延長がある。そのため、FBARも同じ扱いになると考えられる。すなわち、6月15日が申告期限だが、4か月の期間延長で10月15日が提出期限ということになる。 申告期限は通常の申告書は発信ベースだが、FBARは着信ベースだ。この考え方も変わらない。FBARはそもそもオンラインの電子申告しか認められていない。電子申告なので瞬時に着信する。オンライン送信したものが、2,3日して着信するということはありえない。

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