遺産税・贈与税

2025.11.02
遺産税・贈与税

個人年金の相続

日米の夫婦で夫がアメリカ市民、妻が日本人とする。そのアメリカ人配偶者が亡くなり、IRA(個人年金)が残されたとする。これはどのように処理されるのだろう。 まず、税務上の問題に入る前に、IRAの受益者指定が極めて重要である。もしも再婚した夫婦だった場合、過去にIRA口座を開設した際に元配偶者が受益者として登録され、その設定が見直されずに現在の配偶者になっていなかった場合、夫の死亡時にそのIRAが元配偶者へ移管され、自分が相続できなくなる可能性がある。このような手違いは後々大きな問題となるため、事前の確認が必須である。 IRAは配偶者が受益人であるならば妻がその個人年金を相続する。しかし、妻はアメリカの税務から見ればアメリカ税務上の非居住者である場合が多い。非居住外国人である妻は、米国税法上、「Inherited IRA(相続IRA)」として口座を開設することになる。相続のIRAとして管理されるため、直接の「Rollover IRA」(自分名義のIRAへのロールオーバー)はできない。 現実的な選択肢としては、①Inherited IRAを管理しながら数年にわたり分割受領する、②口座を一旦閉鎖し相続分を一括で受領する、のいずれかとなる。 非居住外国人の場合、IRAを受領すると通常30%の源泉徴収税が課される可能性がある。しかし、日米租税条約により、相続したIRAは妻が日本に居住していれば日本の確定申告で課税され、アメリカ側での課税は基本的に行われない。 一方、妻がグリーンカード(永住権)を保持している場合、米国税法上は「居住者」と認定される。その結果、相続に関するIRAの取り扱いは非居住外国人の場合とは異なり、配偶者が自分名義のIRAへのロールオーバーを行う選択が可能となる。税務的にはアメリカの課税対象ともなり、日米二カ国の二重課税の処理が発生する。

Read More
2025.07.13
遺産税・贈与税

知らなかったは免罪符か

日本に住んでいるアメリカ市民やグリーンカードホルダーなどが贈与や相続を受けた場合、アメリカの贈与税や遺産税(相続税)はどうなるのか。アメリカの贈与税や遺産税(相続税)を課税される人は、日本とは異なり財産をあげる人が課税される。もらう人は課税されないのが基本だ。もちろん基本から外れるケースはあるのだが、多くは課税を受けない。 それで話が終われば簡単なのだが、たとえ日本で贈与や遺産を受け取った場合でも、年間合計$100,000以上である場合、アメリカ市民やグリーンカードホルダーには、その年にForm 3520の提出義務がある。これは贈与税や遺産税の申告ではなく、情報開示義務だ。面倒なのは申告しないとペナルティが課される。 Form 3520の提出義務は、多くのアメリカ市民やグリーンカード保持者にとって「寝耳に水」となるケースが後を絶たない。日本で親からごく普通に贈与や相続を受けただけなのに、なぜアメリカでペナルティのリスクを負わなければならないのか、という気持ちはよく分かる。 「知らなかった」は免罪符になるのか? しかし残念ながら、「知らなかった」という理由は原則として免罪符にはなりえない。アメリカの税法では、「その法律を知らなかった」という主張だけでは、法律違反の責任を免れることはできないという考え方をとる。 もし「知らなかった」がすべて通用してしまうと、誰もが「知らなかった」と主張するだろう。知っている人だけが法律を守り公平でなくなるし、自ら法律や規則を学ぼうとすることがなくなってしまう。こうして税制をはじめとする法制度そのものが成り立たなくなってしまう。 アメリカで法律や規則が作られて、世界中に住んでいる米国市民やグリーンカード保持者がその影響を受ける。それならばその法律を作る、執行する側もそのことを周知徹底させることが必要ではないかという声も根強くある。 たとえ毎年きちんと確定申告を行っていても、この義務の存在に気づくのが困難な状況であったことを合理的に説明し、かつ、義務を知った後すぐに誠実な対応をとれば、ペナルティが免除される可能性は十分にありえる。重要なのは、問題を認識した時点でそのまま放置せずに、すみやかに行動を起こすことだと思う。 。

Read More
2025.05.04
遺産税・贈与税

Form 3520

アメリカの贈与や相続では課税主体が贈与者、被相続人となる。これに対して、日本は贈与税や相続税の課税を受ける人は受贈者、相続人となる。 仮に相続が発生し被相続遺族人から相続人に1000万円が渡されたとする。アメリカの税制では亡くなった人が課税対象となり、日本では相続をした人が課税を受ける。 つまり、アメリカでは相続や贈与で財産をもらった人は、課税の対象ではないので相続税や贈与税を原則として支払うことはない。これでお終いとなれば簡単だが必ずしもそうならないことがある。 Form 3520という書類がある。非居住者から相続や贈与で1年間に10万ドル以上の財産を受け取った場合に、その事実の報告をしなくてはならない。ごく簡単な報告だ。 ではなぜこの報告を求められるのか。 IRSはアメリカの市民権やグリーンカードを捨てた人のうち、特にアメリカの税金をたくさん払っていたり、財産を持っていたりする人が市民権やグリーンカードを捨てることで、税金を逃れるのを防ぎたいと考える。 市民権やグリーンカードを捨てた人に対しては、税金をかけることが難しくなる。しかし、お金や財産を受け取ったアメリカ市民やグリーンカード保持者に対しては、まだ税金をかけることができる。そこで、Transfer Taxという仕組みを使って、アメリカからお金が逃げるのを防ごうとする。 Transfer Taxは、市民権やグリーンカードを捨てた人が、アメリカ市民やグリーンカード保持者にお金や遺産を渡したりした時に、そのお金や遺産を受け取った人が払う税金だ。 つまりForm 3520の報告を通じて、IRSは市民権やグリーンカードを放棄した人からの贈与や相続を把握し、Transfer Taxの対象となるかどうかを判断する。 その意味で、アメリカでは相続や贈与で財産をもらった人は、課税の対象ではないので相続税や贈与税を支払うことはないとは簡単に言えなくなる。税金を払う人は財産をもらった人となってしまうことがある。

Read More
2025.02.09
遺産税・贈与税

孫へのお祝い

日本では受験シーズンがピークで、小学生や中学生ではすでに進学先が決まっている人も多いと思う。この時期はまた祖父母が孫のためにお祝いを贈る時期でもある。 こうしたお金はアメリカの贈与税務上どのような形になるのか。大前提として、アメリカの贈与税は贈与する側が課税を受けることになる。一方、日本の贈与税は贈与された側が課税を受ける仕組みだ。 もともと親には子供に対する法的な扶養と教育の義務がある。そのため、親が未成年の子供のために支払う通常の生活費や基礎的な教育費は、通常、贈与とは見なされない。 一方で、祖父母には孫に対する法的な扶養義務はない。そのため、祖父母が孫に対して提供する経済的支援(教育費の支払い)は、贈与税の観点からは贈与と見なされることがある。特に多額のお金を子や孫に直接渡すことは贈与と見なされる可能性がる。 ただし、年間非課税贈与枠があり、2024年ベースでは$18,000/人までは非課税だ。この枠は贈与者ごとに設定されているため、祖父と祖母が孫に贈与する場合、合計$36,000まで非課税となる。 この枠を超えた部分は、贈与者の生涯贈与税控除額(2024年は$12.92 million)から差し引かれるか、贈与税(18~40%)が発生する事になる。 また、この枠を超えても、祖父母が孫の通う学校(小中高・大学など)に授業料を直接教育機関に支払う場合、その金額は贈与税の対象外となる。ただし、以下の条件が必要となる。•支払いが「授業料」に限定される(教科書代・寮費・生活費は対象外)。•支払いを祖父母が直接学校に行う(例:学校の口座に振込む)。•対象は「教育機関」のみ(IRSが認める学校・大学など)。 具体的に$50,000を贈与する例で考える。 •祖父母が学校に$50,000を直接支払う。この場合、贈与税の対象外となり、全額が非課税だ(授業料全額が対象外)。•祖父母が親を通じて孫に$50,000を渡す。この場合、年間非課税枠を超える$32,000が贈与税の対象だ。また授業料以外の費用(例:寮費・教科書代・制服代・生活費)は、年間$18,000の非課税枠内を超えると贈与税対象となる。たとえ教育機関に直接払っても非課税とはならない。 これはあくまでもアメリカの税務に焦点を当てた説明で、日米間では贈与税に関するルールが大きく異なる。そのため、日米両方の税務を考慮した上で、贈与計画を立てることが重要となる。

Read More
2024.12.29
遺産税・贈与税

クリスマスプレゼント・お年玉のシーズン

この時期にはクリスマスプレゼントやお年玉をもらったり贈ったりする機会が増える。アメリカの税金の観点ではこれに対しては税金がかかるのであろうか。 結論から言うと、多くの場合、クリスマスプレゼントやお年玉のような少額の贈与であれば、税金の心配をする必要はない。 アメリカの贈与税は、贈与者が負担する税であり、年間控除額や生涯免税額を超える場合にのみ課税される。贈与を受ける側は税金を払う人ではない。 アメリカには「年間贈与税控除額」(Annual Gift Tax Exclusion)という制度がある。この制度では、毎年一定額までの贈与は税金の対象外となる。2024年では、年間非課税額は1人当たり$18,000だ。この金額までは贈与税を支払う必要はない。この金額は贈与者一人当たりの金額で、例えば贈与をする子供が3人だとすると、$54,000までが非課税で贈与できる。 多くの場合、クリスマスプレゼントやお年玉の金額は非課税贈与の枠内だろうから、税金の心配をすることはまずない。 さらにこれからの時期、祖父母が孫の小中高や大学の入学祝をあげたり授業料を払ってくれることがある。入学祝いや教育費として受け取った贈与は、直接教育に使用される場合や社会通念上妥当と認められる場合には、贈与税の対象とならない可能性が高い。 しかし、高額な贈与の場合には注意が必要だ。高額な入学祝いをしたり、多額の教育資金を一度に贈与する場合、年間非課税枠を超えてしまい、贈与税の対象となる可能性がある。 贈与税の対象となるかどうかは、贈与の金額、贈与者と受贈者の関係、贈与の目的など、いくつかの要素によって総合的に判断される。 特に、贈与者と受贈者の関係は、税法上、親族間での財産の移転を優遇する傾向があるため、重要な要素となる。これは、親族間の助け合いを促進し、家族の経済的な安定を図るという政策的な意図があるとされている。 年間非課税枠を超える贈与を行ったとしても、すぐに贈与税が発生するわけではない。贈与者には生涯の贈与と遺産に対する総非課税枠(2024年時点で1,361万ドル)があり、この枠内であれば、実際に税金を支払う必要はほとんどの場合ない。 しかし、注意が必要なのは、贈与者がアメリカの非居住外国人である場合だ。生涯非課税枠を利用できない事を知っておく必要がある。 さらに、アメリカ市民やグリーンカードホルダーが、非居住外国人から年間$100,000を超える贈与をもらった場合には、Form 3520を提出する必要がある。これを怠るとペナルティの対象となる可能性がある。 多くの場合、贈与税の心配は必要はないが、年間非課税控除額を超える贈与の場合は注意が必要となる。

Read More
2024.12.22
遺産税・贈与税

雲間から光が差したが

アメリカの税務では、アメリカ市民または居住者が外国から贈与や相続を受けた場合、必ずしもその財産に対して税金を支払う必要はない。日本とは異なり、課税を受けるのは財産をあげる人で、財産を受け取る人は基本的には課税されない。しかし、財産を受け取る人には報告義務があり、基準となる年間受領額が10万ドルを超える場合には、Form 3520を提出しなければならない。これを怠るとペナルティを受ける可能性がある。 従来は、Form 3520を適切に提出しなかったり遅れて提出した場合、その理由に関係なく、機械的にペナルティが課されることがあった。 2024年でこの度、IRSは納税者のForm 3520遅延に対して事前に理由を審査する手続きに変更したようだ。問答無用ではなく、理由を聞く姿勢に改善されたのはありがたいことだ。 しかし、その理由を認めてくれるかどうかは別問題となる。 遅れて提出するForm 3520に対するペナルティを回避するためには、納税者は「正当な理由」を立証する必要がある。これは、その不履行がわざとやったのではないと示さなければいけない。 Form 3520の提出をしていないことの合理的な理由を挙げるのは必ずしも容易ではない。あえて考えられる合理的な理由としては、死亡や重篤な病気によるものだ。本人や家族の死亡により手続きをすることができなかった場合や、肉体的、精神的に動く事がままならず、助けてくれる人がいなかった場合などだろう。また、天変地異により書類や記録が失われ、その回復に時間がかかった、あるいは戦争や内乱に巻き込まれたといった理由も考えられるだろう。 こうした理由は、どうしようもなかったと思えるものの、ほとんどの場合はForm 3520の提出義務があることを知らず、何もしていなかったと言うのではないだろうか。 「知りませんでした。ごめんなさい。」と言うしかない事は合理的な理由となるのだろうか。子供の場合はそうかも知れないが、大人の場合にはそうも簡単にはいくまい。一生懸命に調べたがわからなかった、普段から適正に申告を行っており、未払いの税金もなく、いつもすみやかに対応していると言えれば、IRSの印象も多少は良くなるかも知れない。 ケースごとに事情が異なり、IRSの担当者ごとに判断が異なる現状では、明確な一線を引くのは難しいだろう。同じようなケースである人がOKで、別の人はダメということでは公平性が失われる。IRSの立場としては「法を守らないことに対する言い訳はない」となってしまうかも知れない。 確かに、フォーム3520の提出遅延にIRSは機械的なペナルティ処理をしないと明言しものの、合理的かつ正当な理由を主張することが残っている。雲間から太陽が差し込んでも、雲一つない青空ではない。確実にForm 3520を提出することが肝心だ。

Read More
2024.11.24
遺産税・贈与税

居住者のダブルスタンダード

アメリカの所得税においては、個人がアメリカの居住者か非居住者であるかが税務における重要な分岐点となります。アメリカの居住者である場合、全世界の所得がアメリカの申告対象となります。一方、非居住者の場合は、アメリカを源泉とする所得のみが課税対象となり、範囲が限定されます。 日本人の感覚では、アメリカに住所を有し住んでいる人がアメリカの居住者でしょう。もちろんそれも正しいのですが、ベースは市民権課税でアメリカ市民権を持つ人(グリーンカード保有者を含む)がアメリカの居住者とされます。さらに「実質滞在テスト」において一定期間以上アメリカに滞在している場合も、税務上の居住者となります。 この場合、日本に住んでいるアメリカ市民権を持つ人(グリーンカード保有者を含む)も、アメリカ税務上は居住者とみなされ、日本で得た所得もアメリカに申告する必要があります。 次に、相続税(アメリカでは遺産税)と贈与税についてですが、これらにおいては所得税とは異なる要素があります。居住者の定義は「Domicile」に基づきます。アメリカにおいて、Domicileとは「その地に居住し、かつその地を恒久的居所とする意志を有すること」と定義されます。 この定義の違いにより、所得税上の居住者でも、贈与税や相続税では非居住者とみなされる可能性があります。アメリカに居住して恒久的な居所とする意志があるのかです。 この「意志」は、判断が難しいことがあります。例えば、日本人がアメリカ人と結婚して40年ないし50年もアメリカに住んでいる場合を考えてみましょう。配偶者が亡くなり、一人残されたとき、子や孫がアメリカに住んでいればアメリカで暮らし続けるかもしれません。しかし、子供がいない場合、日本に戻って兄弟姉妹の近くに住みたいと思うかもしれません。親から相続した不動産やお墓が日本にあるとか、日本の方が暮らしやすいなどの事情も影響します。 そうなると、たとえアメリカに長期間住んでいても、恒久的にアメリカに住む気持ちがないならば、贈与税や相続税についてはアメリカの居住者ではないとみなされる可能性もあるでしょう。 逆に、難民としてアメリカに到着し、ごく短期間で亡くなる場合も存在し得ます。その場合、国を捨て、全てを振り切ってアメリカに住むことを決めたのであれば、アメリカの居住者として贈与税や相続税が課されることになります。 こうしてみれば、アメリカに居住している期間が長くても、贈与税や相続税では必ずしも居住者ではないことになります。贈与税、相続税の世界では所得税の居住者とは一致せず、結果として相続での課税対象財産の範囲が限定的になることもあり得ます。

Read More
2024.11.03
遺産税・贈与税

子供にかわって親が税金を払うと

親が子供のアメリカの税金を支払うことができる。小切手・クレジットカード・銀行振り込みで支払う時には子供の名前と社会保障番号(SSN)を明記する。これにより、子供が税金を納付したことになる。 ただし、親が子供のために税金を支払う場合、それは贈与と見なされる可能性がある。IRSは、等価の見返りなしに他人に財産やお金を譲渡する行為を贈与としている。これには他人の税金を支払うことも含まれる。 さて、アメリカの場合贈与税は贈与者が支払う。日本は受贈者が贈与税を払うので、全く正反対だ。親がアメリカの贈与税を負担することになる。 しかし、年間および生涯の遺産税・贈与税の控除が適用されるため、支払った金額が必ずしも贈与税の対象になるとは限らない。2024年の年間控除額は受贈者1人あたり18,000ドルある。この金額以内だった場合は、親はアメリカの贈与税を支払うことはないのでアメリカの贈与税の申告書を提出する事はない。 支払った金額がこの控除額を超える場合、贈与税の申告が必要になる。生涯控除が1人当たり$13,610,000($1=150円で約20億円強)あるために必ずしも贈与税を支払う必要はない。 これはどういうことかと言えば、この生涯控除額を先食いするからだ。財産が20億円以上で相続の時に生涯控除を満額使いたい場合は、18,000ドルを超える部分の贈与税を支払えばよい。 さて、これはアメリカ市民の親子間での話となる。日本に住んでいる日本人の親がアメリカに住んでいる子供というケースではどうなるか。 非居住外国人たる日本の親にはアメリカの生涯控除はない。そのため、$18,000の非課税枠を超えてしまうと、課税対象となってしまう。 さらに日本の贈与税が出てくる。2024年の日本の非課税贈与枠は110万円だ。アメリカの非課税贈与枠だけ見て贈与を行うと、日本の非課税贈与枠を超えることがある。この場合、日本の贈与税を払うのはアメリカに住んでいる子供となる。日本の税金を支払うためには、日本に納税管理人が必要となる。 日本人の親が子供にかわってアメリカの税金を支払う事はできるけど、贈与の話を頭に置いておきたい。

Read More
2024.09.22
遺産税・贈与税

アメリカ贈与税は100年前に誕生

アメリカの歴史を見てみると、ちょうど今から100年前に贈与税が初めて誕生している。20世紀初頭、アメリカは歳入の確保と公平な税制を目指していた。第一次世界大戦の戦費調達もあり、遺産税は1916年に導入された。しかし、富裕層は生涯にわたって資産を贈与することで課税対象となる遺産を縮小し、多額の税務上の負担を回避することができた。 これを防ぐために1924年に贈与税が導入された。即ち、贈与税は、遺産税を補完するように設計されており、財産の移転が生前か死後かに関わらず、課税の対象となるようにした。 贈与税は政治的・経済的な圧力で1926年に廃止された。しかし、廃止は生涯贈与による税の回避につながるため1932年に贈与税を再導入している。 再導入以来、贈与税はさまざまな変更と調整を受けてきた。1976年には贈与税と遺産税を統合し、生涯贈与を通じた遺産税の回避を制限している。 贈与税 は生きている間、遺産税は死後での財産移転だが、人の一生で財産を移転することに生涯控除を使う。この控除が2024年では$13,610,000($1=140円で約19億円)あり、ほとんどの人は事実上、贈与・相続では税金がかからない。アメリカは財産を移転する人が課税され、日本は財産をもらう人に課税される。 しかしながら、これはアメリカ市民の控除だ。日本に住んでいるアメリカ非居住者の方が贈与を行う場合は話が違う。贈与においては2024年では年間非課税贈与額は$18,000でこれを超えると課税を受ける。 贈与税と遺産税の通算で一生涯いくら控除ができると言う形はなく、死亡時に$60,000までの控除しか使えない。仮に遺産の総額 $100,000なら、免除額$60,000で課税対象額は $100,000 - $60,000 = $40,000だ。適用税率22%で遺産税額$8,800となる。 アメリカ市民には寛大でも非居住外国人にはそうではない。

Read More

カレンダー

2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
1 2 3 8

Tsuchida & Associates

〒103-0016
東京都中央区日本橋小網町4-8-403
Phone:03-6231-0301


相続税:資産家のための相続税相談申告センター
日本の税務:星泰光・杉沢史郎税理士事務所

アクセス

水天宮前駅 東京メトロ半蔵門線
6番口 4分
茅場町駅 東京メトロ 東西線
A4出口 徒歩5分
人形町駅 東京メトロ 日比谷線 / 都営浅草線
A2出口 7分
Copyright © Tsuchida & Associates All Rights Reserved.
ページTOP