コップの中に半分入った水を見て、「半分もある」と考えるか、「半分しかない」と考えるか。視点の違いは、時に米国税法の解釈にも影響を与える。
たとえば、海外口座の申告義務(FBAR)だ。FBARは、米国の税法における「US Person」(アメリカ市民、居住者、法人など)に適用される。では、グリーンカードを放棄した場合、もはやUS Personではないので、FBARを提出する必要はないのか。
ここで重要なのが、米国内国歳入法(IRC)§7701(b)(6)だ。この条項により、グリーンカードを返還した年は「原則として」通年で米国の居住者として扱われる。つまり、この年はまだUS Personとしての地位を維持しているため、FBARの申告義務が発生する。
この年のFBARは、通常の申告期間(1月1日から12月31日まで)の最高残高を報告する必要がある。たとえ1月1日にグリーンカードを放棄したとしても、その年の12月31日までが報告対象期間となる。
例えば、放棄後の9月30日に口座残高が最も大きかった場合、その日の残高を12月31日の為替レートで換算して報告する。確かに1月1日にグリーンカードを放棄しても9月30日の残高を報告するとなれば、違和感があることは理解できる。ならば9月30日の為替レートを適用すれば良いのに、さらにそれを12月31日のレートで報告するので、なおさら気になるかも知れないがそうした仕組みとなっている。
グリーンカードを放棄した年の翌年からは、原則として非居住者(non-resident alien)として扱われ、US Personの定義から外れる。そのため、FBARの提出義務も原則としてなくなる。
ただし、例外がありグリーンカードを放棄した後も、アメリカに居住し、滞在日数テストを満たす場合は、引き続きFBARの提出義務が発生する可能性がある。
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